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時流の先を行く代表取締役兼チーズ職人。成功を掴んだ秘訣

開店までに必要なのは、熱い想いと情報収集、そして簿記!

  • 藤川 真至/SHIBUYA CHEESE STAND

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人気店「SHIBUYA CHEESE STAND」、そして2号店「& CHEESE STAND」を経営する藤川社長。このインタビューでは、学生時代やチーズ職人になるための修行時代、そして独立、開店するところまでをお届けします。

チーズ版のコーヒースタンドのようなお店を作りたい…

ーーお店作りの際に参考にしたものについてお聞かせください。
お店の具体的なイメージは、ニューヨークへ視察に行って固めていきました。特に参考になったのはマディソンスクエアパークの前にある「EATALY」という複合型のグローサリー、いわゆる食料雑貨店です。色々なおしゃれな商品が溢れるように並んでいて、エスプレッソを飲めるカフェもあるし、奥ではガラス張りのキッチンで手打ちパスタを作っている。食のレジャー施設のようでした。
あとは、ブルックリンを視察したのもよかったですね。当時ブルックリンには、新しい食文化が生まれていて、日本でもブームになったサードウェーブコーヒーや、BEAN TO BAR(※カカオ豆から板チョコレートになるまでの工程のこと。手間をかけて作り上げたチョコレート商品)の先駆けのようなお店、オーガニックレストランなどが注目を集めていました。今まで美味しければそれでよかったという外食産業が、体にいいことや、自然や社会に対して意義のあること、クラフトマンシップについて考え始めたんです。今ではかなり一般化した考えですが、当時は先駆けでした。
この店の内装は、そのあたりの店を参考にしてデザインをしています。

チーズ版のコーヒースタンドのようなお店を作りたい…

ーー新たな業態での開店は、トレンドを読んだ上での決定だったのでしょうか?
当時「料理通信」や「BRUTUS」などの雑誌に、コーヒースタンドが取り上げられ始めていました。チーズ版のコーヒースタンドのようなお店を作りたいなとは考えていました。ですが、チーズの店を開きたいと思った最初のきっかけは、学生時代のバックパッカー旅なんです。1年休学して、中国やロシア、ヨーロッパを訪れたのですが、そこで星付きのレストランで修行している人たちに出会って。彼らの話を聞いているうちに「あ、そういえば高校時代、料理人になりたかったんだ」と、昔、抱いていた夢を思い出したんですよ。そこで住み込みで働ける場所を紹介してくれるWWOOFという協会で修行できるところを探しまして。そこで見つけたナポリのピッツェリアで、チーズの魅力に出会いました。

ーー他にも修行はされたのでしょうか?
長期間、働いた訳ではないので、修行と言えるかわかりませんが、イタリアとスイスの国境近くでチーズを作っている工房で少し勉強をさせてもらいました。その後、帰国して名古屋のピッツェリアでピザ職人として働きはじめたのですが、その間にも北海道や九州、長野などの牧場を訪ねて勉強をしました。大学の卒論も水牛のモッツァレラについて書きました。

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職人と経営者、どちらも向上を目指して

ーーその後、独立をして、職人としてだけでなく経営者にもなられたわけですが、経営についての知識はどこで身に付けたのですか?
ピッツェリアではマネジメントの仕事もしていたんです。その店の2号店の立ち上げにも関わったのですが、そこで自分の力不足を痛感しまして。経営をしっかり学びたいと思い上京しました。当時はドーナツブームだったこともあって、IT会社の役員が始めたドーナツショップにストアマネジャーとして入社し、ミッドタウンやルミネへの出店に携わりました。そこで経営手法を実践していったという感じです。

職人と経営者、どちらも向上を目指して

ーー独立前に経験されたことの中で、経営者になってから役立つと感じたことはどんなことでしょうか?
面接の経験でしょうか。新しく店舗を立ち上げる際にはスタッフを募集するのですが、面接での印象と働き出してからだと、かなりギャップがあるんだということに気づきました。面接では履歴書に沿った通り一辺倒の話に普通の会話を混ぜながら、どういう人なのか観察するようになりました。とはいえ、やはりわからないことも多いですが(笑)。それと職人が経営者になるのならば、具体的なところだと、簿記の勉強はしておいたほうがいいですね。物の考え方とか、数字を組み立てるときに役に立ちました。

ーー商品を生み出す技術と、経営するための知識が揃えば、次のハードルは資金面ですよね。
社会に出て働き始めた頃から、自分の店を持ちたいと思っていたので、コツコツと貯めてはいました。ただ、開店資金には1500万円程が必要でしたが、手元の貯金は700万円程度しかなくて。不足分は親や政策金融公庫から借り入れました。ですので、お店の内装はかなりコストを抑えました。建築時の下材をそのまま塗装だけして活用するなど工夫してコストを抑えました。以前、働いていたドーナツショップから、冷蔵庫やイスなどを安く譲ってもらったりして、何とか低コストでオープンさせました。

ーーオープンしてからの苦労はありましたか?
それはもちろん、ありましたよ。
オープン直後は、チーズを挟んだサンドイッチのテイクアウトをメインに、夜8時までカフェとしてオープンしていました。しかし、それだけでは経営的に厳しくて……。そこで考え、まずクローズ時間を伸ばして、ワインも飲めるレストラン的要素の強い店へと変化させました。それと、スタッフが思うように集まらなかったのも苦労した点ですね。最初の3ヵ月は僕がすべてチーズを作って、作り終わったら僕が配達をして、また店に立ってということを毎日やっていました。電車で寝過ごしてしまい、気づいたら……みたいなことはしょっちゅうでしたね。

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藤川 真至

藤川 真至

1981年生まれ。株式会社nobilu代表取締役兼チーズ職人。大学在学中に訪れたイタリア・ナポリでチーズの魅力に開眼。ピッツェリアやドーナツショップでの飲食店勤務を経て、2012年に渋谷区・神山町に「SHIBUYA CHEESE STAND」を、2016年には2号店となる「& CHEESE STAND」を渋谷区富ヶ谷にオープン。

SHIBUYA CHEESE STAND

SHIBUYA CHEESE STANDhttp://cheese-stand.com
東京都渋谷区神山町5-8 1F

株式会社nobilu
「街に出来たてのチーズを」というコンセプトのもと、カフェレストラン兼チーズショップ「SHIBUYA CHEESE STAND」と、フレッシュチーズにまつわる食物販をメインとした2号店「& CHEESE STAND」を経営。毎朝牧場から直送される牛乳を使用し、手作りする工房の拠点を2号店に移し、他の食材との新しいマリアージュを提案するほか、オウンドメディアでチーズの魅力を発信している。

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