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【小阪裕司コラム】第2回:客単価8割アップ!?必要なのは「価値を売る力」

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全国・海外から約1500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

東京の激戦区で客単価が8割アップした居酒屋からの報告

 前回のコラム(第1回:コロナ禍で客単価・利益増した飲食店の秘密)でお伝えした都内にあるジビエ料理が自慢の居酒屋店主から、以前いただいた報告がある。
 それは、ワクワク系マーケティング(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法の通称。正式名称は“感性科学マーケティング”)を始める前と後の客単価の推移についてのご報告だ。今回はこちらを題材に商売について考えよう。
 結論から言うと、ワクワク系を始める前(2016年)と現在(2021年1~4月)を比較すると、同店の客単価は8割アップした。これをお読みのあなたが飲食店経営者だったら、このアップ幅に驚くことだろう。そして、同店のある場所は東京都内のオフィス街。業種は居酒屋。いわゆる激戦区と呼ばれる立地であり、客単価は競争によりむしろ下がっていく傾向のある場所なのだ。
 同店も以前はそういう店だった。店主いわく、すべてのメニューの値段は、常に周りの店の値段を念頭に、それを上回らないようにつけていた。高くすればお客さんが来なくなると思っていたと。
 しかし、ワクワク系を学んだ今は違う。例えば同店の人気商品であるぼたん鍋は、かつて2500円だったものが現在は3900円。それでも以前にも増して売れているのである。

周りに合わせた売価ではなく、原価に正当な粗利を乗せて売る

 もちろん、ただ単に値上げしたのではない。2016年の頃からぼたん鍋の原価率の高さには悩んでいたというが、現在のぼたん鍋は当時よりさらにこだわった肉を使っている。
 しかし現在は、周りの店を見ての売価初めにありきの発想ではなく、高い原価に正当な粗利を乗せた売価を堂々とつけて売ることができているのだ。
 ではなぜその売価が通るのか。それは一言で言えば「価値の売り方」にある。例えば人気商品のあるぼたん鍋は単なる「ぼたん鍋」ではない。「みかん猪のぼたん鍋」だ。なぜ「みかん猪」なのかといえば、その猪の産地ではみかんの栽培が盛ん。猪はみかんが好物なので、当地ではそれを存分に食べている。そうした猪の肉はみかんの風味がし、他の猪とは一線を画した美味しさとなる。現在同店では、その「価値」を丁寧に伝えているのだが、こういったことを、他のすべてのメニューで行っているのである。

「価値を売る力」をつけることで客単価が上げられる

 念のため言うが、ここで言いたいことは「メニューの書き方」が上手いかどうかではない。「価値を売る力」をつけられるかどうかだ。その力がつくことで、実際に客単価8割アップの結果も生み出せるのである。
 一昨年から続くコロナ禍、東京都内の居酒屋にはまだまだ見通せない情勢が続く中、店主は明るくこう言う。「ワクワク系はテクニックではないので売上を自分でつくりだすことができます。上達すれば魔法より強力です」。

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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