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飲食店を開業する際、ホールのレイアウト以上に重視するべきは厨房のレイアウトです。調理スタッフが無駄な動きなく作業できる機能性と、お客様へ素早くサービスを提供できる効率性を考慮したレイアウトが理想といえます。
この記事では、開業前に知っておきたい厨房レイアウトの設計時のポイントを4つ解説します。厨房のレイアウトや内装づくりにぜひお役立てください。
目次
まずは基本的な厨房のレイアウトを知る
店舗に最適な厨房レイアウトを考えるには、以下の要素を整理しておく必要があります。
- ✓飲食店の業態やコンセプト
- ✓店舗の広さや構造
- ✓提供するメニュー
- ✓スタッフの人数
どのような飲食店を目指すかによって、理想の厨房レイアウトは異なります。まずは基本的な厨房レイアウトといえる4つのキッチンをご紹介。各キッチンの特徴や、マッチする業態もあわせて解説します。
直線型キッチン
直線型キッチンは、ガスコンロやシンクなどの必要設備が一直線に並んでいるキッチンです。I型キッチンとも呼ばれ、オープンキッチンや狭小の店舗、一人営業の店舗で採用されることが多いタイプです。
マッチする業態は、カフェ、喫茶店、バー、立ち飲み居酒屋、寿司屋、蕎麦屋、カレー店など。
調理工程が複雑ではなく、厨房機器が少なく済む業態に合っています。
L字型キッチン
L字型キッチンは文字通りLの字の形をしており、調理台を挟んでシンクとコンロが直角に配置されたキッチンです。熱を発する厨房機器が多い業態や、提供スピードの速さを求められる店舗に向いています。
マッチする業態は、ラーメン店、中華料理屋、洋食店、焼肉店など。
直線型と同じく、狭小店舗や少人数経営の店舗にも合ったキッチンです。
二列型キッチン
二列型キッチンは、シンクとコンロが2列に分かれて配置されたキッチンで、ii型、Ⅱ型とも呼ばれます。作業スペースが広く、直線型キッチンよりも移動距離が少なく調理できるため、調理導線のよいレイアウトです。
マッチする業態は、イタリアン、フレンチ、韓国料理店、居酒屋など。
調理スタッフが多く、厨房のスペースを広くとる必要がある店舗に適しています。
アイランド型キッチン
アイランド型キッチンは、シンクやコンロとは別に調理台を設置したキッチンのことです。厨房で調理したメニューの仕上げなどを対面で行いたい店舗などで採用されています。
マッチする業態は、焼き鳥店、おでん屋、立ち食い寿司、立ち飲み居酒屋、アイスクリーム店など。
調理のライブ感や、お客様の様子を見ながらサービスを提供したい店舗におすすめです。
①物件やお店のコンセプトにあわせて厨房のレイアウトを決める
客席から厨房が見える「オープンキッチン」
オープンキッチンは客席から厨房の様子を見ることができ、調理のライブ感や音・香りをお客様に楽しんでいただける厨房レイアウトです。厨房と客席に仕切りがないため、広く開放的な雰囲気も演出できます。
しかし、客席からどのように厨房が見えているかを意識する必要があり、外観や清潔感、スタッフの振る舞いなども考慮しなければなりません。オープンキッチンのメリットとデメリットは以下のような内容が挙げられます。
メリット デメリット 調理の様子やライブ感、音や香りをお客様に届けられる 厨房の外観や内装、清潔面に気を遣わなければならない 広く開放的な雰囲気を演出でき、デザイン性の高い店づくりができる 厨房の機能性や収納を優先できないうえ、内装費用が高額になりがち お客様とコミュニケーションを取りやすい スタッフ同士の会話や振る舞いに気をつけなければならない サービスの提供スピードが早い 調理の様子を見られているため緊張感がある
エンターテインメント性の高い店づくりを目指す場合は、オープンキッチンは最適でしょう。寿司屋、鉄板焼き屋、ダイニングバーなど、お客様と会話をしながらサービスを提供する業態は、オープンキッチンで親しみやすい店づくりを目指すのも一案です。
客席から独立した「クローズドキッチン」
オープンキッチンに対し、厨房と客席が壁や扉で仕切られ、厨房が独立した形態になっているレイアウトがクローズドキッチンです。厨房を意識せず客席の雰囲気を作れるほか、厨房もお客様の目を気にせず調理に集中することができます。
しかし、クローズドキッチンには厨房から客席の様子が把握できないなどのデメリットもあります。クローズドキッチンのメリットとデメリットを整理してみましょう。
メリット デメリット 機能性・実用性・収納力を優先した厨房にできる 客席からの目がないため、清潔を維持するモチベーションが必要 厨房の外観に左右されず、ホールの内装や雰囲気を作れる 厨房と客席に距離があるため、サービスの提供が遅くなる 調理や作業に集中できる 客席の様子がわからないため、サービスのタイミングを把握しづらい 客席から見えないため、スタッフ教育がしやすい 客席から見えないため、スタッフの態度が怠慢になることも
客席と厨房が離れているため、お客様は音や油ハネなどを気にせず食事を楽しめます。落ち着いた雰囲気のお店にしたい場合は、クローズドキッチンを選ぶとよいでしょう。
②スタッフの導線を考慮して厨房のレイアウトを決める
機能性と効率性を考慮した什器の配置とスペース確保を行う
そのうえで、「どこでどの作業をすればスムーズか?」「どの程度の広さがあれば作業がしやすいか?」という点を考えていきます。このときのポイントは一番忙しい時間帯を基準に考えることです。
上述した通り、理想は「無駄な動きをすることなく作業ができる機能性と、料理をスムーズにお客様へと提供できる効率性を兼ね備えた厨房レイアウト」。具体的には以下の点に注目してみるといいでしょう。調理機器や冷蔵庫と調理場の距離を近くする
例えば、同時進行で作業をすることの多いフライヤーとオーブン同士は近くに設置する、洗浄後の食器や調理器具がすぐにしまえるよう収納棚は洗浄場から手の届くように設置する、調理場と冷蔵・冷凍庫は数歩の範囲に設置するといった工夫をすれば、移動距離が少なく無駄な動きを排除できるので、忙しい中でも効率よく作業を進められるでしょう。
出来上がった料理を並べるスペースを確保する
盛り付け後に素早く料理を提供できるよう、ホールに一番近い場所にディッシュアップカウンター等を設置するのもいいでしょう。その際は、ホールへと運ぶ従業員が料理を安全に受け取れるだけのじゅうぶんな広さが必要です。
あわせて下げたお皿の置き場所も確保しておけば、作業効率が上がるだけでなく、衛生面や見栄えの観点から見てもより理想的だといえます。調理スタッフ同士の配置を工夫する
複数のスタッフがいる場合には、厨房内で調理スタッフがぶつからないだけの広さを確保することはもちろんのこと、配膳・下膳を行うホールスタッフとの動きが交差しないように工夫することも大切です。
この導線について確認が不十分だと、お客様をお待たせしてしまう原因になってしまうだけでなく、食器や料理が落ちてしまうといった思わぬトラブルが起こりかねません。③営業後を意識した厨房レイアウトも重要
厨房レイアウトにおいて最も重要なのは営業中の作業導線ですが、「営業後の清掃」も意識したレイアウトにしなければなりません。営業中についてしまった油汚れ、焦げ付き、食べ物の残りカスなどはその日のうちに清掃しなければ汚れがこびり付き、落とすのに苦労します。
隙間が多いレイアウトだと清掃がしにくく、さらに調理器具や備品が乱雑に置かれていると清掃の手が届かないこともあります。汚れが蓄積されるとどんどん不衛生な厨房になっていき、見栄えが悪くなるだけでなく食中毒の発生率が高まるほか、床が滑りやすくなってケガに繋がりかねません。
- ✓導入予定の厨房設備や備品のサイズを調べ、隙間や無駄なスペースを作らないようにする
- ✓調理器具や調味料、備品の収納スペースを確保する
- ✓フライヤーを設置する店舗は、油ハネに考慮した設計にする
- ✓汚れにくい材質の設備、備品を導入する
- ✓熱機器(ガス・電気)の上部に排気用のステンレスフードを設置する(※設置義務あり)
- ✓床を水洗いする予定であれば、側溝の設置と水勾配に配慮する
- ✓業務用厨房に設置された「グリストラップ(油脂分離阻集器)」は清掃しやすい位置に設置する
④物件の広さや店舗コンセプトにあわせた厨房レイアウトを考えましょう!
飲食店にとって、厨房は要。おいしい料理を素早く事故なく提供するために、営業中の導線や営業後の清掃までを考慮して設計しなくてはなりません。
物件の規模やお店の業態によって適切な厨房レイアウトは異なるため、理想の物件を見つけたら設計事務所などのプロと相談しながら厨房づくりを進めていきましょう。今回ご紹介した4つのポイントを押さえて、理想の厨房を目指してみてください。
参考記事:飲食店の開業で揃える厨房機器7選。選ぶポイントや費用について解説
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株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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