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【小阪裕司コラム】第66回:なぜこの商品は売れに売れたのか①

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

チラシに「助けてください!!」

 今回は、誤発注により大量に入荷してしまった商品が、結果的に追加発注するほど売れに売れたお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、牛乳販売店からのご報告だ。
 話はクリスマスシーズンにさかのぼる。顧客に自店らしいクリスマスプレゼントをお届けしようと、取り扱い商品の中にあるミネストローネスープに決め、900袋を発注した。ところが誤って2回発注してしまい、倍の1800袋が入荷してきた。メーカー担当者に返品をお願いしてみたが、一度出荷したものは戻せないとの返答。担当者からは「半額セールのチラシを作りますので、売れるだけ売って、余ったものはまた考えましょう」と提案された。
 そこで店主、「これは、あの事例をまねぶするときだ」とひらめいた。「あの事例」とは、このコラムでも過去に掲載したものが何例かあるが、このような誤発注による大量入荷の際、実践会員がよく打つ手がある。自店もそれを使うときだ、と思ったのである。
 そこで彼が行ったことは、顧客へチラシを配布、購入を促すことだ。といっても、メーカー担当者が言うような半額セールのようなものではない。販売価格は定価だ。このチラシの特徴は、見出しに大きくこう書かれていることだ。「助けてください!!」。そして、「私は年末に大きなミスをしてしまいました」へと続くこのチラシは、お客さんに誤発注してしまった商品を買っていただくよう、応援をお願いするものだ。

普通では起こらないことが当たり前のように再現される

 そんな手前勝手なお願いをお客さんが聞くのか?と疑問に思う方がいらっしゃるかもしれない。しかし配布するやいなや、翌日から牛乳ボックスには注文書があふれた。「心配で電話した!」と、電話で注文をする人も多く、なかには「大丈夫!?大変でしょう、60食分の10箱、買わせてもらうね」と言う方まで現れた。結果、291軒から注文をいただき、販売総数はそもそもの誤発注分を大きく超え、3528袋にもなったのだった。後日、メーカーの営業担当者に「3500袋注文が入って在庫は無事になくなったので、大丈夫でした」と伝えると、その方は頭がポカーンとなっていたそうだが、無理もない。このようなことは普通起こらない。しかし、当会の会員の現場では常にこの事例は再現される。こういったことが起こる背景には共通項があり、同店が日頃から行っていることに、それを見ることができる。それはどんなことか。この続きは次回に。

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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