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日々「進化」を遂げ続けること10年。ラーメン専門誌で常に高い評価を得る塩ラーメンの名店

自分だけの、「ブレない何か」を持つことが何よりも大切。不利な立地条件は、「それくらいのやつを作ってやろう」という決意です

  • 関口信太郎(せきぐち しんたろう)/町田汁場 しおらーめん 進化

日々「進化」を遂げ続けること10年。ラーメン専門誌で常に高い評価を得る塩ラーメンの名店_記事画像

東京、町田市の中心市街地から歩くこと約15分。いくつものラーメン店を横目に見ながら歩き続けた先に、塩ラーメン専門店「進化」はある。通りからはその存在が見えず、とても商売向けとは思えない立地だが、「進化」はこの場所に2007年に開業し、それ以来10年もの間、絶えずお客様を魅了。そして、いまでは町田駅前店、中山店という支店も展開している。また、首都圏を対象にしたラーメン専門誌では毎回「塩ラーメンランキング」の最上位クラスにランクインするなど、ラーメンマニアからも高い評価を集めている。マイナーな存在である塩ラーメンを主役に据え、それ1本で店を成り立たせた理由は何だろうか。店主の関口信太郎氏にお聞きした。

独立を前提に、ラーメンの名店「せたが屋」で修業を経験!

――ラーメン店の開業に至った経緯と、それまでのキャリアを教えてください。
子どもの時からラーメンがすごく好きだったんです。料理をするのも大好きで、ちっちゃい時から包丁で野菜を切っていました(笑)。でも、当時はまだ「料理人になりたい」という感じではなくて…。
10代の頃は音楽に夢中。音楽をやりながらアルバイトをしていました。
ラーメン屋は19歳の時にアルバイトで入り、そこから何軒かのラーメン屋で働いて、そのうちに「もっといろんな料理を作ってみたい」と思うようになったんですね。それで創作料理のダイニング、天ぷら屋さん、焼肉屋さんなどでも働きました。でも、いざ飲食を仕事にしようと思った時に、「やっぱりラーメンの世界が魅力的だな」と。それで世田谷にある「せたが屋」というラーメン屋で働くことになったんです。
「せたが屋」は当時まだ珍しかった「二毛作」(昼夜で違う味のラーメンを出す業態)をやっていたお店で、すごく新鮮でした。「これからすごいお店になっていくんだろうな」という予感がしていましたね。
最初から「将来は独立したい」という話は社長にしていて、「じゃあ3年ぐらいかな」っていう感じで、独立するために学ばせていただいたという感じです。そのうち昼営業の塩ラーメン専門店「ひるがお」の店長になって、次の年にできた「ひるがお新宿御苑店」では立ち上げから店長をやらせていただきました。すごくいい勉強になりましたね。「せたが屋」では3年やって、26歳の時に、ここに「進化」を作りました。

独立を前提に、ラーメンの名店「せたが屋」で修業を経験!

名店「進化」の塩ラーメンへのこだわりとは?

――なぜ塩ラーメン専門店を出されたのでしょうか?
もともと塩ラーメンは好きだったし、「ひるがお」が塩専門店でしたからね。「塩ラーメンをもっと皆さんに食べてもらいたい」という気持ちが一番大きかったです。でも、醤油味と塩味があったら、確実に醤油味のほうが出るじゃないですか。だから、「塩を食べてもらうには、塩専門店にするしかないな」と思って。まず食べてもらわらないことには、魅力もわからないですから。
それに「塩ラーメンがいちばん好き」という人を増やしたいですから。まずは一度お店に来て、食べてもらいたいです!

名店「進化」の塩ラーメンへのこだわりとは?

――ラーメンのコンセプトは何ですか?開業時から「進化」した部分はありますか?
この店(森野本店)には「白醤油らーめん」というメニューがありますが、これも塩に合わせたスープがベースなんです。なので、普通の醤油だと合わなくて、白醤油を使っているんですね。白醤油を使ったラーメンってなかなかないと思うので、「うちじゃないと食べられない」っていう意味では、これもいいかなと思って。いまあるメニューは、塩と、白醤油と、塩煮干しと、塩つけ麺の4種類です。
スープの作り方は日々変えています。どんどん美味しくなるように、少しずつですけど、「進化」させています。「わざわざ来てもらえるようなラーメンを作る」ということは大事にしていますね。場所が場所なので(笑)。

不利な立地で塩ラーメン専門店を出店した理由とは?

――駅からやや遠く、さらには通りに面していないという立地ですよね。ここに店舗を構えたのはなぜですか?
こういう場所だと、実力が問われるじゃないですか。「わざわざ食べに来てもらえるような店にしたい」というのがあったので、敢えてここにしました。逆に言えば「それくらいのやつを作ってやろう」という決意ですね。
でも実は、最初は全然ダメだったんですよ。マスコミや雑誌で取り上げてもらえるようになって、そこからの口コミで広がっていったという感じです。場所が悪いと、やっぱり安定するまでに時間がかかりますから、これからやる人は真似しないでください(笑)。
ちなみに、町田駅前店は2階に店舗がありますが、これは「進化」の名前があるからこそ。路面店と2階以上では全然家賃が違いますが、初めての開業なら2階以上もやめておいた方がいいと思います。

――日々「進化」させることへの思い、その原動力は何ですか?
僕が本当に尊敬している方が、今はもう亡くなってしまった、佐野実(※)さんなんですね。一杯のラーメンに向かって研究する姿、食材を探したりする姿が、「すごいなあ」と昔から思っていて。それを見習って、じゃないですが、いろんなメニューを出すんじゃなくて、「ひとつのものを最高の状態で出す」というのが理想ですね。
そのためには、その食材がいちばん生かせるような麺、スープじゃないといけないと思っていて、日々改良をしています。たとえば「この地鶏が生かせるスープを出すぞ」って研究してみたり。麺もそうですね。佐野さんが作った麺は本当に美味しくって、自分の憧れなんですよ。そういう目標になる人がいますから、自分も、そのぐらいまでラーメンを追究していければいいな、と思っています。佐野さんを尊敬する仲間もたくさんいるので、お互いに切磋琢磨しながらやっている感じです。

※佐野実…ラーメン店「支那そばや」の創業者。メディアにもたびたび登場。TBS系列「ガチンコ!」などに出演した。

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――関口さんが思う、開業、経営に大事なことって何でしょうか?
物件の場所も大事ですが、もっと大事なのは「ブレないこと」だと思います。今は、お店を開けばだいたい最初はお客さんが来るんです。でも、その後必ず、一度「(人の波が)引く」んですよ。そこで味をはじめとするコンセプトを変えてしまうと、「この店は何がしたいんだろう」って、お客さんはそっぽを向いちゃいます。だから、「これが一番の売りなんだ」というものをブラさずに、それが見える店づくりをすることが大切だと思います。塩を食べようと思ったら、「じゃあ、進化に行こう」って思ってもらえるような。
それは、「肉がでかい」とか、すごく単純なことでもいいんですよ。とにかくそれを自分で考えて、ブレなく続けていくことが、大事なことだと思います。
うちもまだまだ、発展途上だと思っているんですよ。目標に近づいたらまた新しい目標ができるので、それに向かってまた頑張っているところです。「進化」って、そういう意味も込めて作ったお店ですからね。

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関口信太郎(せきぐち しんたろう)

関口信太郎(せきぐち しんたろう)

1981年東京出身。高校以降は町田市成瀬で暮らし、音楽に没頭するかたわらでラーメン店のアルバイトを経験。その他の飲食業も経験したのち、03年に世田谷区の名店「せたが屋」に入門。独立を前提に3年間を勤め上げ、その間に同店支店である塩ラーメンの専門店「ひるがお新宿御苑店」の店長に。07年に独立し、町田市森野に「町田汁場 しおらーめん 進化」を、14年には町田駅前店、17年には中山店を開業。ラーメンの鬼として知られた故・佐野実氏を尊敬し、素材の追究を続けながら、さらなる味の進化を目指している。

町田汁場 しおらーめん 進化

町田汁場 しおらーめん 進化https://twitter.com/shioramenshinka
東京都町田市森野3-18-17

町田駅から徒歩15分ほどの場所にある塩ラーメン専門店。2007年に開業し、当初のメニューは「しおらーめん」、「煮干塩」の2種のみ。現在は「しおつけ麺」と「白醤油」をプラスし、4本立てのメニュー構成となっている。麺はすべて自家製麺で、本店の隣に製麺所を置き、メニューに合わせた4種類の麺を製造している。国産小麦を使ったしなやかでのど越しの良い麺が特徴的で、スープとの相性を第一に考えているため、「麺固め」「大盛」といったオーダーは受け付けていない。町田市内に「町田駅前店」、「中山店」の2つの支店を構えており、こちらも本店同様に、塩ラーメン専門店として営業している。

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