開業直後にコロナ直面! ワンコインランチの開始、チラシのポスティング…集客課題を乗り越える「揚げたて天ぷら ささき」のコロナ禍での経営実態

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揚げたて天ぷら ささき
佐々木崇匡

大阪府吹田市長野東18-4

エリア
大阪吹田
業種
居酒屋
ロケーション
ベッドタウン
ターゲット
ファミリー向け
業界経験
10年以上
開業時の年齢
40代
目標月商
100万~200万
開業資金
500~1,000万
坪数
10坪以下
家賃
20万以下

開業を目指すきっかけ

「揚げたて天ぷら ささき」のオープンは2020年3月ですね。オーナーである佐々木さんは開業に至るまで、どのようなキャリアを積まれてきたのでしょうか。
大学時代から手打ちうどんのチェーン店でバイトをしていて、その流れで正社員になったんです。そこでは長らく店長も経験したのですが、その後スカウトがきっかけで、丸亀製麺を擁するトリドールに転職しました。最初は丸亀製麺の店長を8年ほど、その後は社内の天ぷら専門店に異動して、新店の立ち上げ業務に携わったり、店長として働いたりしていました。
うどん業界の方がキャリアも長く、勝手も知っているように思えます。なぜ天ぷらで勝負しようと思ったのでしょうか。
おっしゃる通り、うどん業界が長かったので、最初はうどん店として独立しようと思っていたのですが、製麺機や湯煎器など、揃えなくてはいけない厨房設備も多く、うどん自体そんなに単価もとれない。だから客数が必要になってくるんですが、丸亀製麺は30分で100人を通すことが可能な世界。個人では到底無理な話ですよね。
それに比べて天ぷら店は、極論をいえば鍋とコンロと冷蔵庫と炊飯器があればいいですし、何よりしっかり接客ができるのが魅力でした。揚げたての天ぷらをカウンター越しに提供して、喜んでいただけるのが嬉しいですね。
ちなみに、お店では天ぷらを揚げる際にフライヤーではなく、銅鍋を使用されていますが、佐々木さんのこだわりなのですか。
フライヤーより銅鍋の方が油の量や作業面でもコストを抑えられるんですよ。それに見た目もいいですし、雰囲気もありますから。フライヤーを導入するのであれば、もっと大きな店になりますね。

開業準備での課題と解決方法
(物件探し・資金集め, etc.)

独立を決めてから、開業準備はどのように進めていきましたか。
前職時代の先輩が独立して天ぷら専門店を立ち上げたのですが、2店舗目を出すから手伝ってほしいと言われて1年ほど働いてました。ここではスキルをつけたいというより、仕入れ先など業者との繋がりをつくりたかったので。同時に物件探しもしていて、開業資金に目途がついたタイミングでそこのお店は辞めました。canaeruのサイトもチェックしていて、最初はセミナーに参加。その後は融資の相談をさせてもらい、事業計画書を作成するためのアドバイスをいただきました。
物件はどんな条件で探されてたのでしょうか。
出店場所は住宅街でも元気な街で、と考えていました。大阪の豊中市にある沿線、たとえば阪急宝塚線の岡町駅や曽根駅で探していたのですが、希望する物件が出てこなかった。
結局、JR京都線の千里丘駅近くの物件に決めたわけですが、店前は駅からの流れで人通りも多くて、道路に面していて看板も出せるのがいいなと。坪数も小さく家賃も手頃でした。これまで大きな店舗で仕事をしていた反動なのか、こじんまりした店ですべて自分の手の届く範囲でやりたかったんです。
物件が無事決まったものの、その後の内装工事の段階で苦労されたとうかがいました。
業者の担当者が辞めてしまい、その後のコミュニケーションがうまくいかなくなってしまったんです。結局、別の業者にお願いして工事を進めてもらったのですが、余計にお金がかかってしまいました。私にとって初めての開業だったので進め方もよくわからず、業者にしっかりと要望を伝えれなかったな…という反省がありますね。

物件が無事決まったものの、その後の内装工事の段階で苦労されたとうかがいました。

開業後の気づき/今後の課題

開業準備を振り返ってみて、悔いや、やり残したことは?
悔いでいえば、自分には交渉力が足りなかったという点ですかね。業者との交渉の仕方について学べたのは大きかったです。初めての店づくりで肩に力が入りすぎてしまったし、焦りもあった。内装工事も融資が下りる前提で進めていたのですが、今思えばそれも甘かったかもしれません。融資の申し込みから承認まで時間がかかりますが、それを待っている途中でキャッシュを持っている方から発注があれば業者はそっちを優先するし、その分、こちらの工事は遅れるわけですから。

開業準備を振り返ってみて、悔いや、やり残したことは?

開業した2020年3月といえば、大阪でも新型コロナウイルスの影響が出始めた時期ですが、お店への影響はありましたか。
オープン当時は緊急事態宣言前でしたし、さほど大きな影響は受けてはいません。PR不足でランチの集客に苦戦していたものの、夜の営業時間のお客様は結構いたんですよね。
その後に緊急事態宣言がスタートしてから夜の客足が落ち込んでしまったので、仕方なくテイクアウトを始めました。持ち帰り品は客単価をとるのを諦めて、500円と700円の天丼と800円の天ぷら盛り合わせの3つのメニューで展開。
始めるにあたり、チラシをつくって自分たちでポスティングをしたのですが、それなりに反響があって4月、5月はテイクアウトが急激に伸びたんですよ。これなら店も持ち堪えられるし、売上自体が右肩上がりだったので安泰だ!なんて思っていた矢先、緊急事態宣言が終了し、テイクアウトのニーズがパタッと止んでしまったんです。だからといって店内飲食のお客さまは戻ってこないですし、焦りましたね。
現在はようやく安定してきたところです。以前は1日の客数が10人程度だったけど、今は満席になることが増えました。ランチ帯も順調に伸びています。夜の客層とは違い、お昼は近隣の主婦の方や、建設中のマンションも多いので現場の職人さんが多いですし、車で来られる方も。この辺りは住民が多いせいか、駐車場の空きが全くないんですよ。実際に店を始めてみて、駐車場の必要性を感じています。
先ほど、テイクアウトを始めるにあたり、チラシを配布したというお話がありましたが、集客につながったという目に見える効果はありましたか?
数値としては出していないのですが、かなり大きな効果がありましたね。天ぷら専門店は一見、敷居が高いようにも見えるのですが、500円という低価格が功を奏したのかもしれません。試しに買ってみたら美味しかったから、という理由でリピーターになってくれた方も多かったですね。
間もなくオープンから1年を迎えますが、経営に関する課題はありますか?
課題は集客・宣伝です。ランチに関しては自分が考えているよりも集客が弱いので力を入れていきたいです。チラシの効果があったとはいえ、テイクアウト用のものだったので、次にやるならクーポンをつけたり、枚数を増やして新聞の折り込み広告として出すことを考えています。想定していた売上の数字はクリアできましたが、その分人件費もあるし原価もかけているので、利益率でいったらたいしたことないんですよね。
今後は集客の安定化を目指していきたいです。今月良かったとしても、来月はどうなっているかわからない状況ですし、月末月初は不安も大きいです。
今後の展開について考えていることがあれば、ぜひ教えてください。
2店舗目に関しては当初、あまり想定していなかったのですが、実際に店を始めてみると、トライしてもいいかなと思うようになりました。ただ、業態的に火傷が多かったりするので、2店舗目をやったとしてもバイトに任すといったことはしたくはないです。実は僕が独立に目覚めたのは、会社に長く居すぎて目標を見失いかけていたという面もあるんです。だから僕と同じように飲食店でくすぶっている人の背中を押してあげられるような、出店システムをつくることができたらいいですよね。
揚げたて天ぷら ささき

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