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「自分ならどこへ行ってもやっていける」という信念ひとつでIターン
「定住する」という気持ちは、開業してから付いて来る。気負いがないことが成功に繋がった。
- 多々納 光教/大社門前いづも屋
島根県、出雲大社のすぐ近くにある甘味処「いづも屋」。このお店のオーナー、多々納光教さんはIターンでの開業です。Iターンという決断に至った理由や、なぜ島根という土地を選んだのかなどたっぷりとお聞きしました。
シャッター街からの復活!その秘策とは!?
>>実践!エリア全体で、一気に宣伝・販促する方法神奈川から島根へIターン…きっかけはシジミ?
ーー多々納さんはIターンで起業されていますが、それまではどのようなお仕事をされていたのでしょうか?
新卒で入社した飲料メーカーで営業を担当していました。百貨店のPB(プライベートブランド)のメーカーで、取引先はホテルや飲食店などでしたね。営業は全国をまわる仕事ですし、各地の美味しいモノを食べることも多く、食への興味は強かったんです。ーー島根との縁はどのように持ったのでしょう?
父が島根県出身で、夏休みなどには帰省することもありました。島根といったら日本一のシジミ漁獲量を誇る宍道湖が有名なんですけど、叔父がシジミ漁師で、ある時、宍道湖のシジミをもっと広めて欲しいと相談があったんです。僕も、島根には美味しい食材がたくさんあるのにあまり知られてないし、もったいないと思っていた矢先のことだったので、脱サラしてシジミを産地直送ギフトとして百貨店に卸す仕事をスタートさせたんです。この時は個人事業主として動いていました。ーーシジミが取り持ったことがきっかけで、島根とより深い縁が出来たんですね。その後、Iターンでお店を始めることになった経緯について教えてください。
自宅のある横浜と島根を往復する日々が続いていたのですが、そうこうしているうちに、出雲市が、空き店舗を活用してくれる人を「チャレンジショップ」という名目で募集していることを知ったんです。当時、出雲大社があるとはいえ出雲市の商店街はシャッター街で、元気がなかったそうなんです。いつか起業を、と考えていたのでチャンスだと思ったし、”店”という形態をつくることで出雲の美味しいものを全国の人に提供できるはずだとすぐに手を挙げました。ぜんざいは出雲発祥!甘い物で勝負できると考えた
ーーそれで開業したのが甘味処「大社門前いづも屋」なんですね。
寅さんのイメージじゃないですけど、門前町で甘味処がやりたいと考えていたんです。参拝で歩き疲れたら甘いものが食べたくなるし。実は、ぜんざいって、出雲が発祥とされているんですよ。当時は知らず、あとあと知ったのですがこれも縁がある話だなと。それで2007年に開業しました。僕は外から来たので「出雲大社の門前で店ができる!」とやる気に満ちていたのですが、シャッター街、寂しい街並み、歩道がガタガタで歩くのもやっとという手入れもされていない場所に観光客が来るわけもなく、しばらくは売り上げがない日々が続いたんです。それではいかんと、地域の方々と立ち上げたのが「神門通り甦(よみがえ)りの会」でした。
結成の背景には出雲大社の60年に1度の遷宮があったんです。店のある神門通りも出雲大社の表参道ですし、遷宮にむけて出雲大社もいろいろなイベントなど動き出すタイミングで、通りも一緒に甦りたいという想いからでした。通りの統一感を出す事から始まり、シャッター街だったエリアも店が増えたりと次第に活気を取り戻したんです。都会での経験が今活きている…ニューヨークに行っても大丈夫(笑)
ーー生まれ育った神奈川から島根に移り住んだ多々納さんですが、Iターンで移住するにあたり、必要な心構えはどんなことだと思われますか?
僕は、かっこつけてるわけじゃないですけど(笑)「自分ならどこでもやっていける」と思うくらいの気軽な気持ちを大切にしていて場所のこだわりはあまりありませんでした。極端な話し、日本中どこへ行っても、いや、ニューヨークに行ってもやっていける、と(笑)。「どうしてもこの町で何かをしたい」「自分にはここしかないんだ」と思い詰めてしまうと、ある日突然心が折れてしまう危険があると思います。僕は、出雲に住んでから家族が出来て、現在は島根県が完全にベースになりましたが「定住するんだ」という心が決まったのは、こちらに来て、地元の方々と力を合わせて仕事をした中で芽生えました。Iターンする時には「たまたまここにいる」くらいの気持ちが気楽ですし、振り返ると、そうした心構えだったからこそ、今があるのかなと思っています。■ 出雲で働く人々の記事 > 出雲人 -IZUMOZINE-
シャッター街からの復活!その秘策とは!?
多々納 光教
神奈川県川崎市出身。幼少~学生~社会人と、川崎市・横浜市で過ごす。自身の父親が島根県出身で、子どもの頃から親しみがあり、親戚も多い。社会人キャリアの中で島根県と神奈川県を行き来、2006年、出雲市が実施した産業企画に応募、出雲市で独立・開業した。
大社門前いづも屋https://www.facebook.com/monzenizumoka
島根県出雲市大社町杵築南775-5日本屈指の神社・パワースポットであり、人気の観光地である「出雲大社」の門前「神門通り」にある甘味処。2007年10月、神奈川県出身のオーナー・多々納光教氏が、自身の父の故郷である島根県に移って開業した。当時、活気がなく、観光客も歩いて通ることがなかった「神門通り」を、民間団体「神門通り甦りの会」を結成し、町ごと活性化させることに寄与している。
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