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【小阪裕司コラム】第79回:会話の発生装置

【小阪裕司コラム】第79回:現場に山のように会話の発生装置_記事画像

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

お客さんとの会話を自然発生させるシステム

 今回は、意外なものがお客さんとの会話を生み出す機会になるというお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、生餅や赤飯等おこわの製造小売を行っているお店での実践だ。
 同店ではこれまでも、来店したお客さんへ、切り餅の耳や揚げ餅をひとつ、「どうぞ」と一言添え、お渡ししていた。ただ、口下手という店主。その一言が口ごもり、お客さんには喜ばれていたものの、一声かけるハードルがあった。
 そこで揚げ餅を100均で購入した皿に乗せ、「ほんの気餅(気持ち)です。おひとつどうぞ。」と書き添え、レジ前に置いてみた。するとすぐにお客さんの方から、「これ揚げ餅なの?昔家でもお正月に固くなった餅をよく揚げて食べてたわ。懐かしいね~」と、いきなりの会話発生。その後も「へ~、『気持ち』が『餅』になってる(笑)」、「この揚げ餅って売ってるの?」などなど、お客さんの方から自然と会話が生まれ、接客のハードルも下がり、大いに愉しくなったとのこと。
 実はこの実践、当会内で分かち合った、異業種での実践事例を真似たものだ。そちらはペット用のホテル、トリミングサロン、用品のショップを併設したお店でのこと。同店でも「物販だけを利用するお客さんは売り買いだけの会話になりがちで、無駄話や世間話につながりにくい」と店主。そこで、お客さんとの会話を生もうと、飴をかごに入れてレジ前に置き、「アメちゃん、おひとつどうぞ *人用です」と書いて貼ってみた。
 するとその日から、「飴ちゃんもらっていいですか?」「この飴懐かしいねー」と早速反応が。「人用だってー」と笑いも起こり、今までまったく会話をしたことがない、会話のハードルが高そうだと思っていたお客さんとも、この飴がきっかけで会話が生まれるようになったという。

おしゃべりはお客さんのことを知る貴重な機会

 これらの事例には共通する大切な学びがある。それはこれらの店が、そもそもお客さんとの会話を生むことに熱心なことだ。ペットショップ店主も「目的のないおしゃべり」を生もうとしたというが、昨今、巷の売り場からはそういうもの自体が減っている。しかし店頭での「目的のないおしゃべり」はお客さんにとって楽しいもの。そして、店にとってもお客さんのことを知る貴重な機会なのである。そして実際に会話を生もうとするときは、自然に会話が生まれる機会となると良い。彼らの実践のように、それはたった1つの飴や揚げ餅からも作れるものなのである。

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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