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いまだ収束の気配が見えない「新型コロナウイルス感染症」。ワクチン接種が待たれるこの状況下で、次々と訪れる新型コロナウイルスの波にこの先、私たちはどのように向き合っていけばいいのでしょうか。感染症アドバイザーとしても活躍する堀成美さんのお話をもとに、感染が起こり得る状況と、その対策を紹介していきます。
目次
新型コロナウイルスのNG対策とは?
基本的な「マスク着用」、「アルコール消毒」、「換気」、「パーテーション」などは、皆さんすでに対策ができていると思いますので、ここでは、やってはいけない、間違えている対策を中心にお話しします。
やってはいけない対策として、まずは「消毒液の噴霧」があります。これは消毒液を吸い込むと人体に危険があると言われているので禁止です。
次に「手袋着用」着用していると安心感があるかもしれませんが、お金を触ったり、落ちたものを拾ったりもするわけです。飲食店ならお水を出す、料理を提供する、会計業務をするなど、ずっと同じ手袋をしているケースが見受けられます。衛生的に良くありませんし、それに手袋の中が蒸れ、皮膚にダメージを与える可能性もあるのでやめください。
「アルコール消毒液の位置」にも注意が必要です。とあるパン屋さんではトング類が置いてあるその上に消毒液があったのですが、このケースの場合、スプレーを押すと上から下のトング類へと広がっていきますよね。これはアルコール消毒は良いんですが、設置場所を間違えている例ですね。
トイレで「石鹸とアルコールの2つを設置しているお店」も見直した方がいいでしょう。正しい手洗いが出来ていれば石鹸だけで構いません。「濡れた手でアルコール消毒をしても濃度が薄まってしまうので、アルコール消毒をする意味がなくなってしまうんです。高齢者の方に多いんですけど、アルコールを石鹸と間違え「泡立たないわね」と言っている人がいたんです。間違えられる可能性もあるので、アルコールは置かなくても問題ありません。
そして、マスクですが、マウスシールドやフェイスシールドはやめましょう。
マウス/フェイスシールドは通常のマスクの代わりにはなりません。接客の際に近くでお客様とお話ししなければいけないことを考えたら、通常のマスクを着用するようにしましょう。マスクは飛沫を防ぐというより、飛ばさないようにすることに意味があるわけです。みんなが使っていることで効果が出ます。マスクなし、1m以内での15分以上の会話が濃厚接触の目安になる
ケースにもよりますが、まず基本的な整理として、1m以内の距離で、15分以上、マスクなしで会話をしているか否かです。
これが通常のマスクをしている人同士で15分以上会話をしていた場合はどうなるかと言うと、濃厚接触者にはあたりません。
ただし、先にもお話しした通り、マウス/フェイスシールドはマスクの代わりではないので、感染者と1m以内の距離で15分以上会話をしていれば濃厚接触者になります。
感染者や濃厚接触者を出してしまうと、お店の営業に影響を与えますよね。そうならないためにも、対策としてマスクの着用は店舗にとって必須でしょう。
今からどんな努力をすれば良いですか?と問われたらマスクを見直しましょうと言いたいですね。換気のポイントは空気を滞留させない
換気は自分たちのお店の空調が何かを調べてもらい、自動換気になっているところであれば、自然に空気が流れていることになります。自動換気でなければ、やり方としてはドアと窓の2ヵ所を開けて、空気が流れるようにします。
ポイントは空気が滞留しないようにすることですね。ただし、サーキュレーターなどを使うときは注意が必要です。飛沫は下に落ちていくので、下から上へ巻き上げるように使用しても意味がありません。外に流す方へ使わないといけない。空気をかき回すのは逆効果ですね。会食がダメ、夜の街がダメなど、情報がひとり歩きしている印象がありますが、そうではありません。ランチでもマスクを外して飛沫を飛ばしながらお話しすることが感染の可能性を高めます。ウイルスには時間は関係ないですからね。接触感染は手洗いや手指の消毒で対策し、飛沫に注意した対策をマスクで徹底するようにしましょう。
もし店舗で感染者や濃厚接触者が出たらどうするの?
感染者や濃厚接触者が出てしまった際の対応方法をご紹介します。
1.保健所の指示に従い店内の消毒を行う
感染者や濃厚接触者が出た場合は保健所に報告。場合によっては半日や1日程度店舗をお休みし、店内の消毒を行います。消毒自体は1時間程度で終わることが多いです。
2.感染者や濃厚接触者のスタッフは休ませる
感染者や保健所にて濃厚接触者と判断されたスタッフは休ませるようにし、さらなる感染拡大を防ぐようにしましょう。
3.保健所の指示に従い営業を再開
感染症対策を見直した上で、保健所の指示に従い、営業を再開することができます。ちなみに、自治体が積極的にお店を公表するという仕組みは今現在ありません。
業種別の新型コロナウイルス感染症対策
業種・業態別の感染症対策をお聞きしました。
カウンターのみの飲食店
カウンターの中と席では対面にならないように注意しましょう。危険性が高まるのは隣の人同士での会話。例えば、知り合いが3人並べば自然と会話の声も大きくなり、飛沫も飛びやすいので「黙食」を促すのも方法です。
テーブルメインの飲食店
アクリルパネルを設置するのがひとつの方法ですが、例えば、家族や恋人同士だと、お客様側が嫌がる可能性もあります。それであれば「アクリルパネルあります」というPOPやポスターを作り、貸出スタイルにするのも良いでしょう。
接待を伴う飲食店
飲食しないときはマスクをすることです。マスク以外であれば、扇子やハンカチを使用して口元を覆うなど、とにかくマスクなしでの15分以上の会話をしないように注意しましょう。
フィットネスクラブ
働いている人はマスク着用。息が上がるものに関しては人数を減らしたり、マシンの位置を変更するのも良いと思います。ヨガやエアロビはマスク着用で換気を徹底。制限人数も見直しましょう。
小売り(レジ周り中心)
多くの会話が発生しにくいので、お互いにマスクをしていれば基本的には問題ありません。レジ周りにビニールカーテンを設置するのも良いでしょう。手袋は不要です。
小売り(接客)
マウスシールドやフェイスシールドではなく、通常のマスクを着用して接客を行うようにしていれば問題ありません。
理美容
美容師だけでなくお客様もマスク着用。マスクを外さなければいけない場合は、口元を覆う耳にかけないタイプのマスクの活用も検討しましょう。基本的にお客様と真正面で会話をしないこと。お客様の後ろや横で作業する分には問題ありません。
エステサロン
エステサロンの場合お客様との距離、特に顔が近くなるので注意が必要です。通常のマスクをした上で、フェイスシールドを着けるのが良いでしょう。
※本インタビューは2021年1月中旬に行ったものを再編集してお届けしています。
この記事の監修
堀 成美/株式会社USEN canaeru 開業コンサルタント
○堀成美
感染症対策コンサルタント、看護師・感染症実地疫学専門家。東京都看護協会 新型コロナ対策プロジェクト会議アドバイザー。国立国際医療研究センター 客員研究員。東京都港区感染症専門アドバイザー。テレビ出演や書籍等を通じて一般にも感染症についてアドバイスを行っている。
○株式会社USEN 会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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