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横浜・上大岡にある人気ラーメン店、G麺7。その名前の由来は夫婦愛?

自分が「旨い」と感じるものを、自分と同じ年代に向けて作ること。日々少しずつ進化する、「変わらない美味しさ」を追求したいです。

  • 後藤 将友/G麺7(ジーメンセブン)

横浜・上大岡にある人気ラーメン店、G麺7。その名前の由来は夫婦愛?_記事画像

神奈川県・横浜市。上大岡駅から少し離れた場所に佇む「G麺7」(ジーメンセブン)は、個性的なネーミングの印象から「変わり種のラーメンを出すのでは?」と思われがちだが、きわめて正統派なラーメン専門店である。既製品や添加物に頼らないスープとタレ、際立った存在感を持つ自家製麺。いつも笑顔で一生懸命な後藤店主と、彼を慕って集まった仲間が、唯一無二の雰囲気と美味しさを生み出している。店が誕生したのは2009年。当初は夜だけの営業で細々とスタートしたが、たちまち人気を集め、今では複数の支店を持つ繁盛店となった。その成長の源はどこにあるのか。今日も笑顔の後藤店主にお聞きした。

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これぞ夫婦愛!人気ラーメン店の店名の秘密

ーーご自身のお店を開業するまでのキャリアは?
この店をやる前は横浜駅近くの「麺場浜虎」(めんばはまとら)という店で働いていました。浜虎の社長とは友達だったので、独立開業する時に声をかけてもらって、ラーメンの世界に。最初のメニュー作りから関わって、7年間、ナンバー2の立場としてやっていました。

ーー独立を決めたきっかけは何だったのでしょうか?
嫁さんです(笑)。ここには浜虎の新店を出す予定でしたが、「あなたがやりなさいよ」って言われて。その一言がきっかけで、独立を決めました。お店の名前の由来は、後藤の「G」に、麺。嫁さんの名前がナナなので「7」。一緒に頑張ろうと思って付けた名前です。でも、ちょうど開店の頃に臨月になってしまって(笑)。

これぞ夫婦愛!人気ラーメン店の店名の秘密

ラーメン店の開業が遅れる!大家さんに家賃の支払いを待ってもらうよう交渉したが…

ーー開店前に一番苦労した点は何ですか?
「店を作るところから楽しもう」と思っていたので、内装もほとんど自分でやりました。床はおやじにクロスを貼ってもらって、カウンターやテーブルの表面も、自分でバーナーを使って焼き目を付けたり、ヤスリで磨いたりしました。
そんなことをやっていたら結局内装で3ヵ月かかってしまって……。大家さんに「家賃の支払いを遅らせてほしい」ってお願いしたのですがダメでしたね(笑)。

「鶏節」とは?新たな素材との出会いでさらにラーメンの味を追求

ーー味作りのコンセプトと、ラーメンの特徴を教えてください。
コンセプトは「魚介レス」のラーメンです。煮干しやカツオを使わない、動物系だけのスープが一番の売りですね。味は醤油味と塩味の2種類が基本で、2年くらい前に「鶏節」という素材に出会って、これを「追い鶏節」して仕上げる、和風寄りのラーメンも追加しました。
雑誌などでは塩をよく取り上げてもらったのですが、お客さんが選ぶのは醤油味が多いですね。7割が醤油味、3割が塩味です。だから醤油のブレンドにはこだわっていて、試行錯誤の末、今は7種類の醤油をブレンドしてタレを作っています。塩味は醤油味と同じスープですが、タレが違います。タレにショウガをたっぷり使うことで、豚を弱めて、鶏が引き立つような仕掛けになっています。

ーー開業以来、味の変更はされていますか?
開店の頃と比べたら変わっています。80%は同じで、残りの20%の部分を変えている感じです。僕は「春木屋」(荻窪の中華そば屋)さんをすごくリスペクトしていて、「春木屋理論」を意識しています。それは何かと言えば、お客さんが感じている「ずっと変わらない美味しさ」というのは、実は、日々気づかないくらいに、ちょっとずつ良い方に進化しているものだという理論で、僕も日々少しずつ味を進化させていけるように頑張っています。

ーー自家製麺にもこだわっていますね。その理由は何ですか?
浜虎の時に、途中から自家製麺に切り替えたんですが、その衝撃がすごく大きかったんですよ。美味しさが全然違う。その時から、「自分で店をやるなら、絶対に自家製麺にしよう」と決めていました。麺さえ旨ければ、潰れることはないと思っているくらいです。
それに、小さなお店が製麺屋さんに頼んでも、いくつかのサンプルから選ぶ感じでオリジナルの麺を作ってもらえないんです。

G麺7の支店、「啜磨専科」、「ロ麺ズ」を展開する理由とは?

ーー近隣地域で「啜磨専科」(すすりませんか)や「ロ麺ズ」(ろめんず)など、味やコンセプトの異なる支店を展開されていますね。これらの狙いは何でしょうか?
「啜磨専科」はつけ麺の専門店です。「G麺7」は構造上つけ麺を出しにくかったので、だったら、近くにつけ麺専門のお店を作って、お客さんに使い分けてもらえたらいいのかな、と思って作りました。
「ロ麺ズ」は、広さが特徴のお店で、完全にファミリー層をターゲットにしています。というのも、自分も子どもがいますが、子どもが「ラーメンを食べたい」と言っても、テーブル席がひとつしかないので、ここ(G麺7)だとなかなか入れないんですよ。そうなると、ファミリーのお客さんはチェーンのラーメン屋に行っちゃうんです。それがすごく嫌だったので、「ロ麺ズ」では選べる味の数を多くしたり、麺も伸びづらいものにしたり、いろんな工夫をしています。

G麺7の支店、「啜磨専科」、「ロ麺ズ」を展開する理由とは?

ーー安定した経営のために、大切にしているポイントは何ですか?
ひとつは「自分が旨いと思うもの」を作ることです。僕らは団塊ジュニアなので、一番人口が多い世代。そんなオッサンが、若い女性向きのラーメンを作ったって、うまくいくわけがないですよね。だから自分の味覚を信じて、自分と同じ年代に向けて作っています。実はうちのラーメンって、年々サッパリしてきているんです。自分と同じように歳を重ねて、30代の味から、40代の味になってきているんです。
もうひとつは「家では作れないもの」を作ること。今は家庭でも凝ったラーメンを作る人がいますよね。でも、外食するからには、家では作れない「特別なもの」を食べたいじゃないですか。だからチャーシューは自家燻製、麺は自家製麺、ゲンコツは粉砕機にかけた業務用、鶏は朝締めの鶏ガラなんです。家庭では絶対に真似できない素材を使って、手間ひまをかけて作っています。

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後藤 将友

後藤 将友

東京都板橋区出身。イタリア料理等の経験を積んだのち、「麺場浜虎」の開業に合わせて神奈川県横浜市に拠点を移し、ラーメン職人として歩み始める。2009年に「G麺7」を独立開業。その後「啜磨専科」(すすりませんか)、「ロ麺ズ」(ろめんず)、「G麺7-01」(ジーメンセブンゼロワン)を展開。現在は各店を巡回しながら厨房に立っている。風変わりな店名を付けるのは、「チャラい店名に正統派の一杯。そのギャップがあるからこそ人は惚れる」というポリシーゆえ。妻と3人の子どもを溺愛する“よきパパ”としての一面も持つ。

G麺7(ジーメンセブン)

G麺7(ジーメンセブン)
神奈川県横浜市港南区上大岡西3-10-6

神奈川県横浜市、上大岡駅から南に徒歩10分ほどの場所にあるラーメン専門店。醤油味と塩味の澄んだスープにたっぷりの自家製麺が泳ぐ端正なラーメンを提供している。「魚介レス」を標榜しており、スープの基本食材は豚と鶏と香味野菜。タレや油に至るまで、魚介類は一切使用していない。「昔ながらの中華そば」を現代風に昇華させたような一杯とも言え、常連客は老若男女を問わず幅広い。また、珍しい「鶏節」を添えた「追い鶏節らーめん」が醤油、塩の各味に設定されており、魚介を使わずに和風の旨味、香りを乗せることに成功している。つけ麺は置いていないが、近くの支店「啜磨専科」がつけ麺専門店となっている。

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