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経営とは?意味と役割、成功させるコツをわかりやすく解説

経営とは?意味と役割、成功させるコツをわかりやすく解説

複数の経営者に、「企業や店舗の経営とは何か?」と聞いたとき、おそらく返ってくる答えはさまざまでしょう。

それは、経営者ごとに「経営」に対する考え方や意識が異なるからであり、経営を安定して継続させている経営者ほど、経営に対する定義づけをしっかり行っているケースが多いです。

経営者自身が「経営」という言葉の意味を自分なりに解釈することは大事で、深く考えないまま企業や店舗の経営を行ってしまうと、倒産や経営破綻という結果に繋がるかもしれません。

この記事では、「経営」の意味について改めて確認した上で、経営破綻に陥ってしまう原因や経営を成功に導くポイントなどを解説します。

経営とは何か?意味を改めて確認しよう

経営の意味について、人によって捉え方が異なる場合がありますが、一般的には「会社や店舗を発展させて利益を生み続け、永続的に繁栄させていくこと」を指します。

経営を始めたならば、会社や店舗が倒産に追い込まれないよう、浮き沈みがある状況においても成長させて継続していかなくてはなりません。

顧客との関わりを通じて価値を創造する、経営者の想いを実現するといったことが、経営を通じての目的とされることが多いです。

経営者は「経営」について定義づけすべき

「経営」の概念は明確に定義づけされているものではなく、経営についての考え方は経営者によってさまざまです。

どのような意味合いで捉えても構いませんが、自分の中で言葉の意味をきちんと解釈して、自分なりの考え方や見解を持っておくことが重要です。

経営に対する考え方や見解は、実際に会社や店舗を運営する際の軸になります。「人に言われたから」「教えられたから」といって、表面上だけ理解したつもりの経営をしていては、会社や店舗の行動指針は定まりません。

経営者が「経営」を自分なりに定義していなければ、会社の方向性にぶれが生じて、結果として経営の失敗に繋がってしまう可能性も考えられます。

会社経営を成功させるために必要な要素

会社経営を成功させるためには、会社経営を構成する要素を理解することが重要です。ここでは会社経営を構成する要素として、ビジョン、事業計画、資源、管理体制の4つを解説します。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

会社のビジョン

会社のビジョンとは、事業を通じて将来的に成し遂げたい姿やゴールを指します。創業時の想いや企業としての考え方をまとめた「経営理念」を基に、短期ビジョンなら3年、中長期ビジョンなら10年先の未来像を策定します。

社会情勢の変化が著しい昨今、ビジョンを持たない会社は時代の潮流に振り回され、会社経営を持続・成功させることは難しいでしょう。また、ビジョンがあいまいな場合も組織に一体感がなくなり、従業員のモチベーション低下につながります。

ビジョンを設定したら、それを明文化し社内で共有することが重要です。ビジョンの明文化は経営者・従業員全員が同じゴールに向かって行動基準を統一することができるほか、社内の意思決定を判断しやすくなるでしょう。

国内の有名企業では、以下のようなビジョンを掲げています。
<国内企業のビジョン一例>
●株式会社ローソン
 「目指すは、マチの“ほっと”ステーション。」

●株式会社ファーストリテイリング
 「服のチカラを、社会のチカラに。」

このように、ビジョンを掲げ社内外へ発信することは事業の成功だけでなく社会的価値の向上にもつながります。ビジョンを検討する際は「社会において会社がどのような立ち位置にあり、どのように貢献できるのか」を考慮することも心がけましょう。

経営計画

会社のビジョンを策定したら、そのビジョンを達成するための具体的な行動や戦略を考える必要があります。それが、経営計画です。経営計画は全従業員がビジョンに向かって進むための、いわばロードマップのようなもの。社内の方向性を統一するだけでなく、目標を達成するために必要な業務に邁進でき、スピード感のある事業展開を実現します。

また、経営計画があれば社外の取引先や出資者にも会社の将来性を伝えやすく、信用度の向上に役立つでしょう。

経営計画には、大きくわけて「長期経営計画」「中期経営計画」「短期経営計画」の3種類があります。
●長期経営計画…5~10年後の経営計画書
●中期経営計画…3~5年後の経営計画書
●短期経営計画…1年間の経営計画書

経営計画を策定する際は、上記3種類のいずれかだけでは不十分です。まず最初に長期計画を定め、それを達成するためのより具体的な行動を中期・短期計画に落とし込む方法で、3種類すべてを策定しましょう。

経営資源

経営資源とは、事業活動を行う上で必要となる資源(=リソース)のことです。経営計画の遂行には、経営資源が欠かせません。ここでは、「4大経営資源」と呼ばれる「人材」「資金」「備品」「情報」の4つを解説します。

●人材
人材は4つのうち、最も重要な資源であるといえます。なぜなら、いくら作業の機械化やAI化が進もうと、資源の活用方法を考え、機械のスタートボタンを押すことができるのは人材だからです。人手不足が深刻化している業界では、限られた人材をいかに効率よく活用するかが課題となっています。

●資金
会社経営を開始するにあたり、在庫の確保や従業員の雇用、宣伝など、事業活動には資金が必要です。資金がなければ事業活動が進まないだけでなく、新たなサービスの開発や研究など事業を発展させることができません。資金には、現金のほか株式や債券などが含まれます。

●備品
備品とは、事業活動に必要な製品や設備などのことです。例えば、什器や通信機器、パソコン、コピー機、製品、在庫などが挙げられます。中でも、製品や在庫は会社の利益に直結する要素であり、適切な管理が求められます。

●情報
情報とは、顧客情報や市場の動向、著作権や特許、技術、ノウハウなどの無形財産を指します。昨今、デジタル社会の発展によって情報の重要性が高まっており、活用方法によっては莫大な利益を発生させる資源となることから慎重な取り扱いが求められます。

管理体制

経営資源を最大限に活用するためには、適切な管理が必要です。競合他社にはない資源を確保していても、うまく活用できなければ意味がありません。また、経営資源が枯渇すると経営悪化を招き、最悪の場合倒産してしまう可能性も

一例として、人材資源の管理には従業員教育、情報資源の管理にはセキュリティ対策の強化などが挙げられますが、自社の環境に合わせた方法で管理体制を構築しましょう。

マネジメントの種類と役割

マネジメントは直訳すると「管理」という意味を持ちますが、ビジネスにおいては経営資源を活用してリスク管理をしながら目標達成を目指すことを指します。マネジメントという概念は、アメリカの経営学者 ピーター・ドラッカーが提唱したもので、著書の中で以下のように述べられています。

●マネジメント:組織に成果をあげさせるための道具・機能・機関
●マネージャー(マネジメントを遂行する人):組織の成果に責任を持つ者

マネジメントの主な役割は「目標設定」「組織の統率・指導」「成果の評価・フィードバック」の3つです。また、階層別に以下の3種類に分類することができます。
●トップマネジメント
●ミドルマネジメント
●ロワーマネジメント

それぞれの役割を詳しく解説します。

トップマネジメントの役割

トップマネジメントとは企業の最高経営者層のことで、会長、社長、副社長、常務、専務など取締役会のメンバーや執行役員などがこれに該当します。

トップマネジメントの役割は、企業の経営理念を達成するための基本的な方針や戦略、経営計画の立案や、経営に関する総合的な意思決定の遂行です。企業という船の舵をとり、経営の成否に関する最終的な責任を担います。ワンマン経営にならないよう、トップマネジメントは複数人で行うことが望ましいです。

トップマネジメントにはさまざまなスキルが求められますが、特に「分析力」「意思決定力」「リーダーシップ力」が重要です。こうした高度なスキルや思考は一朝一夕で身につくものではないため、研修などを経て育成していく必要があります。

ミドルマネジメントの役割

ミドルマネジメントは、トップマネジメントとロワーマネジメントの中間に位置する、いわゆる中間管理者層を指します。具体的には、支店長、工場長、部長、課長、係長などがこれに該当します。

ミドルマネジメントはトップマネジメントが決定したビジョンの実現を目指すため、ロワーマネジメントへの正確な情報共有や業務遂行の指揮・管理の役割を担います。反対に、ロワーマネジメントからの意見を吸い上げトップマネジメントへフィードバックする、両者のパイプ役としての役割も求められます。組織運営を円滑に進めるために欠かせない存在です。

ミドルマネジメントでは、人を動かすための高いコミュニケーション力が必要なほか、部下を育成するコーチング力も求められます。

ロワーマネジメントの役割

ロワーマネジメントとは、現場の業務進捗を監督する、係長や主任、プロジェクトリーダー、チーフなどの現場管理者層のことです。

ロワーマネジメントの役割は、トップやミドルが策定した計画や目標の実現に向け、現場での業務を着実に遂行することです。現場の従業員に指示を出すために作業内容の把握や知識の習得が求められ、ときには自身も一緒に作業することが求められます。現場でトラブルが発生した際は早急にミドルマネジメントへ報告し、問題解決に努めます。

ロワーマネジメントは、トップやミドルのように経営に参画する機会はそれほど多くはありません。しかし、組織に属する従業員が前向きに仕事に取り組める雰囲気作りや、効率化を図れるよう常に現場を管理する役割があります。実務に関する知識やリーダーシップ力、コミュニケーション力など、幅広いスキルが必要です。

毎年どのくらいの会社が倒産している?

すでに会社や店舗を経営している方、もしくは今後起業して経営者になろうと考えている方は、会社や店舗の倒産状況について知っておくことが大事です。

東京商工リサーチが行った調査の結果より、過去5年の倒産件数を紹介します。

●2019年:8,383件
●2020年:7,773件
●2021年:6,030件
●2022年:6,428件
●2023年:8,690件

過去の傾向を踏まえると、毎年平均して7,500件前後の企業が倒産しています。

2021年から2022年にかけてはコロナ禍における政府の金融支援が功を奏した形で、倒産件数は低水準にとどまっています。

しかし、2023年は8,690件と、4年ぶりの8,000件台に。同年の新型コロナウイルス関連倒産件数は3,127件となりました。

さらに、2024年4月にゼロゼロ融資の民間返済がピークを迎え、資金繰りが一段と厳しくなる企業が増えるとみられることから、2024年の企業倒産は1万件を超えると予想されています。

経営が破綻してしまう主な原因

経営が破綻してしまう主な原因としては、販売不振に陥ることや課題解決のノウハウが蓄積されていないことなどが挙げられます。

中小企業庁が経営破綻について調査してわかった原因のうち、上位に該当するものについて説明します。

経営が破綻してしまう主な原因

経営破綻するときはどのような状況に陥っているか

経営破綻してしまう企業や店舗は、黒字から赤字に転落して経営がギリギリの状態になってしまっていることが多いです。

経営が破綻する前のわかりやすい兆候として、既存の事業が上手くいかない世間の流行にのって新規事業に挑戦する多くの人材が辞めていく、といったことが挙げられます。

また、経営資金を借り入れで補っている場合は、表面上は上手くいっているように見えても、実際は注意すべき状況に陥っているケースもあります。

さらに、売上に占める売掛金の割合が多くなっていると、帳簿上は黒字でも売上金が回収できずに、支払いに回す資金がなくなって経営破綻に陥ってしまうことも考えられるでしょう。

販売不振

経営破綻の原因として圧倒的に多いのは、販売不振によって会社や店舗の利益が出なくなることです。商品の販売やサービスの提供が思ったようにいかず売上が伸びなければ、経営が苦しくなるのは明白でしょう。

販売不振の背景には、自社や自店舗における問題はもちろん、競合・市場・社会情勢などさまざまな要因が関係しているため、販売不振に対する万能な対処方法はありません。

販売不振が続き売上が伸び悩んでいるのであれば、どういった理由で販売不振に陥っているのかを早急に把握し、適切な対策を行うことが重要です。

既往のしわよせ

販売不振が急激なものでなければ、すぐに経営破綻に陥ってしまうわけではありません。しかし、緩やかな販売不振であっても、長く続くと経営破綻にいきつくことも十分考えられます。

適切な経営指標(会社の経営状態を示す指標)を用いて業績を追わず、会社や店舗のお金の流れを把握していなければ、気付いたときにはもう手遅れになってしまうこともあるでしょう。

経営者が代替わりしたタイミングなどで、既存の問題を洗い出して対応することが効果的な回避方法です。

放漫経営

経営者の能力の欠如、会社や店舗の私物化などにより、出入りするお金を適切に管理できずに経営破綻に陥るケースも考えられます。とくに中小企業において多く見られ、同族会社やワンマン経営者のもとで起こりやすい問題とも言えるでしょう。

経営が放漫なことと事業の好調・不調は関係ないため、業績がよいときや店舗の売上が順調なときには、問題点が顕在化しないことが多いのも特徴です。

周囲の方々が経営の意思決定を監視することで、経営者の能力をカバーする、経営者の独りよがりの暴走を制御することが大切と言えます。

連鎖倒産

特定の企業や仕入れ先に取引を依存している場合、その取引先が経営不振に陥ると、自社や自店舗にもしわ寄せが来る可能性があります。取引の構造的に、建設業や製造業で比較的多く見られる経営破綻の原因です。

取引のボリュームを特定の企業や仕入れ先に集中させることなく、できる限り分散させることで、連鎖倒産による経営破綻を回避しやすくなるでしょう。

過小資本

「最低資本金制度」とは、株式会社を設立するときに最低1,000万円の資本金を用意することを求めた制度ですが、これが平成18年に撤廃されてからは、少ない資本金で設立される企業が増えています。

しかし、企業を継続させるためには資本金は必要不可欠です。少ない資本金で設立すると、事業が上手くいかない期間が少し続くだけで、途端にピンチに陥りやすい傾向があります。

事業で上げた利益は、設備への投資や人員の拡充に利用するだけでなく、会社の内部に蓄えて「内部留保」とすることも検討しましょう。

経営を成功に導く4つのポイント

経営破綻を避けるためには、経営破綻に陥る原因を把握した上で、経営を成功に導くためのポイントを押さえながら経営を行うことが重要です。

経営を成功に導くポイントについて、詳しい内容を説明します。

理念を明確にして戦略を立てる

経営を成功に導くポイントにはまず、迅速な意思決定が挙げられます。組織では経営者以外の従業員にも意思決定が求められるシーンが少なくありません。その際、指針となるのが理念です。

理念が明確になっていれば、現場の従業員が判断に迷った際でも理念に則った行動を素早く判断することができます。意思決定が遅く、商機を逃してしまう…といった事態は避けたいものです。

資金繰りを考える

事業を継続的に行っていくためにはお金が必要不可欠なので、手元の資金が不足することのないように、資金繰りには細心の注意を払う必要があります。

とくに、売上における売掛金の管理が重要です。売掛金が多くなってしまえば、「売上は多いはずなのに手元のキャッシュが少ない」という状況に陥り、支払いに苦労してしまうかもしれません。

事業や経営に関する知識を身に付ける

最初から経営を100%理解している人はいないため、自分に合う方法で経営に関する知識を身に付けることが大事です。

日常生活での経験から得られる知識をインプットするだけでも、経営に繋がる知識になり得ます。また、書籍やセミナーを活用して勉強する、経営者仲間とのやり取りの中で情報を吸収するなど、さまざまな方法で知識を身に付けましょう。

いくつもの方法を活用することで、さまざまな角度からの知識が得られるため、事業や経営に関する捉え方に幅や深みが出るかもしれません。

人材を育成する

経営が軌道に乗るためには、現場の人材の能力と頑張りも大きく影響するので、人材育成は経営を成功させるために必須と言える要素です。

人材を育成する具体的な方法は、研修制度の充実、将来を見据えたキャリアパスの設定、理念に共感する人材の採用などが挙げられます。

人材育成は、経営者と従業員との関係性を向上させるためにも効果的で、従業員が「しっかり育成してもらっている」と感じることで、双方のやる気アップに繋がってより良い関係性が築けるでしょう。

経営を成功に導くポイントをきちんと押さえることが重要

「経営とは何か?」が明確に定義づけされているものではない以上、それぞれの経営者によって言葉の捉え方や考え方は異なります。

経営者であるからには、「経営」という言葉を自分なりに解釈して定義づけを行って、企業や店舗の確固たる理念を形成することが大事です。

経営は簡単なものではなく、毎年数多くの会社や店舗が倒産しています。

自分たちが同じ末路をたどってしまわないためにも、会社や店舗が経営破綻に陥る原因を把握しておくようにしましょう。経営が失敗するケースを理解しておくことで、自社や自店舗がそのような状況に陥ることを回避できるかもしれません。

理念をもとにした戦略を打ち立て、常に勉強する姿勢を忘れずに、経営を成功に導く努力を続けてください。

この記事の監修

株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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