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歯科医院らしからぬ顔入り看板に、オリジナルマニュアル作成…。その効果とは?

「スタッフ教育」と「医院の拡大」が経営のターニングポイントに

  • 清水 龍/くにたち旭通り歯科

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「親身なお付き合いができて人情を感じられる土地がいい」と、閑静な住宅街である国立(くにたち)を開業場所に選んだ清水理事長。今や法人化して3院を展開する理事長の、開業当時の苦悩と医院経営の転機についてお話を伺いました。

歯科医院?インパクト抜群の看板を制作した理由とは?

――唐突ではありますが、医院の入り口にある顔のイラストが入った看板に驚きました。
私の顔の看板ですね(笑)。以前、スタッフから誕生日プレゼントに自分のフィギュアをもらったのですが、その画像を看板のデザインに使いました。それまでは、文字で医院名を書いただけのシンプルな看板でしたが、デザインを変えた効果は抜群!それまでほとんどいなかった「看板を見て来た」という患者様が、毎月10人以上も来てくださるようになったんですよ。地域のみなさんや通りがかりのみなさんに、歯科医院の存在を知ってもらうことがいかに大切かを改めて認識しましたね。

歯科医院?インパクト抜群の看板を制作した理由とは?

開業時は初期コストを抑えることに専念。徐々に大きくできればいい

――2005年「くにたち旭通り歯科」医院開業時に、特に重視したのはどんなことでしたか?
とにかく初期コストを抑えることです。医院経営が上手くいくか不安な気持ちもあったので、最初は慎重に進めようと。診療ユニットやその他設備は、最低限自分のやりたい診療を実現できるものを揃えて、テナントは賃料の安い2階を借り、内装は清潔感だけは損なわないように意識しつつシンプルに仕上げました。徐々に設備や規模を大きくできればいいかなという気持ちでしたね。

――費用を抑えての開業だったとのことですが、広報活動はどのようにされたのでしょうか?
開業前に2日間の内覧会を行いました。新聞の折込チラシ製作や自身でビラ配りをし、たくさんの方に医院を見てもらおうと思ったんですが……実際に来てくれたのは2日間で50人くらい。正直、あまり上手くいかなかったですね(笑)。

――ということは、最初は集患で苦労されたのでは?
スタートダッシュでちょっとつまずいたかな、という感じです。医院がビルの2階で、しかもちょっと奥まったところにあるので、通りがかりに見つけにくいのが災いしたのかもしれません。ただ、徐々に口コミが広がり、患者さんが増えました。開業半年くらいで経営を軌道に乗せることができ、新しい先生1人と衛生士2人を雇えるまでになりました。以降は1年ごとに診療ユニットを増やしていけるようになりましたね。

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スタッフが増えたことを機に、マニュアルを作成して意思統一

――経営的にターニングポイントになった出来事はありますか?
ふたつあります。ひとつはスタッフ教育に関して。開業してから5年ほど経った頃に、医院の規模が大きくなり、スタッフが20人くらいに増えました。これくらいの規模になると、スタッフ教育が急激に難しくなってくるんです。少人数であれば、自分の言葉でひとりひとりに伝えられますが、20人ともなると、話は別です。よく聞かない人がいたり、話が正確に伝わらなくなったりと、時間と労力が大きくなってしまいます。そこで、医院のマニュアルを作成することにしたんです。

――マニュアルとは、いわゆる「お仕事マニュアル」のようなものでしょうか?
一般的にマニュアルというと、仕事の手順などを記載したものを指すと思いますが、私がマニュアルを作った最大の目的は、自分の考えをスタッフに伝えることでした。メインになるマニュアルには、医院理念やスタッフの行動指針、挨拶など、毎日医院で働くうえで軸になる事柄を記載しました。これが「ベーシック」と呼んでいるマニュアルです。ちゃんと製本までして、厚さも2cmくらいあるんですよ。

――すごいボリュームですね。「メイン」ということは、他にもあるのでしょうか?
マニュアルは全部で9冊あります。「ベーシック」のほかに、「ドクター」、「歯科衛生士」などの職種ごと、あとは「インプラント」、「訪問歯科」といった分野別にも作りました。このマニュアルは、医院スタッフで構成される「マニュアル委員会」が企画していて、新しい材料や機器にも対応できるように、毎年アップデートしています。

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――毎年アップデート!すごくこだわっているんですね。これらのマニュアルは、どのように活用しているのでしょうか?
新人教育で使うのはもちろん、仕事で悩んだときや行動に迷ったときにマニュアルを見返すことで自分のすべき行動を再確認する、という使い方を推奨しています。あとは、教える側にもメリットがあります。マニュアルがあることで、誰が教えても芯の部分がブレずに済みます。これはスタッフ全員が同じ方向を向くうえで重要だと考えています。

――もうひとつのターニングポイントはどんなことでしたか?
2013年に、医院を1階にも拡大したことですね。当初は2階だけだったので、通りがかりの来院は少なめでしたが、2013年に1階のテナントが空いたんです。それで思い切って拡大しようと。このタイミングで、通り沿いの医院看板を現在のものに変えたんです。

――順調に進まれているクリニックだと思いますが、今後のビジョンはどんなことでしょうか?
もし、「患者様とのコミュニケーションを大切に」という想いを共有できる仲間が増えていったら、その時は規模の拡大を考える時期かなと思っています。歯科医療は、人対人だと思っているので、その根幹の部分だけは忘れずに、これからも患者様を第一に考えた医院経営をしていきたいですね。

清水 龍

清水 龍

1997年、日本大学松戸歯学部を卒業後、同大学補綴学第三講座に入局。以降、勤務医を経て、2005年に「くにたち旭通り歯科」を開業。2007年に「医療法人社団オーラルコミュニケーション」を設立し、2016年1月に八王子市の「ぐりーんうぉーく歯科」を新たに開業した。

くにたち旭通り歯科

くにたち旭通り歯科http://kadc.jp/
東京都国立市東1-7-5 弥生ビル1階

JR国立駅南口から徒歩2分の立地にある、地域密着型の歯科医院。旭通り沿いに突然現れる、清水理事長のイラスト入りの黄色い大看板が目印。国際口腔インプラント学会・指導医の肩書を持つ理事長は、「患者様とのコミュニケーションも診療の一環」と捉え、対話を重視した治療にこだわっている。

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