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サッカーファンも集まるアイリッシュバーは、地域コミュニティの場
お店をやるって面白いんですよ。相手にするのは生の人間。それが楽しくてやめられない。
- 町田 智/IRISH BAR McCANNS アイリッシュバーマッキャンズ
「夫婦でできるお店をやりたい」という結婚当初からの夢を叶え、武蔵小杉に「アイリッシュバーマッキャンズ」をオープンして14年。今ではこの地で働くサラリーマンから地元の人まで、多くの客が集うコミュニティの場として、なくてはならない存在となっている。店内に入った瞬間、まるで外国に来たような気分になる本格的なアイリッシュパブなのに、なぜかアットホームでくつろげる。そんな誰からも愛されるお店作りのヒントを店主・町田 智さんから探る。
武蔵小杉で店を3回も移転。それでも、お店がうまくいっている秘訣は?
ーーアイリッシュパブを開いたきっかけはなんですか?
最初からアイリッシュパブにすると決めていたわけではないんです。ただ自分が洋風のお店が好きだったこともあって「和ではなくて洋だな」とざっくりとは思っていて、どんなスタイルがいいのか考えながらお店を廻っていたときに恵比寿のアイリッシュパブに行って、そのカッコ良さに惹かれたことがきっかけでした。店内は外国人も多くてワイワイガヤガヤしているのにお客さんは整然と飲んでいて、お店の人も「次、何になさいますか?」みたいなセールストークとかお通しとかは一切なくて「飲みたいものを飲みたいだけ飲めばいい。余計なサービスはしない」っていうスタンスで、お客さんも「ビールをよこせ、金は払う」という感じで等価交換なのがいいなって(笑)。だから一杯だけ飲んでササッと帰る人もいれば好きなだけ飲む人もいて、武蔵小杉にはそんなお店がなかったこともあって「これだ!」って。ーーお店を経営するなかで大変なことはありましたか?
この街はビジネスの拠点になっているので会社帰りに立ち寄る方も多くて、そういう流れのなかでうまくお客さんが付いてくれたんですけど、実はこれまでにお店を2回移転していて、ここで3店目なんです。武蔵小杉なのは変わらないんですけど、開店当時の店はマンション建設で立ち退きになってしまって。最初はマンション内の商業施設で開く話もあったので、交渉中の仮店舗として移った2店目でしばらく営業していたのですが、条件が折り合わず結局この場所に移ってくることになりました。この建物は古民家をリフォームしたものなんですけど柱以外はほとんど変えていて、カウンターやバックバーは最初のお店のときに作ったもの、外壁に描かれたワニの看板や階段にあるクラダリング(アイルランドの伝統的工芸品の指輪)の絵も2店目のときにアイルランドのデザイナーに作ってもらったものをそのまま使っているんです。それにしても移転が多いのにも関わらず開店当初から来続けてくれる方が多くて、10年以上長くお付き合いしているお客さんもいるのはありがたいことです。アイリッシュパブらしいこだわり。ゲストビール、キャッシュオンデリバリー、アイリッシュダンス
ーーお店のこだわりはなんですか?
アルコールは定番の樽生ビールに加えて、ある程度テーマを決めたゲストビールも用意していて、今はI.P.Aというすごく苦いビールが流行っているので必ず置いています。あとはアイリッシュパブの特徴である注文ごとに都度払いのキャッシュオンデリバリーにもこだわっています。お仕事で使う方には予め聞いて最後にまとめてお勘定することもできるんですけど。でも最近キャッシュの扱いに慣れていない人が多くて、これからキャッシュレス時代になったらどうするかが課題でもありますね。ーーお店で集客を高めるためにやっていることはありますか?
ここ数年はSNSを使ってその日のゲストビールやゲストメニューの宣伝をしたり、イベント情報をアップしたりしています。ただ、イベントはわりと自然発生的なことが多くて、例えばアイルランドのトラッドミュージックを演奏する方が近所にいるのでその人たちに生演奏してもらうアイリッシュセッションを月1で開催しているんですけど、それ以外にも週末になるとみなさんが三々五々楽器を持ってきて演奏することも多いです。アイリッシュ音楽はタテノリなダンス・ミュージックなので、お客さんも一緒になってアイリッシュダンスを踊りだして盛り上がるんですが、うちは木造の建物なので「2階でのダンスは勘弁してね」ってお願いしています(笑)。ーーでは最後に、この先の目標を教えてください。
先の目標というよりも、一日一日を楽しむことですかね。オープン当初からその気持ちは変わりません。お店をやるって面白いんですよ。年代の違うお客さんといろんな話ができて、その人一人ひとりが面白いヒントを出してくるので勉強にもなりますし、お客さん同士の話を聞いていても「なるほどな」って。相手にしているのは生の人間ですからね。それが楽しくてやめられないんです。町田 智
夫婦の夢であった店舗経営のために5年間の会社勤務で目標額の1千万を貯め、2003年に神奈川県川崎市にある武蔵小杉に「アイリッシュバーマッキャンズ」を開く。お店を続ける秘訣を「自分が楽しむのが一番。ついでにお客さんも楽しんでくれたらいいな」と語る気さくな人柄の智さんと、穏やかな笑顔が印象的な奥様の聖子さん。2人の人柄がそのままお店の居心地の良さにも繋がっている。
IRISH BAR McCANNS アイリッシュバーマッキャンズhttp://mccannsirishbar.com/
神奈川県川崎市中原区新丸子東2丁目926-27本格的なアイリッシュパブでありながらも本場のスタイルにとらわれるのではなく、日本人のニーズにあったサービスをモットーとする。ビールを始めとする豊富なアルコールメニューの他、多国籍な料理メニューも人気で、Facebookに写真付きでアップされる限定メニューに惹かれて訪れるファンも多い。
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