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わずか9年で7院を展開する歯科医療法人の経営戦略と展望

歯に関して、一般の方との認識の違いを理解すること、歯科医師と同じ価値観では考えない

  • 宮坂 厚弘/医療法人社団 清慈会

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2007年に「小石川歯科クリニック」を開業して以来、わずか9年で7院を経営するまで規模を拡大してきた「医療法人社団 清慈会」。毎月数十kgは食べるという牛ステーキが「バイタリティの源」と語る宮坂理事長に、これまでの医療法人の歩みと経営戦略、今後の展望についてお話を伺いました。

清慈会の最初の医院「小石川歯科クリニック」のコンセプトは?

――最初に開業した「小石川歯科クリニック」は、開業当日まで歯科医院であることを隠していたそうですね。
オシャレな内装で何か作っているけれど、それが何かは分からない……という状態にしたら、周辺地域の方々が話題にしてくれるんじゃないかと考えたんです。実際に開業したら、「あそこ、歯医者さんだったよ」となって、また話題に上がるかもしれませんし。「きれいな内装だし、一度行ってみようか」となったらいいなと(笑)。
また、「医院自体を看板にできないか」というアイデアも浮かんできました。

清慈会の最初の医院「小石川歯科クリニック」のコンセプトは?

看板のない歯科医院?清慈会で働く人が看板になる!

――医院自体を看板に……ですか?
例えば美容院は、外から美容師の仕事やお客様の表情、内装などがよく見えますよね。その光景自体が、お店の雰囲気をアピールする “看板”の役割を果たしています。歯科医院でも同じようにできないかと思い、小石川歯科クリニックもオシャレな内装プラス、ガラス張りにして医院の様子がわかるようにしたんです。最近は同じようにしている医院も増えましたが、当時は珍しかったので、目立っていたと思います。

――医院のシンボルになっている鳥のロゴマークもオシャレですね!
これは、「ワニチドリ」という鳥をモチーフにしたロゴマークです。ワニチドリは、ワニの口の中に入って、歯を掃除すると言われている鳥なんです。元々は、私の実家でもある「宮坂歯科診療所」の開業時に作成したものなのですが、古臭い感じもないし、歯科医院のイメージにもぴったりだったので、色だけ変えて自分の医院でも使わせてもらうことにしました。

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――内装にこだわった効果はいかがでしたか?
上手くいったと思います。早い段階から地域の皆様に来ていただけましたし、もともと訪問診療という経営的な軸もあったので、すぐに軌道に乗せることができました。

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清慈会が大きな進歩を遂げた要因とは?

――最初の医院を2007年に開業されてから、わずか9年ですでに7院を展開されています。どのような戦略で医院を増やしていったのでしょうか?
当グループでは訪問診療を行っているのですが、訪問診療の対象エリアは健康保険のルール上、原則的に直線距離で医院から半径16km以内と定められているので、それを踏まえて東京23区全域をカバーできるように医院を展開していきました。

――現在、新患を集める取組み、また既存の患者様に再来院してもらうための取組みとしてはどんなことをされていますか?
患者様へのアプローチとしては医院業務効率化ツールを使っています。予約状況や世代別・男女別の来院状況、来院ルートなどの情報を管理できるほか、リコールメール(定期健診を勧めるメール)も自動で送信できるので重宝しています。

――順調に分院展開を進めているように感じますが、理事長の今後の展望を教えてください。
現時点では、分院をさらに増やすこと、とくに普通の歯科医院を増やすことは考えていません。それよりも、既存医院のサービスの充実や売上増加が優先だと考えています。例えば、デイサービスセンターと歯科医院の融合など、将来に向けて新しい形態の歯科医院へシフトする構想があります。
また、子育て中の女性スタッフが安心して働けるように、院内の保育所併設も検討しています。スタッフが働きやすい環境整備を進めて、結果として診療品質の底上げや、患者様へのサービスの充実に繋げられればと思っています。

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――開業を目指している先生へ、アドバイスをお願いします。
歯科医師は、大学で6年間歯科を中心に勉強をするので、歯の重要性をよく理解しているでしょうし、歯にはお金と時間をかけるべきだと思っているはずです。しかし、多くの一般の方はそうではありません。歯のことを、歯科医師と同じ価値観では考えていない。その事実を認めることがまず大事だと思います。認識の違いを理解しているのとしていないのとでは、患者様への説明も違ってきます。丁寧な説明は、歯科医院の信頼感や患者様の定着率にもつながるので、とても重要ですね。

宮坂 厚弘

宮坂 厚弘

日本歯科大学卒業後、東京慈恵会医科大学での研修を経て、勤務医として訪問歯科診療に従事。その経験を活かして、2007年に東京都文京区に「小石川歯科クリニック」を開業。さらに2009年には「医療法人社団 清慈会」を設立する。現在は経営者として都内で7院を経営する傍ら、歯科医師として訪問診療の現場にも立ち続けている。

医療法人社団 清慈会

医療法人社団 清慈会http://www.koishikawadental.com/
東京都文京区小石川3-1-6(小石川歯科クリニック)

都内で7院を展開する「医療法人社団 清慈会」。理事長が訪問診療で培った柔軟な対応力をベースに、「断らない診療」をモットーとする。患者様の痛みや苦しみに共感し、技術・知識で救うことを実践し、幅広い層から支持を得ている。

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