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飲食店経営に必要な資格とは?許可・届出や調理師免許の必要性まで解説

飲食店経営に必要な資格とは?許可・届出や調理師免許の必要性まで解説

飲食店を開業・経営するためには、店舗の業態や収容人数に応じた資格の取得と、行政機関への届出が求められます。

多くの方が必須だと考えがちな調理師免許は、実は開業の要件には含まれておらず、いざ準備を進めるとなると何から手をつけるべきか迷う方も多いのではないでしょうか。

今回は開業に向けた制度の前提と飲食店経営に必要な資格について、業種ごとの許可・届出や調理師免許の必要性を交えて解説します。

飲食店経営に必須となる資格とは?

いざ自分の飲食店を開業するとなると、まずは絶対に欠かせない条件を正確に把握しておきたいところです。

規模や提供するメニューにかかわらず、店舗を営業するためには必ず求められる2つの資格が存在します。

資格必須必要となる条件取得方法
食品衛生責任者必須すべての飲食店食品衛生協会の講習を受講
防火管理者条件付き収容人数30人以上消防署等の講習を受講

食品衛生責任者

飲食店を開業する際、ベースとなるのが食品衛生責任者です。これがないと営業許可が下りず、お店をスタートできません。

主な役割は施設の衛生管理を行い、食中毒を防ぐことです。原則として1店舗に1名の配置が義務付けられています。各都道府県の食品衛生協会が実施する講習を受講して取得を進めます。

防火管理者

防火管理者とは、店舗の火災予防や安全管理を担う責任者のことです。いざという時にお客様やスタッフの命を守る、現場の要となる役割を担います。

飲食店では、従業員とお客様を合わせた収容人数が30人以上になる場合、この資格者の選任が義務づけられています。資格を取得するには、地域の消防署などが実施する講習の受講が必要です。

まずは想定する店舗の規模を把握し、対象となるか確認しておきましょう。

調理師免許は飲食店経営に必要?

飲食店を開業するにあたり、調理師免許が必須だと考える方は少なくありません。

しかし結論からお伝えすると、経営においてこの免許は不要です。法律上、調理師免許を持っていなくても飲食店を営業することは認められています。

調理師免許があると良いケース

飲食店を開業する際、法律上は調理師免許がなくても問題ありません。それでも、あえて取得しておくことで事業を有利に進められるケースがあります。

特に免許が役立つのは、客単価の高い高級レストランを開く場合や、特別な食材を扱う場合です。こうした業態では、確かな知識と技術に基づいた、料理人としての信頼性が強く求められます。

また、免許の存在は顧客へのアピールとしても効果的です。将来的にスタッフを雇う際にも有資格者の下で働けるという安心感が、採用面でのメリットに直結します。

調理師免許の取得方法

免許を取るには、中学校卒業以上の学歴と、飲食店などで2年以上の実務経験が必要です。現場で働きながらでも十分に目指せる条件となっています。

要件を満たせば、各都道府県が実施する試験を受けられます。試験は公衆衛生学や調理理論などを問う筆記のみで、実技はありません。ここを突破すれば、大きな山場は越えたといえます。

合格後は都道府県の窓口へ申請し、数週間で免許証が交付されます。受験料は約6,000円台、申請手数料は約5,600円です。対策から交付まで数ヶ月は要するため、計画的に準備を進めるのが無難です。

飲食店経営者が資格を取得するメリット・デメリット

必須となる資格を押さえたところで、任意の資格まで幅広く取得すべきか迷うところです。
時間や費用の負担もあるため、自身の店舗に本当に必要かを見極める判断基準を持っておく必要があります。

メリット

資格の取得には手間がかかりますが、経営を安定させる要素になります。

食品衛生や栄養などの資格が、自身の知識を明確にアピールする材料になります。衛生管理や適切な調理に関する客観的な知識を示せるため、来店客に安心感を与えられます。

また、突然の欠員があっても自らが現場をサポートでき、営業停止のリスクを軽減できます。会計や労務系の資格があれば、各種手続きや資金繰り計画を自分で行いやすくなります。

知識という裏付けがあることで、不測の事態にも焦らず対応できるのが大きな強みです。

デメリット

資格取得にはメリットが多い一方で、注意すべき側面もあります。ここを見落とすと、開店準備が思わぬ形で停滞する原因になります。

まず、学習期間や受験料といった初期投資が避けられません。さらに、取得後も定期的な講習などで更新費用が発生する資格もあります。手元から出ていくお金と時間は、あらかじめ見積もっておく必要があります。

また、勉強に力を入れるあまり、メニュー開発や資金調達といった店舗運営の核となる準備が後回しになるのは本末転倒です。まずは必須の資格に絞って計画を立て、余力に応じてプラスアルファの取得を検討するのが確実です。

飲食店経営で取得すると役立つおすすめ資格

必須の資格を押さえたら、次は店舗の魅力を高めたり経営を安定させたりするための資格にも目を向けていきます。
自身の思い描く店舗コンセプトや、経営上の課題に合わせて選ぶのがポイントです。

資格役立つ場面メリット
酒類販売管理者酒類のテイクアウト販売適正な酒類販売ができる
日商簿記売上・利益・資金繰りの管理数字に基づく経営判断ができる
フードコーディネーター商品開発・店舗ブランディング店舗の魅力向上や差別化につながる

酒類販売管理者

酒類販売管理者は、店舗で適正な酒類販売を管理する責任者です。事業所に与えられる酒類販売業免許とは異なり、販売場ごとに選任される人に対する資格を指します。

グラスでお酒を提供するだけなら不要ですが、未開栓のボトルをテイクアウト販売する場合は、免許の取得とともに管理者の配置が必須です。後から物販を始めたくなった際に慌てないよう、あらかじめ要否を見極めておきましょう。

管理者に選任されるには、指定団体が実施する酒類販売管理研修を受講する必要があります。また選任後も、3年に1回のペースで定期的に研修を再受講する更新制度が設けられています。

日商簿記

日商簿記は、日々の取引記録から決算書の作成、そして数値を読み解くスキルまでを体系的に学べる資格です。

資格で得た知識は、毎日の売上管理や原価率管理に直接結びつきます。ここを曖昧に済ませてしまうと、売上は立っているのに手元にお金が残らないという事態に陥ります。正しい仕訳ルールが分かれば、月単位の利益管理はもちろん、数か月先を見据えた資金繰りの予測まで自分の力で立てられるようになります。

最大の取得メリットは、勘に頼らない経営改善ができる点です。税理士に任せきりにせず、自店の数字を根拠に次の一手を打てるようになれば、安定した店舗運営の土台となります。

フードコーディネーター

他の飲食店に埋もれない店舗作りを目指すなら、食の総合プロデューサーであるフードコーディネーターの知識が役立ちます。ただ美味しいだけでなく、どう魅せるかまでを体系的に学べる民間資格です。

実際の店舗経営では、新メニューの開発や商品企画、SNS映えを意識した盛り付けなど、ブランディング全般でこの知識が活きます。ここでコンセプトに一貫性を持たせられれば、競合店との明確な差別化に直結します。

統一感のある食空間と魅力的なメニューによって、新しい客層の集客を力強く後押ししてくれるはずです。

業種別必要な資格・許可一覧

飲食店と一口に言っても、提供するメニューや営業時間帯によって求められる手続きは変わってきます。

カフェ・レストラン・居酒屋といった主要な業種別に、取得すべき資格や許可の要件を整理しておきます。

業種食品衛生責任者防火管理者営業許可・届出
カフェ必要30人以上で必要飲食店営業許可
レストラン必要30人以上で必要飲食店営業許可・深夜営業届出(必要時)
居酒屋必要30人以上で必要飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業開始届出書(必要時)

カフェ経営の場合

個人でカフェを始める場合、特別な資格がなくてもスタートできます。意外と勘違いされがちですが、調理師免許を持っていなくてもお店を開くことは可能です。ただし、食品衛生責任者の資格だけは必ず各店舗に1人置かなければなりません。

資格を準備した上で、保健所から飲食店営業許可を受ける必要があります。ここをクリアして初めて、お客様に飲食を提供できます。設備基準を満たす必要があるため、内装工事の前に図面を保健所へ相談しておくと手戻りを防げます。

さらに、個人経営カフェとして独立するなら、税務署への開業届も必要です。オープン後1か月以内に提出するルールとなっており、開店準備の段階でスケジュールに組み込んでおくのが確実です。

レストラン経営の場合

規模が大きくなりやすいレストランの準備について見ていきます。ここでも基本となるのは、施設ごとに1名必要な食品衛生責任者の資格と、保健所で取得する飲食店営業許可です。

必要資格の面では、調理師免許は必須ではないものの、有資格者がいれば食品衛生責任者の講習免除などに活用できます。また、従業員を含めた収容人数が30名以上になる場合は防火管理者の配置も求められます。

許可や届出については、深夜0時以降もお酒を提供するなら、警察署への届出も追加で必要です。

レストランの大きな特徴は、幅広いメニューを扱うため、従業員雇用が前提になりやすい点です。人を雇えば保険手続きや教育の手間も増えるため、採用スケジュールには余裕を持たせて進めます。

居酒屋経営の場合

居酒屋をオープンする際も、ベースとなるのは食品衛生責任者の配置と保健所での飲食店営業許可です。どのようなコンセプトの店舗であっても、まずはこの2つを漏れなくクリアして土台を固める必要があります。

そのうえで、お酒をメインに扱う居酒屋ならではの追加届出が発生するケースがあります。深夜0時以降も酒類提供を行うなら、管轄の警察署へ深夜酒類提供飲食店営業開始届出書を提出しなければなりません。

ここで気をつけたいのが、警察署への届出にかかる期限です。深夜営業の届出は、営業開始の10日前までに提出を済ませるルールとなっています。

直前になって書類の準備で慌てる事態は避けたいものです。オープン時期から逆算して、余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。

飲食店の開店時に必要な手続き・書類一覧

まず、飲食店の開業時に必要な一般的な手続きや書類を確認しておきましょう。

手続き項目必要書類届け出先提出時期必須か
飲食店営業許可申請飲食店営業許可申請書、
建築確認書、
店舗の図面、
協定書、
リース契約書など
市区町村の保健所開業前必須
建築確認申請建築確認申請書、
建築設計図
市区町村の建築課店舗改装前必須
消防署への届出施設使用開始届、
消防設備設置届、
防火管理者の指定届
市区町村の消防署開業前必須
食品衛生責任者の指定食品衛生責任者指定届市区町村の保健所開業前必須
労働保険加入労働保険特別加入申込書労働局またはハローワーク雇用した時点従業員を雇う場合必須
雇用保険加入雇用保険被保険者資格取得届労働局またはハローワーク雇用した時点従業員を雇う場合必須
健康保険・厚生年金加入健康保険・厚生年金保険 新規適用届日本年金機構雇用した時点従業員を雇う場合必須
税務署への開業届け開業届出書税務署開業する直前必須

これらは一例であり、具体的な手続きや必要な書類は開業する地域・店舗の規模・営業形態などにより異なることを留意しておきましょう。

税務署で必要な手続き

個人事業の開業・廃業等届出書

個人事業の開業・廃業等届出書とは、一般的に開業届と言われるもので、個人が事業を始めたときに提出する書類です。

特に開業届を提出していない場合であっても特に罰則は設定されていませんが、開業した日から1ヶ月以内が提出期限となっており、開業届をまだ提出していない場合は、速やかに提出するのがベターです。

開業届に必要事項を記入して提出する形となりますが、開業届作成時に必要なものには以下があります。

個人事業の開業届出・廃業届出
税務署の窓口または国税庁のホームページからダウンロードして入手
個人番号が把握できるもの
個人番号の証明に「通知カード」または「住民票の写し」を提出する場合、本人確認書類が必要となる
本人確認書類
運転免許証、パスポート、在留カード、公的医療保険の被保険者証、身体障害者手帳などのうち1つが必要
印鑑
シャチハタは不可
青色申告承認申請書
青色申告をおこないたい場合に必要。顧問税理士や公認会計士がいる場合、その方の署名の用意が必要となる

開業届は、基本的に税務署の窓口に提出するとその場で確認され、承認されれば税務署の印鑑が押印され返却されます。

開業届は法人口座や法人クレジットカード作成時などで必要となる場合があるため、紙または電子データ上で保管してください。

また、開業届と併せて青色申告承認申請書を申請すれば、毎年の確定申告時に青色申告制度によって節税対策を図ることが可能です。

青色申告の承認申請は、個人事業主にとって重要になるため、忘れず申請を行ってください。

開業届の書き方

開業届は、1枚で構成されており決して記入が難しいものではありません。

具体的な記入項目は次の通りです。

1. 納税地の税務署名、提出日
2. 納税地
3. 氏名・生年月日・個人番号
4. 職業・屋号
5. 届け出の区分
6. 所得の種類
7. 開業・廃業等日
8. 事業所等を新増設、移転、廃止した場合/廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合
9. 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
10. 事業の概要
11. 給与等の支払いの状況
12. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無
13. 給与支払を開始する年月日

各項目に沿って、必要な情報を記載していきましょう。納税地は、基本的に生活の拠点となる自宅の場所を示す住所地のことを指しますが、住所地以外で事業を営むための店舗や事務所がある場合、事業所等を選んで納税地としても問題ありません。

新規事業の場合、届け出の区分は「開業」にのみ○を記入して、その他は空欄とします。もし誰かから事業の引継ぎを受けて開業する場合は、受けた先の住所と氏名を記載します。また、新規事業の場合、事業所等を新増設、移転、廃止した場合/廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合の欄は記入不要です。

その他の項目を含めた書き方の詳細は、以下の記事でも説明していますので、参考にしてみてください。

関連記事 開業届の必要書類とは?書き方や提出方法をわかりやすく解説

保健所で必要な手続き

飲食店の営業許可申請・取得方法

飲食店を開業する際には、管轄の保健所で必ず営業許可を取らなければなりません。また、飲食店営業許可を取得するには、食品衛生責任者を設置していることが条件となります。

食品衛生責任者とは、食品を扱う店舗で食品の衛生管理を行う責任者のことを指します。
1人の食品衛生責任者が担当できるのは1店舗のみとなり、複数店舗で開業する場合はそれぞれの店舗に責任者が必要です。

食品衛生責任者は、栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者などの資格を有していること、または保健所長が実施する食品衛生責任者になるための講習会や、知事の指定した講習会の受講を修了することで取得できます。

申請前に保健所に事前相談を!

飲食店営業許可申請を行うステップとして、保健所への事前相談が必要です。

保健所職員の立会い検査を受ける際、規定通りの設備が適切に揃えられているかという点を実際にチェックされますが、もし規定を外れていれば再検査となるためです。

主な、保健所の立ち会い検査では以下のようなポイントがチェックされます。

✔シンクの種類
✔食器棚に戸は設置されているか
✔網戸が設置されているか

保健所の検査を通過できるように、内装工事を行う際は業者側が配慮して設計するのが一般的です。ただ、抜け漏れがあった場合に内装業者が責任を負うことはありません。内装の図面が完成した時点で、本当に保健所の検査に適合しているかどうかを保健所でよく確認してください。

なお、保健所によってチェック項目や書類などが微妙に異なる場合もあります。地域独自のローカルルールを設けているケースもあるので、事前確認を受ける際には実際に検査を受ける保健所で行うことが重要です。

飲食店営業許可申請に必要な書類

飲食店営業許可申請時には、各種書類の提出が必要です。提出する保健所によって必要な書類が異なりますが、東京都の場合は以下6つの書類を施設が完成する10日ほど前に提出しなければなりません。

✔営業許可申請書(法許可業種、条例許可業種)
✔営業設備の大要・配置図(2通)
✔許可申請手数料
✔登記事項証明書(法人の場合のみ)
✔水質検査成績書(貯水槽使用水や井戸水使用の場合のみ)
✔食品衛生責任者の資格を証明するもの(食品衛生責任者手帳等)

全ての書類を揃えるには手間と時間がかかるので、それぞれ並行して準備を進めることがおすすめです。

特に、営業設備の大要・配置図や水質検査成績書は業者に依頼して用意してもらうことになるため、早めに手配して開業までに間に合わせましょう。

営業許可取得までの流れ

飲食店を開業するには、保健所から営業許可を受ける必要があります。全体の流れは、事前相談、店舗の準備、許可申請、実地検査、許可証交付を経て営業開始となります。

手順内容
①事前相談保健所へ図面を持参し施設基準を確認する
②店舗準備施設基準に沿って店舗・設備を整える
③営業許可申請必要書類を保健所へ提出する
④保健所検査店舗で実地検査を受ける
⑤営業許可証交付許可証を受け取り営業開始する

まずは保健所への事前相談です。図面を持参し、施設基準を満たしているか確認してもらいます。ここを後回しにして着工すると、基準外だった場合に工事のやり直しとなるため注意が必要です。

店舗・設備の準備が進んだら、営業許可申請へ移ります。オープン予定日の10日〜2週間前には申請書類を提出するのが目安です。

申請後は、保健所検査がおこなわれます。担当者が店舗を訪れ、図面通りに設備が整っているかを確認します。ここまで来れば、大きな山場は越えています。

検査をクリアすれば、営業許可証の交付です。許可証を受け取って初めて、正式な営業開始となります。申請から許可取得までの期間目安は、約2週間です。

保健所検査で確認されるポイント

店舗の内装工事が終わると、営業許可を得るための保健所検査が行われます。ここをクリアしないとオープン日が遅れてしまうため、検査官の視点を事前に知っておくことが重要です。

確認項目確認内容
手洗い設備消毒器を備えた手洗い設備があるか
シンク・給排水設備2槽以上のシンクと適切な給排水設備があるか
冷蔵・冷凍設備温度計が設置されているか
衛生・安全設備換気設備・フタ付きゴミ箱・厨房と客席の区分が適切か

保健所検査の最大の目的は、食中毒を防ぐ安全な施設基準と衛生管理体制が整っているかを確認することです。具体的には、消毒器を備えた手洗い設備、用途別に分かれた2槽以上のシンクと適切な給排水設備がチェックされます。

冷蔵・冷凍設備には温度計が必須となり、十分な換気設備やフタ付きのゴミ保管設備があるかどうかも見られます。さらに、厨房と客席が扉などで明確に区分されていることも必要不可欠です。

よくある不備として、シンクの寸法不足や手洗い場の水栓が適切でないといったケースが挙げられます。完成後に直すとなれば想定外の追加工事費用がかかってしまいます。そのため、着工前の図面段階で一度保健所へ足を運び、基準を満たしているか事前確認を受けるのが確実です。

消防署で必要な手続き

防火対象物使用開始届

防火対象物使用開始届は、建物の安全性を確保する目的があるため、火を扱うことが多い飲食店では、開業の際に必要となる手続きです。

防火対象物使用開始届は、消防が防火対象物の使用状況を把握した上で、防火の専門家の立場から届出内容の確認や消防用設備の設置状況などを事前に審査、指導を行います。物件を使用する7日前までに、最寄りの消防署に提出しなければなりません。

火を使用する設備等の設置届け

火を使用する設備またはその使用に対して、火災の発生のリスクがある設備の中で、以下を設置する場合、事前にその旨を消防長に届け出る必要があります。

✔炉
✔温風暖房機
✔厨房設備
✔ボイラー
✔乾燥設備
✔給湯湯沸設備
✔ヒートポンプ冷暖房機
✔火花を生ずる設備
✔放電加工機

設備設置前までに、最寄りの消防署に提出しましょう。

防火管理者選任(解任)届

防火管理者専任(解任)届は、消防法8条に基づいて、防火管理者の選任、解任した際に、消防署長に届け出る書類です。営業開始までに、最寄りの消防署に提出しなければなりません。

防火管理者とは、多くの人が集まる施設において、火災を予防するための必要な措置を講じる責任を経営者に進言する責任がある人のことを指します。店舗の収容人員が30人未満の場合、防火管理者の設置は不要です。

なお、延べ床面積が300平方メートル以上の場合は甲種防火管理者、300平方メートル未満の場合は乙種防火管理者となります。

防火管理者の資格を取得するためには、防火管理者講習を受講して効果測定試験に合格しなければなりません。

警察署で必要な手続き

届出の前に確認

実際に警察に対して届出を行う前に調査しておくべき点があります。それは、開業予定地の用途です。都市計画法に従って用途地域が定められており、中には、深夜酒類提供や風俗営業許可が下りない地域があります。

もし、深夜酒類提供や風俗営業許可を取りたい場合、許可が下りるかどうかを事前リサーチしてください。

深夜酒類提供飲食店営業開始届書

深夜酒類提供飲食店営業開始届書とは、午前0時から日の出までの時間において、酒類を提供する飲食店が申請しなければならない届出です。

管轄の警察署に対して、営業開始の10日前までに届け出る必要があります。

風俗営業許可申請

従業員に客を接待させたり、スナックやキャバクラを開業したい場合に必要となる届出です。バーのように、カウンター越しでお酒を提供する程度では、本申請の届出は不要です。

管轄の警察署に対して、営業開始の約2か月前に届け出る必要があります。

従業員を雇用する上で必要な手続き

労災保険の加入手続き

労災保険とは、労働者が業務上の事由や通勤が原因となって負傷したり疾病や障害、死亡した場合、労働者やその遺族のために必要な保険給付を行う制度です。

最寄りの労働基準監督署に対して、雇用日の翌日から10日以内に届け出る必要があります。

雇用保険の加入手続き

雇用保険とは、失業に備える公的保険であり、失業などによって労働者の収入が途絶えた場合、生活や再就職を支援する目的で給付される制度です。

最寄りの公共職業安定所に対して、雇用日の翌日から10日以内に届け出る必要があります。

その他営業内容に応じて必要な手続き

社会保険の加入手続き

社会保険は、広い意味では健康保険や厚生年金保険、介護保険、労災保険、雇用保険を総称したものであり、一定の条件を満たしている事業所とその従業員が加入する公的保険となります。

場合によっては、健康保険と厚生年金保険だけを社会保険と総称し、労災保険と雇用保険は労働保険と分類するケースもあります。

2020年5月の法改正によって、パートやアルバイトの場合でも、要件を満たす場合は社会保険の被保険者となりました。

従業員が入社して5日以内に被保険者資格取得届を作成し、事業所を管轄する年金事務所に提出する必要があります。

酒類販売の許可

飲食店でお酒を提供するだけでなく、お酒を販売する場合には酒類販売の許可が必要です。

お酒を開栓して提供する場合には該当しませんが、未開栓のボトルや樽をそのまま販売する場合、酒税法上の酒類の小売業に該当し、酒類販売業免許が別途必要となります。

免許を取得する場合、まずは酒類指導官設置税務署で事前相談を受けて、要件の確認や提出書類などについて相談してください。

そして、書類の作成を行って申請者が署名押印し、 所在地管轄の税務署にて申請します。

動物の取扱の許可

猫カフェなど動物を飼育したり展示したりする場合、第一種動物取扱業の登録申請が必要です。新たに第一種動物取扱業をスタートさせる場合、営業開始前に登録を受ける必要があります。

第一種動物取扱業の登録申請には、事業所ごとに常勤の従業員の中から専属の動物取扱責任者を選任しなければなりません。

申請は、第一種動物取扱業登録申請書に必要事項を記入して、添付書類をそろえて管轄の保健所又は動物保護管理センターへの提出が必要です。

個人で飲食店を開業する時に必要な手続き

個人での開業の場合に必要な届出として、確定申告があります。確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、青色申告は以下のメリットを受けられます。

✔青色申告特別控除で10万円または最大65万円の税制優遇を受けられる※郵送または窓口で提出した場合は最大55万円の控除となるので注意
✔大きな赤字が発生した場合に3年間繰り越し可能となり、2年目以降黒字になっても税金を抑えることができる
✔親族への給与を支払う場合に専従者給与として経費に計上できる
✔30万円未満のものを購入した場合、合計金額が300万円までは一括でその年度の経費とできる

青色申告は、複式簿記という白色申告よりも複雑な帳簿付けをする必要がありますが、税制優遇という観点ではそのメリットは非常に大きいと言えます。

青色申告を行うためには、所轄の税務署に所得税の青色申告承認申請書の提出が必要です。

法人として飲食店を開業する時に必要な手続き

法人設立届出書

会社を設立した場合、税務署への納税のほかに、会社を設立した事実と会社の概要を通知するための法人設立届出書を所轄の税務署に提出する必要があります。

法人設立届出書の提出は、会社の設立にあたって法務局で法人登記を終えた後の税務関係の手続きとなります。届出書は以下3箇所に提出します。

✔税務署に届け出る届出書
✔都道府県税事務所に届け出る届出書
✔市町村役場に届け出る届出書

基本的に、提出する内容は同じですが若干異なるケースもあるためよく確認してください。

青色申告承認申請書

個人事業主と同様に、法人でも青色申告によって税制優遇を受けることが可能です。

青色申告承認申請書を作成し、開業後3ヶ月以内または第一期終了日のいずれか早い日までに所管の税務署に提出する必要があります。

給与支払事務所等の開設届出書

給与支払事務所等の開設届出書とは、従業員を雇い入れて給与を支払うことになる場合に提出が必要な書類です。申請書は、最寄りの税務署または国税庁のホームページからダウンロードして入手します。従業員を雇用してから1ヶ月以内に、所管の税務署に提出する必要があります。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

源泉徴収税は、原則として翌月の10日までに納付する必要がありますが、給与を支払う従業員が10人未満の小規模な飲食店の場合、半年に1回まとめて納付できる特例が用意されています。

まとめて納付するためには、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を所管の税務署に提出する必要があります。

提出期限は特にありませんが、本特例が適用されるのは届出書を提出した翌月となるため、特例を受ける月の初日の前日までに提出してください。

飲食店経営を成功させるポイント

必要な資格や許可の手続きを無事に終えたら、いよいよ店舗を軌道に乗せるための本格的な準備へと進みます。

ここからは、飲食店経営を長く安定して成功させるための具体的なポイントについて順番に確認していきます。

ポイント内容
立地選び商圏やターゲット、競合を分析して出店場所を決める
ターゲット・コンセプト店舗の特徴やターゲット層を明確にする
原価率・利益率管理売上やFLコストを管理して利益を確保する
スタッフ教育・集客教育を徹底し、SNSや口コミを活用して集客する

立地選びを慎重に行う

飲食店を軌道に乗せるには、立地選びが最大の鍵となります。一度決めたら変更できず、売上の上限を直接左右するからです。

まずは商圏分析を行い、ターゲット層との相性や人通り、競合調査を徹底します。駅近・住宅街・オフィス街の違いを踏まえ、家賃と売上のバランスを見極めるのがポイントです。

家賃の安さだけで人通りのない場所を選び、閉店するケースは少なくありません。妥協せず、コンセプトに合う場所を探す姿勢が求められます。

ターゲットとコンセプトを明確にする

数ある飲食店の中で選ばれるためには、コンセプトによる競合との差別化が欠かせません。この軸が曖昧だと、せっかくのこだわりもお客さんに伝わりにくくなってしまいます。

まずは、お店にどんな人に来てほしいかというペルソナを含むターゲット設定から入ります。その人物像が求める業態選定や無理のない価格帯を一つずつすり合わせていきます。

たとえばカフェなら仕事に集中できる空間、レストランなら記念日を祝う場所という事例があります。ここで全体にコンセプトの一貫性を持たせられれば、その後の集客で大きな強みとなります。

原価率と利益率を管理する

飲食店を長く続けるには、日々の売上管理だけでなく支出をコントロールする視点が欠かせません。

一般的に、食材にかかる原価率は30%が目安です。そこに人件費を加えたFLコストを60%以下に抑えることが、適正な利益率を保つ基準となります。ここが崩れると、いくら売っても手元にお金が残りません。

まずは毎日の記録をつけ、食材ロスが出ていないか点検します。廃棄を減らす地道な工夫が、そのまま利益改善に直結するからです。

日々の数値を可視化すれば、メニューの見直しなど的確な経営判断を下せます。感覚に頼らず、数字を振り返る習慣をつけておきましょう。

スタッフ教育を徹底する

安定した店舗運営には、人材育成による離職率対策が不可欠です。人が定着しないと指導の手間ばかりが増えてしまいます。

現場では、接客品質や効率的なオペレーションに加え、基本となる衛生管理を徹底的に教え込む必要があります。

指導のブレを防ぐため、マニュアル作成を進めます。共通の基準があるだけで、現場の混乱は大きく減ります。

面談などでモチベーション管理を行った結果、スタッフの姿勢が変わり、店舗評価向上につながった事例も少なくありません。教育の充実は、最終的にお店の売上を守る土台です。

SNSや口コミの活用で集客する

集客にはInstagramの写真活用やGoogleビジネスプロフィールでの口コミ対策が必須です。
炎上などSNS運用の注意点を押さえつつ、キャンペーンで新規を呼び込み、リピーター獲得へとつなげます。
定期的な情報発信が、顧客との接点を保つ有効な手段となります。

飲食店経営者の年収はどれくらい?

経営を軌道に乗せるためのポイントを押さえたら、実際の収入目安も気になるところです。
ここでは、飲食店経営者の年収はどれくらいになるのかを、個人と法人に分けて解説します。自身の目標設定に役立ててください。

個人経営の場合の年収目安

個人で飲食店を開業する場合、売上がそのまま自分の収入になるわけではありません。

一般的な年収相場は、およそ300万から600万円程度が目安です。売上規模に対して手元に残る利益率は10%前後が多く、たとえば月商300万円の店舗なら年収は360万円ほどに着地します。

この金額は、立地による地域差や、客単価・回転率が異なる業態差によっても大きく変動します。経費を差し引いた額が最終的な手取りとなるため、資金繰りには十分な注意が必要です。

まずは目指す売上と毎月かかる経費を洗い出し、現実的な利益のシミュレーションを立てておくのが無難です。

法人経営の場合の年収目安

法人化すると、収入は会社から受け取る役員報酬に変わります。店舗の利益がそのまま個人の手取りになるわけではないため、お金の流れを整理しておく必要があります。

年収の目安は500万〜1,000万円ほどです。個人経営と違い、利益が予想以上に出ても年度途中で報酬額を変えられない点には注意がいります。

その反面、法人税率の適用や経費枠の広さから、高い節税効果を得られるのが大きな強みです。複数店舗の展開を見据えて利益を伸ばしていく段階なら、法人化は手元に資金を残しやすくなります。事業の成長度合いに合わせて、切り替えのタイミングを探ってみてください。

飲食店経営の資格に関するよくある質問

ここでは、飲食店を開業する際によく寄せられる、資格や手続きの疑問について整理します。
開業準備を進める中で迷いやすいポイントをまとめましたので、全体の確認に役立ててください。

食品衛生責任者はオンラインで取得できますか?

食品衛生責任者はオンラインで取得可能です。忙しい開業準備中でも自分のペースで進められるのは助かるポイントです。

受講は各都道府県の食品衛生協会サイトから申し込みます。費用は約1万円前後です。スマホやPCで計6時間の動画視聴とテストを終えれば、修了証が発行されます。

ただし、自治体によっては未実施の場合がある点には注意が必要です。まずは開業地の協会サイトを確認し、スムーズに取得を済ませておきましょう。

防火管理者はどのような店舗で必要になりますか?

防火管理者の選任義務は、店舗の収容人数によって発生するかどうかが決まります。ここを見落とすと、オープン直前に慌てる原因になります。

具体的には、お客様と従業員を合わせた収容人数が30名以上の店舗で必須です。さらに店舗規模により必要な資格の種類が分かれ、延床面積300平米以上なら甲種、未満なら乙種となります。

30名以上が入る対象店舗を開くなら、営業開始前に管轄の消防署へ忘れずに届け出ます。

飲食店経営に必要な資格・許可・届出のポイントまとめ

飲食店を開業するには、食品衛生責任者や防火管理者などの必須資格と、保健所への営業許可申請が欠かせません。手続き漏れがあると、希望する日時にオープンできない事態になるため注意が必要です。

お酒の提供や深夜営業を行う場合は、業態に応じた個別の届出も求められます。一人で全体像をつかみながら進めるのは、思いのほか大変だと感じるはずです。

慣れない行政手続きに追われ、本来のメニュー考案がおろそかになっては本末転倒です。スムーズな開業を目指すなら、専門家の無料相談を活用し、自店舗に必要な準備を整理してみてください。

もし、不明な点があれば最寄りの行政機関や開業支援サービスに相談しましょう。株式会社USENが運営する『canaeru(カナエル)』では、飲食店の開業相談を無料で承っています。

開業までの手続きや届け出が複雑で悩んでいる方は、ぜひご相談ください。元飲食店経営者や金融機関出身者等の肩書を持つ開業プランナーが、あなたの開業をサポートします。

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この記事の監修

USEN開業プランナー_松村俊治

USEN開業プランナー

松村俊治

株式会社USEN 開業サポートチームに所属。飲食店経営歴8年。その経験を活かし、開業に関するあらゆる支援を行う。開業に必要なサービスや設備、業者などの紹介のほか、店舗のコンセプト設計、事業計画書の作成サポートにも精通。

【主なサポート内容】
・開業手続きの支援
・開業に必要なサービス、設備、業者を紹介
・創業計画書の作成サポート
・事業計画書の作成サポート

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