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ラーメン、かき氷、エステが店の三本柱。女性店主が営む、個性派大行列店の人気の理由とは?

一期一会のお客様に対し、仕事が「作業」になってしまわないように。「できているものは、きちっとできるように」を心がけています。

  • 鈴木瑞穂(すずき みずほ)/ブンブンブラウカフェ ウィズ ビーハイブ

ラーメン、かき氷、エステが店の三本柱。女性店主が営む、個性派大行列店の人気の理由とは?_記事画像

現役エステティシャンの女性店主が始めた、本格志向のラーメンカフェ。ラーメンともうひとつの柱は、これまた本格志向のかき氷。週末ともなれば1時間以上の行列ができるこの店があるのは、都心から少し離れた「旗の台」駅前の、レトロな商店街沿いの2階部分だ。客層は9割以上が女性客。本格派ラーメン店としては極めて異色の存在である。

店内で忙しく麺の湯切りをし、盛り付け、接客をしているのは店主の鈴木瑞穂さん。厨房に立っている時には勇ましくも見えるが、営業時間が終わると一転、穏やかなモードに戻る。店内の一角にはエステルームが備えられており、カフェの営業時間外にはそこでエステの施術も行っているという。ラーメン、かき氷、エステ。なぜこの3つを組み合わせて店を開き、大ヒットしているのだろうか。

異色の経歴!?なぜ、エステティシャンからラーメンの世界へ?

――鈴木さんがこのお店を持つまでの経歴を教えてください。
私の前職はエステティシャンで、10年くらいやっていたんですけれども、その時に、お客様に対していろんな(健康に関する)アドバイスをしていたんです。でも、それに対して何か手出しをしてあげることはできなくて、「もどかしいな」って思っていたんです。その一方では、「美味しくて身体にいいものを食べる」とかだったら、喜んで続けられるなあ、なんて思っていて。食に対して興味というのは、元々すごくあったんですね。そんな時に、“師匠”のお店に出会ったんです。

師匠のお店は千葉の九十九里にあったバーで、当時、私は海が大好きだったので、そのお店もよく利用していたんですが、師匠はそこで数量限定のラーメンを出していたんです。通い始めて1年くらいたった時に、初めてそのラーメンを食べて、“衝撃”を受けましたね。すごく凝っていて、美味しくて、「料理として、こんなにちゃんとラーメンを作る人がいるんだ」って感激しました。

その時から、私も「美味しくて身体にいいラーメン」を作ってみたいな、っていう思いが生まれて、エステティシャンをやりながら、そのバーでアルバイトを始めたんです。でも、それからすぐに東日本大震災が起きて、九十九里に来るお客さんが激減してしまったんですね。

それで、東京にお店を移転することになって、「鈴木はどうする?」って聞かれて、私は「わかりました」って。それが東京に来るきっかけでした。

――千葉から東京に移って、どんな日々を過ごされたのでしょうか?
六本木のお店では麺を作るところから入らせていただいて、チャーシューを巻いたり、スープの仕込みをしたり、いろんな作業を覚えさせていただきました。そのあと、その店は日本橋の裏通りに移転しまして、そこではまた違った、白河風(福島県白河市のご当地ラーメン)の醤油ラーメンを出したので、またいろんな勉強ができて。でも、そこがビルの建て替えということで、立ち退きすることになってしまったんです。

お店は立ち退きだし、師匠は「一旦休養したい」なんて言い出すし、「どうしよう」って思ったんですけれど、一人でお店を出すような資金もなかったので、仕方なく一緒に働いていた女の子と移動販売を始めたんです。都内で、ランチタイムの時だけ場所を借りて、汁なしの担々麺やまぜそばを中心に売っていました。

異色の経歴!?なぜ、エステティシャンからラーメンの世界へ?

ラーメンとかき氷とエステ。この組み合わせたが生まれた理由とは?

――移動販売車からの、自己資金での再スタート。その先を旗の台に決めたのはなぜですか?
大井競馬場で販売車を出していた時に、お客様から、「お店ができたら絶対に行くよ」ってたくさん励ましていただいたので、「探すなら大井町の近くにしよう」と思って、最初は大井町を探し始めたんです。それからいろいろ探して辿り着いたのが、大井町からちょっと外れた、この旗の台だったんです。

この物件にしたのは、もちろん家賃の問題もありましたけれど、駅から近くて、近くに大学があって、電車のラインも複数ある、というのがポイントでした。「ここならいろんな方に来ていただけるな」って思ったんです。あと、エステも一緒にやりたいと思っていたので、1階よりもむしろ2階の店舗が良かったんです。

――「ラーメン」「かき氷」「エステ」の組み合わせは前代未聞ですね。なぜ、こうした組み合わせになったのでしょうか?
エステは私の前職で、「自分で店を出すなら、エステの仕事もまた再開したい」と思っていたからなんですが、かき氷については、内部の事情なんです。最初にこの店を一緒にやろうって言っていた女性が、家庭の事情で急にできなくなってしまって。でもその時には、もう内装工事に入ってしまっていたので、「どうしよう」って(休養中だった)師匠に相談したら、「自分が出たら鈴木のラーメンじゃなくなるから、デザート部門でよかったら担当するよ」って言ってくださって。今は師匠がすごくこだわって(かき氷を)作ってくださっています。

ですから、ラーメンとかき氷には何の関係もないんですよ。でも、「ラーメンの後にかき氷」という方も多いですし、「かき氷だけ」とか、逆に「かき氷の後にラーメン」とか、いろんな利用の仕方をしていただいて、結果的には良かったですね。

――エステを併設したことも、ラーメンやかき氷の売上増につながっていますか?
エステは完全予約制にしているので、カフェとは完全に別ですね。平日のアイドルタイムか、日曜と祝日はお店が昼だけの営業ですから、その後にエステをやっています。ラーメンやかき氷を食べに来ていただいた時に、「エステもあるのね」って気づいていただいて、それをきっかけに来て頂いている方はいらっしゃいますね。

ラーメンとかき氷とエステ。この組み合わせたが生まれた理由とは?

カラダに良くて美味しいラーメンを。成功の秘訣は時代にのれたこと

――カフェを利用される方は、どんなお客様が多いですか?
お客様は9割が女性です。でも、男性だけで、ラーメンだけというお客様もいらっしゃいますし、男性からは「彼女を連れて来られるラーメン屋さん」って言っていただけることも多いです。物珍しい部分が多いお店なので、ビジネスパーソンの方が「面白いお店があるよ」ということで、接待的に利用してくださる場合もあります。

――開業前に想定していなかった、想定外の苦労などはありますか?
いま一番悩んでいるのは、待ち時間の問題ですね。最近は特に待ち時間が長くなってしまっているので、どうやってお客様に快適に待っていただくか、ということが課題です。中には「これ以上は待てない」って帰ってしまう方もいらっしゃるんですが、そういった方が、ひょっとしたらすごく遠くから来てくださっているかもしれないじゃないですか。だから、そういうお客様を少しでも減らしたいですね。

あと、「ターゲットとなる客層がどうやって動いているのか」を調べておかなかったのが、もったいなかったな、と思っています。ここは周りに大学が多い場所なので、学生さんにも期待していたんですけれど、学生さんってサークル単位で動くことが多くて、20人、30人くらいの単位で動くと、うちみたいな店だと入れないんです。なかなか入ってくれなくて。そこは想定外でしたね。

――お店を安定して経営するために、工夫している点は何ですか?
開業からずっと「カラダに良くて美味しい」をテーマにしているので、つねに、ご提供するものに対して、真剣に向き合うということを大事にしています。仕事が「作業」になってしまうと、そこの部分が欠けてしまうと思っているので、『できているものはきちっとできるように」ということはいつも心がけています。一杯のラーメンのために、わざわざ来て、並んでいただいている方がいてのお店ですから。

――ここまでの行列店となった秘訣は何でしょうか?
「時代にのれた」っていうことが大きいですよね。健康ブーム、かき氷ブームって、数年前から徐々に盛り上がっているので、私は別に流行に乗ろうと思ったわけではないんですけれど、タイミングが良かったんだと思います。

カラダに良くて美味しいラーメンを。成功の秘訣は時代にのれたこと

――今後の展望について教えてください。
味に関しては、ただただ、「美味しく食べていただきたい」という思いを持って、今までと変わらず、一生懸命にやっていきたいと思っています。現状としては、待っているお客様の対処と、オペレーションの改善が課題だと思っていますので、そちらは改善していきたいと思っています。

――最後に、これから開業される方にアドバイスをお願いします。
「失敗しないように」というよりは、自分たちが決めたコンセプトをしっかり持って、コンセプトに合ったお客様が来た時に、しっかり対応できるための準備をしておく、ということが大事だと思います。その部分については私達もまだ足りなくって、お客様の手を借りながら何とかやっている感じなんですが、本当はそういった部分まで、最初からしっかりできていればな、と思っています。

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鈴木瑞穂(すずき みずほ)

鈴木瑞穂(すずき みずほ)

千葉県出身。千葉県内のエステティックサロンでエステティシャンとして約10年勤務。その間に、九十九里にあったプールバー「ビーハイブ」でラーメンに出会い、ホールスタッフとしてアルバイトを始める。東日本大震災後に本格的にラーメンの世界へ。11年春から東京で「六本木ビーハイブ」、日本橋室町「ビーハイブ ゲンキノモト」の製麺や調理を担当。移動販売車での営業を経て14年6月に旗の台に現在の店舗をオープンし、同時にエステティシャンの仕事も再開。カフェの営業時間外はフェイシャルエステ、リンパマッサージなどの施術も行う。

ブンブンブラウカフェ ウィズ ビーハイブ

ブンブンブラウカフェ ウィズ ビーハイブhttp://bumbunblaucafe.com/
東京都品川区旗の台3-12-3 J-BOXビル2階

東急大井町・池上線「旗の台」駅前の商店街にあるカフェ&エステ。カフェはラーメンとかき氷が二本柱。どちらも本格志向で遠方から訪れるファンも多い。多くのメディアにも紹介され、休日、平日問わず行列ができる。ラーメンの一番人気は「白トリュフ塩ラーメン」。淡麗なスープに重層的な旨味と華やかな香りを含む。ローカロリーだが物足りなさは皆無。麺には健康食品として近年注目されているスピルリナを使用。かき氷は純氷を削ったフワフワの氷に、季節のフルーツ等をベースにした安心・安全なソースがたっぷり。ラーメンと組み合わせて食べる客も多い。スープ切れにより早仕舞いする場合も多いので、確実に食べるなら早めの時間の訪問を。

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