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今では一般的な認知度も高く、業態として確立している「猫カフェ」ですが、比較的早い時期に開店した「ニャフェ・メランジェ」では集客に苦労したとのこと。オーナーの秋元さんに開店後の集客方法などについてお話をお聞きしました。
猫カフェの開業、物件探しで躓く人が多い理由とは?
ーー秋元さんが猫カフェを始めた理由について教えてください。
元々うちのお店は放送作家やリサーチャーの所属事務所が母体なんです。昼夜問わず忙しい業界なので、体調を崩すスタッフも多かったんですよね。中にはメンタルに不調を訴える人もいて。そんな姿を見ているうちに、みんなが癒されるような場を提供したいなと思うようになり、それが猫カフェだったんです。私自身も猫が大好きで自宅で飼っているんですが、疲れて帰宅しても飼い猫の顔を見るだけで元気をもらえるんですよ。猫カフェに行くと頭を空っぽにして楽しめて、そういうのもいいなと思っていました。猫カフェで婚活!?ユニークなイベントが集客の鍵
ーー開店した当初、大変だったことは?
猫カフェというお店がどういう業態でどういうシステムなのか、今ほど理解されていなかったので、説明に苦労しました。開店当時は物珍しさで遊びに来てくれるお客様がほとんどでしたが、それもまばらだったので、集客には苦労しました。どうやって宣伝していいのか、わからなかったんです。駅前や店前でチラシを配ったりしたのですが、すぐには集客に結びつかなかったですね。ーーでは、集客のためにどんな施策を打ちましたか?
スタッフのひとりが「猫カフェで婚活イベントをしたらどうでしょう?」と提案してくれたんです。今でこそ猫カフェで行われている婚活イベントは多々あるようですが、オープン翌年の2010年、イベント会社と協力して“ねこんかつ”という名前で、婚活イベントを始めました。ネーミングがキャッチーだったせいか、テレビ、雑誌、新聞など、あらゆるメディアに取り上げられることも多く、よい宣伝効果になりました。
他にも猫をなでながら落語を楽しむ「猫楽」というイベントを不定期開催しています。事務所の所属作家が三遊亭円楽師匠の元お弟子さんだった縁で、三遊亭一門の噺家さんに登場してもらっています。ーー猫カフェらしからぬ個性的なイベントの成功が、結果として集客に繋がったのでしょうね。
類似のお店の中から選んでもらうためには、個性や特徴を出すことが大切です。それと今はSNSなどの影響も大きいと感じています。インバウンド政策も関係しているとは思いますが、日本の文化として猫カフェが世界中に知れ渡り、外国人のお客様も1年半ほど前から急激に増えました。海外からのお客様はネットを駆使して、うちを調べて遊びに来てくれる方も多いので、英語のメニューを用意したり、日本よりも海外でのユーザー数が多いと聞くインスタグラムではプロフィールを英語にしたり、アクセスしやすいように心掛けています。猫カフェは命を預かる仕事。「猫が好き」だけでは絶対に開業できない
ーー生き物を扱うゆえの大変さはどんなところにありますか?
猫カフェを運営する中で一番大変なのは、猫の管理。便の状態は毎日必ず見ていますし、週に1度の体重測定など、健康状態には常に気を配っています。医療費は高いですし、そのコストを抑えるという意味でも病気予防はとても重要です。それに店の衛生状態にも気を付けなければいけません。店内の空気清浄機は業務用ですし、閉店後の掃除は徹底して行っています。お客様から「臭わないお店ですね」と言ってもらえるのは嬉しいですね。ーー昨今の猫ブームからか、猫カフェもずいぶんと増えたような気がします。しかし生き物を扱う仕事ですし、軽い気持ちでできるものではないですよね。
猫カフェだろうか何だろうが、ビジネスでやっている手前、収益をあげることはとても大事です。ただ、開業できたとしても上手くいかずに店を閉めることになった時、残った猫たちはどうするのか。そういったことまでちゃんと考えて欲しいと思います。
「猫が好き」、「可愛い」だけでは絶対にできない仕事です。当たり前ですが、命を預かる仕事には責任が伴うということですからね。ーー「ニャフェ・メランジェ」をオープンした2009年当時は猫カフェ自体、今ほど多くはなかったですよね?
90年代後半に猫カフェ発祥の地と言われる台湾にお店ができて、日本に上陸したのは2004年だと聞いています。ニャフェ・メランジェを出した当時、おそらく全国に100店舗あるかどうか。開業にあたってのアドバイザーがいるわけでもないので、猫好きな内装業者の方と相談しながら店内のデザインを決めていきました。私の場合、物件がすぐに見つかったのであまり苦労はなかったのですが、猫カフェは物件探しで躓く人も多いと聞きます。生き物を扱う業態ですし、建物のオーナーさんの中には嫌がる人も存在します。その点、私はラッキーだったと言えるかもしれません。秋元 結海
東京・恵比寿の猫カフェ「ニャフェ・メランジェ」のオーナー。構成作家やリサーチャーが所属する事務所の役員も務める。所属スタッフの癒しの場になれば……という想いから2009年に「ニャフェ・メランジェ」をオープン。
ニャフェ・メランジェhttp://www.nyafe-melange.com/
東京都渋谷区恵比寿1-7-13 麻仁ビル恵比寿3Fニャフェ・メランジェ
22匹の猫がのんびりと暮らす「ニャフェ・メランジェ」。猫カフェでありながら、“ねこんかつ”という名の婚活イベントをスタートさせ、多数のメディアに取り上げられる。また三遊亭一門の噺家による“猫楽”という落語イベントも不定期開催。- NEW最新記事
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