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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
不安を取り除けば多くの人が行動してくれる
今回はお客さんではなく、従業員とのお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある住宅FC本部にお勤めの方からのご報告だ。
同社は「アメリカンライフ」を謳って家づくりを提案しているブランド。ならば「自分たちが、アメリカンライフが似合う様にならなければ」と、5年ほど前からジャケット、ネクタイ、シャツの制服を撤廃、ビジネスカジュアルの採用を始めていた。しかし未だ実践しているのは一握り。なかなか浸透させられない問題があった。
そこで今回、年に一度の社員の祭典が鎌倉のビーチ沿いの会場で開催される機に、浸透を図ろうと考えた。祭典には「ブルー、ネイビー、ホワイトを取り入れて、海を感じるカジュアルスタイル」というドレスコードを設定。参考になるコーディネートを写真で添付し全員に通達したが、上司からも「やってみたらみんなスーツだった、とならないようにすること」と念を押されたこともあり、より効果的な手を考えた。
普段在宅勤務が多く集まる機会は少ない同社だが、開催5日前に、祭典スタッフが準備のため集まる日があり、それを活用。その日、祭典のドレスコードで出社してもらい、皆で写真を撮り、「ドレスコードこんな感じです」「スタッフ一同楽しみにしてます」と、お手紙的な案内文書を送ることにしたのだ。
そうして準備日当日、祭典スタッフの思い思いの装いを撮影し、再度案内を出すと、「本当にいいの?」「ジーンズあり?」「ジャケット無しでOK?」などの質問や、「土日に買いに行ってくる!」など、おおむね好意的な多くの反応があった。この工夫が功を奏し、祭典当日は皆ドレスコードをばっちり守り、大いに盛り上がったのこと。
今回のことを振り返り、彼は言う。ビジネスカジュアルがなかなか浸透しないのは、「(自分の服装が)結局失礼なんじゃないか」「自分だけ浮いてしまう」「結局スーツが安全」など、不安要素が多いからではないか。それを今回のような工夫で少しでも取り除けば、多くの人が行動してくれる、と。「人がどうすれば行動してくれるか」を考える
ワクワク系では常に「人がどうすれば行動してくれるか」を考える。その行動が「買う」なら売上が生まれるため、ワクワク系は主に売上向上に役立てられているが、実は今回の事例のように応用範囲は広い。あなたにも、様々な機会にワクワク系を活用していただきたい。
〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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