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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
週休2日制導入を顧客へ伝えたら大きな反響が!
前回の続き。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のある和菓子店が、自店の価値を上げ、連れて単価も上げ値上げもし、ファンも増やしていった結果として、店休日を増やすことができた、というお話。
この1年半、学び、実践にいそしんできた店主。前回お伝えしたような、より高付加価値・高単価な商品も受け入れられ、業績も好調。そうしてこの8月、踏み込んだのが週休2日だった。それに当たり今回、店主は、自分の正直な気持ちや今の思いを、顧客とのコミュニケーションツールであるニューズレターやLINE等を通じて、顧客に伝えることにした。
その書き出しではまず8月から週休2日になることを告げ、その後こう続けた。「以前でしたら到底できない決断です。『菓子屋は休んではいけない』と強く思い込んでおりました。確かに、売り場を多く抱えていた時代はそうでした。しかし、心身ともに疲弊していました。そして、コロナとの時代がやってきて私自身も考え方が変わり、自己犠牲を誤解していたことに気付きました」。
続いて、以前顧客らにお願いしたアンケートの結果に触れ、そこで同店の菓子はもちろん、雰囲気なども強く支持されていることを伝えた上で、さらにこう続けた。「やはりそのようなお言葉に今後応えていくためには、心と体と時間に『余裕』が必要であると思いました。今後さらに美味しく・丁寧な菓子作りのために、より親切に、会話を楽しめるお客様との触れ合いを大切にするために、週休2日とさせていただきます」。
これらのメッセージには多くの反響があった。その声を踏まえて彼は言う。「もう、週休2日への迷いはなくなりました。今まで何だったのか」。
モノの消費社会から心の時代へ
そうして増えた休みを、彼はこれからどのように活かしていくだろうか。もちろん休養もするだろうが、製造や準備、取引先とのミーティング、また、菓匠としてより創造的な活動を行うため、様々な物事を見聞したり、余暇を過ごす時間に充てるつもりだと、彼は言う。また何よりその創造的な余暇を、家族と共に過ごしたいと。
これからは、こういう店がより支持を受けていく。なぜなら世はすでに、単なるモノの消費社会が過ぎ、心の時代になっており、その担い手は彼のような者だからだ。事実同店は週休2日へ移行後、営業日数が減ったにも関わらず、前年比180%の業績で推移しているとのことである。
〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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