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50代は、ビジネスパーソンとしても一人の人間としても円熟味を増してくる年代です。積み重ねてきた経験を活かし、開業や起業を考え始める方も多いのではないでしょうか。
この記事では、50代から開業・起業するメリットや失敗しないための注意点、おすすめの職種などを解説します。最後まで読むことで、新たな一歩を踏み出すために必要な情報がまとめて得られるでしょう。
目次
50代からでも開業・起業は遅くない!
「50代からでは、体力的な面で開業が難しいのではないだろうか」
「時代の流れに合ったビジネスを始められるのか不安」
こういった思いを抱えている方もいるでしょう。
結論から伝えると、50代からの開業は決して遅くありません。
20代や30代と比べると、確かに体力・瞬発力などは劣る可能性があります。しかし、50代の方には、酸いも甘いも噛み分けてきた豊富なビジネス経験があるでしょう。
50代ならではの経験を活かして開業する方は、意外にも多くおられます。日本政策金融公庫が実施した「2021年度新規開業実態調査」では、2020年に開業した50代は全体の19.4%に達することがわかりました。この調査結果から見ても、50代で開業を志す方が一定数以上いる事実がわかります。
一方で、50代がビジネスを始める場合、悠長に構える時間は決して多くありません。時間を無駄にしないためにも、開業時にはそれまでの経験やスキル、人脈を手早く最大限に活かせる事業計画を立てましょう。
50代で開業・起業するメリット
1. 培ってきた人脈を活かせる
50代ともなれば、公私ともにさまざまな出会いを積み重ねてきたことでしょう。数十年分の人脈を開業に活かせる点は、50代ならではのメリットです。
【活かせる人脈の例】
●実践的なアドバイスをくれる開業・起業経験者
●開業後もビジネスができる会社員時代の取引先
●新規顧客となりうる友人・知人
●住宅ローンなど、借入をしたことがある銀行
これまでの人生で築き上げてきた人脈には、新たなビジネスの助けとなる経営資源が詰め込まれています。
ビジネスにおいて何よりも重要なのは信頼。開業にいたるまでの人生で十分な信頼関係を築けていれば、周囲の人もさまざまな場面で協力してくれるでしょう。
2. 開業資金に余裕がある
50代で開業するメリットとして、40代以下に比べて資金面に多少の余裕を持っている点が挙げられます。
散財せず、会社員として安定的に収入を得ていれば、50代には一定額の貯金があるでしょう。さらに、退職する場合は退職金を受け取れる可能性もあります。これらの資金を事業に使える点は大きな強みです。
家庭での支出についても、50代に差しかかるころには下記の可能性が考えられます。
●子育てが一段落して教育費の支出が落ち着く
●住宅ローンの完済が間近
固定費の支出が少なくなるため、50代は開業資金・運転資金を確保しやすい年代でもあるのです。
3. 経験・スキルが豊富
50代は、ビジネスマンとしての経験やスキルを豊富に持っている年代です。20代~40代で得たものを新たなビジネスに反映できる点は、50代ならではの強みでしょう。
50代ともなれば、営業やマーケティング、製造、接客、経理、人事など個々の業務におけるスペシャリストとして活躍してきた方が多くいます。際立ったスキルを持っていれば、開業時の強力な武器となるでしょう。
また、マネジメントや会社経営に関わる業務の経験があれば、より広い視野からビジネスを展開できます。
4.子育てが一段落している
50代は、子どもが大学生や社会人になるなど子育てが落ち着き始める年代です。
子どもが幼いうちに事業を始めると、軌道に乗せるまでが忙しなく、「子育てを全然手伝ってくれなかった」「父親(母親)との思い出があまりない」「教育費や生活費の捻出が大変」といった家庭内での行き違いや不満を生みかねません。
しかし、子育てが終わった後に開業すれば、仕事に集中できる時間や資金を多く確保できるようになるでしょう。その際も、家庭を大切にする配慮はもちろん必要です。5.気力・体力が十分残っている
60代以上に比べると、50代は気力・体力面でもまだまだ働ける年代です。「開業する年齢」に制限はもちろんありませんが、心身が健康なうちに開業することで、より多くの時間を事業に割けるでしょう。
50代での開業・起業を成功させるためのポイント
やみくもに事業をスタートしても、十分な成果は得られません。成功するためのポイントを理解・意識したうえで動き出すことが何よりも重要です。
ここからは、50代での開業・起業を成功させるためのポイントを2点解説します。
1. 知識や経験を活かせる業種・業態を選ぶ
50代での開業を成功させたいなら、これまでに培ってきた知識や経験が活きる業種・業態を選びましょう。未経験の業界へチャレンジするのも一つの選択肢ではありますが、社会人生活で得た知識・経験を活用できる分野の方が成功する可能性は高くなります。
これまでに経験したビジネスであれば、仕入先や提案先、困ったときの相談先など、持っている人脈も活かしやすいでしょう。新たな業界にチャレンジする場合、スキルや人脈を貯めながら事業を軌道に乗せるのは大きなエネルギーが必要です。
50代は、事業が失敗したときに巻き返すための時間が少ない年代でもあります。少しでもリスクを減らすため、積み重ねてきた知識や経験を活かしましょう。
参考記事:起業アイデアを生むための行動15選を紹介!具体例や成功に繋げるポイントも解説
2.デジタル化に対応する
開業を成功させるためには、デジタル社会への対応が必須です。若者と比べ、パソコンやインターネットなどにうとい方や、「開業を検討している分野では、デジタルに関する知識はあまり必要ない」と考える方もいるかもしれません。
しかし、現代社会ではパソコンやインターネットの活用は不可欠。会計処理ひとつとってもインボイス制度や電子帳簿保存法の改正など、国を挙げてデジタル化が進んでいます。業務負担を軽減するためにも、会計ソフトや業務効率化ツールを導入し、事業のデジタル化をはかるとよいでしょう。
また、提供するサービス・販売する製品にかかわらず、インターネットによる営業活動・広報活動が必要な時代です。苦手意識があっても、敬遠せずにデジタル化への対応に取り組んでいきましょう。
50代での開業・起業を失敗しないために押さえておきたいポイント
人生において大事なチャレンジである開業。失敗を避けるためにも、50代開業者が抱える懸念点を理解しておきましょう。
ここからは、50代での開業を失敗させないために押さえるべきポイントを5点解説します。
1.事業の需要、収益性を確認する
総務省統計局が発表した「2021年(令和3年)個人企業経済調査結果」によると、全国の個人企業約40,000企業を調査対象にした「主な事業経営上の問題点別企業割合」の中で、経営上、最も大きな問題点として挙げられたのは、業態に関わらず「需要の停滞」でした。
始めようとしているビジネスに、世間の需要がなければ行き詰まってしまうことは明白です。まして、失敗したあとのリスクが高い50代での開業においては、需要が少ないニッチな事業を始めることは危険を伴うチャレンジと言ってもよいでしょう。
失敗を避けるため、そしていち早く事業を軌道に乗せるためには、事業に顧客・需要は存在するのか、収益性があるのかを確認することが大切です。
2.小規模ビジネスからスタートする
失敗しても挽回の時間がたっぷり残されている20代・30代とは異なり、50代に残された時間は決して多くありません。開業失敗を避けるためには、できるだけ小規模なビジネス(スモールビジネス)から始めましょう。
コストと事業の規模を抑えるほど、失敗時のダメージは少なくなります。まずは小規模でビジネスを始め、軌道に乗ったら少しずつ拡大していきましょう。
【コストを抑える一例】
●スタッフを雇わず一人で事業を始める
●事務所を自宅にする
資金面では、老後の生活も視野に入れ、貯金や退職金をある程度残しておくことも重要です。開業のために預貯金を使いきってしまうと、廃業時に取り返しがつきません。開業資金と老後資金の区別は、はっきりとつけましょう。
自己資金が尽きてしまえば、銀行などの金融機関から融資も受けにくくなります。
3. 専門家からアドバイスをうける
失敗を避けるためには、あらかじめ開業について詳しい専門家からアドバイスをうけましょう。ビジネス経験が豊富な50代であっても、いざ開業となるとわからない事柄が多く出てくるものです。
50代は、積み重ねてきた実績が大きな自信に変わっている年代ではありますが、ときには素直に意見を求める姿勢も大切です。経営に関しては、どれだけ柔軟に周りの意見を取り入れられるかが成長のカギとなるでしょう。
事業への信念や情熱をしっかりと持ちつつ有識者のアドバイスをうけることで、より大きな成果が期待できます。
4. 支援制度のルールを確認する
開業に必要な資金を調達する手段としては、国や自治体が交付している補助金や助成金の利用が有効です。しかし、実際にお金を受け取るためには、各補助金・助成金ごとに定められた要件をクリアしなければなりません。
なかには50代では受けられない制度もあるため、あらかじめ利用に必要なルールを確認しておきましょう。
5.社会保障が手薄になる
開業して個人事業主になる場合には、基本的に保険が国民健康保険に切り替わります。国民健康保険には「傷病手当金」などの給付がないため、病気やケガをして稼働できなくなっても一切の補償がありません。
収入を得られない期間は、預貯金や各種保険で耐えるしかないのが実情です。この状態が続くと貯金が乏しくなるため、万が一に備えたリスクヘッジを欠かさずに行いましょう。具体的な方法として、文芸美術国民健康保険組合やフリーナンスへの加入がおすすめです。
なお、開業にあたって法人を設立した場合には、法人名義で社会保険に加入すれば会社員と同様の社会保障が受けられます。
50代から開業・起業するときの流れを解説!
開業に向けた具体的な取り組みを行う際には、事業内容の策定や資金調達など一つひとつのフローを丁寧に進めましょう。
ここからは、50代から開業する流れを4つの段階にわけて解説します。
1. 開業によって何を実現したいのかを考える
最初にやるべき取り組みは、なぜ開業したいのかを考えることです。やりたいビジネスがあるのか、提供したいサービス・商品があるのかなど、開業の目的を明確にしましょう。
実現したい未来がある程度明確になったら自己分析を行います。持っているスキルや活かせる経験をリストアップして、どのように事業に反映できるのかを検討しましょう。
2. 事業計画を固める
事業の大枠が決まったら、その内容を事業計画書として具体的な形に落とし込みましょう。事業計画書には、下記の項目などが必要です。
●事業内容
●想定顧客
●提供できる価値(サービス・製品の詳細)
●市場規模
●競合情報
●販売戦略・マーケティング戦略
●生産方法・仕入先など
●売上目標
●資金調達に関する計画
事業計画を立てなければ、どのように市場で戦っていくのかが不明瞭となります。明確なプランがない状態で十分な利益を出すことは難しいでしょう。
また、事業計画書は融資を受ける際の説得材料にもなります。融資元に事業の意義を説明できなければ、開業資金が準備できない可能性もある点に注意しましょう。
参考記事:事業計画書のテンプレート・見本の活用方法!入手から書き方についても解説
3. 資金計画を考える
事業計画書が完成したら、開業に必要な資金をどのように調達するのかを考えましょう。
理想は「必要なお金を自己資金でまかなうこと」ですが、開業資金の予算が高額の場合はあまり現実的な手段ではありません。金融機関からの融資や補助金・助成金の利用など、さまざまな手段を用いて資金を用意する必要があります。
【代表的な資金調達方法】
●銀行からの融資
●日本政策金融公庫からの融資
●各自治体からの制度融資
●補助金・助成金の利用
●ビジネスローンの利用
●投資家からの出資
●クラウドファンディング
上記の資金調達方法を用いて、必要な資金を確保しましょう。
また、融資を受ける場合であっても、信用を得るために「最低限の自己資金」が必要な点は押さえておきましょう。
参考記事:開業・起業に必要な資金はいくら?使える資金調達方法を紹介
4. 専門家に相談する
事業計画・資金計画を立てたあとも、開業時にはやるべきことが数多くあります。税務や会計、法務、社会保険など専門的な各種手続きも済ませなければなりません。
事業計画書や資金調達に不安がある方、初めてのことばかりで何から手をつけてよいのかわからない方は、司法書士や税理士、コンサルタントなど開業の専門家に相談しましょう。開業時には資金が心もとないケースも多いため、最初は無料相談を実施している専門家への相談がおすすめです。
「canaeru」では、日本政策金融公庫や銀行出身者、不動産業界出身者などのプロに無料で相談できるサービスを提供しています。不安を抱えている方は、ぜひお問い合わせください。
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50代の開業・起業で活用できる支援制度を紹介
開業・起業にあたり、官公庁や各自治体ではさまざまな支援制度を用意しています。開業の相談から融資まで、サービスによって内容は多岐に渡るので、ここからは、開業時に利用できる支援制度を3つ紹介します。
1. 経営革新等支援機関
経営革新等支援機関は、下記に挙げる士業・組織のなかから中小企業庁によって認定された「中小企業の専門的支援を行う機関」です。
●税理士
●税理士法人
●公認会計士
●中小企業診断士
●商工会・商工会議所
●金融機関等
開業相談から事業計画書の作成、販路拡大のサポートにいたるまで、さまざまな面から支援してくれる点が特徴です。日本全国に3万を超える経営革新等支援機関があるため、どのエリアでも比較的スムーズに相談先が見つかるでしょう。
各経営革新等支援機関の活動内容や実績は、中小企業庁「認定経営革新等支援機関検索システム」で見ることができます。2. 女性・若者・シニア創業サポート事業
女性・若者・シニア創業サポート事業は、東京都内に根ざした開業・起業を支援するために創設された融資制度です。
女性・若者・シニア創業サポート事業の対象者と支援内容は下記のとおり。
【対象者】
●女性or30歳以下または55歳以上の男性
●都内で創業予定または創業後5年未満
【支援内容】
融資限度額 1,500万円以内(運転資金のみは750万円以内) 金利 固定金利、年1%以内 返済期間 10年以内(うち据置期間3年以内) 担保 無担保 保証人 ・法人:代表者個人または不要
・個人事業主:不要
年1%以内の低金利で最大1,500万円の融資が受けられるため、東京都内での開業を考えている55歳以上の方はぜひ利用したい制度です。具体的な手続きについては、下記URLを参考にしてください。
東京都 女性・若者・シニア創業サポート事業「融資までの手続き」
3. 地方自治体
「地方創生」の流れもあり、開業を考えている方向けの具体的なサポートが、各地方自治体によって展開されているケースも増加しています。地域で新たなビジネスが創出されることで、より大きな経済効果を生み出すのが狙いです。
【地方自治体によるサポート例】
●低金利・無担保・全期間利率固定での融資制度
●開業に関わる相談の受付
●ビジネスプランコンテストの実施
地方自治体によって行われている取り組みはさまざまです。地域でどのようなサポートが提供されているのか、調べてみるとよいでしょう。
50代からの開業・起業におすすめのビジネス
50代から開業・起業を考える際の基軸は、これまでに手がけてきた仕事の延長線のビジネスです。例えば、製造職であれば「持っている専門技術を活かした新製品の開発」、営業職であれば「営業代行会社の立ち上げ」などが挙げられるでしょう。
また、これまでの経験を活かしたコンサルタント業や講師業もビジネスの候補です。
「心機一転、新たな事業にチャレンジしたい」と考えている方は、下記のビジネスを検討してみてはいかがでしょうか。
●ハウスクリーニング
●塾・教室運営
●整体・カイロプラクティック運営
●民泊・レンタルスタジオ事業
上記3点は、事務所を構えずに自宅で開業できる、一人で始められるといった観点から、比較的リスクが低いビジネスとしておすすめです。
50代からの開業には大きなチャンスがあります
50代からの開業は決して無理なチャレンジではありません。培ってきたノウハウや人脈などをフル活用して、新たな一歩を踏み出せる大きなチャンスです。
2021年時点での国内平均寿命は、男性で約81歳、女性で約87歳です。50代からの残り約30年の時間をどう充実させるかは、今後の人生計画しだいではないでしょうか。
「canaeru」では、開業を検討している50代の方向けに無料相談を実施しています。新たな挑戦を検討している方はぜひお問い合わせください。
>>開業の無料相談はこちら
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
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