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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
「地域貢献」にはそれ以上の意味がある
前回、前々回と、「支持」や「縁」が地域に広がっている石材店の話をしたが、ちょうど今週、その2社を含む10社ほどの石材店の方々とお話しする機会があった。そこで最近の業績を聞くと、先の2社以外にも「おかげさまで好調です」という声が多く、もう今年の夏前まで仕事で埋まっている会社も数社あった。念のため言うが、最近石材業界が好況に沸いているわけではない。しかし彼らは好調なのである。
そんな彼らとの話の中で、これまた共通した話題があった。それは、彼らが地域に密着し、良く知られていることだ。例えばある店主は地域で「餅つき」で知られており、この時期は忙しいという。また別の若き店主は「最近『面白い石屋さん』と、かなり知られてきました」と語っていたが、これらの話を聞きながら、以前このコラムに書いた話を思い出した。
こういう話だ。ある新聞販売店では長きに渡り、地域の方を集めて早朝ラジオ体操を行っている。その際、様々な景品を用意してじゃんけん大会を行い、これがまた大いに盛り上がるとのこと。ラジオ体操は老若男女参加できる。また、そもそも新聞販売店は、商売柄夜明け前から起きており、主催しやすい立場でもある。店主はさらりと「子供が好きなので」とおっしゃったが、この取り組みにはそれ以上の価値がある。
あるリフォーム・工務店の方からも、地域イベントに積極的に参加しているお話を聞いた。地域でイベントやお祭りがあると、ブースなどを出店する。と言ってもそこで住宅やリフォームの宣伝をするわけではなく、焼き鳥や飲み物などをふるまうのだ。もちろん様々に費用や手間はかかるのだが、これからもどんどん行うとのことだった。
新聞販売店がラジオ体操を主催したり、リフォーム・工務店がお祭りで焼き鳥をふるまっても、それが今すぐ、新聞の販売部数増や、住宅・リフォームの受注につながるわけではない。だからこそこういう行いは軽視されがちで、行うとしても「地域貢献」のような解釈になりがちだが、実はこれらの活動にはそれ以上の意味がある。絆が育まれればお店や会社の“支持者”になる
こうして、日ごろから地域の人々の目に触れ、彼らに喜ばれることを行っていると、そこにゆるやかな絆が育まれる。そのなかにはまだその会社で買い物をしたことがない多くの方々が含まれるが、絆が育まれた人はそのお店や会社の“支持者”となる。そういう気持ちを抱く人々が地域に増えていくこと。それが先々の商売にどんなものをもたらすか考えてみてほしい。商売とは、今すぐの結果だけを追い求めるものではないのである。
〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。- NEW最新記事
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