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飲食店の経営を成功させるためにおすすめの勉強法、どんなことを学んだら良い?

飲食店の経営を成功させるためにおすすめの勉強法、どんなことを学んだら良い?

未経験者でも参入しやすいことから、起業件数が多い飲食店業界。その一方で、人知れず潰れていく店も多いのも事実。

経験があろうがなかろうか、成功に導く人、失敗に終わる人。この違いは「経営」を知っているかどうかにあります。そのためには、どのような勉強をすべきでしょうか。

関連記事 飲食店経営に必要なノウハウとは?利益を上げるためのポイントを解説

飲食店を開業するのに必要なのは料理の知識ではない

飲食店ビジネスは料理経験がない人の起業事例も多く、比較的参入しやすい業界といわれています。

しかし、未経験でも億単位の年商を稼ぎ出すようになった、わずか1坪からスタートして今や多店舗展開で大成功!なんて話もあるくらい、夢のある業界であることは確かです。

それゆえに、飲食店の成功の鍵を握るのは、「経営力」であることは間違いありません。ありとあらゆる飲食店がしのぎを削る中、料理がおいしいのは当たり前。それ以外の部分で経営力を発揮できるかどうかにかかっています。

たとえ「料理経験がない人」でも、成功した人は必ず「経営」を学んでいるからです。

経営の基本知識、お金の流れを学ぶ

儲けが出ているのに倒産してしまうことを「黒字倒産」と呼びます。

運転資金が底をついてしまったがために起きてしまう事態ですが、実際のお金の入金と出金が一致せず、経費の支払いなどで資金繰りに行き詰まった結果ともいえます。

また黒字倒産してしまうケースで、経営者が会計上のお金の流れを理解していなかった……ということは少なくありません。

せっかく開業したお店を潰さないためにも、経営にまつわるお金の基礎知識をしっかりと身に付ける必要があります。

損益計算書

お店の儲けや支払い、最終的に手元に残る利益など、年間の経営成績を表す決算書のひとつ。損益計算書は金融機関から融資を受ける際にも必要で、お店の経営状態を知るためにも欠かせないデータです。

損益計算書の基本算式は、「売上-費用=利益」。

この利益をより細かく5つに算出(売上総利益/営業利益/経常利益/税引き前当期利益/当期純利益)することで、正確な経営成績を明らかにできます。

損益計算書のポイントはこれら「5つの利益」がマイナスになっていないかチェックすること。すべての利益がプラスになっている場合は、儲かっている証拠です。

また、算出した数値を使って経営状態を分析することも可能。例えば、効率よく儲けているかを計る“収益性”や、支払能力や事業を維持する力があるかを計る“安全性”など、さまざまな角度からデータを活用することができます。

貸借対照表

貸借対照表は、土地や建物・資金といった財産と、借入金などの負債のバランスを比較したデータ表のことです。「資産」「負債」「純資産」の3つで成り立っており、表作成の際、左側に「資産」、右側に「負債」「純資産」を記入し、双方の合計が一致するため別名バランスシートと呼ばれています。

この表からは、お店の資産と負債がどんな状態にあるのか読み取ることができます。分かりやすく例えるなら、損益計算書が“お店の成績表”、貸借対照表は“お店の健康状態を示す診断書”といってもよいでしょう。

参考記事 飲食店経営の成功法則【黒字化の秘訣】を徹底解説!

飲食店経営の学習方法

飲食店経営を学ぶための手段は多岐にわたり、かかる費用はさまざまです。ここでは、経営初心者向けに無料で取り組める方法や、比較的費用のかからない方法を紹介します。

もっとも気軽に取り組めるのが、YouTubeなどで無料公開されている動画で学ぶ方法です。なかには無料とは思えない有益な情報もあるため、チェックしてみましょう。役に立つと感じたら、その配信者が提供している有料のセミナーや教材、コミュニティに参加するのもよいでしょう。

また、動画ではわかりにくいという方は書籍もおすすめです。書籍では、より専門的な内容が記述されているため、じっくりと深く学ぶことが可能です。

なお、最初に手に取る1冊としておすすめなのが『はじめての人の飲食店開業塾 (まずはこの本から!)』(著:赤沼 慎太郎)です。この本は、飲食店経営について網羅されており、最初の1冊にちょうどよいでしょう。発行が2009年なので現在の状況とギャップを感じる箇所があるかもしれませんが、イラストや表が多く、とても読みやすい書籍です。

経営に役立つおすすめの本ランキング

先ほど紹介した書籍のほかにも飲食店経営に役立つ本は数多くあります。ここでは飲食店を経営する筆者が厳選した5冊をランキング方式で紹介します。

5位 『繁盛店に「職人」はいらない (どんな立地・予算でも飲食店に客を集める成功メニューの鉄板法則)』(著:坂東 誠)
少ない予算で成功する秘訣が学べます。アフターコロナの飲食店経営術にも言及している、繁盛店のノウハウが詰まった書籍です。

4位 リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間(著:高野 登)
多くの飲食店関係者に愛読されている、サービスの真髄が学べる名著です。サービス業に携わるなら一読する価値はあります。

3位 セールスコピー大全:見て、読んで、買ってもらえるコトバの作り方(著:大橋 一慶)
セールスコピーとは、商品やサービスの購入を促すために用いる文章です。セールスコピーは、メニューや掲示物の作成、SNSやブログ、求人など多くのシーンで活用できるため常備しておくとよいでしょう。

2位 脱・どんぶり勘定! これからの飲食店 数字の教科書(著:東海林 健太郎)
「数字管理が苦手」な方に最適な書籍です。目標達成から利益改善、販促施策、スタッフ育成に関する数字のポイントがわかります。

1位 全国繁盛例から導いた集客の法則 飲食店の五感刺激マーケティング(著:木下尚央之)
飲食店に特化したマーケティングが学べます。マーケティング初心者でもわかりやすく書かれており、コロナ禍の不況から回復できたとの口コミもある評価の高い書籍です。

ぜひ、以上の5冊を読んで、自店の飲食店経営に活かしてください。

キャッシュフローを学ぶ

キャッシュフローとは、「お金の流れ」のことで、損益計算書、賃借対照表と並んで理解すべき経営上の重要指標です。

たとえば1,000円で仕入れたものが2,000円で売れれば、キャッシュフローはプラスの状態であるのに対し、値下げして800円で売れればマイナスに。

また、1ヶ月の売上すべてが現金による支払いだった場合とクレジットカードだった場合、経営者にとって悩ましいのは後者。お店への入金は先になるので、売上は黒字だったとしても手元に現金が足りなくなってしまった……なんてこともあり得るからです。

こうしたマイナス状態が続くと、資金繰りは悪化し、倒産につながってしまう可能性もあるため、お店に入ってくるお金と出ていくお金の管理を行う「資金繰り表」を作成し、資金の流れをコントロールします

資金繰り表はエクセルやネットのテンプレートを使い、月単位、もしくは日で管理します。ポイントは手元にある現金、入金予定日、支払い日およびその金額を表にまとめるだけ。
お店の家計簿と考えるとよいでしょう。

お金の流れを把握できていれば、資金繰りを安定させて資金がショートするリスクを抑えることにつながり、仮にキャッシュフローが悪化している状況でも、金融機関に融資を申し込むなどの対応策を立てることができます。

コンセプト作りを学ぶ

お店を始めたい!と思い立ったのであれば、最初にやるべきは「お店のコンセプトを作ること」。幹がしっかりしていなければ枝葉もつきようがありません。

まずは自分の好きなものから、世の中のニーズ、競合他社の調査結果などをヒントに、コンセプトを作り上げていきます。

ある程度コンセプトが固まったら、次に店のウリとなる主力商品や狙いたいターゲット層を考え、これらが明確になってきたら、お店を始めるにふさわしい立地や運営方法、必要な人材などがおのずと見えてきます。

ここで大切なのはアイデアをとことんブラッシュアップさせること。特に看板メニューは店の顔となるため、このポイントを磨くことで他店との差別化もでき、リピーター確保につながります。
また自身がマーケッターになることも大切。世の中の変化をいち早く嗅ぎ取り、トレンドに敏感でいることは、店づくりに反映できる発見も多々あるからです。

コンセプト作りと集客の重要性

料理に自信があるから、儲かりそうなビジネスモデルだから、そんな安易な考えでは失敗するのは目に見えてしまいます。お店を長く続けるために一番重要なのは「集客」。どれだけ多くの人に自分の店を知ってもらえるか、来てもらえるか、そしてリピートしてもらえるか。集客を制する者はビジネスを制する、といっても過言ではないからです。

先述した通りお店のコンセプトは幹。ここがブレてしまうと、安定した集客につなげるのも難しくなるため、10年後に生き残っている3%に入り込むことができないと言えるでしょう。

また、長く続いているお店は味以外にも、他の店にはない何かプラスアルファの経験を得られるのではないか?という期待感があるものです。

その結果、ターゲット層以外のお客様も来店し、客層をより広げていくことができるようになるのです。

それでも調理師免許を取得したい場合は?

飲食店の開業に調理師免許は必要ありませんが、各都道府県の食品衛生協会が実施している講習会参加(通常1日)で資格を得られる「食品衛生責任者」を置かなければいけません。こうした事情もあり、飲食店を開業するハードルは比較的低いです。

ただし、調理師免許を保有することで得られるメリット(食品衛生責任者の講習会免除や衛生面などで信用できるお店であることを証明できる)もあることから、取得を望む人は少なくありません。

取得の方法は2つあり、調理師学校を修了することと、調理師国家試験に合格することです。

調理師免許の試験は学校に通わなければ合格できないと考えがちですが、通信講座も含め、独学でも合格している人はたくさんいます。

飲食店経営に向いている人の特徴

飲食店経営に向いている人の多くは、以下の特徴がみられます。

・強い情熱と忍耐力
コロナ禍や為替、資源問題など、飲食業界は時勢の影響を受けやすいため、来客数の減少や仕入れ価格の高騰など日々さまざまな問題と向き合う必要があります。したがって、目的に向かって進み続ける情熱や忍耐力は不可欠です。

・柔軟な対応力
顧客の嗜好や市場のトレンドは絶えず変化します。そのため、変化に迅速に対応し、サービスやメニューを柔軟に調整できる適応力が求められます。

・優れたコミュニケーション能力
スタッフや顧客との円滑なコミュニケーションは、サービスの質を高め、リピーターの獲得につながります。特に、スタッフのモチベーションを維持し、チームワークを促進する能力は重要です。

・経営管理スキル
飲食店は多くの要素が絡み合う複雑なビジネスです。在庫管理、コスト計算、マーケティング戦略など、多岐にわたる業務を効率的に管理するスキルが求められます。

・顧客ファーストの姿勢
顧客満足度を最優先に考えることは、飲食ビジネスにおいて非常に重要です。成功を収めるには顧客のニーズを的確に把握し、期待を超えるサービスを提供する必要があります。

飲食店経営の平均年収はどのくらい?

「日経レストランONLINE」の調査によると、飲食店経営者の平均年収は627万円という数字が出ています。国税庁による「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の年収は約460万円です。したがって、飲食店経営者の平均年収は、全体の平均年収より167万円高いといえます。

しかし、飲食店経営者といっても業種はさまざまであり、業種ごとに平均年収は異なります。以下は業種別の平均年収の目安です。


業種平均年収の目安
居酒屋400万〜500万円
レストラン400万〜600万円
定食屋400万〜500万円
ラーメン店400万~800万円
カフェ・喫茶店200万〜500万円
バー200万〜300万円


ここで提示したのはあくまで平均年収の目安であり、実際は成功店と失敗店、フランチャイズ加盟の有無などでそれぞれの年収は大きく異なります。飲食店の収益は、業態、立地、経営戦略など複数の要因で大きく変動します。成功している店舗は、顧客ニーズの的確な把握やコスト管理の徹底、効果的なマーケティング戦略などを実施しているのが一般的です。一方、これらの要素が欠如している店舗では、収益が低迷する傾向にあります。

まとめ

たとえ人気店でも気が付いたら閉店していた……なんてことが当たり前にあるほど、飲食業界は移り変わりも早く、絶えず変化しています。

その流れの中で生き残るためには、経営者として学ぶ意欲を持ち続けることが何より大事です。店が提供するサービスやメニューにお客様は満足しているか、集客のための戦略はきちんと成立しているか、資金繰りに余裕はあるかなどなど、常に多角的な視点から店の状態をみなければならないもの。そのための勉強は必要不可欠です。

飲食店は開業ではなく、長く続ける先にゴールはあるものです。

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