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飲食店の新しい風「二毛作ビジネス」空いた時間を活用して収益UP⁉話題の経営スタイルを紹介

飲食店の新しい風「二毛作ビジネス」空いた時間を活用して収益UP⁉話題の経営スタイルを紹介

「二毛作ビジネス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
昼はカフェ、夜はバーといった二つの飲食業態で営業時間外の空いた時間を有効的に利用する方法です。
さらに最近では飲食業と異業種を組み合わせた「ミクストラン」と呼ばれる業態が注目されるようになってきました。

このコロナ禍で先行きに不安を抱えている飲食店は多いはず。思い切って新しいスタイルを検討してみるのはいかがでしょうか。新しい運営スタイル「二毛作ビジネス」の事前に知っておきたいポイントを紹介します。

そもそも二毛作とは?

そもそも二毛作とは、同じ田んぼや畑で1年に2回別の作物を作る農業のスタイルのこと。例えば、春にジャガイモを植えて夏に収穫した畑に、秋になったらほうれん草の種をまくなど、風土に合った作物を組み合わせます。
作物同士の相性も考えて作付けすれば、土地の広さは変わらないのに収入の増加が見込める、昔ながらの農法です。

農業で用いられている二毛作を店舗に置き換えた二毛作ビジネスは、一つの店舗で異なる二つの業種を昼夜など時間を使い分けて運営することです。
稼働しない時間を活用することで、ターゲット層やニーズの拡大に役立てることができます。売上収益の増加が見込めるため、近年、二毛作ビジネスを行う店舗が増えてきています。また、中には二毛作ならぬ三毛作ビジネスを行っている店舗もあり、これからの店舗ビジネスの新たなスタイルとしても注目されています。

二毛作ビジネスはコロナ禍の飲食店を救う?

新型コロナウイルス感染症による時短要請などの影響で、飲食店は売り上げが大幅に激減。帝国データバンクの発表によると、2020年の飲食店事業者の倒産件数は780件で、これまで過去最多となっていた2019年の732件を超える倒産件数になっています。

そこで二毛作ビジネスの提案です。例えば夜間営業だけの居酒屋にとって営業時間の短縮は痛手ですし、夜のイメージを引きずりながらランチ営業をしても、人件費や光熱費が出ていくだけで、思ったより利益につながらないということも多いのではないでしょうか。それなら、昼間はファミリー層をターゲットにした店に思い切ってシフトしてみるというのが二毛作。居酒屋とハンバーク専門店の両立で成功した事例も見られます。

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一方、テイクアウトの需要は高まっているので、実店舗を解約して「間借り」でテイクアウト専門に鞍替えしたり、閉店している時間を利用してテイクアウト専門店を「間借り」させたりすることも一案。貸す側、借りる側もお互いWin-Winな関係を築くことができるでしょう。

「二毛作×飲食店」のメリットとデメリット

そんな二毛作ビジネスのメリット、デメリットを見ていきましょう。

【メリット】

売上収益の増加

メリットとしてまず挙げられるのが、やはり売上額の増加。店舗の面積は同じでも、時間帯や曜日による顧客のニーズに合わせてビジネスを変え、無駄なくフルに回転させることができれば収益につながります。例えば、昼間は回転の速いカレー専門店、夜はじっくり料理を堪能するフルコース専門のフランス料理店といったお店が挙げられます。

収益の産出

閉店時間中の店舗を貸し出して利益を上げる方法もあります。例えば、夜にだけ営業するバーなら、ランチ時間帯だけ営業したいテイクアウトの専門店にスペースを貸すことで、ちょっとした収入が見込めます。

低コストで開業が可能に

初期費用の面で開業が難しいと感じているのなら、既存の店の一角を「間借り」したり、昼間や、週末だけ使わせてもらったりして始めてみてはどうでしょう。通常、開業には居抜きで数百万円かかりますが、これなら水道・光熱費込みで通常の家賃の3分の1から2分の1程度。敷金・礼金もかかりません。初期費用やリスクをぐっと抑えることができます。お互いの顧客を通じて店の認知度が広がるので、集客の相乗効果も見込めるでしょう。

【デメリット】

人材確保のハードルが上がる

二つのビジネスを同じオーナーが仕切る場合、当然ですが作業が増え、労働時間も増えます。昼と夜、それぞれに責任者を立てたり、経理の部分だけをほかの従業員に任せたりするといった、仕事分担の工夫が必要です。しかし、ふさわしい人材の確保や育成にはそれなりの時間とお金がかかりますし、オーナーの目が行き届かないことでトラブルが起きやすくなる可能性もあります。

共倒れのリスクが高まる

どちらかが食中毒を発生させたり、行列を放置して近隣に迷惑をかけたりすれば、店舗スペースそのもののイメージダウンにつながってしまうこともあるでしょう。契約をする際には店の営業内容や営業方針、出入りする業者なども確認し、想定される問題が起きた場合の対処方法をあらかじめすり合わせておくことをお勧めします。

二毛作ビジネスを成功させるには?

ここまで二毛作ビジネスの概要を見てきましたが、このスタイルは飲食店にとって大きな武器になり得る一方で、リスクもはらんでいます。成功するポイントはどこにあるのでしょうか?

どちらも手を抜かない

二つのビジネスを一緒に進めるなら、「中途半端」はNG。夜は徹底した仕込みで手の込んだものを提供していても、昼の店に手抜き感があるようであればすぐに客は離れてしまいます。
下手をすれば共倒れしてしまうことも。それぞれ独立した店として、食材の選定から従業員の配置、さらには店名も変えることで、顧客に“本気度”が伝わるようにしましょう。

昼の顔と夜の顔を演出

昼と夜の線引きがあいまいなのもNG。昼と夜は、まったく違う顔をもたせて、それぞれの顧客をつかみましょう。
「スイーツ専門店」と「北欧料理」、「コーヒー専門店」と「ショット・バー」など、コンセプトの違いをきっちりと打ち出すことが効果的です。
それと同時に、店頭に置く看板、入口の暖簾、店内のインテリアや照明などもきっちり変えて、メリハリをつけましょう。

ビジネスではなく、味への挑戦ととらえる

ありがちなのが、夜の店で残った食材を利用して、昼の店で定食のランチを提供するパターン。ビジネスとしてはロスが少なくて効率的ですが、顧客を引き付けるには至りません。効率を考えつつも、飲食店の基本である味で勝負するようにしましょう。例えば最近、夜は本格的な「バル料理」の店が、昼は生ハムやポルチーニ茸を出汁に使った個性あふれる「ラーメン屋」を始め、成功しています。

ミクストラン? 異業種との組み合わせも!

冒頭でも触れましたが、二毛作ビジネスには、飲食店と異業種を組み合わせた「ミクストラン」と呼ばれる形態もあります。以前から「本屋」と「カフェ」の組み合わせはありましたが、最近は「コインランドリー」や「トレーニングジム」と「カフェ」といった組み合わせが増えているようです。
他店との差別化を図るには有効な手段ですが、ミクストランを行うには、飲食店としての営業許可を取ることはもちろん、該当する業種に許可が必要な場合もあるため、事前に専門家に相談することをお勧めします。

設備面も大幅に変えなければならない異業種とのコラボはハードルが高いかもしれませんが、例えばお菓子教室を開きたいフリーランスの料理家に時間貸しをするのであれば、すぐに実行に移せそうです。また、平日の昼間はレンタル・オフィス、週末はギャラリーやイベント・スペースとして機能させるといった合わせ技を使えば、個人経営の店でも可能性は広がります。うまくPRに使えば、まったく新しい顧客を獲得することもできるでしょう。

コロナ禍、飲食店には厳しい状況は続きますが、アイデアを絞って現状打破に挑戦していくことが重要です。これを機に、「二毛作ビジネス」という新しい店舗運営スタイルを選択肢の一つに加えてみるのもいいかもしれません。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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