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【小阪裕司コラム】第117回:商売の要は●●と●●

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

売れていた商品が売れなくなったときにするべきこと

 店頭でずっと売っている商品がある。近年は特に売るための手間もかけていないが、それでも売れてきた。その商品が急に売れなくなってきたとき、あなたならどう考えるだろうか?今回ご紹介するのは、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、自家製漬物を販売するお店からのご報告だ。
 この店にもそういう商品があった。売価数百円、夏限定の商品だ。当初は顧客に送るダイレクトメール(以下、DM)にも、この商品の価値やまつわるストーリーをいろいろ書くなど、買いたくなるはたらきかけをしていたが、最近は定番化していて、特に気にも留めていなかった。
 そんななか、思うところあってここ近年の売上動向を確認してみると、一昨年は購入者数31人で販売個数61個、昨年は購入者数20人で販売個数43個と、かなり減っていた。いくらなんでもこれはひどい、と店主は考え、まずはこうなった原因を考えてみた。
 以前は多くのお客さんが「買う」と行動していたのに今はしない。その原因を、店主は次の3つではないかと考えた。①お客さんが、「もう扱っていないのではないか」と思っている。②初めてのお客さんは現物を見たことがない。③単純に忘れている。
 そこでまずは①の解決策として、DMで久しぶりに告知をしてみた。と言ってもその内容はたった1行「青とうがらしで作るから今だけの味。きゅうりにつけたら最高です。○○(商品名)」。次に、店頭の立て看板にも、この商品が入荷したことを表示。さらに②の解決策として、来店客の誰もが通るカウンター横に現物を置いたが、これは③の対策でもあった。
 行ったことはたったこれだけだ。しかし結果はどうなったかと言えば、購入者数100人、販売個数は235個に激増。実に5倍の結果となったのである。

原因を間違えると打ち手も間違ったものになる

 この実践、行ったこと自体は、お読みいただいた通りシンプルだ。しかし深い学びがある。それは、売れていた商品が売れなくなったとき、このような視点から、このように思考できるかという点だ。多くの場合、「そろそろ飽きられてきた」「価格を下げないと」などと考えがち。つまり原因を間違えてしまうのだ。それを間違えば、打つ手も間違ったものになる。その結果、問題は解決せず、またその原因を間違え…と悪循環になる。商売の要は、実は視点と思考なのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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