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わざわざ歩いてでも、自分の味のファンが来てくれる店にしたい

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飲食店を開業するのに、お客様を徹底的に絞り込み、その方々が「また来たい」と思ってくだされば、継続的な経営が可能です。コンセプトを固め「駅からちょっと離れていること」を条件に店舗物件を決めたお店があります。
東京・代官山にあるイタリアンレストラン「代官山 RINGRAZIARE KOJI MORITA」森田シェフにお話しを伺いました。

看板がなく、一見「レストラン」には見えない店構えですが、この物件に決めた理由を教えてください。

「ちょっと歩いてでも行きたくなるお店」にしたくて、駅からちょっと離れていることが条件でした。駅近くの路面店だと入りやすい分「お腹が減ったから、とりあえずここでいいや」って入って来る人がいますが、そういう店作りをしたくなかった。僕の味のファンの人に向けて店作りをしたいと思って。だったら路面店にこだわらず、2階、3階、それ以上の階でもいいんじゃないかと。階数が高くなるほど、飲食店は家賃が抑えられて、保証金が少なくなりますし。でも物件を探し始めると、不動産屋さんがすすめるのは「飲食店に向いた物件」なんですよね(笑)そういうのは、求めていないから、逆に物件探しは苦労しました。普通のマンションだと「物販はいいけど飲食店はダメ」という大家さんも多いです。結局、店のコンセプトを大家さんに交渉して、特別にOKをもらいました。

看板がなく、一見「レストラン」には見えない店構えですが、この物件に決めた理由を教えてください。

看板のないお店ですが、来られる方は迷われませんか?

ただのマンションなのに扉を開けた瞬間から、非日常に変わるというギャップを作りたかったんです。だからオープン中も一切看板を出していません。でも、見た目は住居用のマンションだから、初めてのお客様はドキドキするみたいです。スマホで地図を見ながら、扉の前までは辿り着くのですが、扉を開けるところになるとみなさん、「ここだよな?」って。玄関前まで来て、また外に出て調べて、やっぱりここだなって。それでも玄関を開けるのをやっぱり躊躇して、扉の前から電話をしてくる人が多いんです。「どうしたらいいですか」って言われるから、「開けてください」って(笑)。

看板のないお店ですが、来られる方は迷われませんか?

そもそも、なぜこのお店をオープンさせようと思ったのでしょう?

独立して最初にオープンしたのは、神泉にあったオステリア・ダ・バッボという店でした。その後、恵比寿にあるリストランテ・ダ・バッボを経営していたのですが、小さいながらも個室が5つあり、そうなるとシェフもサービスマンもそれなりの人数が必要になります。僕がすべての料理を作ることもできず、作り方から若い子たちに教え込んで、試作を何回もさせて、これならOKとGOサインを出してお客様に提供していました。「まだまだ料理を作りたい」って想いもありましたが、経営者としては若い子たちを育てていかないといけない。自分の気持ちを押し殺していました。
そんなときに以前から利用してくれていた方がご家族で来てくれたんです。いつものようにその方へ御礼のメールを送ったら返信がありました。「俺は森田さんの料理を食べたくて店に行っている。でも店で食べたのは森田さんが考えた料理であっても、森田さんが作った料理じゃないよね」って。それまで僕がずっと、モヤモヤしていた部分をぶち抜かれました。悔しい気持ちもあるし、嬉しい気持ちもある。ずっと閉じ込めていた「料理を作っていきたい」って想いの封印を解いてくれた、魔法みたいな言葉でした。今度は誰かほかの人たちに任せるのではなく、自分で全部できるような小さなお店をやりたいって、そう思ったら、いてもたってもいられなくなりました。恵比寿のお店は若い子たちに任せて、僕は新しくこの店を半年ほどで立ち上げたんです。

これから飲食店の開業を考えている人に向けて、アドバイスをお願いします。

一番はコンセプトだと思います。最初、神泉でお店を始めた時はコンセプトがブレブレでした。「ただやりたいから」って無理して始めたんですが、絶対にどこかで皺寄せが出てきます。どんなお店で、どんなところで、どんな人たちに向けて、どんな形で作っていくのか、何年後かにどんな風になりたいか。コンセプトはしっかり作ることが大事。でもこれは始めてから気付きました。もちろん「まずやってみる」ことも大切ですが、どうせやるなら、いろんなことをもっとしっかり決めてからやればよかったなと。お店はお客様に育てられる部分もあって、いい意味でも、悪い意味でもお店はどんどん変化していきます。でも、どうしてその変化した先に辿り着くことを最初に考えられなかったのか、店を立ち上げてからすごく勉強になりました。

これから飲食店の開業を考えている人に向けて、アドバイスをお願いします。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

代官山RINGRAZIARE Koji Morita

代官山エリアに店を構える看板のないイタリアンレストラン。オーナーシェフの森田さんが手の届く範囲という20坪ほどの店内は、ビルの一室にありカウンター8席とVIPルーム1室のみ。イタリアの2つ星レストランの経験もあるシェフが生みだすこだわりの食材を生かしたシンプルな料理とともに、ソムリエが厳選したワインを味わう、食の楽しみを知る大人ならではひとときを過ごすことができる隠れ家のような知る人ぞ知る名店。

森田晃次

1969年、埼玉県生まれ。
高校生の時、ホテルのレストランで皿洗いをはじめたことがきっかけで、料理人の道へ。
フレンチシェフとして実績を積んだのち、イタリアンに転向。イタリアのミシュラン2ツ星レストラン「リストランテ・ドラーダ」で修業するなど腕を磨き、2011年に「オステリア ダ バッボ」で独立開業。2015年に「代官山RINGRAZIARE Koji Morita」をオープンさせた。

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