子供から大人まで多くの人に愛される国民食のカレー。カレー屋は、他の飲食店と比べ粗利が良いといわれる業態です。最近では、カレーの種類も多様化しており、カレー屋で成功するにはコンセプトやターゲットを明確にすることが成功のカギといえます。ここでは、カレー屋の開業を成功させるための基本的な知識をご紹介します。
カレー屋を開業する際に準備しておきたいことは次の6つです。以下で、各項目の詳細を説明していきます。
お店のコンセプトに合わせてメニューを考えます。カレーの種類を始め、セットの内容などオリジナルティが発揮できるメニューを作るのが大切です。試作品を作ってメニューを決めていきましょう。また必要になるスパイスや食材に合わせて、仕入れ業者の選定も忘れずに行います。
自己資金でカレー屋の開業資金をすべて賄えるのが理想的かもしれませんが、金融機関などからの融資で資金調達することもできます。いずれの場合でもいくら資金が必要になるのか、初期投資や開業後の運転資金の予算組も算出しておきましょう。
店舗にする物件は新規物件または居抜き物件など、カレー屋開業のために好立地となる物件の確保がおすすめです。移動販売を予定しているケースでは、移動販売車の購入やレンタルについて詳細を煮詰めていきましょう。
カレー屋を営業するのに必要な資格取得は、飲食店なら必ず必要となる「食品衛生責任者」です。他にも店舗規模や販売する商品などによって必要となる申告書類の準備を進めていきましょう。
カレー屋を開業するのに必要となる厨房機材の調達も忘れてはいけません。厨房機器はレンタルもしくは購入などによって投入金額は変わります。厨房器具を準備するタイミングで食器や備品なども揃えておきましょう。
カレー屋の規模や形態にもよりますが、必要であれば従業員の採用を進めていきましょう。アルバイトのみ、もしくは正社員や契約など人件費などの概算も考慮に入れながらスタッフの募集と採用を実施します。
そもそも「カレー屋って儲かるの?」という疑問について、カレーの伝道師・水野仁輔さんへのインタビューも紹介しています。
カレー屋を開業するにあたり、一般的なスケジュール想定をまとめてみました。以下で、時系列に合わせたスケジュール内容とポイントについて詳しく解説していきます。
カレー屋開業までのスケジュール例
時期 | 項目 |
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1年~6ヶ月前 |
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3ヶ月~6ヶ月前 |
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3ヶ月前 |
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2ヶ月前 |
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1ヶ月前 |
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10日前 |
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当日 |
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開業するカレー屋の規模やコンセプトに応じてスケジュールは前後するので、ここで紹介しているスケジュールは参考としてご覧ください。
独立・開業準備や方法に関して、こちらの記事でも紹介しています。
カレー屋の開業資金として、次の5項目の費用を準備する必要があります。
カレー屋の開業に必要な資金は、お店の立地や規模などにより大きく異なります。カレー屋の開店にどんな費用がどれだけかかるかを事前に把握して、資金調達の計画をしてきましょう。では、カレー屋開業に必要な費用について個別に解説します。
賃貸物件を借りるための初期投資費用のことを指します。移動販売のカレー屋の場合は、販売車両の準備が必要です。一般的な店舗契約では保証金が家賃の約6~10ヶ月程度。その他にも礼金、仲介金、初回の家賃や内装中の空家賃などあらかじめ概算しておきましょう。また移動販売の場合は、キッチンカーの購入費(100万〜400万円おおよその相場)が必要となります。
内装外装工事費とは、設計費、材料費、家具、インテリア、などにかかる内装費用です。店舗の築年数やデザインにより、水道やガスなどの特殊な工事が必要な場合もあるかもしれません。移動販売の場合はキッチンカーの内装工事費が必要となります。
カレー屋は香辛料の匂いが強いため、ダクト工事として別途約200万円が投入されることが多いようです。ナンの提供をするなら、タンドール(ナン専用窯)が必須となり、平均的に50万円〜100万円の投資になるようです。他にも業務用冷凍庫・冷蔵庫・食洗機・厨房器具購入及びリースなどの設備費がかかります。
その他の資金投入先は、食器類、カトラリー、テイクアウト用パッケージなどの備品となります。また看板を制作する場合は、約20万円程度、レジの導入では約10万円程度、POPなどの宣伝費約8万円程度、従業員のユニフォームなどの諸経費がかかります。
カレー屋の経営が軌道に乗るまでの予備資金のことをいいます。内訳には、家賃、食材仕入れ、厨房機器レンタル料、人件費など、カレー屋の営業形態にもよりますが、平均的に6ヶ月分の運転資金確保を計画するとよいでしょう。
開業に必要な資金を知って、事業計画を作る方法はこちらから紹介しています。
カレー屋の開業には数百万〜1千万円ほど必要とされています。開業資金はどのように調達すればよいのでしょうか?いくつかの調達方法についてまとめました。
カレー屋開業を目指すなら、まずは定期積立などで計画的に貯金するのがおすすめです。時間がかかる可能性はありますが、借入や返済の心配がないことは大きなメリットです。
銀行などの金融機関から融資を受けるという方法も一般的です。しかし、返済の際に利息が発生します。融資元が家族や親せきであれば、同意条件によっては利息や返済も融通が利くため、理想的なオプションといえそうです。どこから融資を受けるのかも検討しましょう。
厚生労働省の規定に沿った事業主に融資される助成金を活用する方法もあります。また市区町村など自治体の提案による補助金にも魅力があり、両者とも基本的に返済不要の融資です。ただし、条件が厳しいことや開業後に融資というケースが多いので、運転資金とし概算しておくのが良いでしょう。
資金調達の日本政策金融公庫への融資制度に関しては、こちらの記事で紹介しています。
カレー屋を開業するのに必要な資格についてご紹介します。
カレー屋に限らず、飲食店を営業する上で必須で、店舗ごとに取得しなくてはなりません。市町村で実施する食品衛生責任者育成講座で取得可能で、手数料は約1万円です。管轄の保健所によって講座、手数料の内容も変わりますので、確認しましょう。
カレー屋の収容人数が30人以上の場合に必須な資格となります。店舗の大きさによって講習内容が変わり、防火管理者講習を受け、試験をパスすると資格取得が可能です。防火管理者講習は消防署での訪問受付で、受講料は6,500〜7,500円が一般的なようですが、詳しくは管轄部署への確認をおすすめします。
開業においてあると便利な資格に関しては、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
カレー屋を開業するには資格取得の他にも届出が必要になります。申請には時間がかかるものがあるので、早めの申請を心がけておきましょう。
国の衛生法で定められており、飲食店を経営するために「保健所」に申請する必要があります。飲食店営業許可申請の提出後、保健所の係員による検査を受けます。この検査では厨房内の配置、客室との仕切り、空調など営業のための規定をクリアしなくてはなりません。カレー屋内装工事完了の2週間前を目途に申請書や手数料の準備を進めていきましょう。
深夜12時以降にアルコールを提供する場合に必要となる申請書です。開業日の10日前までに「警察署」に届け出を済ませておきましょう。
キッチンカーでイベントに参加する際に必要となる届出です。イベント先を管轄する「消防署」に速やかに提出を行いましょう。
個人事業主としてカレー屋を運営する場合、管轄の「税務署」への申請が必要です。開業届の申請はカレー屋オープンから1ヶ月以内が期限とされます。確定申告の際に「青色申告特別控除」で10万から65万の控除が受けられるメリットがあります。また最高300万円までの設備経費や赤字税金控除、親族の給与を経費扱いにできるなどの措置をとることができます。
個人事業主として開業するために必要な手続きに関してはこちらで紹介しています。
インドカレー屋などでは、外国人従業員を雇う機会も少なくありません。その場合、手続きが必須となります。以下で、詳細と方法についてご説明します。
個日本での在留資格があるかを在留カード、パスポートで確認しておきましょう。外国籍の人が日本で就業する場合は、期限が有効な在留資格を有しなければなりません。
外国人が日本で働くには「就労ビザ」の取得が必須です。対象外国人が就労ビザを持っていない場合、「在留資格認定証明」を申請しなくてはなりません。カレー屋の所在地を管轄する「入国管理局」に申請しましょう。在留資格、就労ビザ不所持での就業は処罰の対象になりますので注意が必要です。
外国人を雇用後は、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」を提出します。離職の際にも提出は必要ですので速やかに対応しておきましょう。
雇用に関して、社員orバイト採用するならどちらが良いかそれぞれのメリットに関してこちらで紹介しています。
カレー屋は、開業できたら目標達成ではありません。順調な経営を継続するために、念頭に置いておきたいポイントがあります。カレー屋を繁盛店に成長させるためのポイントを3つまとめました。
提供する料理の方向性を明確化しておきましょう。提供の方法についても同様に「ワンプレート」や「トッピング式」などお店の特色を決めておきます。繁盛店になる要素のトップは話題性といわれています。インパクトのあるメニューを開発し、SNSなどで宣伝効果が高まるよう工夫しましょう。
客の回転数とは1席あたり1日に何人の客が利用したかという数値で、客席稼働率を知る目安となります。基本、カウンター席には1人ずつ座りますが、テーブル席は席数に対して実際の利用者数が異なる場合があります。うまく満席にするために、4人掛けテーブルは真ん中で切り離せるようにするといった工夫をして、回転率向上をはかりましょう。また、ご飯時以外の時間をうまく埋める戦略を練ることも重要です。
一般的に、カレー屋の原価率は25〜30%前後といわれています。具材や香辛料にこだわれば原価率はあがってしまいます。そのため仕入れ先を厳選したり、大量購入で原価を下げたりする工夫が必要です。他にもサイドメニューやドリングで原価率を調節するのも効果的でしょう。
売上直結の隻数と回転率の増やし方についてはこちらで紹介しています。
カレー屋を開業する場所は利益を左右する大事な要素です。目指すカレー屋の雰囲気、家賃との兼ね合いなどを加味して物件を選ぶ必要があります。カレー屋は香辛料の匂いから、オーナーから入居許可が下りないケースも稀にあるようです。カレー屋を開業するのに好条件となる店舗物件について紹介していきます。
もともとカレー屋だった居抜き物件であれば、オーナーの理解があるため、入居許可が下りやすいといえます。カレー屋の厨房設備等も安価に手に入る可能性も高く、設備費を抑えられるのもメリットです。
実店舗を構えるより初期費用が安く済む利点があります。一方で、駐車場料金、ガソリン代、保険料、車検代など実店舗ではかからない費用が発生するという反面も。キッチンカーでは簡単な調理と盛り付けをして販売する形式が効率的といえます。実店舗との大きな違いは、販売場所の許可や出店手数料が発生することです。また仕込み場所に関しても、保健所から営業許可を受けた場所でしかできないため、あらかじめ相談しておくと良いでしょう。
店舗内装工事にかかるお金についてと、コストを抑える方法は、こちらの記事で紹介しています。
最後にカレー屋開業を成功させるためにカレー屋の経営状況や儲けに関して参考データをチェックしておきましょう。
開業するために必要になった資金の平均です。カレー屋を開業するときは、約1,000〜2,000万円の開業資金を要したというデータがあります。カレー屋の開業資金には主に「物件」「内装工事」「厨房機器」「食器・備品」「運転資金」などが含まれています。
月商とは、ひと月の売上金額のことです。この月商から売上原価を引いたものを売上総利益(通称粗利)とよび、さらにそこから人件費などの経費を引いたものを経営利益とよびます。canaeru調べでは、繁盛店とされているカレー屋の月商は250〜550万円という結果になりました。
客単価は一度に1人の客が支払った金額の平均を表しています。売上向上に繋げるための指標となる数字です。この数値はメニューの金額設定や競合との価格戦略に役立てることができます。繁盛店の場合、客単価は約800円から950円程度になるところが多いようです。
回転数は「1日の利用客÷座席数」で割り出せます。基本的に回転数が高いほど客の入りがよく、売上向上が期待できます。カレー屋は回転数が良い傾向があり、繁盛店では1日で4.4~6.7回転しているようです。
座席数はカレー屋の収容人数を示す数字です。テーブル席、カウンター席の数によっても座席タイプによる回転数が変わります。繁盛店では13〜47席程度にしているお店が多いようです。
1日の売上を座席数で割った金額で割り出すことができる数字です。単純に、1座席の平均が向上することで、回転数と売上も相乗効果であがると読み取ることができます。canaeruの調査では、繁盛店のカレー屋では、1席平均3,800円から5,300円ほどの売上があることが分かりました。
カレー屋を成功させるにはウリとなるメニューの開発、店舗の雰囲気作り、損益管理などが重要です。どんなカレー屋を作りたいのかという明確なビジョンは、開業を成功させるだけでなく、長く商売をするための大切な要素となります。カレー屋を開業する際は、スムーズな開業と順調な経営のために入念な準備を行いましょう。
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