焼き鳥屋を開業するためには? 資金調達や準備、焼き鳥屋で安定経営するためのポイント
焼き鳥屋の原料は他の食肉と比較して安価で経営が安定しやすいと言われています。お店の形態もこだわりの地鶏からテイクアウト専門などバラエティを加えやすいのもメリットです。個人経営では大手チェーンとの差別化したコンセプト作りで利益を上げられる業態と言えるのではないのでしょうか。ここでは、焼き鳥屋を開業するための資金調達や準備、安定経営のポイントなどをご紹介します。
1. 焼き鳥屋を開業するのに必要な準備
焼き鳥屋開業のために準備しておくべき項目は次の8つが主となります。以下で、内容について詳しく解説していきます。
- 焼き鳥屋のコンセプト
- 物件取得
- 資格取得と各種届
- 事業計画書
- 資金調達
- 設備と内装工事
- 仕入れ先の選定
- 商品、メニュー開発
焼き鳥屋のコンセプト
繁盛店になる決め手は競合店に対抗するコンセプト作りと言われています。薄利多売なのか、ブランドを売りにするのかによって、店舗の営業方針も変化するでしょう。周辺に焼き鳥屋がある場合は、オリジナリティが反映できる業態を目指したいものです。炭焼き、ガス、調理方法や、たれ、バルか大衆かなど他店との差別化を図れるコンセプトを構築しましょう。
物件取得
飲食店の平均家賃は売り上げの10%が目安とされているようです。繁華街などの好立地は集客力が高い反面、家賃も高くなる傾向があります。設備投資のコストを下げるためにも居抜き物件をターゲットに物件探しをしてみましょう。
資格取得と各種届
焼き鳥屋を営業するためには「食品衛生責任者」資格が必要です。条件によって「防火管理者」資格取得も必要になるケースがあります。「食品営業許可申請」は飲食店営業許可ですので、必ず検査をパスしなければなりません。他にも火気使用の設備届や酒類販売に関する届け出なども必要に応じて対応していきましょう。
事業計画書
売り上げや仕入れ、水道光熱費、人件費、家賃など収支計画を細分化しておきましょう。事業計画書は、資金調達の際、金融機関や日本政策金融公庫での提出資料として重要となる書類です。この書類には志望動機や店舗目標なども記載するため、事業主としての指標を明確化しておくことも大事な準備といえます。
資金調達
焼き鳥屋の開業資金は飲食業の中でも幅があります。自己資金以上の不足分は銀行、信用金庫、日本政策金融公庫などを利用して融資を受けることができます。返済負担となる借り入れを軽減するため、できるだけ自己資金を工面しましょう。
設備と内装工事
居抜き工事では設備が再利用できることが多く低額で済み、スケルトンでは内装設備がなく、トイレなどの設備も入るため高価になりがちです。焼き鳥器がガス式もしくは、電気式かによって、契約容量の確認も必要です。もし必要であれば、変更工事も考慮しなければいけません。
仕入れ先の選定
コンセプト(ブロイラー、地鶏、ブランド)で仕入れ先は変わります。多くの焼き鳥屋は、食肉専門の卸業者と鶏の部位販売で契約するのが一般的なようです。焼き鳥屋の平均原価率は約25%、輸入や冷凍では10%ほどに抑えられることもあるようですが、数値はあくまでも参考値ですので仕入れ先によっても変化します。
商品、メニュー開発
焼き鳥屋のコンセプトに沿ったメニュー開発(女性向、ワインファン、家族向けなど)に取り組みましょう。繁盛店はメニューが多いだけでなく、変わり種を提供する傾向があるようです。ターゲット客のニーズにマッチした商品を開発してみましょう。
各個人にあったか開業の仕方・考え方についてはこちらの記事でも紹介しています。
2. 焼き鳥屋開業までのスケジュール
焼き鳥屋を開業するまでの準備事項を時系列に沿って表にまとめています。オープンまでの一例を、以下でさらに詳しく解説していきます。
焼き鳥屋開業までのスケジュール例
時期 | 項目 |
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6ヶ月~4ヶ月前 |
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4ヶ月~3ヶ月前 |
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3ヶ月~2ヶ月前 |
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2ヶ月~1ヶ月前 |
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1ヶ月~2週間前 |
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当日 |
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上記のスケジュールは平均的な焼き鳥屋開業までのフローを想定しています。開業形態や立地条件、コンセプトによっても内容は変化する可能性があるので、参考としてご覧ください。
6ヶ月~4ヶ月前
- 物件探し
焼き鳥屋の物件コストは売り上げの約10%程度と言われるようです。狭小店舗なら7%にコストを軽減できるというデータもあります。またできれば「競合が周辺にない」「コンセプトが被っていない」といった立地を選びたいものです。商圏、繁華街、駅前など好立地は賃料が想像以上に高くなることもあります。店舗規模も考慮しつつ慎重に選択しましょう。 - 資格取得
飲食業を営むためには必ず「食品衛生責任者」資格が必要です。30人以上の収容数店舗は「防火管理者」資格も必要となります。いずれも数時間の講習受講で取得できるため時間のある時に完了しておきたい資格です。
4ヶ月~3ヶ月前
- 物件契約
物件の契約時には、一般的に保証金、礼金、仲介料、1ヶ月の家賃などが必要です。店舗契約では、保証金が家賃の6ヶ月から12ヶ月分、礼金と仲介料は1ヶ月分が相場と言われています。居抜き物件の場合、既存の設備買い取り料である「造作譲渡料」がかかる場合や、リース契約になる場合があるため確認しておきましょう。 - 仕入れ先の確保
仕入れ先の確保で原価率やメニューが作りやすくなるため、コンセプトを固めやすくなります。畜産業を営む食肉業者と契約すれば、新鮮でリーズナブルな素材を入手でき、他店と差別化できることもあります。原価コスト削減のためには、鶏の処理や串うちは店舗で対応するのが理想的です。焼き鳥屋の原価率は一般平均25%~30%程度と想定できますが、仕入れ次第で安く抑えられる可能性もあります。 - メニュー構築
焼き鳥屋の繁盛店の特徴として、バラエティ豊かなメニューが挙げられるようです。競合店に対抗する目玉商品の開発や充実したサイドメニューなどで、差別化ができると自店の強みとなります。コンセプトがドリンクやメニュー名に反映できるような工夫も、お店の魅力につながります。 - 事業計画書
事業計画書は計画的運営に必要なロードマップで、融資を受ける際、必ず提出する書類です。5W1Hに基づいたビジネスモデルの解説、さらに、SWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)解説にも注力してみましょう。事業計画書に3年から5年分の試算表が明記されていることでも、融資を受けやすくなるようです。 - 資金調達
金融機関を使っての資金調達先は、銀行、信用金庫、日本政策金融公庫と主に3つの融資先が考えられます。初めての開業であれば、日本政策金融公庫の融資が最適です。銀行、信用金庫は、事業の実績が無いと融資を受けづらい反面、日本政策金融公庫は、これから事業を起こす人向けの融資を提供しています。また、銀行、信用金庫は、公庫に比べ融資時期が遅くなる傾向があります。また補助金、助成金は開業後に受け取ることが多いので、困ることのないよう注意しておきましょう。
3ヶ月~2ヶ月前
- 内装工事着工
居抜き物件の場合は、工事が手早く済むこともありコスト削減できるメリットがあります。築年数の古い物件では、水道、ガス、電気の容量をチェックすることを忘れずに行いましょう。また工事中はできるだけ店舗に足を運び、工事の進捗を確認するのが賢明です。 - 設備や備品搬入
工事が完了したら、厨房の設備(必要であれば)備品を搬入していきましょう。焼き鳥器をテストランニングし、排気などをチェックする良いチャンスです。オープンに向け、看板や装飾品などの準備も進めていきましょう。
2ヶ月~1ヶ月前
- 求人募集
スタッフ求人募集掲載を進めます。人件費は運転資金の約20%にあたるといわれ、雇用人数やシフトなどで人件費のコントロールも重要です。一般概算からしっかり人件費計算をしておきましょう。 - 広告、告知
オープン用の広告チラシやSNSの告知など、開店広告を打ち出しましょう。スタッフによる周辺地域へのポスティングや駅の掲示板への告知なども有効です。地方紙への掲載や特典付き広告の配布も検討し、オープンへの準備をすすめます。
1ヶ月~2週間前
- 申請書類の提出
営業を開始するための「食品営業許可書」申請を保健所に提出します。従業員を含め30人以上の収容ができる店舗は「防火管理者選任届」を消防著へ提出する必要があります。他にも火気取扱いの届け出、酒類販売など、営業に必要となる申請提出を完了しましょう。 - トレーニング
トレーニングに使用できる接客、清掃マニュアルはあらかじめ用意しておきたいものです。焼き鳥屋のコンセプトを踏まえた接客術はリピーター獲得に効果的です。またサービス円滑化のためにも、スタッフとコミュニケーションの取りやすい職場環境の整備も大切です。
オープン当日
- 開店当日は、オープン記念キャンペーンなどを開催する店舗もあるようです。試しに来店してもらい、リピーターになってもらえるような販促の工夫が重要です。
飲食店開業に向けた準備の流れに関して、さらに詳しくはこちらの記事でイラスト付きで紹介しています。
3. 焼き鳥屋の開業資金はいくら?
焼き鳥屋開業には初期投資として主に5つの資金が必要となります。以下で内容について詳しく解説していきます。
- 物件取得
- 内装工事費
- 厨房設備
- 諸経費、備品など
- 運転資金
物件取得
一般的都市部の繁華街や駅前では賃料は高くつきます。物件取得では、開業資金の20%ほどに抑えるのが相場のようです。一例ですが平均的な保証金が、家賃の6ヶ月~12ヶ月程度、礼金、仲介費が共に家賃1ヶ月分、前払い1ヶ月分というような分配が考えられます。人通りが多くても、2等3等地という価値の場所もあるため、しっかりとリサーチし物件を選びましょう。
内装工事費
居抜き物件では設備投資でコストダウンできる可能性もありますが、古い設備は交換が必要ということもありえます。内装工事には、初期投資の30%ほどを費やすことが多く、基礎部分の工事が必要な場合、追加料金としてさらに費用が発生することもあるようです。
厨房設備
焼き鳥屋の厨房設備は、焼き鳥器、冷蔵庫、ショーケース、フライヤーなどが主に挙げられます。飲食店にあるビールなどのサーバーは業者からのレンタルになることが多く、必ずしも購入する必要はありません。
諸経費、備品など
諸経費は、店舗規模などによっても様々ですが、オープンする前の人件費も対象となるかもしれません。概算では時給×8時間計算で、平均的に8万くらいかかると見られているようです。また看板製作、チラシ印刷代、他の備品などで一般的に初期投資の5%くらいが充填されるようです。
運転資金
経営が順調に軌道に乗るまでの期間、一般的に約6ヶ月分の予算を準備するのが相場のようです。一例としてですが、材料費に売り上げの約25%、水道光熱費が約5%、人件費約20%、家賃約10%仮定して、出費の概算を見積もってみます。そこから、運転資金の割り出しをしてみましょう。
開業資金の用途や売れなかった場合の考え方などについて詳しくはこちらの記事で紹介しています。
4. 焼き鳥屋開業に必要な資金の調達方法
焼き鳥屋を開業するために資金調達する場合は、主に3つの方法があります。以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
- 自己資金を貯める
- 金融機関からの融資
- 補助金、助成金の活用
自己資金を貯める
焼き鳥屋の開業資金は自己資金で賄えることが理想ですが、身内からの援助を募り融資の一部に充てることができれば、非常に有益なオプションになります。金融からの融資を受ける場合、開業資金の約10%は自己資金がないと借り入れが難しいケースがありますので、自己資産の整理をしてみましょう。
金融機関からの融資
金融機関の融資とは、銀行や信用金庫などを指します。金融機関によって、融資額や利率、審査の機関も様々です。他にも、日本政策金融公庫の貸付では、銀行よりも融資額が多い「新創業融資制度」があり、最高1,000万円の融資を受けることができます。同様に公庫の「中小企業経営力強化資金」では最高2,000万円の借り入れが可能のようです。
補助金、助成金
各自治体などが新規事業主支援のために用意している援助資金があります。一定の条件を満たしていることで、支給され返済の必要がないものが多いのが特徴です。開業後にしか融資されないため、運転資金として活用することが望ましいといえます。
資金不足でも開業できる「資金調達の方法」に関して、詳しくはこちらの記事でもご紹介しています。
5. 焼き鳥屋を開業するのに必要な資格
焼き鳥屋開業のための主な資格は2つあります。以下で詳しく紹介していきます。
食品衛生責任者
焼き鳥屋に限らず、飲食店経営のために必須の資格で、自治体の講習を受講して取得します。自治体によって変わりますが8,000円から10,000円の受講料で、全国どこでも受講可能です。運営に関与する就業者1人が所持していればOKで、事業主でなくても構わないため早い時期に取得を進めましょう。
防火管理者
運営立場の者が取得しておくべき資格です。30人以上の収容数(従業員も含む)店舗には、この資格保持者が必要となります。自治体によって講習料金が異なりますが、約3,000円~5,000円程度の手数料で受講します。店舗規模300平米を境に講習内容が違うため、管轄の消防署に確認をしましょう。
飲食店を開業するために持っていると便利な資格についてはこちらの記事で紹介しています。
6. 焼き鳥屋を開業するのに必要な届け出(営業に関する届け出)
焼き鳥屋の開業にあたって必要となる届け出に主に営業に関する届け出と雇用に関する届け出があります。ここでは以下の営業に関する5つの営業に関する届け出について説明します。
- 食品営業許可申請
- 防火管理者選任届
- 防火対象設備使用開始届
- 火気使用設備等の設置届
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
食品営業許可申請
保健所の営業許可を受けるための申請届けで、内装が完了する10日前までに管轄の保健所に申請しておく必要があります。
防火管理者選任届
防火管理者資格を所得した運営者が防火責任を果たすための申請書です。営業開始日までに消防署に提出しておく必要があります。
防火対象設備使用開始届
新店舗や店舗内の一部で火気を使用するための届け出です。内装完成の7日前までに消防署へ申請が必要となりますが、通常内装工事関係者から申請されることが多いので、確認しましょう。
火気使用設備等の設置届
焼き鳥屋で使用する焼き鳥器、バーナー、温風暖房機など火気設備を使用する場合に、必要となります。管轄の消防署へ営業まえに申請を済ませましょう。
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
12時以降に酒類販売をする場合は、届け出が必要です。営業開始の10日前までに管轄の警察署への書類申請が求められます。
個人事業主として飲食店を開業するために必要な手続きに関してはこちらの記事でも紹介しています。
7. 焼き鳥屋を開業するのに必要な届け出(雇用に関する届け出)
焼き鳥屋を開業するには、前述した営業に関する届け出に加えて、雇用に関する届け出も必要です。以下の4つの雇用に関する届け出について紹介いたします。
- 個人事業の開廃業等届出書
- 労災保険加入手続き
- 雇用保険加入手続き
- 社会保険加入手続き
個人事業の開廃業等届出書
個人事業者の場合は、開業から1ヶ月以内に税務署への申請が必要です。
労災保険加入手続き
従業員を雇用する際に、雇用の翌日から10日以内に労働基準監督署へ申請が必要です。
雇用保険加入手続き
従業員を雇用したら、雇用の翌日から10日以内に公共職業安定所へ申請します。
社会保険加入手続き
法人事業者は強制加入ですが、個人事業主は任意となるため、条件などの確認を行い、必要な場合は、速やかに加入手続きを済ませましょう。
営業許可の流れや保健所手続きに関してはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
8. 焼き鳥屋を開業するのに必要な設備
焼き鳥屋開業に必要な設備は主に焼き鳥器です。タイプによっても特徴や相場が違うので、以下で詳しく説明していきます。
- ガス式焼き台
- ガスグリル式焼き台
- 電気式焼き台
- 炭火焼き台
ガス式焼き台
ガス式焼き器は比較的値段が手ごろで、3万円台から購入することができるようです。強火で焼き上げるため、肉のうまみを閉じ込めることができるのがメリットと言えます。脂身の多い素材は黒煙が出やすいので換気設備も十分に配置するようにしましょう。
ガスグリル式焼き台
ガス赤外線のタイプも約6万円台からとリーズナブルな価格で購入できるようです。外側はこんがり、中がふんわり焼けることからウナギや海鮮焼きに使用されることが多いタイプです。赤外線で全体に火がいきわたり焼きムラなく仕上がるのが特徴といえます。
電気式焼き台
点火が早く、火力調節が容易で煙が出にくいので狭小店舗でも安心なタイプです。炭火のような火力があり、ランニングコストを抑えるのに有効と言えます。上下にバーナーがある焼き台なら材料をひっくり返す手間も省けるので、サービングの時間短縮に効果を発揮します。焼き台の相場は他のタイプより価格帯が高いため、初期投資費用がかさむと言えます。
炭火焼き台
炭焼き台は非常にリーズナブルで設置場所を選ばないのがメリットです。1日に使用する炭は、平均で4から5キロ程度。燃料である炭は業務用の場合は格安なものもあるようです。また最高級炭と言われる紀州産備長炭は、非常に高価です。風味のある本格的な焼き鳥が提供できる一方で、炭によっては煙が広がり、火が付きにくいという反面もあります。
その他内装設備・内装工事にかかる費用に関してはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
9. 焼き鳥屋を開業するときの仕入れはどうしたらいい?
焼き鳥屋開業で仕入れをする場合、ポイントを押さえて仕入れ先を選択しましょう。以下でそれぞれの詳しいポイントを解説していきます。
- 一串の単価計算
- ブロイラーと地鶏、ブランドのコンビネーション
- 仕入れるクオリティに合わせた仕入れ先
1串の単価計算
焼き鳥屋の純利益を挙げるためには原価率を25%程度に抑えられることが理想のようです。ブロイラーで、軟骨やぼんじり、砂ずりやレバーは比較的安値で仕入れができます。一方、地鶏では同じ部位が約4倍から5倍の価格とも言われています。1串の単価を考え、いかに安価で提供できるかが実利益を挙げる重要なポイントとなります。
ブロイラーと地鶏、ブランドのコンビネーション
焼き鳥屋で提供する人気部位のモモ肉や軟骨といったよく出るパーツはブロイラーに頼るというのも1つの方法です。差別化を図るために、特別な看板メニューにいくつか地鶏やブランド鶏を取り入れ、ブロイラーとのコンビネーションでバランスをとるのも得策です。
クオリティに合わせた仕入れ先
仕入れをする業者は1社に絞らず、部位によって細分化をしてみましょう。お店の売りとなる地鶏、ブランド鶏は部位ごとに仕入れるもしくは、シーズンごとに契約するなど、仕入れ業者も効率的に選択しましょう。
仕入れや取引業者について、こちらの記事でも詳しく解説しています。
10. 焼き鳥屋開業後に失敗しないポイント
焼き鳥店を開業するにあたり、押さえておきたいポイントが5つあります。以下で、それぞれ内容を詳しく解説していきます。
- 客単価設定
- 低予算投資でも繁盛する店づくり
- 店のコンセプトは回転数を意識
- 立地条件にこだわる
- 競合店との差別化
客単価設定
焼き鳥屋は客単価設定によって原価率にも影響することを心得ておきたいものです。客単価を低く見積もる場合は、大衆店舗感覚の焼き鳥屋が想定されます。一方で、単価を高く設定した場合はバル風、高級感が売りになるでしょう。このように客単価設定はお店のコンセプトに大きく影響します。
低予算投資でも繁盛する店作り
焼き鳥繁盛店のデータでは、投資予算相場には開きがあるようです。低予算投資でもコンセプトや立地、店の形態によって繁盛店は作ることができます。看板やポップの工夫、内装費削減のためのDIYなど独自性がでる店舗作りを実現させましょう。
店のコンセプトは回転数を意識
焼き鳥は単価が安いため、客単価が低ければ回転数を上げる必要があるでしょう。カウンターのみの狭小店舗で行列や待ち客があると回転数があがる傾向があります。逆にテーブル席を活用し、家族やグループが入りやすくすることで、座席稼働率を上げる対策も有効と言えるでしょう。
立地条件にこだわる
焼き鳥屋の物件はターゲットに合わせた環境にするのも大事なポイントです。例えば店のコンセプトが家族なら住宅地、社会人向けならビジネスエリアなど客層にあった立地を選択してみるとよいでしょう。またカウンターのみの隠れ家風、持ち帰りのみなど、焼き鳥屋のタイプによっても立地選びの軸を変えていきましょう。
競合店との差別化
近隣に大手焼き鳥チェーンがある場合、オリジナリティを出し、傾向が被らないようにする工夫が大切です。値段で勝負ではなく、クオリティや居心地、サービス、時間帯など差別化を図る要素は多数あります。競合店にはないサービスを提供するため、視察や研究をして強調したいポイントを明確化してみましょう。
飲食店が失敗して潰れてしまう・・・そんな前兆に関してはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
11. 焼き鳥屋を開業するのに必要な物件の条件
焼き鳥屋を開業するための物件について注目したいポイントが3つあります。以下で各項目を詳しく解説していきます。
- 立地条件
- 広さ
- 賃料
立地条件
立地は店のコンセプトにあった場所を選択しましょう。繁華街は、競合が多いが集客力があります。ビジネス街は、ランチタイムも狙えるが土日閑散とするなどそれぞれに特徴が見られます。他にも、住宅街では、家賃が安く家族層にもアピールできるでしょう。駅前は、人通りが多くローカル駅でも集客が見込めます。
広さ
焼き鳥屋は飲食店の中でも狭小地で開業しやすいのが特徴と言えます。そのため、広さにこだわりすぎず、物件を選択するのもおすすめです。小規模店舗の場合、人件費、水道光熱費が削減できるメリットがあります。また、見渡しやすいためサービスが行き届き、回転率も上がりやすくなります。
賃料
家賃は、売り上げの10%程度を目安にするのが一般的なようです。好立地で選ぶなら小店舗で、経費を軽減する工夫などが効果を上げるでしょう。単身の事業者であれば、店舗付き住宅を契約すると住居としても利用でき、経費削減につながります。
物件探しの重要なポイントに関してはこちらの記事でも紹介しています。
12. 「焼き鳥屋開業へ」繁盛店の参考データ(canaeru調べ)
焼き鳥屋の開業のために、繁盛店が持つ参考データを基にビジネスプランを計画してみましょう。各数値は、平均的な相場を表示していますので、実際の価格帯は店舗規模、立地条件などの要因によって変化することも考えられます。あくまで参考データとしてご確認ください。
開業資金
焼き鳥屋の繁盛店の開業資金の平均は約250~2,500万円というデータがあるようです。開業規模やコンセプトによる原価率によっても非常に幅が出ると言えます。焼き鳥屋開業資金の割合を仮に想定した場合、物件約10%~20%、内装費約20%~30%、厨房設備などが約30%~40%と言われ、ここに運転資金などを加えた金額が必要です。
月商
月商は、売り上げ、月の総支出を含んだ金額のことを指します。月商は、(客単価(目標)× 席数 × 回転率(目標))× 営業日数で算出することができます。焼き鳥屋では、純利益20%~30%の達成は容易と考えられており、原価率や人件費を軽減できれば飲食店の中では利率が高い業態と言えます。
客単価
参考データによれば、繁盛店の客単価平均は2,000円~3,300円が相場と言えるでしょう。焼き鳥屋は一品の値段が安いため客単価上昇が難しいと言われています。ドリンクの提供や、サイドメニューの工夫によって焼き鳥以外の商品を提供することも、客単価を上げるために効果的です。
回転数
回転数とは、1席あたりに来客した客数を示しています。焼き鳥屋では、回転数が多い店舗ほど売り上げがあがる計算となります。焼き鳥屋の繁盛店では1.1回転~3.5回転が平均といえるでしょう。カウンター席中心、テーブル席などでも回転数は変化するため、店舗内レイアウトも工夫してみましょう。
席数
立地条件や、地域によっても変わりますが、独自調査では繁盛店の座席数は20席~60席といえそうです。座席数は一回に収容できる店舗の広さと関係しています。飲食店では1坪2人位が目安と仮定した場合、10坪~30坪程度の店舗に繁盛店が集中しているようです。
1席あたりの1日の平均売上
一般的繁盛店の1席あたり1日の平均売り上げは、独自調査からみると2,900円~7,000円程度と言えそうです。あくまで参考データですが、回転率が良いかどうかの判断材料の1つとして使ってみましょう。
焼き鳥屋の開業は、明確なコンセプトによるターゲット層をクリアに
焼き鳥屋のメニューは、串ごとで単価が小さいものが多くなります。客単価設定やターゲット層によって変わるコンセプトをお店作りにどう反映するかがポイントです。焼き鳥屋の開業では、資金投入を下げても繁盛店は作ることができるため、大手チェーンなどの競合にも対抗できる明確なコンセプトに沿って開業を進めていきましょう。