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お店BGMの重要性と著作権|坂本龍一さんが選曲を務める日本料理店の話[人気記事]

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2018年の夏に、米国の「ニューヨーク・タイムズ」紙にニューヨーク在住の世界的な音楽家、坂本龍一さんの話題が取り上げられ、話題となりました。
その内容はというと、お気に入りの日本料理店で流れるBGMにひどく落胆し、自ら選曲することを申し出た、というもの。
坂本さんは、「その店の料理が大好きで料理長も尊敬しているからこそ、とんでもないブラジルのポップ音楽やアメリカの古いフォーク音楽ばかりの店内BGMが残念に思えて仕方なかった」と話し、店内の雰囲気や色調、装飾などを熟考した上で選曲を行い、今では店の「プレイリスト責任者」を務めているとか。
確かに、料理がどんなに美味しくても店内BGMが大音量で会話を楽しめず、雰囲気にそぐわない曲ばかりだったらどうでしょう。
て訪れた方にとっては、些末なことでも気になるもの。
坂本龍一さんの例からも分かるように、飲食店を経営するにあたり、BGMは欠かせないもの。
しかし、BGMの流し方には落とし穴が。
手持ちのCDをただかけているだけでは違法になることを知っていましたか?

楽曲の「無許諾使用」で飲食店が使用差し止めと損害賠償を求めて提訴される

2019年5月、日本音楽著作権協会(JASRAC)、同協会が著作権を管理している楽曲を無許諾で使っているとして、山梨県、大阪府、福岡県の飲食店3店舗に対し、使用差し止めと損害賠償を求めて提訴しました。
飲食店などのお店で、著作権が支払われない状態でBGMとして使用されている例は多いのが実状。
今回の提訴で、お店側は「見せしめ」の見解を示したとも言われますが、結局は使用料を払って和解したとされています。
「払っていない店は多い」という実状はあるものの、基本は「払っている」お店がほとんどであることは間違いありません。
音楽の著作権は、ミュージシャンなどの音楽関係者などを保護する意味合いがあり、音楽が好きな人なら、その存在意義は理解できるところが多いのでは。

自分の店だけは払わなくていい、ということはないのではないでしょうか。

CDから音楽を流す行為自体は違法じゃない! ただし……?

ここでいうBGMとは、iPhoneなどの携帯音楽プレイヤーやCDプレイヤー、パソコンなどを使って、飲食店が営業時間中に店内で流す音楽のこと。CD以外の音源、たとえば、インターネットでダウンロードして購入した楽曲なども含まれます。
「違法」と言われて驚く人も多いと思いますが、正確に言えば、「正規の手続きを取らずに営利目的で音楽を使用すること」が法律で禁じられているんです。

お金を払って買ったCDなのに?

「お金を払って購入したからもう自分のものじゃないの?」と思われるかもしれませんが、楽曲にはそれぞれ著作権というものがあります。
CDやデータは、レコード会社などが楽曲の「録音(複製)」の手続きをしていて、購入者はそのパッケージを買ったということ。
音楽を個人の楽しみで聴く分には構いませんが、店のBGMとして流すときには、営利目的での「録音物の再生」に当たり、著作権使用料を作詞者や作曲者などに支払う義務があります。

著作権を管理するJASRAC

とはいえ、飲食店が著作権の関係者を調べ、つど使用料を支払うのは不可能。
そこで、こうした著作権を管理し、支払いの代行をしているのが日本音楽著作権協会(JASRAC)という社団法人です。
JASRACのウェブサイトにアクセスすれば、手続きに必要な申込書がダウンロードできます。全国に14の支部があり、担当支部に電話をしてから郵送してもらうことも可能。必要事項を書き込んで、FAXや郵送で、あるいは担当支部へ直接持参し、提出します。
飲食店の場合はお店の面積に比例して使用料が高くなります。JASRACから許諾書と請求書が届きますので、支払いをすませれば、BGMの利用が可能になります。

JASRACに申請する以外にBGMを使用する方法ってあるの?

BGMが必要だとわかっていても、「開業前のバタバタで申請する時間がない」という飲食店も多々見受けられます。また、「かけたい音楽が決まっていない」「そもそもBGMをかけるための機材がそろっていない」ということがあるかもしれません。
そんなときは、JASRACと契約している「音源提供事業者」を利用してみましょう。著作権使用料の申請や支払いを代行してくれるだけでなく、CDなどの音源や、BGMの専用機器の貸し出しサービスを行っているところもあります。
例えば、株式会社USENを見てみると、「オーガニック・カフェ」から「居酒屋」、「トルコ料理」まで、業態に合わせたさまざまなジャンルの音楽が用意されています。「橋本徹監修のFree Soulコンピレーション」「ビートルズ」などのチャンネルもありますので、「自分の趣味の音楽をかけたい」と思っているこだわりのオーナーも、活用を検討してみる価値はあります。
また、手軽に音楽を変更できるのも、音源提供事業者を利用するメリットのひとつです。店舗の状況などもありますが、契約締結後、最短で5営業日で機器の設置可能とのことなので、まずは問い合わせをしてみてはどうでしょう。

無料でBGMをかける方法はあるの?

開業時はできるだけ支出を抑えたいけど、何かしらの“にぎやかし”はほしい……そう思っているのなら、無料でBGMをかける方法を試してみましょう。

ラジオやテレビは流していい?

飲食店で音楽を流す方法として、CDなどの音源以外でまず思い浮かぶのが、AM・FMなどのラジオ放送やテレビでしょう。こちらはラジオ局やテレビ局がJASRACに楽曲使用料を払っているため、飲食店で流しても問題はありません。
ラジオ局が、公式にインターネットで行っている同時再送信サービスも同様です。ただ、インターネットラジオが独自に編集して流しているコンテンツは、BGMの利用許諾手続が必要になります。またテレビやラジオの番組は、店内で流しているだけなら著作権使用料は発生しませんが、録音や録画をして使用すると著作権が発生しますので注意しましょう。

著作権がない楽曲を探す

ほとんどの楽曲は著作権をもっていますが、一部には使用料がかからない、いわゆる「フリー音源」が存在します。たとえば、作曲者などが亡くなって50年以上が経過した楽曲。こうした楽曲は「パブリックドメイン」と呼ばれ、著作権が消失するため無料で使うことができます。50年という年月の長さから、バッハなどの主にクラシックの作品が多い印象ですが、探してみるとジャズ・ナンバーなども見つかります。「ムーンライト・セレナーデ」で知られるグレン・ミラーもその一人。
ただ、カバー曲やボーカル曲などのアレンジ違いで著作権が発生していることもありますので、まずはJASRACで管理している楽曲かどうかどうか確認してみましょう。そのほかにも、作曲者などがはっきりしない民謡や伝承音楽、著作権の国際条約に加盟していないため保護の対象とならない国の曲は、著作権が発生しません。

著作権フリー楽曲ライブラリー

いちいち著作権がフリーかどうか確認するのは面倒という場合は、インターネットで「著作権フリー楽曲」と検索してみましょう。
著作権使用許可のいらないBGM用の楽曲が収録されたCDがヒットするはず。また、こうした楽曲を配信している音楽フリー素材のサイトもでてきます。扱っている楽曲数やジャンルの違いなどがあるので、いくつかのサイトを比較してみるといいでしょう。クオリティのよい楽曲は一部有料になっていることがあるので注意が必要です。

生演奏だったら大丈夫?

たとえ生演奏であっても、楽曲には利用料がかかります。BGMで発生する使用料とは違い、座席数や利用客1人当たりの平均最低単価、音楽の利用時間などから計算された金額になります。

手続きはやはりJASRAC

生演奏については利用料の支払い先はJASRACになります。
JASRACが管理する著作物のすべてについて利用できる「包括契約」を締結すれば、「年間をとおして毎月音楽を利用する場合の月額使用料 (年間利用月額)」、「1年に満たない一定期間音楽を利用する場合の月額使用料 (期間利用月額)」「1日1回あたりの使用料」といった形態が選べます。
また、楽曲が限られている場合は、JASRACが管理する楽曲ごとに利用できる「曲別許諾」を締結するという手もあります。ただし、手続きにあたっては、利用日の5日前までに利用許諾契約申込書と利用明細書の提出が必要なので、余裕をもって計画を進めるようにしましょう。

訴訟を起こされた事例も

こうした申請が面倒、支払うのはいやだからといって怠ると違法となります。
申請や支払いをしていない場合、JASRACから繰り返し督促状が届きます。過去にはそれを無視して、数百万円単位の賠償を請求されたという事例も。「こっそりやっていればわかないだろう」という考えは捨て、きちんと手続きを踏むようにしましょう。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

※この記事は、2018年5月7日に公開した内容を加筆修正したものです

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