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SNSで商品を販売する時代へ。ソーシャルコマースの魅力とは?

SNSで商品を販売する時代へ。ソーシャルコマースの魅力とは?

最近よく耳にするようになった「ソーシャルコマース」という言葉。コミュニケーションや情報発信・収集ツールであるSNSを商品販売のプラットフォームとして活用する、新たなビジネスモデルとして注目を集めています。

ソーシャルコマースとは?

ソーシャルコマースとは、SNSとEコマース(EC)を掛け合わせて、商品の販促・販売を行う手法のことです。
SNSは今や私たちの生活に欠かせない存在となり、コミュニケーションツール、情報発信・収集ツールとして世代を問わず浸透しています。近年では、個人間だけでなく、企業と個人がつながる手段としても注目され、SNSを宣伝・集客ツールとして活用することも当たり前になりました。
現在はそのトレンドがさらに進化し、SNSを商品販売のプラットフォームとして活用する段階にまで到達しつつあります。

これまでの購入方法では、SNS上で気になる商品を見つけた場合、商品をWEB検索して調べ、ECサイトまたは店舗で購入する流れが一般的でした。
しかし、ソーシャルコマースではSNSとECサイトが直結しているため、欲しい商品を見つけたら、そのままECサイトの購入画面に飛ぶことが可能。すなわち、販売機会の損失を防ぎ、商品の認知から購買までのプロセスを一元化する仕組みであるといえます。
日本ではまだ実現していませんが、アメリカにおいては、Facebook、Instagram内で決済まで完了できる機能が実装されています。

拡大を続けるEC市場

経済産業省が発表するデータによると、2020年の日本国内のEC市場規模はBtoC-EC(消費者向け電子商取引)で19兆2779億円。コロナ禍の影響で前年と比べて830億円の減少だったものの、2013年以降、拡大傾向が続いています。

さらに、2019年のスマートフォンの世帯あたりの保有率は83.4%。パソコンの保有率が下落する一方で、スマートフォンの保有率は右肩上がりを続けています。そうしたことから、スマートフォンを核としたコンテンツ&サービス作りが求められる時代が到来しています。

実際に、スマートフォン経由の物販のBtoC-EC市場規模は6兆2,269億円で、スマートフォンが占める比率は全体の50.9%にのぼります。この数値が示すように、スマートフォンによる購買行動はすでに一般化しており、ソーシャルコマースに対する期待も高まっています。

出典:経済産業省
令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)2021年7月

ソーシャルコマースのメリット

顧客の囲い込みとブランディングにつながる

ECサイトは企業からの一方的な情報発信が中心になりがちですが、ソーシャルコマースではSNSを通じて顧客とのコミュニケーションが可能となります。

SNSアカウントをフォローする=その企業や商品に興味を持っていることの現れですから、そうした潜在顧客の囲い込みは欠かせません。商品の情報発信以外に、商品開発の裏話を盛り込んだり、質問コーナーを設けて会話したりすることで、リピーターの獲得やブランディングにつながります。

また、これからビジネスを始めたいと思っている方にとっても、コアなファンの獲得と商品販売を同時に叶えられるため、有効なツールといえます。

Z世代の取り込みにも有効

Z世代とは、1990年代後半から2010年代初頭までに生まれた世代を指します。SNSネイティブ世代とも呼ばれ、幼い頃からスマートフォンを持ち、テレビや雑誌よりもSNSに影響を受けて購買活動を行う傾向にあります。
Z世代は今後EC市場での消費活動の核になると予想されており、ソーシャルコマースの導入によってそのZ世代を新たな顧客層として取り込める可能性が高まります。

ソーシャルコマースのデメリット

売上が立つまでに時間を要する

ソーシャルコマースを成功させるには、まずSNSアカウントのフォロワー数を増やす必要があります。広告出稿など、フォロワー獲得のペースを早める施策はあるものの、基本的には地道な情報発信が必要で、売上が立つまでに一定の時間がかかります。

定期的な情報発信が必要

SNSは情報発信の場であることから、商品やサービスの情報発信を定期的に(理想は1日最低1回)行う必要があります。情報発信が滞り、更新されないアカウントだと判断されてしまうと、顧客のロイヤリティー(信頼や愛着)が低下し、売上にも悪影響が出る可能性がありますので注意してください。

ソーシャルコマースの導入方法

SNSを介したソーシャルコマースのプラットホームとして主流なのは、FacebookやInstagramなど。TikTokやYouTubeにおいても、現在アメリカやヨーロッパでソーシャルコマースの試験導入が開始されています。ここではInstagramを事例に、導入方法について紹介します。

Instagramショッピングとは?

Instagramの投稿に付けられた商品タグをクリックするだけで、ユーザーが商品販売ページに遷移できる機能です。見た目は普通の投稿と変わらないため、ユーザーの気分を害す心配もなく、自然な流れでECサイトの商品購入画面に誘導可能です。
日本では2018年から導入されており、導入費用は無料。Instagramショッピング経由で商品が購入された際に手数料が発生します。

Instagramショッピング機能の導入方法

Instagramショッピングの導入には自社ECサイトが必要とされ、以下の5ステップでECサイトとInstagramアカウントを連携させます。

(1)利用条件を満たしているかを確認する
以下4点の条件が満たされると自動的に審査が開始され、ショッピング機能へのアクセスが可能となります。

・Instagramショッピングを利用できる国に拠点がある
・Instagramのショップで販売可能な商品を扱っている
・販売者契約とコマースポリシーを遵守している
・ビジネスで所有しているウェブサイトドメインで商品を販売する予定である

(2)Instagramビジネスアカウントに切り替え、Facebookページとリンクさせる
ビジネスアカウントとは、ビジネス情報の追加、アカウント分析、広告配信などの機能が使えるようになるモードのことで、無料で作成できます。Facebookページがない場合は、同時に作成します。

(3)Facebookページ内に商品カタログを作成する
商品カタログとは、販売商品を一覧で管理する機能です。画像、価格、商品説明など、必要事項を登録します。

(4)Instagramショッピング機能の審査を申し込む
商品カタログやECサイトとの紐づけ申請を行います。

(5)Instagram投稿にショッピングタグを追加する
販売したいアイテムを商品カタログから選択し、投稿にタグ付けします。投稿が完了するとショッピングバックのアイコンが表示され、ユーザーはこのアイコンをクリックすることで、ECサイトの商品購入画面に移動できます。

自社ECサイトがなくてもソーシャルコマースを導入する方法は?

今から開業しようと考えている方の場合、自社ECサイトを一から開設するのは大変です。

ECサイトやInstagramショッピングを介さなくても、注文毎にオンライン決済用のリンクが作れるサービスを利用することで、ソーシャルコマースの導入が可能となります。

商品の注文をSNSのダイレクトメッセージで受け付け、購入希望者にオンライン決済用のリンクを送るだけでOK。決済用リンクをクリックするだけで決済画面に進むことができます。

ますます主力となりゆくソーシャルコマースの波に乗ろう

SNSは単なるコミュニケーションや情報収集ツールではなく、商品販売のプラットフォームへと進化を続けています。

売上が立つまでには一定の時間がかかり、SNSの継続的な運用も必要となりますが、顧客の囲い込みやブランディングにつながるメリットも。今後EC市場での消費活動の核になると予想されるZ世代の取り込みも期待できます。

ブランディングの強化や新たな顧客層獲得を狙う企業だけでなく、これからビジネスを始めたいと思っている方にとっても有効なツールです。ぜひ積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

ライター:上田はるか(フリーライター)

大学卒業後、輸入食品商社に勤務し、新規店舗の立ち上げや自社直営ティーサロンのメニュー開発を経験。その後、大手ギフト会社の企画開発部、広報宣伝部を経てフリーランスに。現在はWEB媒体をメインに、食ジャンルの原稿執筆を行う。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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