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屋台を開業するために必要な手続きや許可を解説!

屋台の定義とは?|屋台って儲かる?どうやって出すの?_記事画像

「屋台」に定義はあるのでしょうか。

屋台(やたい)は、
・屋根付き
・移動可能
というところ。

では、どのようにすれば、屋台を営業することができるのでしょうか。

2020年、新コロナウイルス感染防止による緊急事態宣言を経て、飲食の開業が「ミニマム」指向へと転換しています。
その中で「屋台での開業」のニーズが高まっています。
「まずは屋台から…」は飲食店の開業戦略としてはアリ!

屋台を開業するためにはどんなことが必要なのか、許可やルール、販売商品などをまとめます。

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屋台って簡単に出せるの?

お祭りやイベントの会場で屋台の形で出店することを考えている人は多いはず。
簡単に出せそう…なんて、安易に考えがちですが、もちろん屋台を出すには許可が必要で、さらにはさまざまな制限があります。
まずは、「今日明日…」いレベルで出せるものではない、と心得ましょう。

冒頭にも記載しましたが、「屋台で飲食店を開業する」というニーズが一気に高まっています。
屋台での開業はビジネスのリスクが低いことは以前から変わりないですが、自粛の影響でテイクアウト販売が一気に拡大したことを受け、屋台飲食販売を開始したい、という人がが増えました。

屋台で開業し、ビジネスの先が見えてきたら固定の店舗を持つ…というビジネス戦略は間違っていません。
『北の家族』『ひもの屋』などを展開する株式会社subLimeの前社長、花光雅丸氏は、飲食業界でのキャリアを屋台からスタートしました。
屋台とは言えビジネスですから経営の知識や戦略は必要ですが、ビジネスが小さい分「お試し」感があっても成り立つのです。

屋台営業に必要な手続き

まずは基本的な手続きについて、その流れを頭に入れておきましょう。
営業許可はすぐには下りないので、日程には余裕をもって準備を始めてください。

管轄の保健所に相談

最初に注意したいのは、営業許可を得るためにクリアしなければならない基準が、各保健所によって違うということ。
また、ある地域で一度許可を取得しても、別の地域で出店するには、さらにその地域を管轄する保健所で営業許可を取らなければなりません。
まずは出店したい地域を管轄している保健所を調べ、相談することから始めましょう。
インターネットで厚生労働省の「保健所管轄区案内」を検索すれば、一覧になっています。
保健所に行く際は、屋台の図面などがあると、具体的な相談ができるので便利です。
また、後ほど詳しく触れますが、販売したいメニューによって取得する許可の種類が変わってきますので、あらかじめ決めて行くようにしましょう。

書類提出

事前の相談で計画に問題がないようであれば、次に営業許可の申請にかかります。
屋台が完成する10日前を目安に保健所へ申請しますが、申請には予約が必要なところもありますので確認しておきましょう。
当日必要なものは、営業許可申請書、設備の概要や配置図、そして印鑑と許可手数料。
食品衛生責任者証、もしくはそれに準じる資格証明書も持参します。
手数料は印紙で支払うことになりますが、金額は地域によってまちまち。
13,000~14,000円程度のところが多いようです。
申請書の用紙は事前に入手できますが、もし初めての申請で心配なようなら、保健所で書き方を教えてもらいながら作成するというのも手。
間違いがなくて安心ですし、二度手間にならずに済みます。

施設検査

申請が終わってひと段落といったところですが、営業許可を得るには、さらに屋台を設置し、備品も含めて保健所に「施設検査」をしてもらう必要があります。
申請をしたら担当者と検査日をすり合わせておきましょう。
図面では問題がないように思われたものも、検査時に基準を満たしてない部分が見つかる可能性もあります。
その場合は、改善を施して再検査を受けることになります。
検査で問題がない場合も、許可書の交付までは数日かかりますので、日程には余裕をもって行いましょう。
なお、営業許可証の有効期間は 5年。6年目になったら更新をお忘れなく。

屋台で販売できる商品とは?

許可証が交付されるための条件でもありますが、屋台では販売できるメニューに制限が設けられています。
屋台の場合は、設備上、食品や手を十分に洗ったり、食品の温度を適切に保ったりすることが難しくなるため、食品衛生上の問題が起きやすくなるからです。
たとえば、なま物は食中毒になりやすいためNG。
かき氷、ところてん、清涼飲料水、酒類は例外ですが、メニューは基本的に提供する直前に加熱処理をしなければなりません。
詳細は取得する許可の種類によって異なります。

飲食店営業の場合

たこ焼き、焼き鳥、串焼き、焼きとうもろこしといった、主に加熱処理をしたメニューを販売する場合には、「飲食店営業許可」を取得します。
その場で豆を挽いて提供するコーヒーも適用となる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
なお、カップに注ぐだけのジュースや、容器に盛るだけのアイスクリームといったメニューなら、本来は「喫茶店営業許可」があればいいのですが、屋台での販売では取得できない保健所もあります。
扱えるメニューがより多い飲食店営業許可を取っておいた方が、後々応用が利きますのでおすすめです。

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菓子製造業の場合

今流行のかき氷やクレープ、たい焼きなど、主にスイーツ系のメニューを販売する場合には、「菓子製造業営業許可」を取得します。
なお、保健所によっては「飲食店営業許可」と「菓子製造業営業許可」のどちらかしか取得できないことがあります。
スイーツに挽きたての豆で入れたコーヒーを付けたい、お好み焼きとかき氷の和風セットを売りたいといった希望は、本来二つの営業許可が必要なので、申請が通らないことがあります。
販売できるメニューの数にも制限があり、なかには1種類しか認めないという保健所もあります。
このあたりの条件も、保健所に相談してみましょう。

屋台での仕込みはNG

メニューのほかにも、屋台では調理をする上での制限があります。
例えば、材料を細かく切ったりするなどの仕込み作業は、衛生上の問題があるためできません。
事前に飲食店営業許可を取った場所の調理場で行い、持ち込むことになります。
また、設備の関係で、調理の際に多量の水を使うメニューも禁止です。
こうしたさまざまな条件から、人気のカレーも保健所によっては許可が下りないことがあります。
「最近、ビジネス街でよく見かけるキッチンカーでは売られているのに?」と思うかもしれませんが、同じ屋外の販売でも、キッチンカーの営業許可は設備条件が厳しくなっています。
同様のメニューが屋台で扱えるとは限らないので注意しましょう。

屋台を出すためのルールとは?

営業許可は「設備条件がカギ」なのですが、具体的にどのような出店ルールがあるのでしょうか。

三方を囲む

どの保健所でも必ず条件に入っているのが「三方を囲む」テントの設置。
お祭りやイベント会場では不特定多数の人が出入りするので、食品に異物を混入された、調理器具を触られて火傷をさせてしまった、といった事故が起こる可能性が高くなります。
それらを防ぐため、第三者を中に入れないようにするのが目的です。

洗浄設備を設置する

衛生管理上、洗浄をするための設備も必須です。
屋台なら、水栓コック付きのポリタンクに水を入れ、洗った水をバケツにためる方法が一般的。
手と調理器具を別々の設備で洗えればベストですが、詳細は保健所の指示をあおいでください。
備品として、手洗い用の石鹸と手指消毒液も用意をお忘れなく。

冷凍庫・冷蔵庫の設置

食材の鮮度を保つ設備としては、やはり冷凍庫や冷蔵庫があると安心。
特に気温が高い時期は食中毒が怖いので、設置をおすすめします。
ただ、屋外では電源の確保が難しく、運ぶのが重いという難点も。
屋台のメニューであれば、クーラーボックスや発泡スチロールの箱に氷や保冷剤を詰める方法でも許可が下りることがあります。

蓋つきの保管庫

異物混入の防止や衛生管理のため、食材や調理器具を保管するときには、蓋つきの容器を使用します。
専用の容器のほか、調理器具であれプラスチックの衣装ケースなどを代用するのも手です。

消火器の設置

イベント時に露店から発生した火災が原因で死亡事故が起きていることをふまえ、消防署へ屋台(露店)の開設届を出すように求める自治体が増えています。
複数の屋台が出る場合、届け出はイベント主催者が行いますが、いずれにしても各屋台の消火器設置が許諾の条件となってきます。
保健所からは設置が義務づけられているものではありませんが、用意するようにしましょう。

ゴミ箱の設置

ゴミ箱も衛生上の対策としては必需品。
特にサイズの規定はないので、販売するメニューや使用する容器を考えて設置しましょう。

まとめ

屋台の開業方法を見てきました。
結構いろいろと決まりがある…というのが印象的なのではないでしょうか。

例えば、屋台空間での仕込みができないとなれば、別の「仕込む場所」が必要となり、それが自宅などで賄えない場合はその場所を確保する必要など、いろいろ課題も出てきます。

ですが、ビジネスのリスクが少ないというのは大きなメリットです。
テイクアウトやデリバリー販売との相性もよく、開業への追い風があるともいえます。

飲食店の開業を考えていた人は、「屋台」という選択肢もぜひ視野に入れてみてください。

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この記事の監修

株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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