1つの物件に8人の応募…勝ち得た秘密とは?コロナ禍下での店舗開業も、地域の力で順調経営

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神酒亭
嶋崎美紀

東京都新宿区荒木町7

エリア
東京荒木町
業種
居酒屋
ロケーション
繁華街
ターゲット
大人向け
業界経験
~3年
目標月商
100万~200万
開業資金
1,000万~1,500万
坪数
10坪以下
家賃
20万以下

開業を目指すきっかけ

嶋崎さんが開業を志したきっかけを教えてください。
大学卒業後は、地方放送局の東京支社に勤めていました。趣味できき酒師やワインエキスパートの資格を取ったり、料理が好きだったのでホームパーティーを開催したり。仕事も趣味も充実した会社員時代を過ごしていたのですが、ふと今後の自分の人生を考えた時に、“定年まで会社で仕事をしている”という想像ができなかったんですね。会社に何か不満があったわけではないですが、“第二の人生”ではないですけれど、元気なうちに新しいチャレンジがしたいという気持ちがどんどん強くなっていきました。それで、趣味で培ったものが活かせる小料理屋の開業を考えるようになっていったんです。
ただ、飲食店での勤務経験がなかったですし、会社に勤めながら店舗開業の準備ができるほど器用なタイプではなかったので、まずは会社を退職して、ハローワークの制度を活用しながらフードコーディネーターについて勉強していきました。その後は、店舗開業を夢見ながら、飲食店に勤務し、自分に足りなかった“経験”を積んでいったんです。

開業準備での課題と解決方法
(物件探し・資金集め, etc.)

実際に店舗を開業しようと決めた際に、まず初めにしたことは何でしょうか?
具体的なことで言えば、まずUSENで行われている日本政策金融公庫のセミナーに参加しました。本当に何もわからない0からのスタートだったので店舗開業に関する知識を身に付けたかったんです。
「事業計画書ってなに?」みたいなところからスタートしているので、セミナーが終わっても講師の方に質問をしたり、個人面談をお願いしたり。区で開催している相談センターのような場所にも足を運びました。わからないことだらけだったので、ほんと1歩ずつ進めていったという感じです。
その結果、みなさんの協力のおかげで事業計画書もしっかりと作りこむことができました!
あとは同時に物件探しも進めていきましたね。
お店があるのは、かつては花街として栄えた荒木町ですね。
当初は神楽坂や飯田橋、あとは恵比寿などで物件を探していましたが、どれもピンと来なかったんです。とくに神楽坂は家賃が高すぎてとてもじゃないけど手が出せない…。それで開業エリアを広げていき、この荒木町の物件に出会ったんです。不動産屋さんの話では8人ぐらいの申込みがあったそうなのですが、作りこんだ事業計画書もありましたし、あとから聞くと、大家さんも小料理屋さんが良いと思ってくださったのか、そういったものがうまく合致してこの物件が借りられたのかなと思います。
荒木町は個人店も多くてすごく雰囲気が良いんです。本来なら何年経っても空きが出ない地域なので、ここに決まって良かったです。
物件は比較的すんなりと決まったので、物件探しではそれほどの苦労はしなかったですね(笑)。
ただ、ここは元々スナックだったので、家庭用のガス管しか引いていなかったんです。なのでインフラの整備はすごく大変でした!
具体的にはどのような作業をしたのでしょうか?
業務用のガスを引くにあたって配管を変えなきゃいけないんですよね。それも道路を掘り起こさなければいけないので、いろんな人の許可がいるんです。とくに、この荒木町にはいろんな地権者がいらっしゃるので、たくさんのハンコをもらわなければいけなくて(笑)。これ、許可が下りるのかなと心配になって、「もし許可が下りなかったら工事を辞めることもできますか?」と設計会社の方に聞いたら、機材も運び入れているから後戻りはできないと言われました…。
最終的に許可が下りたからよかったのですが、今考えると綱渡りでしたよね。
ヒヤヒヤしましたが、無事に業務用のガスを引くことができました。

開業後の気づき/今後の課題

業務用のガスも引き、いざ開業!となると思うのですが、聞くところによると、コロナ禍下での開業だったそうですね。
4月の中旬にはもう営業許可が取れていたので、すぐにでもオープンしたかったのですが、世の中は自粛ムードでした。当然、周辺のお店のみなさんも自粛で閉めているので、そんな雰囲気の中ではとてもオープンはできず、しばらく様子を見ていたのですが、お店を開けていないのに家賃やら人件費は出ていくと…。このまま閉めておくにはさすがに限界があるなということで、ゴールデンウィーク明けにオープンさせることにしたんです。
ただ、アルコール提供が7時までという時期で、状況的にイートインだけでは難しいということで、テイクアウト営業も始めることにしたんです。お店を午後2時に開けて、家飲み用のお惣菜を作って売り出しました。これはご近所の方へのご挨拶の意味も込めて作りましたから完全に利益度外視です。
そこから2週間ぐらいして営業時間の制限が10時までになったのでイートインでの営業だけに切り替えました。
元々10時半までの営業でしたので、これに関してはそれほど影響はなかったと思います。
コロナ禍下のオープンはさすがに経営面で打撃を受けていたのではないかとも思うのですが、開業してから数ヵ月経ちました。順調に進んでいると感じていますか?
まだスタートしたばかりで前年との比較ができないのですが、1年目としては順調に進んでいると思います。その要因としては、荒木町という街に出店できたことがすごくプラスになっていると思いますね。ここには荒木町ファンの方が大勢いらっしゃるんです。荒木町ファンの方が「新しいお店ができた」ってご来店くださります。工事しているところからご近所の方がお散歩がてら見てくださったり、同業者の方も何人かご来店くださり、良い店ができたみたいだよと、お客様にご紹介くださったり。
恥ずかしながらお店を出すまではちゃんとこの街を理解していなかったんですが、今となっては、すごくいい場所に出店できたなと思っていますね。

コロナ禍下のオープンはさすがに経営面で打撃を受けていたのではないかとも思うのですが、開業してから数ヵ月経ちました。順調に進んでいると感じていますか?

ある意味いろんなお店が立ち並び激戦区でもあると思います。お店の宣伝方法についてはどのように行っていますか?
1番の宣伝は窓から店内が見えることですね。お店の前の道を通った方がフラっと「入ってみようかな」と思えるようにしています。ここはスナックの居抜き物件だったのですが、一度スケルトンにして内装を1から作り直しています。入り口の位置も変えていて、窓の位置も違うんです。外からお店が見えやすいようになっています。その変わりっぷりに昔のお店を知っている人はびっくりされていましたね。
この先のビジョンはなにかありますか?
1年目は手探りでやっていて、先ほどもお話ししたように今のところは順調ですが、ガス管を引いて予想外の費用もかかりましたし、コロナの影響もありました。2年目からどのように維持・発展させていくかが大切だと思っています。
有難いことに雑誌でも取り上げてくださっています。女性のお客様も少しずつ増えていますので、何度でも訪れたいと思えるように常に新たなメニュー、新たな取り組みなどを考えています。
小料理屋って雰囲気的に敷居が高いイメージを持たれるかもしれませんが、そんなことは全然ないですし、安心安全価格で料理もお酒も提供をしていますので、お客様との会話を楽しみながら営業していきたいですね。
そして、このお店がたくさんの荒木町ファンの方に受け入れられるようになれば嬉しいです!
神酒亭
  • 東京都新宿区荒木町7

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