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後編:飲食店は店主のキャラが立てば、基本なんでもイケます!

餃子屋がやりたければ餃子を100軒食べろ。料理人もトレーニングを積まねばならない。

  • 中島 武/際コーポレーション

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飲食店のヒットメーカーとして注目を受け続ける「際コーポレーション」中島代表取締役社長。その独創的なアイデアと、時代を読む先見の明には“業態開発の奇才”との異名も付くほど。数々の成功談を持つ中島社長だからこそ語れる、起業への知恵と心構えを伺いました。

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「最初は小さく生んで、大きく育てたほうがいい」

(前編より)自己分析が要るのですね。

自分は何が好きで、何ができるのか。そして、時代の中でどういう立ち位置になっていくのか。

例えば、イタリア料理店をやるのにイタリアに一度も行ったことがいないシェフがいます。「そんな人がイタリア料理をやるな」と普通は言うし、もちろん修行してきたほうがいいと私も思います。でも一方で「イタリアに行ったことがないので、僕の料理はインチキイタリアンです、日本イタリアンです」と言いながら、独特で面白い料理をどんどこ出してくれば、彼は“日本イタリアン”という新ジャンルで自分を確立できる。内装もイタリア風にしなければいい。古い日本家屋に、シンボルとしてイタリアの絵を1枚飾るだけ。そういうのはだいたい流行る。噂になりますよ。

噂になるために必要な飲食店の魅力を、敢えて言葉にすると何でしょう?

そうですね……。
店主のキャラが立てば基本なんでもイケます。

店主にキャラがないと飲食店をやるのはキツイ。料理人はだいたい口が達者ですが、あれは口が達者なのではなく、自己表現できる能力があるということです。中には寡黙な料理人もいますが、いずれにしろ、そうしたキャラ表現の中には、強い信念なり野心がある。店主のキャラが立たないなら、徹底的に料理で攻めていく。好きな料理を突き詰めて、さらに突き詰めて一番になるとか、新ジャンルを生み出すとか。ただし、自分の好きなものと、人の好きなものを整理しなければなりませんよ。人の心はコロコロ変わります。トレンドを読む必要は絶対にあるのです。

そうした力を身に付けるためにすべきことは?

やりたい店のイメージができているなら、「まずは100軒食べろ」と私は言います。
餃子屋をやりたいなら餃子を100軒食べる。それだけ食べれば餃子の一応のことがわかる。トレーニングを積むということです。野球も水泳もサッカーも、プロでもトレーニングしているのに、料理人だけしないのはおかしい。普段ご飯を食べているから知った気になってプロになれると勘違いするけど、プロってそういうものじゃないでしょう?
「あなたの手料理は本当に美味しいわ」って友だちから褒められ、ホームパーティを頻繁にやっている奥様方が、得意になって店を出しても残念ながら、だいたいは成功しません。何かが違う。

それならば、「私、料理屋をやりたいから1年間築地に通うわ」とやったほうがいい。お金が無くて魚は買えないけれど、毎日通えば築地の方々に覚えられ、かまわれ、もしかしたらテレビの密着ドキュメンタリー番組になるかもしれない。それで1年後に小料理屋ができれば、もう成功ですよ。

あるいは、開店前にコンサルタントを依頼するのもひとつの手です。開店後に流行らなくなってからではなく、開店前に頼むのがポイントです。僕らも含めプロの連中は、流行る店作りを経験値から熟知しているし、素人が苦労してやるより、内装費などもたぶん安い。同じ開店資金があるなら、コンサルに投資するのも一案です。そうしたお金をケチらない度胸がある人は、成功するでしょうね。

出店後に“成功”と自己評価できる目安は何ですか?

出店してお客様がたくさん来れば、それが“成功”ですよ。特に人通りが多い場所に出したなら、開店直後に結論は出るはずです。立地の悪い店ならば、噂が立つまで少し辛抱する。ただし、魅力がなければ噂は立ちませんから、まずは自分のポリシーを確立することがやはり大事です。トレーニングの話をしましたが、トレーニングを積んだ結果、師匠のモノマネになってはいけない。オレはオレ、というプライドも持ってください。学びやトレンドを吸収する柔軟性とプライド。相反するように見えますが、このふたつが同時にあるといいですね。

そして成功し続けるには、探求心と好奇心、マメさが要る。毎日同じ料理ばかり出していて流行らなくなったと言っても、そりゃ当然でしょう。労力を惜しんではならない。

流行らないのは、すべて店の責任なのです。

最近思うのですが、“人間は環境の動物”なんですよね。

出店後に“成功”と自己評価できる目安は何ですか?

“人間は環境の動物”、どういう意味でしょうか?

今の日本のお母様たちは、面白いことを言わなくなったなぁと思いまして。
「出世はしなくていいから、ちゃんとした会社に入って真面目に働いてくれればいい」と。
それって、子どもに一番言ってはいけないと思うんです。
「人生一度きりだから、好きなことやりなさい」と、若者のお尻をもっと叩いてくださればいいんですけどね。子どもたちはお母様の環境下で真面目に生きるかもしれないけど、己の能力を発揮しきれないまま生涯を終えていく。現代はサラリーマンだって非常に厳しい。ちゃんとした会社であっても、どこもかしこも競争です。タフに生きていくため、環境に勝ち抜く力を、若いうちのどこかで培わなければならない。それは、お勤めの方も、起業をする方も同じだと思うのです。

“人間は環境の動物”、どういう意味でしょうか?

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中島 武

中島 武

1948年生まれ。大学卒業後、サラリーマンをしながら輸入雑貨販売店、次いでイタリアンレストランを立ち上げる。その後1990年に「際コーポレーション」を設立した創業者。飲食の「紅虎餃子房」、「タイガー餃子会館」など人気店を次々と生み出し、同業者からは“外食界の鬼才”と呼ばれている。主な著書に『ハングリー』、『繁盛道場』などがある。

際コーポレーション

際コーポレーションhttp://www.kiwa-group.co.jp/
東京都目黒区大橋2-22-8 いちご池尻ビル

1990年創業。飲食、物販・衣料品、家具、宿泊事業など、グループ全体で400の店舗を運営する“ライフスタイル・カンパニー”。「紅虎餃子房」のヒットモデルをはじめ、チェーン業態からミシュラン1つ星に輝いた「柚子屋旅館」などの高級業態まで幅広く展開する。また行政と組んでの食にちなんだプロモーションをはじめ、長崎県新上五島町地域振興プロジェクト、「旧白洲邸 武相荘」に代表される文化的事業など、自治体と連携し、地域の魅力をデザインする新ビジネスも展開。

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