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「店舗の保険」と聞くと、災害や火災などが発生した時に補填してくれるものだと想像してしまいがちですが、「食中毒を起こしてしまった」、「お客様のコートを紛失してしまった」など、店舗経営をしていれば起きてしまうであろう、さまざまなリスクに対応しているのが店舗型保険なのです。
どんな保険の種類があるのか、どんな場合に適用されるのか、失敗しない保険の選び方などを保険のプロにお聞きしました。
4回にわたって、店舗型保険について解説していきます。補填の内訳は(1日あたりの売上-仕入額)×日数
では、もしやむを得ない事情で休業したとして、補填額はどうなるか。お店が火事などの理由で休業した場合、補填の内訳は“(1日あたりの売上額-仕入額)×日数”になります。お店がオープン前の場合は、売上予測がベースになります。その予測を元にした概算を出して、それを基に保険を掛けます。実際の初年度の売上が予測より大幅に少なかった場合には、保険料は返還されます。逆に売上が予測より大幅に高かった場合は追加になります。2年目以降は前年度の売上に基づき契約し、保険料の返還・追加をしない契約の仕方が一般的です。
保険会社を選ぶ基準は事故対応の良さ
次に保険会社を選ぶ基準です。実はどこの会社の保険も、料金はもちろん、内容も大筋は同じものです。そうだとすれば選択の基準は、強いて言うなら、合理的なプランニングをしてくれることと、事故対応を迅速にしてくれることです。また、「どれだけフットワークが軽いか」というのもひとつの判断材料です。たとえば「こういう案件があって、話を聞きたいのですが」と各担当者に聞いて、誰が一番に応えてくれるか。そこはやっぱり、事故対応とイコールの印象がありますね。
事業用損害保険は代理店を経由するのがベスト
具体的に、どこでどうやって事業保険に入ることができるのかについてお話します。損害保険の場合だと、保険会社に「これ入りたいんですけど」と飛び込みで訪問したとしても、「うちではできないので、代理店に行っていただけますか」と言われてしまうんです。そこは生命保険と違うところですね。大抵の代理店は扱いが一社のみで、たとえば「○○損保の代理店」という形になっていて、会社ごとの比較ができないので、できれば複数社を扱っている代理店に行ったほうがいいですね。事業用損害保険でインターネットで申し込めるものはほとんどないと思うのですが、仮にあったとしても、やはり代理店を介して加入されたほうがいいと思います。ネットで加入する場合は、すべてお客様責任になるので、間違いが起きる場合もあります。事細かな規約を一通り読んで“はい”とクリックして“同意しました”となる。ところが、いざ事故があった場合に、約款の確認が不十分だったために保険金が下りないなんてこともあり得るんですね。代理店を通して、法令にのっとって重要事項の説明を受けて納得して加入すれば、確認不十分で保険金が下りないということはないと思います。
保険金の支払いは原則1ヵ月以内
次にいざ事故があった場合の保険金の支払いのお話です。保険金の支払いは原則として、請求されてから1ヵ月以内に行わなくてはなりません。ただし、調査などのために支払いが遅れることもあります。余談ですが、私が以前、損害保険の調査会社で働いていたことがあったんです。たとえば車両盗難があったとして、「これは偽装じゃないのか?」とか「この事故の規模にしては損害額が多すぎないか?」等、保険会社から依頼を受けて調査するんです。自動車保険でよくある例が「ムチ打ち状態でずっと整骨院通っている」という例です。私が担当した事例は、対象者からの申請が、なぜか生活エリアから非常に遠い他県の整骨院まで、仕事終わりにバスと電車で通っているというものだったんです。実際に通えるかどうか検証したところ、物理的に無理でした。こういう保険詐欺のようなケースもあるんですね。 実際に、こういった調査によって支払いが遅れることもあります。でも案件自体がかなり多いので、全てに調査が入るわけではないんです。基本的には、保険金が高額になる場合は調査が入ることが多いと聞いています。
特約はお店の規模や考え方により判断を
こちらにA社の事業用火災保険の商品で見積もったものがあります。個人経営で飲食店を始めて、生活費やランニングコスト含めてだいたい1年目の売上金額が1000万円程度と仮定しました。テナントで什器設備が500万。それに加えて、特約(オプション)として、一回目でお話した「借家人賠償」、これだけつけます。オプションはあまりつけないベーシックなプランで、これだと21800円。財物損害・休業損害をカバーするのであれば17280円。あわせて39080円です。1000万円の0.3%よりは少し多くなってしまったのですが、こういうプランニングのイメージになると思います。休業損害は、1ヵ月ぐらいの休業ならいいけど、新規開業で2ヵ月を超えて休業したらつぶれちゃうだろうという想定で、1ヵ月あたり60万、それが2ヵ月分(2口)120万円という設定になっています。「食中毒・特定感染症利益補償」のオプションは休業時の利益分まで補償してくる保険なので、こちらのオプションをつけてもいいかもしれません。これは0-157、ノロウィルスなどへの感染症が発生した場合に適用になる保険です。休業損害の原因が盗難にせよ火事にせよ、それによって給料等が出せなくなる状態に対応するために、こういうオプションをつける場合もあります。ただ「つける・つけない」の判断は、それこそ会社の規模、どこまで何をカバーするかの考え方によるので、本当にお店それぞれで違ってくると思います。
お話を聞いた方:ファミリーコンサルティング株式会社 堀川綾実さん(ファイナンシャルプランナー/相続診断士)、出岡大作さん(住宅ローンアドバイザー/相続診断士/行政書士資格)
ファミリーコンサルティング株式会社:「お金の問題を何でも解決できる場」としてライフプランニングシミュレーション、住宅ローンアドバイス、相続・エンディングコンサルタント、保険シミュレーション&コンサルティング、資産運用コンサルティングなどのサービスを提供。- NEW最新記事
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