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開業届けを提出して新たに事業を始めるだけなら、開業自体は自己資金0円でも可能です。さらに、開業と事業を行うために必要な資金が少ない事業で開業し、必要な経費を支払うための資金を確保することができれば、開業後も事業を継続できる可能性があります。
この記事では、自己資金0円で開業を検討している方のために資金作りの方法と開業資金が安い事業を紹介します。本来開業する場合資金の半分は自己資金が必要になる
開業資金の調達方法として、銀行などから融資を受けるケースが多いですが、実績がない人にいきなり全額融資する金融機関は稀です。
多くの場合、必要資金の約半分までの融資しか受けられず、残りは自己資金が必要となります。
0円開業は可能なのか
開業するだけならば資金が0円でも可能です。開業届を提出し、「私は事業を始めます」と宣言してしまえば、それだけで事業を開始したことになります。
ですが、開業して店舗や事務所を構える場合には最低でも家賃を払わなければなりませんし、事業を行うために最低限必要な設備にも投資しなければなりません。
パソコンひとつで出来る仕事の場合でも、パソコンやインターネット環境などの維持には年間数万円必要です。
よって、開業後の事業運営を考慮すると、資金の無い状態で開業して事業を行うことは現実的でなく、ある程度資金を準備した方が良いというのが実際のところです。資金を用意する方法
貯金をする
まず挙げられるのが、自身で働いて得た給料を貯金するというものです。これは最も堅実な資金の調達方法です。
金融機関から融資を受けるための審査の際にも、自分で貯めた資金というのは高い評価を得やすく、融資希望額の3割程度準備できていると融資を受けやすくなるというメリットがあります。
しかし、当然ながらかなりの時間を要するということには留意しておきましょう。親族や知人から資金を調達する
親族や知人から借りる形で資金を集めるというのも一般的な方法です。
「2018年度新規開業実態調査」によると、開業した事業主は開業時の資金調達の際に平均して110万円の融資・出資を親族や友人から受けています。
身近な人からお金を借りるという行為には抵抗がある人もいるかもしれませんが、まずは自身の熱意と経営プランを相手に伝え、双方納得の上で出資をお願いするのもひとつの方法です。
また、当事者間ではただの貸し借りという認識であっても、それを証明できなければ贈与とみなされ贈与税を課されてしまう可能性があります。
身近な人からお金を借りる場合でも借用書を作成し、贈与ではないということを第三者にも分かるようにしておきましょう。動産・不動産を売却する
自身の所有している不動産や車といった資産を売却して資金に変えるという手段もあります。
もちろんそれらを所持している方にしかとれない選択肢ではありますが、簡単かつ迅速にまとまった資金を調達できるという利点があります。
不動産、車以外ですと、株式などの有価証券、ゴルフ場の会員権、特許権なども売却可能な資産です。
資産の中には保有しているだけで維持コストのかかってしまうものもあるので、開業を機に整理してしまうのもひとつの手でしょう。(生命保険に加入しているなら)契約者貸付制度を利用する
生命保険に加入している場合、契約者貸付制度を利用することで、低い金利でお金を借りることができます。
契約者貸付制度とは、加入している保険の解約変戻金を担保に一定範囲内で保険会社から貸付できる制度です。
借りられる金額は解約返戻金の範囲内ですので、解約時に解約返戻金の支払われる保険に加入している必要があります。
契約者貸付制度には低金利かつ返済方法が自由というメリットがありますが、貸付額と利息の合計が解約返戻金を上回ると保険自体の契約を失効させられてしまう場合があります。利用の際にはしっかりと計画を立てた上で貸付を受けましょう。クラウドファンディングを利用する
近年ではクラウドファンディングで開業資金を募るという手段も注目されています。
クラウドファンディングとは、クラウドファンディングのプラットフォームを利用し、インターネット上で事業の内容をアピールし、賛同を得た不特定多数の人から出資を受けるというものです。
出資を募る側は出資者への見返りとして、出資額に応じたサービスや商品、あるいは投資と同じ形でお金を提供します。
どれぐらいの出資を受けられるかは実際にクラウドファンディングを行ってからでないとわからないため、不確実な手段とも言えるでしょう。
ですが、事業の内容に対する世間の期待度が高ければ、当初の見積もりよりも遥かに多い金額の資金を調達できる可能性もあります。開業資金の安い事業
クラウドソーシング
インターネット上で企業が不特定多数の人に業務を発注するクラウドソーシングは資金を必要としない開業の筆頭です。企業とのやりとりはメールやメッセンジャーアプリなどで済ますことができ、自宅で作業できるため費用はほとんどかかりません。依頼される業務はライティングやデザイン、プログラミングといったものが多いので、これらを得意としている方にはおすすめです。
アフェリエイト
アフィリエイトサイトを運用し、そこから広告収入を得るという手段もあります。アフィリエイトとは成果報酬型のインターネット広告のこと指し、自身のサイトに広告を貼ることで広告料を得るというものです。支払われる金額は広告がクリックされた数や、実際にその広告の商品が購入された数によって変動します。こちらも自宅で作業でき、費用はドメインやサーバーの利用費のみであり、事業運営に費用はほとんどかからない事業にです。
フランチャイズ
フランチャイズで開業するという手段もあります。小売店や飲食店など幅広い業界で採用されているフランチャイズは、本部と契約を結んで開業するビジネスモデルです。飲食店や学習塾など、フランチャイズ契約する企業によっては本部が開業資金を立て替えてくれるので、初期投資は必要ありません。フランチャイズに加盟すると毎月ロイヤリティを支払わなければなりませんが、商品の仕入や経営のノウハウを得られるなどの大きなメリットもあります。開業費用を抑えながら店舗経営がしたいという方は、フランチャイズでの開業も選択肢の1つです。
代行業
代行業とは、誰かの代わりとなって何かしらの行動を行う仕事です。
いわゆる便利屋に近いイメージの仕事であり、特段決まった仕事があるわけではなく、あくまでも依頼されたことを行うだけの仕事となります。
代表的な代行業の内容としては、買い物代行や家事代行がありますが、他にも宿題代行や謝罪代行なども依頼されることがあります。
例えば、買い物代行を依頼された場合、移動手段さえ確保できれば自己資金がなくてもすぐにスタート可能です。
また、代行業には免許などが不要であり、誰でも代行業者を宣言すればすぐにでも始めることができます。
コンサルタント
コンサルタントとは、具体的な製品やサービスを販売するわけではなく、コンサルティングそのものを商品として対価を受け取とることができる仕事です。
相談を受けたクライアントに対して、課題とは何かを見つけてその解決策を提案することが主な仕事となります。
コンサルタントになるためには、一定の知名度が必要となり、また専門的な知識も必要です。
さらに、クライアントに対して成功をもたらすためにはコミュニケーション能力も必須ですが、クライアントを確保できれば安定した収入を得られます。
自宅をそのまま事務所にでき、また開業のために資格なども不要なため今日からでもコンサルタントとして活躍できます。
コンテンツ販売
コンサルタントと同様に、自分が持つ知識やスキルを伝授する形で対価を得られます。そのため、コンテンツ販売も昨今注目されています。
例えば、ハウツーやノウハウをしたためた書籍や記事を作成して、それを販売することで収入が得られます。
特に、最近ではnoteと呼ばれるサービスで有料コンテンツを作成し、販売するのが一般的です。
コンテンツは、PCなどのデバイスとインターネット環境さえ整っていれば、すぐにでも0円で作成して収益化が図れます。
文字ベースではなく、YouTubeなどの動画配信サービスでコンテンツ販売も可能です。
オンライン教室
オンライン教室とは、インターネット上で講座などを開講することです。
自分の持つ知識などを講義形式で配信して、受講者を募って収入を得られます。
需要さえあれば、どのようなジャンルでの教室でも行えるのが魅力的です。
また、オンラインで完結するため自宅にいながら収入が得られます。
講義で使用する資料等の準備は必要ですが、あとは配信用のPCとプラットフォームさえ準備できればすぐに始めることができます。
他にも、講義形式の場合は受講者とのコミュニケーションを取りながら行える点も魅力的です。
ホームページ作成
ブログの登場によって、ホームページが誰でも気軽に作成できるようになりました。
個人でも、ブログを通じて自分自身の近況を報告したり、友人同士とコミュニケーションを取る機会も増えています。
ただ、企業が開設するホームページは初心者が簡単に構築できるものではなく、プロに依頼するケースが多いです。
プロと言っても、専門家ではなくてもCSS/HTMLなど基本的なプログラミング言語や高度な言語を使いこなすスキルがあれば、請け負うこともできます。
また、最近ではクラウドソーシングサービスが普及していることもあり、企業に属さなくても個人で請け負ってホームページ作成の仕事を行えます。撮影サービス
撮影サービスとは、商品や人の撮影を代行するサービスのことを指します。
ネットショップが誰でも簡単に作成できるサービスの登場によって、インターネット上で商品を販売する個人や企業が増えています。
ECサイト自体はプラットフォーム上で簡単に作成できるようなった反面、商品ページで使用する画像をうまく撮影できずに困っている人が多いのです。
また、場合によっては動画で製品の良さを訴求したい場合、さらに高い撮影スキルが必要です。
そこで、写真撮影を代行する仕事に就くことで、自分の持つ撮影スキルを存分に活かして立派な事業として成り立たせることができます。
独立開業を0円で行う際に抑えておきたいリスク
ランニングコストが高くなる
独立起業を、初期費用無料のサービスを利用して行う場合があります。
0円開業を目指す上で、初期費用は避けたいものであり、初期費用無料のサービスは魅力的な存在です。
但し、サービス事業者によっては初期費用を無料とする代わりとして、月額費用や売上に対する手数料を高く設定して回収している場合があります。
売上に対して手数料がかかる場合、売上に比例して手数料が増えるため経営に対する影響度は低めです。
ただ、月額の固定費が高騰すると思うように利益が出ないことになるため、事業がある程度軌道に乗った時点で他のサービス利用を検討する必要があります。
仕事がなくなった場合の収入源が絶たれる
0円開業する目的が手元資金をかけずに開業することである場合、生活資金は別に確保してあるのであれば問題ありません。
ただ、預貯金がない状態での開業を行う場合、もし仕事が途絶えてしまうと報酬がなくなり生活が苦しくなるリスクがあります。
例えば、ネットショップを開設した場合でも、販売している商品が売れなければ収入を得られません。
副業として取り組んでいる場合であれば、本業の収入で十分カバーできますが、独立して開業している場合は売上がない状態は死活状態となりかねません。
ある程度収入源を確保した状況で、起業した後でも一定の収入を確保できる下地を作っておくことで、収入が途絶えるリスクを低減できます。
フランチャイズで起業した場合のロイヤリティ
経営のノウハウがなくても、誰もが気軽に独立したり開業ができのが、フラインチャイズ経営の魅力です。
大手チェーン店の店舗を自分で運営する事による喜びもひとしおであり、うまく経営できれば大きな収入を得られるチャンスもあります。
フランチャイズの場合、自己資金0円で開業できるケースもありますが、契約内容によっては大きなリスクを負いかねません。
代表的なリスクとして挙げられるのがロイヤリティであり、主に以下の方法で徴収されます。
・売上歩合方式
・粗利分配方式
・定額方式
売上歩合方式の場合、売上に応じてオリヤリティ額が高まりますが、定額方式の場合は売上がない状態でもロイヤリティを支払わなければならず、大きな負担となりかねません。
0円開業で成功するポイント
独自性の強さを発揮できるジャンルに起業する
起業する場合、一定のニーズがあるジャンルを選択することが重要です。
ただ、ニーズが高いということは他の起業なども既に参入している場合があり、差別化を図らないと淘汰されてしまいます。
起業する前は、市場分析と自己分析をしっかりと行って、独自の強みを発揮できる起業アイデアを生み出すことで、競合に埋もれずシェアを獲得できます。
キャッシュフローを強く意識する
事業を成長させるためには、経営者としての自覚を持ってお金の流れであるキャッシュフローを意識する必要があります。
例え0円起業であったとしても、資金繰りについて正しく理解して、お金を適切に運用する感覚を養うことで、ビジネスを長く続けられます。
また、キャッシュフローを正確に把握して、利益を増やすことを常に意識することが重要です。
常に上昇志向を持つ
0円起業では、常に高嶺を目指すマインドを持つことにより、成功をつかみ取れます。
少ない資金で起業した場合、よほどの成功を納めない限りは多くの収入を初めから得られません。
徐々に売上を伸ばし、資金繰りを上手に回した上で黒字を安定、拡大させていく必要があります。
よって、事業を拡大させる、利益を増やすというマインドセットが必要となるのです。
少ない資金で成功した事業事例
カカクコム
欲しい家電などがある場合、どこで安く購入できるかを比較するために利用する機会が多いのが、カカクコムです。
立ち上げ人でもある槙野光昭さんは、当初はパソコンパーツの販売営業を行っていましたが、この際にパソコンショップでパーツを置いてもらうには価格戦略が最重要と考えたのです。
そして、各ショップにあるメモリの価格を調査を担当するようになり、ここで価格比較情報は消費者にもニーズがあることに気づきます。
その知識を活かして「パソコンの価格がわかるページ」を立ち上げると、瞬く間に人気サイトとなり2002年にカカクコムが誕生しました。
また、食べログの運営も手がけており、業界一位のシェアを確保しています。
旅工房
創業者は東京に本社を持つ、旅行業法に基づく旅行業者です。
創業者が高校3年の夏休みに自分が将来を考えている際、資金や技術がなくても旅行会社を立ち上げられることを知り、旅行業での起業を決意しまました。
1996年に200万円もの債務超過となった会社を買収して、マイナスからのスタートとなりました。
その中で、インターネット販売に着目して事業を軌道に乗せて借金を返済したのです。
その後、アメリカ同時多発テロやSARSによる海外旅行の需要低下、さらには新型コロナウイルスの影響によって海外旅行が全くできない状況下に陥りました。
そんな中で、高山泰仁社長は逆張りとも言える方法で、無料で人気観光地別のオンライン旅会を企画して、顧客の囲い込みと潜在的なニーズの掘り起こしを行うなど、積極的な経営スタイルによって成功を納めています。
Wantedly
Wantedlyは、東京都港区にある求人情報Webサイトを手がけている起業です。
2010年9月にフューエル株式会社として設立され、当初はFacebookを使用したマーケティングを支援する事業がメインでした。
その後、2012年2月にWantedlyのサービスがスタートします。
仲暁子氏と萩原学氏が創業に関わっていますが、2名は同時期にゴールドマン・サックスに入社した関係性です。
この時期に漫画家を目指して活動していたのですが、日本の漫画を全世界に向けて発信するサービスを考えたものの実現しませんでした。
資金がなかった事が原因ですが、そこで学んだITスキルを活用してこの企画をウェブサービスとして実現した形です。
ITスキルがあれば小資本であってもWebサービスを立ち上げることができた好例と言えます。
リブセンス
リブセンスは、東京都品川区に本社を置くインターネットメディアウェブサイト運営会社です。
2006年、当時大学1年生であった村上太一氏が資本金300万円で設立した会社ですが、2005年7月には早稲田大学ベンチャーコンテストで優勝するなど、注目される存在でした。
会社設立に向けて本格的に動き出したのは高校3年の時であり、当時設立資金を稼ぐために自宅近くでアルバイトを探していましたが、なかなか勤務地等に合うものをみつけることができなかったのです。
この時、アルバイト探しの不便さと店側の悩みを同時に解決できるような仕組みをつくれば両者にメリットがあると考えて、リブセンスが誕生しました。
求人広告の無料掲載や採用祝い金など、斬新なアイデアで瞬く間に注目を集め、2012年10月に史上最年少で東証1部上場するなど大きな成功を収めています。
まとめ
事業に必要な設備や備品が事前に用意できており、開業や事業を行うための費用がかからない事業を選ぶことで、実質的に0円で開業することは可能です。ですが、事業運営に出費はつきものです。
資金不足で事業運営ができなくならないために、できる限り開業までに資金を準備しておいた方が良いでしょう。この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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