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みんな楽しくがモットー。今日も笑顔で煮干しが強く効いたパンチのあるラーメンを作る

ラーメンが好きだから、何があっても続けられた。この店に自分の"生きた証"を残したい

  • 大城 弘樹/麺処 晴(めんどころ はる)

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東京都台東区にある言問通りと昭和通りが交差する入谷交差点。この交差点の角には、これまで幾つものラーメン店が入っては撤退する物件があった。そこに2012年に入ったのが「麺処 晴」。その店はこれまでのジンクスを打ち破るように快進撃を続け、現在もなお衰えを知らない。この物件で成功した秘密は何なのだろうか。そして、なぜこの場所を選択したのか。店主の大城弘樹氏に尋ねてみた。

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ラーメン屋は多業種より開業資金が安いのが魅力

ーー大城さんは以前、鎌ヶ谷の人気店「目黒屋」で働かれていたそうですね。なぜ、ラーメン店を開業しようと思われたのでしょうか?
居酒屋チェーンの会社で新店舗の立ち上げをしていたんですよ。当時は新店ラッシュで、全国各地、いろんな場所に行っていました。でも、ものすごく忙しくて、休みが全然取れなかったんです。「家族もいるのに、これじゃあまずいな。いっそ、自分で店を開けるのもいいのかな」って思うようになって。それが最初のきっかけですかね。
一番リアリティがあったので、ラーメン屋を考えました。自分の手持ちのお金だけでできる、開店資金が他業種よりも安いところも魅力でした。
でも、これまでの経験から、未経験で飲食店を始めるのは難しいと思っていたんで、まずは「目黒屋」で働かせてもらいました。「目黒屋」は前からよく食べに行っていた店で、たまたま行った時に、スタッフを募集していたんです。すぐに電話しましたね(笑)。それから3年半働いて、麺もスープも、一通りできるようになってから独立しました。

ラーメン屋は多業種より開業資金が安いのが魅力

ーーラーメン店で働いた経験は、どんな点で生きていると思いますか?
「何をすればいいのか」ということが見渡せたことです。ラーメンって素人でも簡単に作れるものだと思っていますけど、そんなに簡単じゃないんですよ。素人がいきなり店を持っても、だいたい失敗します。そんな人、何人も見てきましたから。
その点、現場を経験してから始めると、スープや麺はもちろんですけど、寸胴を置く位置や、衛生管理など、いろんな部分に「目安」みたいなものが見えて、見当が付くんですね。だから大失敗はしないです(笑)

立地よりも初期費用を優先して物件を選定。開業費用はいくら?

ーーなぜこの場所に店を持たれたのでしょうか?
場所に関しては「手持ちでできる」っていう条件で探したので、場所云々よりも初期費用が抑えられて、もし辞めても大丈夫な物件を選びました。失敗しても「向いてなかったんだな」で済むように。ここはラーメン屋の居抜きだったから、初期費用も安かったですよ。トータルで200万かかってないです。
ラーメンって重飲食だから、グリスト(グリストラップ=厨房から出る油脂を含んだ汚水をそのまま配管に流さないようにする装置)っていう装置が必要なんです。新しく作れば50万くらいかかっちゃうんですけど、ラーメンや中華の居抜きを探せば、最初から付いているんですね。

インターネットで炎上!「精神的に追い込まれました…」その解決策とは?

ーー開業後に大変だったことは何でしょうか?
一番大変だったのは、ネットの「炎上」ですね。1周年の企画の時に、すごい行列ができたんですよ。その時に並んでくれた常連の年配の方に、「いつものメニューは無いんですよ」って言ったら、その方も「じゃあまた来るね」って帰っていったんですけど、それをネットで「老人を追い返した」って書かれて、勝手に炎上しちゃったんです。
イタズラ電話が来たり、ラーメンを頼んだだけで食べないとか、変な奴らもいっぱい来るようになって。身体的にも精神的にもかなり追い込まれましたね。

ーーその解決策として何をされましたか?
何をしたってわけじゃないですけど、人を雇ったことで改善しましたね。儲けだけを考えれば、ひとりの方がいいんですが、お金は残っても、気持ちは何も残らないですよ。そんな時に「働きたい」って人が来てくれたので、一緒にやることになって、やっと落ち着きましたね。

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回転率はつけ麺よりもラーメン?その理由は?

ーー炎上以外にも、開業後に苦労された点はありましたか?
つけ麺ばっかり出ちゃったことですかね。自分ではラーメンが好きなので、そっちをメインで出していきたかったんですけど、8割ぐらいつけ麺になっちゃった時もあって。つけ麺って滞在時間が長いんですよ。その点、ラーメンだと半分ぐらいの滞在時間で、回転も倍ぐらいに上がるんです。だから、つけ麺は2年目の時に思い切ってやめちゃいました。
今振り返ってみれば、それで良かったですね。変えた時には一時的に売り上げもガクンと落ちたんですけど、常連さんも優しくて、ラーメンだけになっても来てくれました。それを見て、「ああ、店を続けなきゃ」っていう気持ちも出てきましたね。
そのころには雰囲気もだいぶ良くなってきて、バイトの子も継続して入ってきてくれて、今があるって感じです。今はスタッフのみんなも一通り作れるようになって、自分がいなくても店は回る状態なんで、いつもふざけ合っていますけど(笑)、本当は、感謝してますよ。

ーー店のポリシーは何でしょうか?
敢えて言うなら「楽しく」ってことですかね。働いている人も、お客さんも、みんなが楽しく。あと、今では「お店をつぶさない」ってのもポリシーですね。昔はすぐ閉じちゃってもいいかなって思ってましたけど、今は自分だけの店じゃないから、店を無くすことが、いちばんダメなことだと思っています。

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ーーこれからラーメン店を開業したいという方に向けて、アドバイスをお願いします。
今の時代にどうしても開けたいって人は、とにかく「動く」ってことでしょうね。今は名店で修行していれば成功するとか、修行してないと失敗するとか、そういう時代じゃないんですよ。気持ちの持ち方しだいで、どうにでもなる。だから、「何をすべきか」なんて考えている暇があったら、まず、動くことです。
うちなんか、名店で修行したけどドロップアウトしてきた、なんて奴らばっかりですよ(笑)。でもそんな奴らでも、またやりたいって面接に来るから、一緒にやってるわけです。前向きな気持ちを持って、とにかく動いていれば、中には、うまくいく奴も出てくるんじゃないですかね。ラーメンが好きなら、諦めずに気持ちを強く持つこと。それが、一番大事なんじゃないですかね。

ーー大城さんがラーメン店を続けているのはなぜですか?
やっぱり「好きだから」じゃないですか。何かを残している実感があるから。自分の子どもに、お金じゃなくて、この店を通じて、自分が生きた証を残したいと思っています。

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大城 弘樹

大城 弘樹

千葉県出身。学校卒業後は大手外食チェーンに入社。本社勤務で全国の直営店やフランチャイズ店の立ち上げに関わる。退職後は鎌ヶ谷の「目黒屋」で働き、ラーメン作りの基本を習得。独立して「麺処 晴」を開店。完成度の高い一杯と、個性的な大城氏の人柄に惹かれ、この店での修行を希望する者も多い。現在は多くのスタッフに囲まれ、日々笑顔でラーメンを作る。

麺処 晴(めんどころ はる)

麺処 晴(めんどころ はる)https://twitter.com/men_haru
東京都台東区下谷1-11-7

言問通りと昭和通りが交わる入谷交差点角に2012年7月開業。当初はラーメンとつけ麺の二本柱だったが、現在のメニューはラーメンのみ。煮干しが強く効いたパンチのあるラーメンは、「晴でしか食べられない一杯」と定評がある。時折、スタッフのオリジナルラーメンや、開業当初に人気を博した濃厚スープのラーメンも数量限定で提供している。

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