更新日:

お店ごと牽引して、いつでもどこでも慣れているキッチンでサービスできる…低コストだけではないフードトラック

お店ごと牽引して、いつでもどこでも慣れているキッチンでサービスできる…低コストだけではないフードトラック_記事画像

最近よく見かけるトレーラーハウスでの飲食店運営。新たにお店を建てるより低コストでオープンできそうで、雰囲気もある。アメリカのトレーラーハウス老舗ブランド『エアストリーム』をビンテージで販売する他、エアストリームを使ったカフェも展開している埼玉県狭山市のガレージランドオーナー田口正浩さんに、トレーラーハウスでの飲食店を経営について伺った。

トレーラーハウスの魅力はいつでも撤去、移動ができること。店舗を建てられない場所でも販売が可能

うちのお客さんの半分くらいは飲食店利用なんですけど、そのうち多くが移動販売ではなくて設置型の店舗として営業をされています。そのなかには商業施設に設置して営業されている方もいますし、駐車場などのスペースを借りてやっている方もいます。あと、うちは販売だけでなくてレンタルもしているんですけど、行政が管理する大きな公園内にカフェとして運営するためにトレーラーハウスを貸し出したりしています。その公園では常設の店舗がほしいけど予算がなくて建物を立てられないということで、いつでも撤去、移動ができるトレーラーハウスが魅力的だったようです。

トレーラーハウスの魅力はいつでも撤去、移動ができること。店舗を建てられない場所でも販売が可能

1台の人もいれば、2台使う人も。トレーラーの使い方は自由自在

室内がそんなに大きくないのでワンオペでやっているお客様が多いです。形態としてはうちがやっているカフェのようにトレーラーを2台使って片方をキッチンカーにしてもう1台を飲食スペースとして営業されている方もいらっしゃいますけど、1台で完結されている方が多いと思います。大きめのトレーラーであれば、キッチンもお客さんが飲食をするスペースも1台でまかなえます。トレーラーはキッチンカーとして用意して、飲食は屋外でしてもらうっていうケースが多いですね。なかには多店舗のラーメン店を経営しているような社長さんもいて、その方は新たな形態の展開をしたいということで、移動販売でのラーメン店を考えられたようです。

物件を借りて店舗を開業するよりも初期費用は安い

初期費用は業態によっても全然違いますので、どのような設備を用意するかによってもかなり変わりますが、一般的に考えるとトータルで500万円ぐらいだと思います。私が販売しているエアストリームですと車自体の値段は350万円くらいで、内装費が150万円くらいだとお考えいただくといいかもしれません。物件を借りて店舗を開業するよりも、初期費用としては安いと思います。
また、トレーラーハウスは通常の店舗と同様で、そのまま売却することができるのも魅力です。

物件を借りて店舗を開業するよりも初期費用は安い

トレーラーハウス自体がお店の看板や目印になっている

特にエアストリーム限定でお話しさせてもらうと、これ自体が看板や目印になるっていうのがあります。私が扱っているのはだいたい1950年代から1970年代までのものなんです。その後80年代からカタチが変わってきてしまうんですよ。というのも、居住性などが求められてきて丸みがあったフォルムがどんどんかまぼこ型になってきたんですね。もちろん居住性も重要ですが、アイコンとしては70年代までのもののほうがレトロ感があってかわいいかなっと思っています。他には、やはり移動ができるというのが商売の幅が広がるのではないでしょうか。お店ごと牽引してそのまま持って行って、勝手を知っている同じ店舗をそのまま使えるっていうのは、タイヤが付いているトレーラーハウスならではかなと思います。

道路が整備されればトレーラーハウスが日本の文化になる

世の中の流れ的にも生活スタイルが多様化されてきていて、ミニマルな生活を考える方が増えているのか、今は世界的にフードトラックブームが増えてきていて、特にヨーロッパのほうではトレーラーで飲食店を起こす方が非常に増えていると言われています。日本でも今までは10年周期でトレーラーのブームがきていたんですけど、昔は道幅も狭く、牽引するということが日本だとハードルが高かったのですが、最近は道路も整備されてきていて牽引するということが一般化されつつあるので、今後はブームというよりもひとつの文化として定着していくんじゃないかなと思います。

道路が整備されればトレーラーハウスが日本の文化になる

トレーラーハウスの天敵は「雨漏り」

よく心配されるのが雨漏りですね。エアストリームはアルミのパネルを合わせて、リベット(金属板をつなぎ合わせるときに使うビョウ)で打っているので新車時はまだ平気ですが、時間が経過すればシールは痩せるし、リベットの穴に隙間はできるし、ボディも歪むし…などなど、水の侵入を防ぐのはかなり難しくなってきます。ひどい車両ですと、天井からポタポタ水が垂れてきてしまうものもありますが、私が扱っている車両はそのような状態のものはありません。とはいえ雨漏りしないというのは難しいので、そこは置く場所を考えたりメンテナンスをすることで上手く付き合っていくのがよいのではないかと思います。エアストリームに限らずトレーラーハウスは屋根にエアコンやトップライトを付けている車両が多いのですが、そのあたりからの水漏れは多いですね。

維持費は、車検を取得した場合でも税金は安いですし、エンジン付きの自動車に比べるとはるかに安いです。トレーラーハウスってエンジンもないし機械類もほとんどなくてタイヤが付いて転がるだけで、あとはブレーキも頑丈でシンプルな作りなのでアフターメンテナンスはそんなに難しくないと思いますよ。

水回りはや空調はトレーラーハウスに合わせた対策を

水回りに関しては移動販売にするか飲食店で登録するかによって条件が異なりますので、それに沿っての設計が必要となります。空調に関しては、夏場はスポットクーラーを入れたりもできますし、うちの事務所は家庭用のエアコンを付けています。エアストリームに関してはボディがアルミなので熱伝導が速いのを利用して、水を撒いて熱を逃がすというのも地味ですが効果があります。冬場は石油ストーブ1台でそこそこ暖かくなります。

経営は最低限のアイテムでできることを考える

どんな形態でやるにせよ最低限度のアイテムでできることを考える必要があると思います。「あれもこれもほしい」とものを増やしていくことは簡単ですが、限られたスペースで、ミニマム化したもので収益を得られる方法を考えていくのがトレーラーハウスで商売をしていく上で面白いところもあり、大事なところかもしれませんね。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

株式会社ガレージランド

埼玉県狭山市北入曽1177-2
http://garageland-japan.com/

田口正浩

1983年東京都練馬区生まれ。高校卒業後、アメリカ車輸入販売業に従事し、19歳の時に仕事で訪米しトレーラーハウスと出合いその魅力に惹かれる。その後も短期留学ののちNYでウェブデザインの仕事をするなどアメリカとの縁は深く、30歳の時、自動車販売業やウェブデザイン、ECサイト運営など、自身の経験をミックスアップした事業を起こし、その事務所としてエアストリームを直輸入したことをきっかけにビンテージエアストリームの輸入販売業者となる。

canaeruは年間300件以上の開業サポート実績!

メールアドレスの登録で
開業までのサポート完全無料で受けられます!

個人情報の取り扱いについて

メールアドレスを入力してください

無料会員登録でできること
① 「日本政策金融公庫」の創業融資をはじめとする資金調達の相談が出来る!
② 開業時に必要な事業計画書の作成サポートが受けられる!
③ 店舗開業や運営に関するさまざまな疑問点・お悩みを何度でも相談可能!
※ 金融機関出身者、元飲食店オーナーら店舗開業のプロが対応します

PAGETOPへ