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最近よく耳にするようになった「ソーシャルコマース」という言葉。コミュニケーションや情報発信・収集ツールであるSNSを商品販売のプラットフォームとして活用する、新たなビジネスモデルとして注目を集めています。
本記事では、ソーシャルコマースの概要やソーシャルコマースが普及するようになった背景に触れながら、導入方法まで解説します。SNSを活用した販促を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ソーシャルコマース(SNS販売)とは?
ソーシャルコマース(SNS販売)とは、SNSとEコマース(EC)を掛け合わせて、商品の販促・販売を行う手法のことです。
SNSは今や私たちの生活に欠かせない存在となり、コミュニケーションツール、情報発信・収集ツールとして世代を問わず浸透しています。近年では、個人間だけでなく、企業と個人がつながる手段としても注目され、SNSを宣伝・集客ツールとして活用することも当たり前になりました。
現在はそのトレンドがさらに進化し、SNSを商品販売のプラットフォームとして活用する段階にまで到達しています。
これまでの購入方法では、SNS上で気になる商品を見つけた場合、商品をWEB検索して調べ、ECサイトまたは店舗で購入する流れが一般的でした。
しかし、ソーシャルコマースではSNSとECサイトが直結しているため、欲しい商品を見つけたら、そのままECサイトの購入画面に飛ぶことが可能。すなわち、販売機会の損失を防ぎ、商品の認知から購買までのプロセスを一元化する仕組みであるといえます。拡大を続けるEC市場
経済産業省が発表するデータによると、2022年の日本国内のEC市場規模はBtoC-EC(消費者向け電子商取引)で22.7兆円。年々右肩上がりで成長し続けており、10年前と比較すると2倍以上の市場規模となっています。またEC化率は、BtoC-EC全体で9.13%、食品分野においては、4.16%となっており、食品分野のECでの購入率も年々増加傾向にあります。
この理由のひとつにスマートフォンの普及が挙げられます。2010年には9.7%だった普及率が、2021年には88.6%にまで上昇。コロナ禍の「巣ごもり需要」も相まって、ここ数年でスマートフォン、もといSNSを利用した商品販売、すなわちSNS販売の一般化が進みました。
実際に、スマートフォン経由の物販のBtoC-EC市場規模は7兆8,375億円で、これは、物販のBtoC-EC市場規模の約56%に相当する金額です。一方でPCの保有率は減少傾向にあり、当面は、スマートフォンを通じた電子商取引が物販系BtoC-EC市場規模拡大の要因となる状況が継続するものと考えられています。ソーシャルコマースの導入方法
では、実際にソーシャルコマース(SNS販売)を始めるにはどうすればいいのでしょうか。SNSとひとくちに言っても、InstagramやFacebook、X、TikTokなど、その種類は多岐にわたります。
SNSプラットフォームの選択
まずはソーシャルコマース(SNS販売)の土台となるプラットフォームを選択しましょう。主流となっているのは上述した4つのSNSです。それぞれの特徴を説明すると、以下のようになります。
Instagram - 10代〜60代以上の幅広い層のユーザーを抱える、日本トップのユーザー数6000万人以上のプラットフォーム
- 写真や動画中心に、ユーザーとのコミュニケーションが気軽にできるため、ユーザーのファン化に繋げやすい
Facebook - 実名登録でリアルでの繋がりを重視するプラットフォーム
- 30代以上のビジネスパーソンに利用が多く、ユーザー数は2500万人程度に減少
X - ユーザー数はInstagramと並び6000万人以上のプラットフォーム
- 文字の投稿が主流で、ハッシュタグやRT機能による情報拡散が見込める。タイムリーな話題の拡散力が強い
- 文字数制限があるため、商品情報の詳細な説明が難しい可能性も
TikTok - 10代-20代を中心に高い人気を誇るプラットフォーム
- ユーザー数は2000万人以上
- フォロワーが少なくても、コンテンツ次第で一定の視聴が見込める
- 動画メインのためコンテンツ制作が難しい
中でも、SNS販売のプラットフォームとしてのおすすめはInstagramです。Instagramの効果
Instagramは幅広い年齢層に利用され、日本で利用者が最も多いという特長に加え、以下のようなメリットがあります。
- 商品の利用シーンを写真や動画で訴求できる
- 低コストでも認知拡大できる
- 商品購入までがスムーズで、離脱率を低減できる
①Instagramは商品の利用シーンを写真や動画で訴求できる
Instagramはビジュアル重視のSNSで、ユーザーに商品の視覚的訴求を促すことができます。また、商品の利用シーンをリアルに描写した写真や動画を投稿することで、商品の魅力をより直感的に伝えることが可能です。
②低コストでも認知拡大できる
Instagramは他のSNSと同様に、基本的な機能は全て無料で利用できますが、その中でも注目すべきはハッシュタグ機能です。日本では、Instagramのハッシュタグを使ってお店や観光スポットを調べる行為が「タグる」と言われており、その利便性からGoogleに代わる検索ツールとしての地位を確立しつつあります。
さらに興味深いのは、日本のInstagramユーザーのハッシュタグ使用率が世界平均の5倍に達しているという事実です。そのため、現代日本における認知拡大について、Instagramのハッシュタグを活用する事の重要性がますます高まっていると言えます。
③商品購入までがスムーズで、離脱率を低減できる
Instagramには、写真や動画、ストーリーズの投稿にECサイトの商品タグを設定できる「ショッピング機能」という機能が搭載されています。ショッピング機能を使えば、ユーザーは興味を持った商品を直接Instagramから外部の連携サイトに遷移して購入することができます。これにより、ユーザーの離脱率を下げる効果が期待できるのです。
Instagramショッピングとは?
Instagramの投稿に付けられた商品タグをクリックするだけで、ユーザーが商品販売ページに遷移できる機能です。見た目は普通の投稿と変わらないため、ユーザーの気分を害す心配もなく、自然な流れでECサイトの商品購入画面に誘導可能です。
日本では2018年から導入されており、導入費用は無料。Instagramショッピング経由で商品が購入された際に手数料が発生します。Instagramショッピング機能の導入方法
Instagramショッピングの導入には自社ECサイトが必要とされ、以下の5ステップでECサイトとInstagramアカウントを連携させます。
(1)利用条件を満たしているかを確認する
以下4点の条件が満たされると自動的に審査が開始され、ショッピング機能へのアクセスが可能となります。
- Instagramショッピングを利用できる国に拠点がある
- Instagramのショップで販売可能な商品を扱っている
- 販売者契約とコマースポリシーを遵守している
- ビジネスで所有しているウェブサイトドメインで商品を販売する予定である
(2)Instagramビジネスアカウントに切り替え、Facebookページとリンクさせる
ビジネスアカウントとは、ビジネス情報の追加、アカウント分析、広告配信などの機能が使えるようになるモードのことで、無料で作成できます。Facebookページがない場合は、同時に作成します。
(3)Facebookページ内に商品カタログを作成する
商品カタログとは、販売商品を一覧で管理する機能です。画像、価格、商品説明など、必要事項を登録します。
(4)Instagramショッピング機能の審査を申し込む
商品カタログやECサイトとの紐づけ申請を行います。
(5)Instagram投稿にショッピングタグを追加する
販売したいアイテムを商品カタログから選択し、投稿にタグ付けします。投稿が完了するとショッピングバックのアイコンが表示され、ユーザーはこのアイコンをクリックすることで、ECサイトの商品購入画面に移動できます。
自社ECサイトがなくてもソーシャルコマースを導入する方法は?
今から開業しようと考えている方の場合、自社ECサイトを一から開設するのは大変です。
ECサイトやInstagramショッピングを介さなくても、注文毎にオンライン決済用のリンクが作れるサービスを利用することで、ソーシャルコマースの導入が可能となります。
商品の注文をSNSのダイレクトメッセージで受け付け、購入希望者にオンライン決済用のリンクを送るだけでOK。決済用リンクをクリックするだけで決済画面に進むことができます。ソーシャルコマースのメリット
顧客の囲い込みとブランディングにつながる
ECサイトは企業からの一方的な情報発信が中心になりがちですが、ソーシャルコマースではSNSを通じて顧客とのコミュニケーションが可能となります。
SNSアカウントをフォローする=その企業や商品に興味を持っていることの現れですから、そうした潜在顧客の囲い込みは欠かせません。商品の情報発信以外に、商品開発の裏話を盛り込んだり、質問コーナーを設けて会話したりすることで、リピーターの獲得やブランディングにつながります。
また、フォロワーとはストーリーズやダイレクトメッセージ、インスタライブなどで、簡易的かつ直接的なコミュニケーションが取れるため、フォロワーのファン化を促すことができます。
したがってまた、これからビジネスを始めたいと思っている方にとっても、コアなファンの獲得と商品販売を同時に叶えられるため、有効なツールといえます。
Z世代の取り込みにも有効
Z世代とは、1990年代後半から2010年代初頭までに生まれた世代を指します。SNSネイティブ世代とも呼ばれ、幼い頃からスマートフォンを持ち、テレビや雑誌よりもSNSに影響を受けて購買活動を行う傾向にあります。
Z世代は今後EC市場での消費活動の核になると予想されており、ソーシャルコマースの導入によってそのZ世代を新たな顧客層として取り込める可能性が高まります。
ソーシャルコマースのデメリット
売上が立つまでに時間を要する
ソーシャルコマースを成功させるには、まずSNSアカウントのフォロワー数を増やす必要があります。広告出稿など、フォロワー獲得のペースを早める施策はあるものの、基本的には地道な情報発信が必要で、売上が立つまでに一定の時間がかかります。
定期的な情報発信が必要
SNSは情報発信の場であることから、商品やサービスの情報発信を定期的に(理想は1日最低1回)行う必要があります。情報発信が滞り、更新されないアカウントだと判断されてしまうと、顧客のロイヤリティー(信頼や愛着)が低下し、売上にも悪影響が出る可能性がありますので注意してください。
ソーシャルコマースの成功事例
ソーシャルコマース(SNS販売)のノウハウを学んだところで、SNSを活用したマーケティングを実践し、売上アップにつなげた事例をいくつか見てみましょう。
スターバックスの #RedCupContest
毎年、季節に応じたSNS活用イベントが話題に上るスターバックス。そのうちのひとつである「#RedCupContest」は、クリスマスシーズンに Instagram上で行われるキャンペーンで、ユーザーに赤いカップを使った創造的な写真を投稿するよう促し、優勝者には賞金を提供。2014年の開始以来、毎年数十万件の投稿を獲得しています。
このキャンペーンにより、季節限定商品の宣伝とユーザーエンゲージメントの向上を同時に達成しています。
ドミノ・ピザの Twitter 絵文字注文
2015年に開始された「Tweet-to-Order」システム。ユーザーは事前に注文情報を登録し、その後はピザの絵文字をツイートするだけで注文可能というシステムです。
キャンペーン開始後の最初の1週間で、Twitter 経由で500注文という成果を生み出し、テクノロジーとソーシャルメディアを融合させた革新的なアプローチとして注目を集めました。
グロー(GlowRecipe)の Instagram ショッピング機能活用
韓国発のスキンケアブランドが、2017年に Instagramのショッピング機能を採用。製品画像、使用方法の動画、ユーザーレビューなどを効果的に組み合わせた投稿が顧客満足度を向上させました。
さらに、タグ付け機能により、ユーザーは投稿から直接商品ページに遷移可能に。この戦略により、Instagram 経由の売上が前年比300%増加したと報告されています。
ますます主力となりゆくソーシャルコマースの波に乗ろう
SNSは単なるコミュニケーションや情報収集ツールではなく、商品販売のプラットフォームへと進化を続けています。
売上が立つまでには一定の時間がかかり、SNSの継続的な運用も必要となりますが、顧客の囲い込みやブランディングにつながるメリットも。今後EC市場での消費活動の核になると予想されるZ世代の取り込みも期待できます。
ブランディングの強化や新たな顧客層獲得を狙う企業だけでなく、これからビジネスを始めたいと思っている方にとっても有効なツールです。ぜひ積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
無料会員登録この記事の監修
株式会社レグルスインターナショナル 代表取締役
今村祐紀
SNSマーケティング(Instagram)を中心に、web集客のサポートをする株式会社レグルスインターナショナルの代表取締役。
同社はIT導入補助金のベンダー登録企業でもあり、延べ400社以上のクライアント運用実績を持つ。
最近は学校や行政などから依頼を受け、定期的にセミナーや授業に登壇している。- NEW最新記事
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