更新日:

飲食店を独立開業するには何をする?|資金・必要資格・手続きについて徹底解説!

飲食店を独立開業するには何をする?|資金・必要資格・手続きについて徹底解説!_記事画像

飲食店を独立開業したいと考えている場合、どのような準備が必要でしょうか?
また実際どれくらいの開業資金が必要になるのでしょうか?
さらに必要資金以外にも資格や保健所や消防署への届け出なども忘れてはいけません。飲食店の開業を失敗しないためにも開業に必要な準備をこの機会におさらいしましょう。

目次

飲食店を開業するにあたって必要な資金は?

飲食店を開業するにあたっての第一歩になるのが資金問題です。
日本政策金融公庫の調査によると2019年の開業資金調達額平均は1,237万円であり、調査以来最も少ない額に。
内訳としては金融機関などからの借入額847万円が最も多く、次いで自己資金262万円、友人や親族などから128万円となっています。

最近では居抜き物件を利用しての開業も増えつつあり、初期費用が安いことから少ない資金でもお店を持てるようになってきました。しかし、自分のコンセプトに合った居抜き物件を見つけるのは至難の業。内外装費や運転資金などを考え、飲食店を開業するには最低でも1,000万円以上の自己資金を用意することが必要でしょう。
(日本政策金融公庫2019年度新規開業実態調査」)

飲食店の開業資金についてこちらの記事でも紹介しています。

資金面に不安がある場合に利用できる助成金・補助金

創業補助金(条件:事業計画書を作成して国の審査が通った場合のみ)

平成25年から始まった補助金制度で経済産業省中小企業庁が所轄しています。
新たなニーズを興し、雇用の創出を促す事業を応援する補助金と位置付けられています。条件等ありますが最大で200万円までの補助金を受け取ることができます。

小規模事業者持続化補助金(条件:事業計画書の提出)

日本商工会議所が運営している制度で、従業員20名以下(商業・サービス業は5名以下)の小規模事業者を対象とした補助金です。
50万円を上限に補助率2/3が支給されます。支払い対象となるのは、「新規顧客獲得のためのチラシ、広告の作成費」「集客力拡大のための店内改装」「展示会・商談会への出展費」「商品パッケージなどの変更にかかる費用」です。

返済義務のない助成金についてこちらの記事でも紹介しています。

飲食店開業に必要な資格とは

飲食店を開業するにあたって、必須の資格は「食品衛生責任者」「防火管理者」の2つ。
誤解されやすいですが、「調理師免許」については必須ではありません。
ここでは、必須資格の2つについてご紹介します。

食品衛生責任者

飲食店を開業する場合に必ず必要な資格が食品衛生責任者です。食品を取り扱う施設の場合、店舗ごとに最低一人資格保有者を置かなければいけません。お店の食品衛生上の管理について責任を持つ人のことを指します。

1日の講習で取得可能であり、その講習内容は公衆衛生学(1時間)、衛生法規(2時間)、食品衛生学(3時間)となっています。開業時に保健所へ食品衛生責任者の届け出が必要になりますので予め取得しておきましょう。また、「栄養士」「調理師」などの資格を取得している場合は講習が免除されます。詳しくは下記の受講免除される資格を参照ください。

食品衛生責任者の取得方法

講習については、各都道府県によって施設が異なります。最寄りの保健所に問い合わせをして実施場所の確認をしておきましょう。どなたでも受講することができ、テストに合格すると食品衛生責任者として認められます。講習当日は、受講費用(教科書代)10,000円を用意しましょう。
また、栄養士や調理師、製菓衛生師などの資格を保有している場合は講習が免除されます。自身の保有資格が受講免除の対象にあたるのかも予め確認しておきましょう。

《受講免除される資格》
栄養士/調理師/製菓衛生師/畜場法に規定する衛生管理責任者/畜場法に規定する作業衛生責任者/食鳥処理衛生管理者/船舶料理士/食品衛生管理者、もしくは食品衛生監視員となることができる資格を有する者

防火管理者

防火管理者は、火災発生の予防と火災が発生した時の対策について中心となり実践する人のことを指します。防火管理の専門知識を持って、火災を防ぐために率先した活動ができる責任感や、スタッフへの指導力が必要です。

全ての飲食店ではなく、収容人員が30人を超える施設の場合のみ防火管理者を選任しなければなりません。この30人というのはお客様の数だけではなく従業員の数も含まれるため注意が必要です。また、延床面積によっても取得資格が異なります。300平米未満であれば「乙種防火管理者」で問題ありません。しかし、将来の店舗拡大も考え「甲種防火管理者」の資格を取得する方も少なくありません。

防火管理者の取得方法

「甲種」「乙種」どちらの資格を取得するかによって費用、講習期間が異なります。「甲種」の場合、費用は8,000円で2日間の講習を受ける必要があります。一方で「乙種」の場合、7,000円の費用で講習期間は1日のみです。実施場所は都道府県によって異なりますので、日本防火・防災協会のホームページで最寄りの会場を確認しておきましょう。

【保健所】飲食店開業の際に必要な手続き・届出

飲食店を開業するにあたって欠かせないのが「飲食店営業許可」の取得。こちらの許可については管轄の保健所の審査を通過して取得できるもので、調理を行った食品を販売する全ての店舗に義務付けられています。開業に向けて全ての準備が整っていても、保健所での申請を怠ってしまうと開業ができなくなってしまいます。保健所での手続きについてしっかりと確認しましょう。

営業許可を取得する流れ

保健所で営業許可を取得する流れについて、各タイミングに分けて解説します。

《内装工事前》

内装工事前には、施設基準に合致しているかなどの確認のため、保健所窓口に事前相談を必ず行うようにしましょう。その際、設計図面や店舗内部の様子が分かるものを持参しておくとスムーズです。

《完成予定日の10日前を目安》

10日前を目安に営業許可申請を行いましょう。その際必要な書類については、下段の「保健所への申請が必要な書類」をご確認ください。

《開業前》

保健所担当者立ち会いのもと、「申請の通りに施設基準が合致しているか」確認検査が行われます。こちらの検査に合格しなければ、いかなる場合でも営業を開始することはできません。担当者との日程が合わずオープンが遅れてしまうことも。入念な日程調整を行いましょう。
確認検査終了後、許可書の作成に取り掛かります。交付までには数日かかりますので余裕をもった準備を心がけましょう。

保健所への申請が必要な書類

《営業許可申請書》

全ての飲食店が対象であり、住所、名前、食品衛生責任者など必要事項を記載します。保健所の窓口や、各保健所のホームページでもダウンロード可能です。また、許可申請を行う際は同時に手数料を収める必要があります。保健所によって金額は異なりますが16,000円~19,000円が一般的です。

《営業設備の大要・配置図》

店舗の設備や配置、建築様式や機器を記入する書類で、黒のボールペン又は万年筆を使用し定規で正確に書く必要があります。ビルの名前や設備等は、略称を使用せずに正式名称で記入する必要があります。

《登記事項証明書(法人の場合)》

法人が営業許可申請を行う場合のみ必要です。個人事業主の場合は必要ありません。

《水質検査証明書》

貯水槽使用水や井戸水を使用する場合のみ、保健所への提出が必要です。また、許可後も年一回以上の水質検査を定期的に行い、成績書の保管が義務付けられています。

《食品衛生責任者の証明》

事前に取得しておいた食品衛生責任者資格を証明する必要があります。食品衛生者手帳又は、調理師・栄養士免許など該当するものを提示しましょう。

飲食店開業での営業許可についてはこちらの記事でも紹介しています。

飲食店開業での営業許可についてはこちらの記事でも紹介しています。

【税務署】飲食店開業の際に必要な手続き・届出

個人事業の開廃業等提出届出書

個人で店を経営する場合、つまり個人事業主であれば「個人事業の開廃業等届出書」が必要です。開業した日から1ヶ月以内に提出しましょう

青色申告承認申請書

開業から2ヶ月以内に提出しなければなりません。白色申告でも問題はありませんが、優遇措置が多いため、青色申告がおすすめです。

優遇される項目

青色申告特別控除/青色専業専従者給与控除/事業損失の3年間繰り越し控除/貸倒引当金 など

【消防署】飲食店開業の際に必要な手続き・届出

必要資格で記述した「防火管理者」の選任届以外にも消防署へ提出が必要な手続き「防火対象物使用開始届」「消防用設備設置届」を確認しましょう。全ての届け出先は、管轄の消防署であるため、疑問点など事前確認を予め行っておくことがおすすめです。

防火対象物使用開始届出書

建物や建物の一部を新たに使用し始める場合は、使用開始7日前までに管轄の消防署へ届け出る必要があります。消防用具の設置状況を予め確認し、指導等を行うために、店内の配置図や設計概要などを記入、消防署へ提出するものです。

消防用設備設置届

消防設備を設置した場合は、消防設備届が必要です。設置届を管轄の消防署へ提出し、商簿検査日を協議しましょう。検査に問題がなければ検査済証が交付されます。

【その他】飲食店開業の際に必要な手続き・届出

保健所、税務署、消防署以外にも状況に応じて必要な届出があります。それぞれご確認の上、不安がある場合は管轄の事務所等に連絡しましょう。

警察署に提出する届出

深夜12時以降もお酒を提供する場合は、警察署に「深夜酒類提供飲酒店営業開始届出書」を届け出なければいけません。また、客に接待行為を行う場合(スナック、キャバクラなど)は「風俗営業許可申請」が必要です。

従業員を雇う場合に必要な届出

従業員を雇う場合は、各種保険への加入手続きが必要。労災保険は労働基準監督署、雇用保険は公共職業安定所にそれぞれ申請しましょう。
また、社会保険に加入する場合は社会保険事務所へ申請が必要です。法人であれば加入は強制。一方、個人で経営する場合は任意になります。

飲食店の独立開業に欠かせない手続きについてこちらの記事でも紹介しています。

飲食店の独立開業に欠かせない手続きについてこちらの記事でも紹介しています。

【最終まとめ】飲食店開業をする際の流れ

最後に、飲食店開業に向けての流れをご確認ください。保健所への営業許可申請など、1つでも提出を忘れると営業そのものができないことも。飲食店を開業する場合は、スケジュールをしっかりと確認して、準備を行いましょう。

半年前まで

どんなお店にしたいのか、客層、価格帯などのコンセプト設定を行いましょう。また、コンセプトが決まれば売り上げや仕入れ、収益の予測など事業計画書の作成も。業計画書は金融機関等から融資を受ける際のプレゼン資料ともなりますので、第三者目線でも分かりやすい資料であることを意識して作成しましょう。
事業計画書作成後は、いよいよ物件探しです。コンセプトにマッチする物件探しが大切。優良物件はすぐに抑えられてしまいますので、根気強さが必要です。この物件探しに2年かける経営者も少なくありません。

《主な準備項目》
・コンセプト設定
・物件探し
・事業計画
・資金調達

2ヶ月前まで

物件が決まり、資金が完了した後は店舗工事を開始させましょう。店舗工事の契約でトラブルが起きることも少なくありません。2か月前とは言わず、もう少し余裕をもって業者の選定をすることをおすすめします。しっかりと情報を集め、ビジネスパートナーとして信頼できることを念頭において契約を結びましょう。

店舗工事とは別に、お店で出すメニューの開発もこの時期に行っておくのがおすすめ。

《主な準備項目》
・店舗内外装設計/施工
・メニュー開発

1ヶ月前まで

いよいよ開店1ヶ月前です。ここでは保健所など各種機関への書類提出を忘れてはいけません。書類に不備があると、当初の開店予定日に営業できないことも。しっかり予定を立てて、間違いのない準備をしましょう。

また、開店前までに営業時間やお金の会計管理、接客方法など、細かいルール決めも行いましょう。スタッフ教育も重要な開店準備の一つです。

《主な準備項目》
・備品購入
・各書類届出
・求人
・スタッフ教育
・販促
・各種マニュアル整備

飲食店開業の流れについてさらに詳しくはこちらの記事でイラスト付きで紹介しています。

開業1ヶ月前に確認しておきたいことは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

飲食店の開業に必要なものを把握!独立開業を成功に導きましょう

飲食店を開業する場合は、保健所、税務署、警察署などに届け出が必要です。届け出の多くは営業開始日以前に提出しなければなりません。また提出するだけではなく、事前の検査が必要になる場合も。また、食品衛生責任者や防火管理者などの資格も必須です。抜け漏れがないようにスケジュールをしっかりと確認しましょう。

また、開店資金に不安がある場合は助成金や補助金に頼ることもできます。それぞれに必要な書類や計画書を準備して夢の独立開業を実現させましょう。

業態別の飲食店の独立開業については「業態白書」で詳しく解説しています。

【うどん屋】の開業方法はこちら≫「うどん屋を開業するには?開業資金や準備、繁盛するための対策とは?」

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

canaeruは年間300件以上の開業サポート実績!

メールアドレスの登録で
開業までのサポート完全無料で受けられます!

個人情報の取り扱いについて

メールアドレスを入力してください

無料会員登録でできること
① 「日本政策金融公庫」の創業融資をはじめとする資金調達の相談が出来る!
② 開業時に必要な事業計画書の作成サポートが受けられる!
③ 店舗開業や運営に関するさまざまな疑問点・お悩みを何度でも相談可能!
※ 金融機関出身者、元飲食店オーナーら店舗開業のプロが対応します

PAGETOPへ