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飲食店でのロボット導入が加速中!需要拡大の背景や導入のメリットを解説

飲食店でのロボット導入が加速中!需要拡大の背景や導入のメリットを解説

最近、配膳ロボットやコーヒーを淹れるロボットなど、飲食店で活躍するユニークなロボットを見かける機会が増えたと感じる方も多いのではないでしょうか。

ロボットの需要が拡大し、導入が進む理由とは何なのか?そもそも、飲食店用のロボットにはどのような種類があるのか?ロボット導入のメリットやデメリットも交えて詳しく解説します。

飲食店用ロボットの需要拡大の背景

少子高齢化による労働人口の減少や仕事の多様化によって、飲食業界では人手不足が深刻な問題となっています。また、昨今の食材費の高騰が飲食店経営をさらに圧迫する事態に。そこで、人手を補いコストカットにつなげるための手段として、飲食店用ロボットに大きな注目が集まっています。
特に競合店が多く人材の取り合いが激しい地域や、元々人口が少ない地域などでは、人手不足解消の足がかりとなると期待されているのです。また、長引くコロナ禍によって、お客様と従業員の接触を減らす感染防止対策として導入する飲食店も見受けられます。

飲食店での導入が進むロボットの種類

配膳ロボット

いま急速に導入が進んでいるもので人気があるのは、配膳ロボットです。配膳ロボットが行える業務として以下の3点が挙げられます。

1. 配膳・下膳
ホールスタッフの代わりにロボットが配膳・下膳を行います。従業員は料理をトレイに置き、配膳するテーブルをタッチパネルで選択するだけでOK。指定されたテーブルに到着すると、ロボットが「料理をお取りください」などの音声でお客様にお知らせします。お客様が料理を受け取り、タッチパネルをタップすると、指定された食器返却場所に自動的に戻る仕組みです。

複数のテーブルを経由することも可能で、ロボットが自ら最適ルートを考えて配膳します。また、BGMを流しながらケーキやプレゼントを運ぶ特別な演出も可能です。

下膳では、従業員が使用済みの食器類をトレイに載せてタッチパネルをタップすると、指定された食器返却場所に自動的に戻ります。ロボットが食器類を運んでいる間に、従業員はテーブルの清掃やセッティングを行うことが可能。キッチンとホールを往復する時間と労力が省け、業務効率化につながります。

2. 来店時の接客と席案内
来店客を「いらっしゃいませ」と出迎え、従業員が指定したテーブル席に案内します。案内後は指定位置に自動的に戻ります。

3. 客席を巡回
冷水ピッチャー、食器類、ナプキン、除菌用アルコール液、台ふきんなどを運びながら、事前に設定されたルートを巡回することができます。

続いて、配膳ロボットの代表的な製品4点をご紹介します。

Servi(サービィ)
アメリカのBear Robotics社とソフトバンクロボティクスのパートナーシップにより開発された配膳ロボットです。どんな雰囲気の飲食店にも馴染む、白と黒のシンプルなデザインが好評。タッチパネル操作で日本語・英語・韓国語の切り替えが可能です。
焼肉チェーン店の「牛角」や「焼肉きんぐ」、ファミリーレストランの「デニーズ」、東京・白金台にある結婚式場「八芳園」などで導入されています。

BellaBot(ベラボット)
中国のPudu Robotics社が手がける配膳ロボットです。ネコ型の可愛らしい見た目が特徴で、会話のキャッチボールができたり、バースデーソングを歌いながらケーキを運べたりと、子どもはもちろん大人からも好評です。
ファミリーレストランの「ガスト」、しゃぶしゃぶ食べ放題レストランの「しゃぶ葉」など、外食チェーン大手のすかいらーくグループが運営する飲食店で多く導入されています。

KettyBot(ケティボット)
BellaBotと同じPudu Robotics社製の最新式広告ディスプレイ付配膳ロボットです。18.5インチの大型ディスプレイを使っておすすめメニューを案内したり、広告動画を流したりすることができます。外食チェーン大手のワタミグループが運営する「焼肉の和民」などで導入されています。

PEANUT(ピーナッツ)
中国のKeenon Robotics社が手がける配膳ロボットです。欧州など世界各国で1万台以上が稼働しており、AI搭載型配膳ロボットの先駆けといわれています。
天井にラベル(マーカー)を貼ることで自機の位置を認識し、複数台で稼働する場合もAIがそれぞれの位置を把握して最適なルートで移動します。簡単な会話をしたり歌を歌ったり、ディスプレイの表情を変化させることも可能です。
ラーメンチェーンの「幸楽苑」や「天下一品」、居酒屋チェーン店の「はなの舞」などで導入されています。

調理ロボット

プロントコーポレーションが運営する飲食店「エビノスパゲッティ 丸ビル店」では、2022年6月末にパスタを自動調理するロボット「P-Robo」を導入しました。
開発したのは、ロボットスタートアップ企業のTechMagic株式会社。パスタを茹でて具材やソースを混ぜ、加熱調理する作業が自動化されており、スパゲティ1食を最短45秒で調理できるといいます。鍋の移動や洗浄作業も自動で行えます。
お皿への盛り付けやトッピング作業には人の手が必要となりますが、パスタや具材の確認のためにAIによる画像認識システムも導入。ロボットがいま何を調理しているかを操作画面から一目で確認でき、レシピの更新も容易です。

調理ロボットのメリットは、料理の味や品質を常に一定に保てること。人が調理をすると、調理者のスキルによって料理の味に多少のバラつきが出てしまうものですが、調理ロボットならその課題を解決できます。

コーヒーを淹れるロボット

ロボット型無人コーヒーバリスタ「Ella(エラ)」
シンガポールのCrown Technology Holdings社が手がける「Ella」は、2021年12月より東京駅と横浜駅に設置されています。こちらはJR東日本が行っているテストマーケティングで、飲食店における無人化・省人化、カフェオペレーションの効率化に期待が寄せられています。
Ellaにはロボットアームが搭載されており、バリスタが行う一連の作業を無人化。東京駅に導入されている「Ella X」は、1時間に約200杯のコーヒーを抽出可能で、人間のバリスタに比べて4〜5倍の速さになるといいます。
コーヒーマシンはデロンギ社の業務用マシンが採用されており、価格は1杯260円から。ブラックコーヒーだけでなく、カプチーノやカフェラテなどのメニューも揃っています。支払方法は、スマホアプリによるモバイルオーダー(クレジットカード決済)または、Suicaなどの交通系電子マネー決済です。
消費者にはロボットが目の前でコーヒーを淹れてくれるというエンターテインメント性の高さからも好評を得ています。

AIカフェロボット「root C(ルートシー)」
日本のスタートアップ企業、株式会社New Innovationsが手がける「root C」は、多数のロッカーが付いた自動販売機のようなAIカフェロボット。スマホアプリで注文し、ステーション(場所)と時間を指定することで淹れたてのコーヒーが受け取れます。
450円で単品購入できることに加え、月額1,980円で8杯まで、7,980円で飲み放題となるサブスクリプションプランも用意されています。

ロボット導入のメリット

人件費削減・業務効率アップ

配膳や調理をロボットに任せることで人手不足でも店を運営でき、人件費の削減にもつながります。ホール業務や調理の負担が減る分、スタッフは注文や接客、会計など他の業務に専念できます。
また、ロボットは疲労やストレスを感じることがなく、単純作業を休みなく繰り返すことができるため、人が行うよりも業務効率がアップ。人の場合は集中力が切れると作業スピードが落ちたり、人為的ミスが発生したりするものですが、ロボットにはそうした心配がありません。

顧客満足度の向上

業務効率が上がることによって、座席の回転率もアップ。また、スタッフが接客などの「人にしかできないサービス」に専念できることで、お客様とのコミュニケーション時間が増えてサービス品質も高まります。それは結果的に、顧客満足度の向上にもつながります。

話題性による集客効果

飲食店用ロボットの認知度は年々高まっているものの、実際に導入している飲食店はまだまだ少ない状況です。よって、ロボットを導入していること自体が話題を呼び、来店につながる可能性も。来店したお客様がロボットの様子を撮影し、SNS等で発信してくれることで、次のお客様を呼ぶ高い宣伝効果も見込めます。

ロボット導入のデメリット

導入費用がかかる

年間費用で考えると、スタッフを雇う人件費よりは安くコストパフォーマンスが良いものの、導入時にはある程度の費用が発生します。例えば、配膳ロボットの導入費用(販売価格)の相場は、1台あたり150〜500万円程度と高価です。レンタルやリース契約で導入する場合も、月5〜10万程度の費用がかかります。

無機質で温かみがない

飲食店はサービス業であり、人的サービス(接客)も魅力の一つ。ロボットが席案内や配膳を行うと、無機質で人による温かみが薄れると捉えられる可能性もあります。簡単なコミュニケーションであればロボットにもできますが、お客様が何を求めているかを察して自ら行動することは人間にしかできません。

完全な無人化は難しい

配膳ロボットも調理ロボットも人のサポートがある程度必要であり、完全な無人化は難しいのが現状です。ロボットはあくまで人間の助手であり、人に取って代わることは困難です。

人とロボットが協働する時代へ

ロボットは人の仕事を奪うのでは?と言われることもありますが、お客様の要望や困りごとを察知して自ら行動に移すのは、人だからこそできること。人間とロボットそれぞれの長所と短所を理解し、人でなければならない業務と、ロボットに任せられる業務をうまく棲み分けることで、業務効率や顧客満足度を高めていくことが可能です。

少子高齢化が加速する日本において、ロボット活用の重要性は今後一層高まると予想されます。これまでの店舗運営のあり方を見直し、ぜひロボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ライター:上田はるか(フリーライター)

大学卒業後、輸入食品商社に勤務し、新規店舗の立ち上げや自社直営ティーサロンのメニュー開発を経験。その後、大手ギフト会社の企画開発部、広報宣伝部を経てフリーランスに。現在はWEB媒体をメインに、食ジャンルの原稿執筆を行う。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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