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飲食店のランチ営業のメリット解説!ポイントや戦略、満足させるコツなど

【儲かる?】ランチ営業を始める3つのメリットと2つのデメリット

居酒屋やバルなどの夜営業をメインとする飲食店が、ランチ営業を始めるケースをよく見かけます。ランチ営業はディナーに比べて単価が低く、仕込みの時間や手間が増える割には利益を出しにくいと考えられていますが、実際のところ儲かるのでしょうか?

ランチ営業を行う目的は、収益のほかにも集客増やPRなどが挙げられますが、いずれにせよやるからには利益を出さなくてはなりません。そこで本記事では、これからランチ営業を始めたいと考えている方に向けてメリット・デメリットや注意すべきポイント、成功への心得などについて解説します。

ランチ営業を行う3つのメリット

店舗があるエリアにランチ需要や市場があるとわかれば、ランチ営業を成功させるチャンスは十分にあると言えます。ランチ営業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、代表的なメリットを3つ解説します。

食材ロスを防げる

飲食店にとって食材ロスは利益に直結する重要な問題です。夜営業で余った食材をランチ営業で活用すれば、廃棄するはずだった食材を利益に還元できるため、店舗にとっては大きなメリットになります。

例えば、焼き鳥が人気の居酒屋だと多くの鶏肉を仕入れるため、余った鶏肉は翌日のランチ営業で親子丼や唐揚げにして提供することができます。ロスになる食材が毎日変わる場合は、メニューを日替わりにしてもよいでしょう。食材の回転を早めることで、いつでも新鮮な食材で料理を提供できるので、顧客満足度の向上にもつながるはずです。

相乗効果で夜営業の売上アップ

もし高価格帯の飲食店を経営している場合、お客様は高級なお店であればあるほど、いきなりディナータイムに訪問するのは敷居が高いと考えているかもしれません。まずは価格帯が手ごろなランチタイムに利用してもらい、ディナーでも訪れたいと感じてもらうことで、夜営業へのPRになるでしょう。

実際に、ランチを気に入ったお客様が仕事帰りに同僚や得意先の人を連れて夜営業に来てくれるケースは多々あり、相乗効果で売上アップが期待できます。ただし、ランチタイムで評判を落としてしまうと逆効果になるため、注意が必要です。

メニューを絞って利益率アップ

ランチはどうしても単価を抑えるため、夜ほどの売上は見込めません。しかし、利益率はメニュー次第で改善することができます。

利益率を上げるポイントは、メニュー数を増やし過ぎないこと。メニューの数が多ければ使う食材が増え、オペレーションなどの手間もかかるため、効率的ではありません。

もう一つのポイントは、夜営業を優先したメニューにすること。余りそうな食材や仕込みの手間が少ないメニューを開発し、効率を重視した営業を心がけましょう。

ランチメニューを考える際のポイントとは?

ランチメニューを考えるにあたって、押さえておきたいポイントがあります。満足度の高いメニューを生み出すための基本を理解しましょう。

ランチメニューの基礎・基本

ランチメニューを考える際は、ターゲットとなる客層のニーズを理解することが大切です。ランチタイムの客層は、主にビジネスマンや近隣の住民となります。ビジネスマンがメインの場合、お肉をメインにした充実したランチ、近隣の住民がメインの場合、栄養バランスの良い料理が好まれる傾向にあるかもしれません。

中でも重視すべきは手軽さです。特にビジネスマンの場合、ランチタイムは一般的に1時間ほど。加えて、毎日利用することを考慮に入れると、準備・提供時間が短く、価格も手頃なメニューを考案することが重要となります。

人気のあるランチメニューを作るには?

人気のあるランチメニューを作るためには、他の店舗と差別化することが鍵となります。そのためには、地元の食材を活用したメニューや、店舗独自の特色を活かしたオリジナルメニューを提供することが効果的です。

また、季節感を出したメニューや健康志向を取り入れたメニューなど、顧客のライフスタイルやトレンドに合わせたメニュー構成も人気を呼びます。

ランチ営業のPR戦略

ランチ営業を開始した際には、その情報を周囲に積極的に伝えることが重要です。そのためには、様々なプロモーション戦略を練ることが求められます。

SNSで宣伝する

若年層の集客にはSNSでの宣伝が有効です。若い世代にとって、SNSを利用したお店探しは当たり前の時代。特に利用者の多いInstagramやTikTokで美味しそうな料理の写真や動画を共有すると、多くの注目を集めることができます。

また、新メニューの紹介や特別なイベントの告知など、即時性と広範囲なリーチを持つ強力な宣伝ツールです。基本無料で利用可能のため、積極的に取り入れていきたい宣伝方法です。

ポイントカードを取り入れる

ポイントカードの導入は、顧客のリピート来店を促進する効果があります。特定のポイントが貯まった顧客には、無料アイテムやサービス、割引などの特典を提供することで再来店を促し、売上アップに繋げられます。

グルメサイトに掲載する

食べログやぐるなびなどが代表的なインターネットのグルメサイトは、飲食店を探す際に多くの人々が利用する便利なツールです。新たにランチ営業を開始したという情報を広く伝える最も効果的な手段とも言えます。

グルメサイトは利用者からの評価やレビューが掲載されるため、新規顧客への信頼性も向上します。ただし、必ずしも全てが好意的な評価ではないため、サービスの品質向上や適切なクレーム対応も重要となります。

ランチ限定で割引をする

ランチ限定の割引は集客において非常に効果的な戦略の一つです。特に、ビジネスエリアや学校・大学周辺のように、ランチタイムに手頃な価格の食事を求める需要が高い地域で、積極的に取り入れたいサービスです。

具体的なサービスとしては、ディナータイムの料理を一定の割合で価格割引にする、または飲み物やデザートを無料で提供するなど、顧客にとってお得に感じられる特典が良いでしょう。さらに、SNSを活用してランチサービスを宣伝することで、その効果を最大化することが可能です。

看板やチラシを作成する

看板やチラシは、直接的で視覚的な宣伝手段です。特に、店舗の近くを通行する人々への訴求力は高く、新メニューの紹介や特別キャンペーンの告知などに有効です。また、地域のイベントやフェスティバルなどにチラシを配布することも、新規顧客の獲得につながります。

ランチ営業を行う2つのデメリット

ランチ営業には食材ロスの削減や夜営業への相乗効果といったメリットがありますが、方法を誤ると経営を圧迫する要因にもなりかねません。ここでは、ランチ営業のデメリットとして、以下の2つを紹介します。

ディナーより客単価が低い

ランチタイムは手頃な価格の食事を求められる傾向があるため、価格を抑えたメニューが一般的です。加えて、ディナータイムと比べてアルコールの注文が少なく、滞在時間が短いため、客単価が上がりづらいのが現実です。

ランチ営業の導入は、確かに売上の増加を見込むことができます。しかし、人件費や光熱費などの運営コストを考慮すると、利益が出ないどころか赤字を計上する可能性も。そのため、ランチ営業を開始する前には、きちんとしたビジネスプランを策定し、費用対効果をしっかりと評価しましょう。

スタッフのシフト組みが大変

ランチ営業を始めると必然的に営業時間が長くなるため、その分シフトに入るスタッフの人数を増やす必要があります。また、昼と夜の通し勤務でスタッフに過重労働をさせることになっては、店内の士気を下げてしまうことにもなりかねません。

ランチ営業を始める際は、ランチタイム専用のスタッフを新しく雇用する、通し勤務の休憩時間をこまめに確保するといった工夫が必要です。

ランチ営業でお客様に満足してもらうコツ

ランチ営業において、お客様により満足してもらうためのコツをいくつか紹介します。できることがあればぜひ実践してみてください。

会計の効率化

会計の効率化は、顧客満足度を向上させる重要な要素であり、POSレジやセルフレジ、キャッシュレス端末の導入はその効果を期待できます。これらの会計システムを利用することで、様々な決済方法を提供し、同時に会計に必要な時間を大幅に短縮することが可能となります。

ランチタイムは時間が限られているため、顧客にとってスムーズな会計はお店の評価基準となります。現代の主流となっているバーコード決済やタッチ決済は迅速な会計を可能にし、効率性を向上させることができます。

調理の効率化

調理の効率化は、料理の提供速度を向上させ、顧客満足度を高めるための重要なステップです。そのためには、メニューをシンプルに編成し、必要な調理タスクを最小限に抑えることが求められます。また、メニューの種類を適度に制限することで、食材の下ごしらえやソースの作り置きといった事前準備を効率よく行うことができます。

これにより、ランチタイムなどのピーク時でも、迅速に料理を提供することが可能となり、その結果、顧客満足度の向上につながります。

待ち時間を短くする

ランチタイムは時間が限られているビジネスマンや学生が利用する頻度が多いため、待ち時間の短縮は来店客数に大きく影響を与える重要な要素となります。

待ち時間の短縮には、以前に述べた調理の効率化だけでなく、テイクアウトデリバリーサービスの提供、予約システムの導入などが有効です。提供するサービスやメニューに対応した最適なシステムを導入することで、より効率的な顧客獲得を目指すことが可能となります。

限定メニューを作る

ランチ限定メニューは、ランチタイムの来店を促す有効な方法です。特に、日替わりランチのようなものは、顧客が何度も訪れる動機となり、安定した客足を確保することにつながります。また、顧客が足を延ばしにくい雨の日限定のメニューなどがあれば、満足度の高い体験価値を提供できるでしょう。

先輩開業者から学ぶランチ営業

「canaeru」では開業サポートを行った飲食店開業者の方へインタビューを行っています。今回はその中から、ランチ営業を始めた先輩開業者の話を2つ紹介します。ランチ営業を始めたきっかけや良かった点・苦労した点などから、成功の秘訣を探っていきましょう。

bar SLIGHT 様

JR神田駅から徒歩3分、たくさんのお酒と300枚ほどのレコードに囲まれた音楽にこだわったバー「Bar SLIGHT」は、コロナの影響で先延ばしになりながらも、2020年4月にオープン。緊急事態宣言中だったため夜営業ができず、お酒の提供時間も制限され、開業当初から厳しい状況が続いていました。

しかし、そのような状況下で近隣の飲食店の閉店が相次ぎ、ランチ難民が出ていた噂を聞きつけランチ営業を開始。提供していたのは軽食メニューでしたが、近隣の会社員が来店してくれるようになりました。「ランチをきっかけにお店を知り、バー営業に来てもらえるケースも増えたため、やってよかった」と開業者の笹木さんは言います。

エリアのランチ需要をいち早く読み取り、実行に移したことが成功につながった好例です。

関連記事 20代でバーを開業、コロナ禍での苦肉の策として出したランチ営業が認知拡大に繋がる

揚げたて天ぷら ささき 様

2020年3月、大阪府吹田市の活気ある住宅街にオープンした「揚げたて天ぷら ささき」。開業当初からランチ営業を行っていましたが、夜営業に比べて集客が少ないことが課題でした。

コロナ禍に入り緊急事態宣言が発令されたことをきっかけに、テイクアウトを開始。メニューは500円・700円の天丼と800円の天ぷら盛り合わせの3つに絞り、チラシをポスティング。すると、コロナ禍にもかかわらず売上が右肩上がりに。その後、テイクアウトをきっかけにリピーターが増えたことから、ランチ・ディナーともに集客が安定したと言います。

成功の秘訣については「天ぷら専門店は一見、敷居が高いようにも見えるのですが、500円という低価格のメニューが功を奏したのかもしれない」と開業者の佐々木さんは言います。天ぷら専門店という特徴柄、ランチ・ディナーともに使用する食材は変わらないため、リスクが少なかった点も成功の秘訣でしょう。

関連記事 開業直後にコロナ直面! ワンコインランチの開始、チラシのポスティング…集客課題を乗り越える「揚げたて天ぷら ささき」のコロナ禍での経営実態

まとめ

多くの飲食店が行っているランチ営業。目的と戦略を明確にすれば夜営業との相乗効果で売上増加が期待できるでしょう。しかし、実際には作業や準備の時間が増えることに加えてコスト管理が難しく、失敗に終わってしまう飲食店が多いのも事実です。

ランチ営業を成功させたいなら、まずは専門家に相談することも一案です。『canaeru』では不動産、資金計画、販促など幅広い分野で経験豊富なコンサルタントが在籍し、飲食店をサポートしています。ランチ営業が成功するか不安な方やどのように進めるべきかお悩みの方は、ぜひ一度無料相談をご利用ください。

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この記事の執筆

 _株式会社USEN canaeru編集部

 

株式会社USEN canaeru編集部

飲食店をはじめ、小売店や美容室などの開業を支援する『canaeru』の運営を行う。店舗開業や経営に役立つ情報を日々提供し、開業者と経営者に向けた無料セミナーの企画・運営も担当。

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