これから飲食店を経営しようと思っているけれど、何から始めればよいのか分からない方や、なかなか飲食店の経営がうまくいかず、飲食店コンサルタントを雇って再起を図りたいと考えている方は多いのではないでしょうか?
しかし、「どのくらいの費用がかかるの?」「どのタイミングで依頼すべきなの?」など、さまざまな疑問を抱えていることでしょう。
この記事では、飲食店コンサルタントの特徴やサービス内容、選ぶ際に失敗しないためのコツなどについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
飲食店コンサルタントとは
飲食店コンサルタントとは、飲食店経営に特化したコンサルタント
飲食店コンサルタントは、フリーランスとして個人で活動している方や会社に所属している方など形態はさまざまですが、長年飲食店経営を経験してきた方や多店舗展開しているオーナーなど、多彩な経歴を持ったプロフェッショナル
飲食店コンサルタントに依頼する主なメリットは、プロの客観的なアドバイスを受けられ、経営改善が期待できる点です。しかし、コンサルタントを雇うにはコストがかかるため、飲食店コンサルタントを最大限に活用するためにも「具体的にどのような支援を求めるのか
飲食店コンサルタントの役割について解説
飲食店コンサルタントが担う役割は主に以下の6つに分類されます。
・経営企画
・スーパーバイザー(SV)
・内外装の企画
・メニューの開発
・業務効率化
・取引先の仲介
飲食店コンサルタントは人によって得意分野があるため、自店の課題に適したコンサルタントを選ぶことが大切です。具体的にどのようなサポートが期待できるのか、詳しく解説します。
経営企画
クライアント店舗の経営状況を客観的に把握するために、データの収集と分析などを経営企画の立場から行います。
主な業務内容は、以下の通りです。
・経営戦略の立案
・経営計画の策定
・新規事業の企画
市場を分析し、データに基づいた企業の経営方針の立案、経営の目標実現のために必要な業務のサポートなどが主な役割です。
具体的な施策の提案を行うことで、経営の基盤を整えて売上アップに繋げることを目指します。
スーパーバイザー(SV)
管理者として、データ分析で明らかになった課題を店長あるいはオーナーとともに改善していくことも、飲食店コンサルタントの役割です。
スーパーバイザーとしての業務には、主に以下のようなものがあります。
・従業員の育成
・勤怠の管理
・業績の管理
具体的には、調理や接客のマニュアル作成や、従業員への指導と研修を行うほか、ハードとソフトの両面から店舗の問題点を見直します。
店舗の状態を把握したうえで、現状から脱却するために改善すべき部分をピックアップし、経営を成功に導くことが目的です。
内外装の企画
内外装の企画が得意な飲食店コンサルタントは、店舗のコンセプトやレイアウト、立地をふまえて、これまでの経験や繁盛店、トレンドなどを参考に内外装をトータルで企画提案します。例えば、以下のような項目を提案します。
・店舗の内外装デザイン
・外観や入口
・家具や備品などインテリアの選定
・オペレーションを意識した働きやすい動線
・使いやすい設備の配置
内外装のデザインは見た目の良さだけではなく、店舗スタッフの利便性にも配慮
メニューの開発
飲食店の原価率は概ね3割に抑えることが理想とされています。しかし、いざメニューを考えるとこだわりが強くなってしまい、赤字同然のようなメニューや調理に手間暇がかかりすぎるメニューができてしまうケースが多く見られます。
そこで、飲食店コンサルタントは原価率の低いメニューから集客アップにつながる目玉商品まで、トータルで収益が見込めるメニュー構成を企画・開発
具体的には、以下のような業務に関してアドバイスを行います。
・店舗のコンセプトやトレンドを意識した食材の選定
・調理法の提案
・競合店やニーズを分析した価格設定
・顧客の注文をコントロールするメニューブックの構成・デザイン など
また、「テイクアウト商品の開発に強いコンサルタント」のように、一つのジャンルに特化したコンサルタントもいるので、メニューの開発を依頼する際は希望のジャンルに強いコンサルタントを探すとよいでしょう。
業務効率化
経営に関するデータを分析して業務の効率化を図ることも、飲食店コンサルタントの役割です。社内では気づきにくい業務の無駄を客観的かつ専門家の視点で削減し、生産性向上やコストカット
取引先の仲介
飲食店コンサルタントは、仕入れ先の選定や内外装、インフラ設備など各施工業者の手配も行います。
例えば、初めて飲食店を開業する際は仕入れ先から調理器具、家具、備品、電気・ガスといったインフラ設備まで多くの手配が必要です。それぞれ一から取引先とパイプを作るには、かなりの時間と労力がかかるでしょう。飲食店コンサルタントはそれらの業務を代行し、飲食店オーナーの負担を軽減します。
飲食店の場合、メニューのクオリティや原価率のコントロール、安定した仕入れを担保するためには仕入れ先の選定は重要事項です。個人店であれば自ら市場へ足を運んで食材を調達することも一案ですが、多くの業者とつながりを持つ飲食店コンサルタントなら、より多くの選択肢の中からよりよい食材を安価に調達できる
飲食店コンサルタントは、すでに飲食店を経営している方にとっても「新しい仕入れ先を開拓したい」「こだわりの食材を仕入れたい」といったさまざまなケースで有効です。
飲食店コンサルタントの2つのタイプ
飲食店コンサルタントは、業務内容によって「特化型コンサル」と「総合型コンサル」2つのタイプに分類されます。
特化型コンサル
特化型コンサルは、特定の分野に特化したアドバイスを行います。店舗全体の経営について指導を行うのではなく、たとえば調理や接客など細かい部分に着目してアドバイスを実施するのが特徴です。
内装の見直しや新メニューの開発、販促企画の考案や接客指導などが具体的な業務内容です。
総合型コンサル
特化型コンサルが限定的な指導を行うのに対し、総合型コンサルは、総合的に売上を上げるための支援を行います。
具体的には、業態変更やブランディング、多店舗展開(フランチャイズ化)や海外進出に関するアドバイスなどがあります。
飲食店コンサルタントが必要な理由
飲食店コンサルタントが必要となる場面は、主に以下の通りです。
・人的資源が足りない
・プロの知識を取り入れたい
・職場環境を改善したい
飲食店コンサルタントを雇う代表的な理由は、売上低下を止めるために何らかの施策の必要性は感じているものの、人手不足により対応できないことが挙げられます。
とくに規模の小さい個人経営の飲食店の場合、接客を担当する従業員は雇えても、経営やマーケティングを専門に行う社員までは雇う余裕がないケースも多いです。そのような飲食店の中には、臨時的に飲食店コンサルタントを雇って経営改善を図る店舗もあります。
一方で、多店舗展開をしている規模の大きい飲食店の中には、自社に担当できる人材はいても、目標を達成するには知識と経験が足りない場合もあります。そのような飲食店は、飲食店コンサルタントを雇いプロの知識を取り入れることで業績向上を目指します。
また、内側にいると気づきにくい職場の問題点について、客観的な視点から指摘してもらいたい場合にも飲食店コンサルタントは有効です。
たとえば離職率が高い店舗であれば、従業員のモチベーションが上がる人事評価制度や職場環境の改善策を考えてもらうことで、従業員の定着率を上げることができます。
飲食店コンサルタントを受けるメリットについては以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
関連記事:飲食店のコンサルティングを受けるメリットは?気になる料金の相場も紹介!
飲食店コンサルタントを導入するタイミング
飲食店コンサルタントを導入するタイミングは、以下の3つのケースが一般的です。
・飲食店の出店地を決めるとき
・多店舗展開を検討しているとき
・売上の低下を改善できないとき
それぞれの内容について、順番に解説します。
飲食店の出店地を決めるとき
飲食店を開業する際には、事前に出店エリアの商圏分析や競合調査を行い、出店予定地が営業に適している立地なのかを調べることが重要です。これを怠ると、開業後に想定したよりも集客できないといった問題が発生しやすくなります。
ただし、こうした調査は知識のない素人にとっては難しいのが現実です。そのため、依頼料を支払って経験豊富なコンサルタントに委託するのが一般的となっています。
多店舗展開を検討しているとき
経営者自身がお店に出向いて営業を行う場合、自分の目で現場を見ることで店舗が抱えている課題に気づきやすいため、いち早く問題点の改善に取り組むことができます。
しかし、2店舗、3店舗と多店舗展開していくにつれて、さまざまな問題が生じやすくなるうえに、次第に経営者が直接現場をチェックできる機会も減っていきます。
このような管理不足によって生じた問題を解決する際に、飲食店コンサルタントは効果的です。
経営者の代わりに複数店舗の経営状況をチェックし、問題があれば改善策を提案してくれるため、多店舗展開にありがちな管理不足による売上低下を防ぐことができます。
売上の低下を改善できないとき
自助努力だけで売上改善が図れないときには、経営のプロフェッショナルのアドバイスを実行することで業績が劇的に回復することがあります。
過去に飲食店で働いていたことから接客や料理方法については詳しいものの、経営の知識はほとんどない飲食店オーナーの方も多いでしょう。このようなオーナーが、経営の手助けを求めて飲食店コンサルタントを導入するケースもあります。
飲食店コンサルタント選びに失敗しないための5つのポイント
飲食店コンサルタントを雇う際には、以下5つのポイントに留意することで失敗のリスクを抑えられます。
①コンサルティングの依頼目的をはっきりさせておく
②コンサルタントとしての実績を確認する
③具体的な改善策を提案してもらう
④対面時の印象や相性で決める
⑤なるべく近隣のコンサルティング会社を選ぶ
それぞれの内容について、順番に詳しく解説しましょう。
①コンサルティングの依頼目的をはっきりさせておく
一口にコンサルティング会社といっても、企業によって扱っている分野や手法は異なります。依頼する際には、飲食店コンサルタントを利用することで「どのような成果を出したいのか」という点を、事前に明確にしておくことが大切です。
集客を増やしたい、経費削減をしたい、新規メニューを開発したいなど、具体的な目的を設定することで、それを解決するのに適したコンサルティング会社を見つけやすくなります。
②コンサルタントとしての実績を確認する
過去のコンサルティング事例は、その企業の手法や得意分野を知る上で貴重な情報になります。
これまで手がけてきたコンサルティングの実績を見せてもらうことで、得意とする飲食店の業態や、実際に解決した課題を知ることができます。
過去の情報を参考にすることで、「自分のお店が抱えている課題を解決できるか」という点を判断しやすくなるでしょう。
③具体的な改善策を提案してもらう
日々変化する市場の動向に対し柔軟に対応できるのかを確認してください。
現在の店舗の経営状況を説明した上で、コンサルタントから具体的な改善策を提案してもらい、その内容に納得できるかによって依頼を検討することもおすすめです。
④対面時の印象や相性で決める
ビジネス経験が豊富な経営者の中には、少し話しただけで相手の能力や人柄をある程度把握できる方もいます。ご自身が人を見る能力に長けている場合、従業員の面接と同じように対面時の印象で決める方法も有効です。
ただし、面談時にはただ雑談をするのではなく、自分の店舗に対する改善案を聞き出すことを忘れてはいけません。話の内容が想定よりも具体的だったり、意外性のある答えが出てきたりした場合は、依頼するだけの価値があると判断して良いでしょう。
⑤なるべく近隣のコンサルティング会社を選ぶ
店舗の細かい問題点は、日常的に現場に足を運ばないと見えてこない部分も多くあります。
コンサルタント会社の中には、オンラインや出張サービスでコンサルティングを行うところも存在します。しかし、より実効性のあるアドバイスを受けたいなら、頻繁に店舗を巡回してくれる飲食店コンサルタントを選んだ方が良いといえるでしょう。
コンサルタント会社が店舗の近隣にあると、顔を合わせてコミュニケーションをとる機会が増えるため、まずは近隣のコンサルティング会社から検討することをおすすめします。
飲食店コンサルタントの費用相場
飲食店コンサルタントの導入を検討している方がもっとも気になるのが、依頼にかかる費用でしょう。
顧問契約の場合、飲食店コンサルタントにかかる費用は年間120万円〜200万円ぐらいが相場とされています。
ただし、実際はコンサルティングを行うのが個人か会社かによって、依頼料は大きく異なります。
これまで数々の実績を築いてきた大手のコンサルティング会社では、より高額な依頼料がかかる場合もありますし、個人事業としてコンサルティングを行っているところに依頼すれば、もっと安い料金で引き受けてもらえることもあるでしょう。
さらに、どのプランで契約するかによっても料金は変わってきます。
たとえば、2ヶ月に1回しか店舗を訪問してくれないプランよりも、1ヶ月に2回訪問してくれるプランの方が高い料金に設定されているのが一般的です。また、悩み事に対してアドバイスしてくれるだけのプランよりも、データの収集・分析から経営戦略の立案までを担当してくれるプランの方が、より高額な依頼料が必要になります。
コンサルタントが担ってくれる業務内容によって契約料が異なるため、どの程度のコンサルティングを求めているのか判断した上で適切なプランを選ぶようにしてください。
飲食店を開業するならcanaeruへ
「飲食店コンサルタントを依頼すべきかどうか判断が難しい」という場合は、まず開業に向けて何が必要か、改めてタスクを洗い出してみましょう。下の関連記事で開業に関する基本的な知識や流れを紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、canaeruでは飲食店開業に役立つセミナーを定期的に開催しています。各分野のプロが基本的な内容からここでしか聞けないリアルな実情まで、わかりやすく解説!開業に関する知識を深めたい方はぜひご参加ください。
関連記事:飲食店を開業するには?必要な準備の4ステップをわかりやすく解説
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費用や得意分野から最適な飲食店コンサルタントを選ぼう
飲食店コンサルタントは、売上低下を改善したいときや多店舗展開を検討しているときなどに、プロの視点から的確なアドバイスをしてくれる心強い存在です。
コンサルティングの依頼をする際には、「集客を増やしたい」「赤字経営から抜け出したい」など、事前に依頼目的を明確にすることが大切です。その上で予算を設定し、自分のお店が抱える課題を解決するのに適した飲食店コンサルタントを探しましょう。
今回紹介した飲食店コンサルタントの選び方を参考にすることで、失敗するリスクを抑えることができます。これから飲食店コンサルタントの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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