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レッドオーシャンの歯科業界。女性歯科医が敢えて「デンタルタニザワ」を開業した理由とは?

既存のイメージに縛られない自由な発想で、他医院との差別化を図る

  • 谷澤綾乃/DENTAL TANIZAWA(デンタルタニザワ)

レッドオーシャンの歯科業界。女性歯科医が敢えて「デンタルタニザワ」を開業した理由とは?_記事画像

スタッフはすべて女性、カフェを意識した内装、院内には音楽放送、リラックスのためのアロマなど、女性ならではの視点を多く取り入れ開業されたデンタルタニザワ。谷澤院長が語る、医院運営に大事なこととは?

虫歯が多かったことが歯医者を目指すきっかけに!?

――歯科業界は親も子も歯科医というケースが多いと聞きますが、谷澤先生はそうではないそうですね。
おっしゃる通り、親の代から歯医者という血筋が多いのですが、私はそうではありません。子どもの頃から虫歯が多く、歯科医院に通うことが多かったので、歯科医は身近な存在。そういう縁もあって今の職業を選びました。歯医者というと高収入のイメージがあるかもしれませんが、独立前は勤務医として働いていましたが、修行中でもあったので給料は安かったです。経験を積みながら、自分のクリニックを持つことが夢だったので、平日は常勤で、週末は他の歯科医院でバイトをしていました。

高田馬場で開業した理由は、地域の方のイメージが描きやすかったから。

――今や歯科医院はコンビニより多いといわれていますよね。独立して開業するにもなかなか難しいイメージがあります。
確かに歯科医院は飽和状態で競争が厳しい世界です。勤務医時代にも「自分のクリニックを持ちたいんです」というと、周囲から変わり者に見られる始末。院長=男性のイメージが根強く、「子どもができたらどうするの?」、「女性ひとりでやるつもり?」、「開業するなら都心を離れるべき」等々、ネガティブで無難な方向を進められるばかり。心配してくれるのはありがたいですが、逆にそこまで言うならやってやろう! と火が付いちゃって(笑)。周りの声に惑わされず、やりたいようにやるのが一番だと思ったんです。今から開業するなら郊外の住宅地で小規模でやるのがいいってよく言われたのです。でも開業するなら東京しか考えられませんでした。私のクリニックは東京・高田馬場にあるのですが、主人の実家も同じエリアで老舗レストランを経営しています。私たち夫婦もその近くに住んでいて、地元密着型のレストランに地域の皆さんが気軽に通っている姿を見て、この地で開業するイメージが描きやすかったんですね。なので、高田馬場にこだわり物件は自分で探し出しました。

――過当競争と言われる中、歯科医院の開業で大切なのはどのような部分だと思われましたか?
差別化が重要ですね。それと歯医者が苦手という人の不安を少しでも払拭したかったので、一番のポイントとしては院長の私を含め、スタッフはすべて女性にしたことです。また、私自身が歯科医院の独特な匂いや音で緊張するタイプだったので、クリニック内ではアロマを焚いたり、あのキーンという治療音を極力抑えています。院内に音楽も流していて、有線放送のさまざまなチャンネルを、毎日のように変えてみたり。あとは内装ですね。いかにも歯科医院というデザインは嫌だったので、歯科医院をまったく手掛けたことがない知り合いの内装業者に依頼しました。例えば待合室はイスが受付に向いているのが常だけど、あえて机を置き、カフェのような作りにしています。自由な発想でクリニックづくりができたのも、私が歯医者家系ではなかったからかもしれません。

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クリニックが浸水被害に!危機的状況を乗り越えられた理由とは?

――歯医者さんが苦手な人にとって、匂いや音がないだけでも、気持ち的にプレッシャーが少ないでしょうね。実際にオープンしてからはどうですか?
実は開業して半年後、道路に埋められていた水道管が破裂して、クリニックが浸水被害にあってしまったんです。壁も床もボロボロになり、治療のための精密器材はほぼ全滅。被害総額は数千万円に上りましたが、補償が受けられたので何とかなりました。ただ、開業から順調にやってきたのに、復旧までの2ヵ月間、休診する破目になり、振り出しに戻ってしまったんです。危機的状況にもかかわらず、スタッフが一致団結し、患者さん対応や片付けなど、リニューアルオープンまで本当に頑張ってくれました。これでスタッフの絆がさらに深まり、患者さんも応援してくれるようになったんです。みんなに支えられているんだなと実感できましたね。

――これから歯科医院の開業を考えている方にアドバイスをお願いします。
歯科医が自分のクリニックを開きたい場合、"歯科ディーラー"の存在が欠かせません(編集部注:物件選びから施工、デザイン、器材選びなど歯科医院の開業準備をサポートしてくれる業者のこと)。よって信頼できるディーラー選びが大切です。独立を考えた当初、私には開業のノウハウがまったくなく、国の融資制度があることすら知らなかったのですが、ディーラーにアドバイスを受けながら融資を含めて開業準備をコツコツとやってきました。お金のことだけではなく、治療器材のトレンドや導入例なども細かく教えてくれますし、こうしたアドバイスはとても大事です。
また患者さんがうちで治療してよかったと思っていただけるのと同じように、スタッフにとっても幸せを感じられる職場づくりを目指しています。開業してから今日に至るまで、何かあればスタッフと協力しながら共に歩んできました。これがどういうことか分からない院長が少なからずいるような気がします。開業した歯科医は院長であるのと同時に経営者ですが、スタッフをおざなりにし、自分の利益だけを求めていると足元を救われかねないと思います。

谷澤綾乃

谷澤綾乃

東京都出身。日本歯科大学卒業後、勤務医として経験を積み上げ、2014年に「DENTAL TANIZAWA」を開業。

DENTAL TANIZAWA(デンタルタニザワ)

DENTAL TANIZAWA(デンタルタニザワ)http://www.dental-tanizawa.tokyo/
東京都新宿区西早稲田3-15-3 パラディア西早稲田1F

「怖い」、「痛い」、「行きたくない」と敬遠されがちな歯科医院。そんな負のイメージを払拭すべく、クリニックはカフェをイメージしたつくりに。インプラント、矯正を含めすべての治療を行える歯科医師チームと医院設備を完備。歯科先進国のスウェーデンを目指し、歯科医師、歯科衛生士ともに治療知識を常にバージョンアップしている。

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