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お客さま視点を貫く銀座・目抜き通りのイタリアン
コミュニケーションを通して「お客様を覚える」。次に来店されたときに喜んでいただくために。
- 山中ファビオ/銀座イタリアンFabi’s(ファビズ)
下積み時代から慣れ親しんだ街、東京・銀座に、念願のレストランを開業して10年、そして姉妹店をオープンして2年。ホールスタッフとして積み重ねた経験を、開業と店舗経営にどう活かしたのか。山中オーナーにお話を伺いました。
なぜ、日本有数の商業地域、銀座でイタリアンを開業したのか?
ーー東京・銀座は日本有数の商業地域ですよね。なぜ、開業の場所に銀座を選ばれたのでしょうか?
ひと言で言うと、自分の一番好きな街だったからです。街の空気感が好きで、集まる人も好き。それに、飲食業界で働き始めたのも銀座ですし、多くの時間を過ごしたのも銀座でした。土地勘があって、何より、自分のことを慕ってくれるお客様、いつも応援してくださるお客様がたくさんいました。だから、最初から銀座以外でお店を出すという選択肢はなかったですね。銀座でイタリアンを開業も厳しいスタート。経営を軌道に乗せたサービスの極意とは?
ーー開業後の経営は順調に進みましたか?
当初は勉強不足もあって、効果的なプロモーションができていませんでした。そのためか、オープンから3ヵ月くらいしてもなかなか経営が軌道に乗りませんでしたね。それでも、下積み時代から贔屓にくれていたお客様たちが何度も足を運んでくれて、「美味しかったよ」、「応援してるよ」というお声もたくさんいただきました。ーー銀座に開業されたことが活かされたんですね。そこから、経営を軌道に乗せるためにどんなことをされたのですか?
私はホール担当でしたので、サービス面を徹底しました。ホールという仕事は、ただ料理やお酒を配膳するだけでなく、それぞれのお客様に「過ごしやすい空間」を提供することが大切なんです。
具体的には、コミュニケーションを通して「お客様を覚える」ことに力を注ぎました。顔や名前だけでなく、味の好み、好き嫌い、どんなワインを飲まれたか、喫煙はされるのかといった点まで、できる限り覚えるようしていましたね。次の来店時にそのお話をすると、「覚えていてくれたんだ!」と喜んでくださったので、他にも、お店をご利用いただく目的や、お連れの方によって、最適な対応をするように心がけていきました。
私たちのお店には「思い出に残るおもてなしのお手伝い」というコンセプトがあります。これは、大切な方を喜ばせたいと思っているお客様を、最高の料理とサービスでお手伝いしたいというところからきています。これを実現できるよう、接待ならフォーマルにお迎えしたり、お誕生日などの記念日に、カップルやご夫婦で来店されたときは笑顔で楽しくお迎えしたりと、素敵な空間を提供できるよう努めています。また、サービスする際に、お客様のお名前を出しながら好みの料理やワインの話をすれば、一緒にご来店くださったお相手に対して格好が付くことにもなりますよね。ーーそのコンセプトを継続するために、徹底していることはありますか?
スタッフのチームワークをすごく大事にしています。最高のサービスを提供するには、チーム全体が同じ方向を向き、一丸となって取り組む必要があります。そしてなにより、「やらされている」のではなく、自分の意志で心から「お客様に喜んでほしい」と思って仕事に取り組むことが大切です。しかし、ミスをしたり、プライベートで落ち込むことがあると、個人のモチベーションを維持するのが難しくなりますよね。お客様にも見抜かれます。そんなときに重要になるのが仲間の存在です。
うまくいっていないスタッフがいれば、みんなで支えて本来の笑顔を取り戻してもらうサポートをする。スタッフが笑顔になればお客様にも届きますし、それがまた自分の笑顔のもとになる。これを繰り返して、またいいサイクルが回り始めれば、スタッフにもお客様にもプラスになります。ーーこれからの夢や目標をお聞かせください。
開業当初は、とにかくお店を大きくして店舗数を増やしたいと思っていました。もちろん、その思いはまだありますが、今はそれ以上にスタッフの夢を応援することも大事に考えています。「Fabi’s」には、将来独立を考えているスタッフがたくさんいます。そういうスタッフに自分が持っているノウハウをどんどん提供して、彼らを支援したいですね。
ここが向上心を持つスタッフの集まる場所になれば、みんなで切磋琢磨して成長でき、料理やおもてなしの品質が上がります。結果として、もっといいお店になっていくでしょうし、ひいては経営の安定や、現在の2店舗からさらに3店舗、4店舗と事業を大きくしていくことにもつながるという、いい循環が生まれると考えています。開業当初はコンセプトもなかった。お店の「軸」や「方向性」を定めるべき
ーーこれから開業を目指している人へ、アドバイスをお願いします。
自分が開業した当時は、コンセプトも定めずにただ一生懸命やるだけでした。行き当たりばったりだと、壁にぶつかったときに道を修正するのが難しくなる。独立前に一度立ち止まって、お店の「軸」や「方向性」を定めるといいと思います。
あとは、「人」の大事さを理解しておくことですね。独立・開業してオーナーになれば、雇われる立場から雇う立場に変わります。でも、「給料を払っているから偉い」という意識では、なかなか人はついてこないものです。スタッフがいないとお店が成り立たない、スタッフがいるから今日もお店を開けるんだという、チームの仲間への感謝の気持ちが大切ですね。山中ファビオ
1975年生まれ。20歳のとき、ホールスタッフとして飲食業のキャリアをスタート。下積み時代の多くを、一流が集う東京・銀座で過ごし、サービスや“おもてなし”の基礎を築く。2001年、ソムリエ資格取得。2006年に独立し、「銀座イタリアンFabi’s」をオープン。2014年には、カジュアルに楽しめる姉妹店「銀座イタリアンORIGO」も展開。
銀座イタリアンFabi’s(ファビズ)http://ginza-fabis.com/
東京都中央区銀座8-8-8 GINZA888(スリーエイト)ビルB1銀座イタリアンFabi’s(ファビズ)
銀座一等地にある隠れ家的イタリアンレストラン。料理の味、提供のタイミング、座席の配置など、訪れるお客様の利用シーンに合わせ、最上のサービスとコミュニケーションで、素敵な時間・空間を演出する。- NEW最新記事
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