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100円マックの全盛期に切り開いた、グルメバーガーブームの先駆け「THE BURGER STAND FELLOWS」が生まれた理由
失敗したなぁと思ったのは、一皿で満足する商品を作ってしまったことですね(笑)
- 黒川 貴史/THE BURGER STAND FELLOWS
使用する食材や、炭火での焼き加減など細かな部分が全体の味わいを決める「グルメバーガー」。今やブームと言われるほど人気の業態ですが、黒川さんが開業を志した時期はグルメバーガー黎明期。自分の閃きを信じて行動に出た結果は!?
100円マックの全盛期に山勘で開業したハンバーガーショップ「フェローズ」
ーー素材や味付けにこだわった「グルメバーガー」、今や大ブームと言われるほどの人気ですが、黒川さんが開業した2005年当時の状況はどうだったのでしょうか?
当時は100円マック全盛の時代でしたね。グルメバーガーを出すお店もありましたが、今と比べると数は少なかったです。ホテルのコックを辞め、家業を手伝っていたのですが、自分で何か始めたいなと考えていた矢先、目に留まったのがグルメバーガーだったんです。山勘としか言いようがないのですが、競合店もほとんどなかったし、自分で作った方が美味しいと思った。これなら勝てると確信したんです(笑)。グルメバーガーは絶対に流行ると思った瞬間、「今、店を出さずにいつ出すんだ!」と勢い勇んで、開業準備に取り掛かかりました。ーーそれで世田谷区駒沢にオープンしたのが「FELLOWS」だったんですね。
はい。僕自身犬を飼っていて、近所にドッグランもあって、犬好きな人が集まる環境はいいなと思い、駒沢にしたんです。経験がないから開業ノウハウなんてないですし、初期費用も掛けたくなかったから店づくりに関しては水回りと床のみ業者にお願いして、あとの内装はすべて自分。物件自体が古く、駅からも遠かったので家賃は安く抑えられたこともあり、借入れせずに済みました(笑)。勢いだけで開業したので、とりあえず3ヵ月やって駄目だったら辞めようと考えていました。「フェローズ」を筆頭に人気に火が付いたハンバーガー。しかしハンバーガーは割に合わない商売!?
ーー集客のために、何か施策はあったのですか?
それが……まったくなかったですね。敢えてやっていたのは、壁からダクトを出し、炭火で焼いた肉の煙を漂わせていたこと。だから無駄に肉を焼いていました。開店したという意味でも狼煙を上げようと(笑)。とにかく開業知識がないので、何をすればいいのか分からなかったんです。
開店から3ヵ月で、ようやく売り上げも立つようになりましたが、うちは完全に口コミで広がりました。ハンバーガー好きなブロガーさんやmixiで取り上げられたことも大きかったですし、地域密着型の雑誌『世田谷ライフマガジン』で紹介されたのも反響がありましたね。ーー黒川さんの目論見通り、グルメバーガー人気に火が付きました。お店がある表参道エリアには競合店も多いですが、現在の状況についてはどうご覧になっていますか?
業界全体の底上げに繋がるので今の状況は嬉しいですよ。ただ、グルメバーガー専門店は割に合わない商売。そもそも原価率が高いし、提供できるスピードを上げ、客の回転を上げないと儲けが出ないんです。海外の人気店も出店していますが、そもそも業態として大手は手を出しづらいだろうし、それゆえに個人営業の店が多いのだと思います。ーー多店舗展開の予定はないのですか?
別のエリアに出店したいなと考えていますが、まだ先ですかね。フランチャイズの話もいただきますが、それだと自分の味にはならないからすべて断っています。ただ、うちで働いた後、故郷に戻ってグルメバーガーの店を出すスタッフもいるんですよ。それは嬉しいですね。「フェローズ」のウリ、大サイズのハンバーガーは実は失敗だった!?
ーーFELLOWSはグルメバーガー業界を代表するお店のひとつだと思います。強みはどこにあると黒川さんはお考えですか?
僕がどこかで修行したわけではないので、ゼロベースから作り上げた完全なるオリジナルなハンバーガー、ということでしょうか。それと開業ノウハウがない中、すべて手探りでやってきたことが自分の強みとして生きているのかもしれませんね。ただ、知識や情報がなかった分、損もたくさんしてきました。無知な状態から突発的に商売を始めるのは正直、オススメしません。
最初に失敗したなぁと思ったのは、一皿で満足する商品を作ってしまったことですね。普通セオリーは、食べてもちょっと物足りない位にするのがいいんですよ。それでサイドオーダーを注文してもらうのが正しい商売です。この商売を始めた後に知りました(笑)ーーでも、それが結果としてFELLOWSの個性になっていますよね。
そうですね。他のお店と比べてもハンバーガーのサイズは大きいですし、自分が食べて味もボリュームも満足できる商品を提供したかったので、今となってはよかったのかもしれません。
僕は経営本を読んで勉強したことはないし、すべて見様見真似でやってきました。それでも大きな失敗もなく、ここまでやってこれた。ハンバーガーはシンプルだから僕の性格に合っていたのかもしれません。
たまたま僕の作ったハンバーグを食べた友達が「今までの人生で一番美味しいハンバーグだ」と言ってくれたんです。それがずっと心に残っていたんですよね。「何か商売を始めよう」と考えた時にその言葉を思い出し、自分が勝負できるのはハンバーグなのかなと。それがFELLOWSを始めたきっかけでもあるんです。黒川 貴史
1974年、東京生まれ。調理師学校卒業後、ホテルのレストラン勤務などを経て、2005年に東京・駒沢にハンバーガーショップ「THE BURGER STAND FELLOWS」をオープン。2011年に表参道に移転。
THE BURGER STAND FELLOWShttp://www.fellows-burger.com/
東京都港区北青山3-8-11毎日、牛肉の部位から筋を切り取り、ミンチして手で捏ね、ひとつひとつ丁寧に作ったパティ。それを炭火で焼き上げて作る本格的なハンバーガーはボリューム満点、牛肉本来の旨味が味わえると評判を呼び、グルメバーガーブームを支える人気店のひとつになっている。
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