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レストランやカフェ、バーや居酒屋など、さまざまな種類がある飲食店。料理や食べ歩きなどの趣味が高じて、将来自分のお店を持ちたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、店舗の数が多く、継続して集客するのが難しいといわれる飲食業界は、非常に競争の激しい世界です。たくさんある飲食店のなかからお客さまに選んでもらうには、料理がおいしいのはもちろん、店舗運営に関しても実践すべき鉄則があります。
そこで今回は、店舗運営に失敗しないためのノウハウをわかりやすく解説していきます。
目次
- 飲食店を経営するのが難しいといわれる理由
- 飲食店を経営する前に覚えておくべき7つのポイント
- ①ターゲットとなる客層を決める
- ②好立地な物件を探す
- ③事業計画書の作成
- ④開業資金の調達
- ⑤損益分岐点を予測しておく
- ⑥資格や届出の手続き
- ⑦SNSなどで情報を発信する
- 飲食店で利益を上げるために必要な7つのノウハウ
- ①顧客管理をする
- ②在庫管理をする
- ③従業員の勤怠管理をする
- ④QSCの改善をする
- ⑤FLコストを分析する
- ⑥人材育成と労働環境の改善をする
- ⑦集客のバリエーションを増やす
- 先輩経営者から学ぶ!飲食店で成功を収めるためのノウハウ
- 中華そば たま河|ラーメン店
- 神酒亭|居酒屋
- ニチョウメカフェ ニニギ|カフェ
- 飲食店経営を成功させるために必要なノウハウを覚えましょう
飲食店を経営するのが難しいといわれる理由
飲食店は他の業種と比べて開業率が高いとの統計結果が出ている一方、廃業率も高く、開業しても数年のうちに閉店するケースが多い業種です。中小企業庁が発表した「2022年版 小規模企業白書」によると、2021年の「宿泊業・飲食サービス業」における開業率は全体の17%、廃業率は5.6%といずれも業種別でトップの数字が出ています。
出典 中小企業庁「2022年版 小規模企業白書」
飲食業界が他の業種と比べて廃業率が高い理由は、主に以下の4つが挙げられます。
- 競合が多い
→料理や接客、コンセプトなどによる差別化や顧客満足度が高い店づくりの継続が難しい - 開業費用が高い
→融資を受けて開業費用をまかなえても、毎月の借入金返済など資金繰りが困難 - 利益率が低い
→売上に対して経費の割合が大きいため、他の業種と比べて利益率が低い - 集客が難しい
→競合が多いため、顧客に自分の店を選んでもらいにくい
これら一つひとつの課題をクリアしなければ、安定的な飲食店経営は難しいのが実情です。
関連記事 飲食店経営が難しい理由って?必要な考え方や成功に欠かせないポイントもご紹介飲食店を経営する前に覚えておくべき7つのポイント
飲食店をオープンする前には、入念な事業計画の立案や調査、資金調達などが必要です。ここからは、オープン前に取り組むべきポイントを7つ解説します。
①ターゲットとなる客層を決める
まず、「自分の店にはどんな客層に来てもらいたいか」を具体的に決めていきます。そして、ターゲットを決めた後で、お店のコンセプトやどの地域に出店するかなどの詳細を詰めていきます。
たとえば、「20代から30代半ばの健康志向の女性」をターゲットにした場合、野菜がたくさん摂れるヘルシーな料理を中心にメニューを考えたり、若い女性が多く集まる地域で物件を探したりと、お店作りに関するアイデアが浮かびやすくなります。
逆に、ターゲットを決めずにお店作りをしてしまうと、個性や特徴がないお店になりやすく、どの客層からも来店してもらえない可能性が高くなるので注意が必要です。②好立地な物件を探す
飲食店にとって、立地は非常に重要なポイントです。料理や接客は問題がないのに、お店の立地に難があって人が集まらないというケースは少なくありません。
出店する地域や物件を選ぶ際は、「その地域や場所にターゲットとなる客層はいるか」ということを基準に考えることをおすすめします。先ほど決めたターゲット層が多くいそうな地域を選んで出店するのが、物件選びに失敗しないための基本といえます。
たとえば、東京で外国人観光客をターゲットとした飲食店を開こうとした場合、浅草や秋葉原など観光客が多く集まる地域に出店すれば、そのほかの地域で出店するよりも多くの集客が見込めるでしょう。
関連記事 飲食店の物件選びに必要な知識と選び方のコツを解説!開業までの流れも把握しよう③事業計画書の作成
先述したように、規模などにもよりますが飲食店の開業には500万円から1,000万円ほどの資金が必要になります。開業に必要なお金を自分の力だけで用意できる場合は別ですが、自己資金だけではまかなえない場合、日本政策金融公庫や民間の金融機関などから融資を受ける選択肢が出てくるでしょう。
金融機関から融資を受ける際に必要となるのが、事業計画書です。事業計画書は、具体的な事業内容や収益の見込みなどを説明するための書類で、金融機関が融資の可否を判断する際に用いられます。
関連記事 コロナで変わる「事業計画書」…必須項目8点とこれからの開業に必要なもの④開業資金の調達
飲食店は、開業してからしばらくは固定客がつきにくく、売上が安定しないのが一般的です。そのため、開業してすぐに資金不足にならないように、経営者は開業資金のほかに数ヶ月分の運転資金も用意しておく必要があります。
資金の調達方法は、国や民間の金融機関から融資を受けるのが一般的です。ただし、過去に開業の実績がない場合、民間の銀行では融資を受けられる可能性が低くなります。そのため、初めて開業する場合は日本政策金融公庫など、経営の実績がない人でも融資を受けやすい公的金融機関の利用をおすすめします。
関連記事 開業資金の調達方法をご紹介!自己資金と6つの集め方⑤損益分岐点を予測しておく
飲食店経営をはじめる前に、あらかじめ損益分岐点の予測も立てておきましょう。
損益分岐点とは、売上高と費用が等しくなり、利益も損失も出ていない状態の売上高を指す言葉です。「売上が損益分岐点を上回ると黒字、下回ると赤字」と覚えておくとわかりやすいでしょう。
【損益分岐点の計算方法】
固定費÷{1-(変動費÷売上高)}=損益分岐点
売上1,000万円、固定費300万円、変動費300万円の場合、上記の式を当てはめると以下のとおりになります。
【計算方法の具体例】
300÷{1-(300÷1,000)}=428万円
上記の例では、売上が428万円を超えると利益が出る計算です。逆に428万円を下回ると赤字となります。赤字の月が続く場合には、早急に利益を上げる施策や固定費・変動費を下げる方法を検討しましょう。
⑥資格や届出の手続き
飲食店を開業するには、保健所に申請し、検査をクリアして「飲食店の営業許可」を取得しなくてはなりません。また、調理場で火を扱う場合は消防署に、深夜0時以降に営業する場合は警察署へ届出を行い、許可を得る必要があります。
これらの届出を行わずに無許可で開業した場合、営業停止処分や罰金刑を科されることがあるので注意しましょう。
⑦SNSなどで情報を発信する
オープンすることが決まったら、お店の情報をFacebookやTwitter、Instagramなどで積極的に発信していきましょう。店舗の内装工事の様子やメニュー開発の模様をSNSにアップすることで、見た人に親近感をもってもらい、オープン後に来店してもらうことが目的です。
飲食店で利益を上げるために必要な7つのノウハウ
無事に店舗をオープンさせた後は、どのように利益を伸ばしていくかを考えなければなりません。ここからは、利益を伸ばすために押さえておくべきノウハウを7つ解説します。
①顧客管理をする
飲食店に限らず、事業全般の経営に欠かせないのが顧客管理です。自分のお店にはどのような客層が多く来店していて、逆にどの年代が少ないのかといったデータを分析することで、店舗運営の改善につなげることができます。
また、開店前に設定した顧客ターゲットと実際に来店している客層を比較することで、自分の思い描いた通りの経営ができているかを確認することもできます。なお、顧客管理用のツールには月額10万円以上かかる企業向けのものから、スマートフォンやタブレット端末で利用できる無料アプリまでさまざまな種類が存在します。
②在庫管理をする
在庫管理も飲食店経営では必須の業務です。必要以上に材料を仕入れてしまうと、その分だけ経費がかさんで経営を圧迫してしまいます。こうした無駄をなくすためには、日々在庫管理を怠らないことが必要になります。なお、在庫管理もパソコンやスマートフォンで使える無料のサービスやアプリがあるので、飲食店をオープンしたら導入するようにしましょう。
③従業員の勤怠管理をする
パートやアルバイトを雇用する場合、経営者は従業員のシフト管理もしなくてはなりません。ひと昔前までは、シフト表といえば紙に書かれたものを掲示し、スタッフ全員で閲覧するのが一般的でした。しかし、最近はオンライン上で利用できるクラウド型のシフト管理ツールが増えており、手間をかけずに勤怠管理を行うことが可能です。
④QSCの改善をする
QSCとは、クオリティー(品質)、サービス(接客)、クリーンネス(清潔さ)の頭文字をとったもので、飲食店のレベルを図る指標のひとつです。QSCの高さによって顧客のリピート率が変わってくることから、いかにQSCを向上させられるかが、飲食店にとっては重要な課題となります。
お店のQSCのレベルを知るには、食事が終わった後にお客さまにアンケートをお願いして、お店に対する感想を聞き出すのが効率的です。アンケート結果からお店の客観的な評価を把握し、それをもとにQSCの改善を図りましょう。
⑤FLコストを分析する
FLコストとは、Food(食材費)とLabor(人件費)を合わせた費用のことで、売上高に占めるFLコストの割合を「FL比率」といいます。
飲食店の経営でもっとも大きなコストとなる食材費と人件費ですが、健全な経営状態を維持するためには、毎月のFL比率は50%~60%に抑える必要があるといわれています。FL比率が60%を超えてしまうと資金繰りが悪化し、閉店に追い込まれてしまう可能性が高くなるので要注意です。
関連記事 【FLコスト】FL比率を知って売上を伸ばす方法とは?⑥人材育成と労働環境の改善をする
飲食店の経営では、人材育成も重要な業務です。たとえ料理がおいしくても、従業員の接客が悪くてお客さまに悪印象を与えてしまっては、再び来店してもらえる可能性は低くなってしまうでしょう。
また、優秀な人材に長くお店に勤めてもらうことも大切です。時間と労力をかけて育成した従業員は、お店にとって貴重な財産。従業員が働きやすい環境を整えて、離職率を下げることも経営者が重視したいポイントのひとつです。
⑦集客のバリエーションを増やす
利益を上げるためには、集客のバリエーションを増やす取り組みも有効です。一つの集客方法にこだわらず、常に新しい手段を模索するように心がけましょう。
オフライン・オンラインそれぞれの代表的な集客方法としては、下記が挙げられます。
【オフラインの集客方法】
- ポスティング
- 街頭でのチラシ配布
- 看板の設置
- 地域紙への広告出稿
【オンラインの集客方法】
- グルメサイトへの掲載
- SNS運用
- Googleビジネスプロフィールへの掲載
- メルマガ配信
近年はオンラインでの集客に目が向きがちですが、出店場所によっては該当広告などのオフラインによる集客も有効です。双方の特性を押さえつつ、自店舗にとって最も効果的な集客方法を見つけ出しましょう。
先輩経営者から学ぶ!飲食店で成功を収めるためのノウハウ
ここからは、実際に飲食店経営で成功を収めた事例を3つ紹介します。どの店舗も創意工夫を凝らし、独自の取り組みを行うことで経営の安定化を図っています。
また、紹介する店舗はすべてcanaeruの開業相談を受けて出店されました。飲食店セミナーへの参加や事業計画書作成のサポートを受けたことで、スムーズな開業を実現しています。
中華そば たま河|ラーメン店
東京都府中市のラーメン店「中華そば たま河」さんは、麺ビジネスを支援する「大和麺学校」で集中的にラーメンのノウハウを学んで成功を収めたお店です。
ラーメンの基礎知識を学んだあとは、日本三大ラーメンに数えられる「喜多方ラーメン」の発祥地・福島県喜多方市での市場調査や専門的な知識を持つ業界人へ相談するなどさまざまな取り組みを実施。短時間で多くの経験を経てお店のコンセプトを確立させたことで、雑誌に取り上げられる有名店になるまでに成長しました。
さらに、「勘に頼らずベストな一杯を提供するために10秒単位のフローチャートを作る」「仕入れ額や売り上げ額が一目でわかるようエクセルでフォーマットを作る」など、クオリティーアップ・業務効率化のために過去の経験をフルに活かして試行錯誤を繰り返しています。
canaeruの開業相談では、日本政策金融公庫への融資についてアドバイス。十分な自己資金を準備されていましたが、資金繰りの不安を解消するために運転資金を確保しておいたほうがよいこと、軌道に乗った際は一括返済できることなどをお話ししています。
関連記事 わずか6日で学んだラーメンが雑誌に取り上げられる有名店になった理由神酒亭|居酒屋
「神酒亭」さんは、2020年5月にオープンした小料理屋です。コロナ禍によって集客に課題を抱えるも、テイクアウトへの対応や内装・外装の工夫などによるファンづくりを進め、地域に根ざした営業を行っています。
コロナ禍での開店ということもあり、早期にテイクアウト対応を行ったことが成功要因の一つ。近隣住民への挨拶の意味を込めて利益度外視でお惣菜販売を行うなど、地域に受け入れられるための取り組みを初期から実施しました。
また、店外から店内が見えるよう内外装工事を行い、通りがかった人が「入ってみようかな」と思える店づくりを行った点も集客につながっています。
「神酒亭」さんは、開業を志してすぐにcanaeruの融資セミナーに参加。店舗開業に関する知識や、事業計画書の作成方法などを学び、開業に至っています。
関連記事 1つの物件に8人の応募…勝ち得た秘密とは?コロナ禍下での店舗開業も、地域の力で順調経営ニチョウメカフェ ニニギ|カフェ
東京都武蔵野市に店舗を構える「ニチョウメカフェ ニニギ」さんは、餃子と豚汁を二枚看板としたカフェです。「食材ロスを出さない」「2人で回せる店をつくる」を経営方針に掲げ、オペレーションを効率化したことで売上を伸ばしてきました。
具体的な取り組みとして、顧客が自身のスマートフォンでQRコードを読み取って注文する「セルフオーダーシステム」を採用。結果として、お店のシステム化に成功したうえ、コロナ対策としても大きな成果を挙げています。
さらに、スタッフの採用に力を入れた点も成功を収めた理由の一つです。時間をかけて採用活動を行ったことが功を奏し、200件以上の応募の中からお店にぴったりの人材を見つけています。
当時、自宅がUSEN本社に近かったため、さまざまなcanaeruのセミナーに通われた「ニチョウメカフェ ニニギ」さん。多種多様なセミナーや知名度の高い講師陣から、資金集めやクレーム対応、業者選びのコツなどを学ばれています。
関連記事 求人募集開始から10日で200件以上の応募連絡。コロナ禍での開業と危機を乗り越えるための柔軟なコロナ対応飲食店経営を成功させるために必要なノウハウを覚えましょう
競合が多く、利益率が低い飲食店は、ほかの業種と比べて成功するのが難しい世界といわれています。しかし、開業前にしっかりと準備をして、開業後もお客さまに愛されるような店舗作りを続けていれば、安定して売上をあげることは決して難しいことではありません。
飲食店のオーナーのなかには、料理のクオリティーにばかりこだわるあまり、ほかの面がおろそかになって経営に失敗してしまう人も少なくないです。飲食店の経営を成功させるには、料理の味はもちろん、立地、接客、お店の清潔さなど、あらゆる面でレベルの高い店舗を目指すことが大切です。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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