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古民家リノベーションでカフェを開業する際の3つの注意点、かかる費用は?

古民家リノベーションでカフェを開業する際の3つの注意点、かかる費用は?

昔懐かしい和の趣を感じられる古民家を活用したカフェやレストランなどの飲食店が、近年注目されています。古民家を飲食店に生まれ変わらせるにはリノベーションが必要ですが、その際見落としがちなポイントもあるので注意が必要。
今回は、古民家をリノベーションして飲食店を開業する際の費用相場や注意点のほか、人気の古民家カフェをつくるコツについてご説明します。

古民家カフェの開業の流れ

必要な資格の取得

開業するのであれば、まず初めに必要となってくる資格を取得すべきです。古民家カフェの開業において必ず必要となってくる資格は、「食品衛生責任者」です。飲食店など許可の必要な店舗を経営する場合には、店舗に最低1人はこの資格所有している人を置かなければならないように定められています。店舗に最低1人はこの資格を所有している人を置かなければならないように定められています。このことから、開業する主体の人が事前に取得をしておく必要があります。

その他には、30人以上もの大人数が出入りや勤務をする場合には、「防火管理者」という資格を取得しておく必要があります。その他に、必要となってくる資格はありません。「古民家カフェだから料理系の資格が必要なのでは!?」と思いがちですが、そのような資格は持っていなくても大丈夫なのです。しかしながら、何らかの資格を取得しておけば、お客様からの信頼はかなり厚いでしょう。

開業する場所を決める

大体どこら辺でオープンをさせたいのかを決めておけば、物件も探しやすいでしょう。「ここの物件が安いから…」や「ここなら立地がいいから売れるでしょ!」などといった考えで決めるのではなく、しっかりと周辺を調査して選ぶことが大切です。

物件探し

「古民家カフェ=長い年月を経てきた古民家を使用しているカフェ」ということから、新築や今どき風な物件では古民家カフェの役目は務まりません。そうなってくると古民家カフェらしい雰囲気の空き家物件を探さなければならないのです。物件を探すにあたって、ネットにて下調べをすることもおすすめですが、何よりもたくさんの物件へ足を運ぶことが一番大切です。たった数件回っただけで決めるのは様々なリスクがあり危険ですので、必ず何十件も回ってから決めるようにしましょう。

様々な申請や手続きを行う

開業するにあたって、役所などにて様々な申請や手続きを行う必要があります。例えば、保健所の許可を得たり、開廃業届や事業開始等申告書の提出など。やるべき申請や手続きはかなり多くありますので、1つでも怠らないようにしてきちんと全て申請や手続きを行うように気をつけましょう。

必要な道具類を揃える

古民家カフェを開業するにあたって、必要な道具類は本当にたくさんあります。カップ類・食器類・テーブルや椅子・レジ用品やキッチン用品など、かなり多くの道具類を揃えなければいけないということから、手間や費用もかなりかかって来てしまいますので、道具類に関しては長い間使用し続けると見込んで、より良いもの、気に入ったものを購入すると良いでしょう。

古民家をリノベーションして飲食店にする際の費用相場は約500万円〜1,000万円

物件のコンディションや店舗業種、利用する施工業者などの条件によって変動しますが、古民家をリノベーションして飲食店にする際の費用相場は、おおむね500万円〜1,000万円とされています。駐車場の有無や坪数、立地などの環境によっては上記を上回るケースも少なくありません。

古民家をリノベーションしてカフェやレストランなどの飲食店を開業するためには、主に以下6項目の費用が必要です。

1.古民家の購入費あるいは賃貸費
2.足場組立や現場清掃などの架設工事費
4.天井・壁・床などの改装費および各種建具工事費
4.電気・ガス・水道の各種インフラ工事費
5.キッチンや製氷機といった厨房設備および機器の購入費
6.雑工事費および机や椅子・食器・消耗品などの諸費用

既存の古民家物件をどこまで活かしてどの程度手を加えるかによって費用は変わります。例えば、壁の塗装を無垢や漆喰といった自然素材にこだわるなら相応の費用がかかる一方、ビニールクロスを使用すれば費用を格段に抑えることが可能です。

こだわりたい点とコストカットしたい点を明確にし、リノベーションの予算と開業後しばらくの運転資金を考慮しながら、項目ごとに費用の増減を図りましょう。

地方自治体によっては古民家再生の助成金や補助金制度がある

古民家を飲食店にリノベーションして開業するには相応の費用がかかるため、開業を検討している地域の地方自治体で、古民家再生の助成金や補助金など利用可能な制度がないか確認してみましょう。コンディションが良好であるにも関わらず放置されている古民家を有効活用するために、古民家再生を助成・補助する制度を用意している地方自治体も珍しくありません。

例えば、兵庫県は県内にある古民家の再生促進支援事業を実施しており、下記の対象および条件を満たす古民家に、改修工事費用の助成を行っています。[注1]

対象
*築年数50年以上の住宅または歴史的建造物
*伝統的な木造建築技術によって建築されている


条件
1.改修工事によって一定の耐震性を確保する
2.改修後10年間以上は地域交流施設等として活用し、事業完了後に活用状況を定期的に報告する
3.古民家が建てられている地域の市町からも改修工事助成を受ける

[注1]
兵庫県:古民家再生促進支援事業の実施

古民家リノベーションの3つの注意点

古民家をリノベーションする際は以下3つのポイントに注意しましょう。

古民家リノベーションの3つの注意点

1. 改修工事で古民家の断熱性および気密性を確保する

1世紀以上も前に建てられている古民家は、現代のコンクリート建造物のように高い断熱性・気密性が備えられていません。物件次第では室内に外気が吹くほどの隙間が空いているケースもあるため、リノベーションする際は改修工事で断熱性および気密性を確保しましょう。

一般的に古民家と呼称される住宅は、エアコンが一家に一台ある時代ではなく、戦前に建てられているケースがほとんどです。そのため、空調設備がなくても夏季は涼しく暮らせる構造となっています。

しかし、長年空き家でメンテナンスされずに放置されていた物件は経年劣化で気密性が著しく低下し、夏季は虫などが屋内へ頻繁に侵入するケースが少なくありません。加えて断熱性も低いため、暖房をつけても暖気が室外に逃げてしまい、冬季は厳寒となります。

また、保健所から営業許可を取得して飲食店を開業する際は、一定の施設基準を満たす必要があります。ですが、気密性が低いとネズミや虫などの防除設備を有していないと判断され、施設検査をクリアできない場合があるので注意しましょう。

2. 耐震補強工事を行う際は古民家鑑定士と相談しながら進める

2017年度、国内で最大震度4以上を観測した地震の発生件数は合計40回にものぼっており、古民家をリノベーションの際に耐震補強工事を検討している方も多いのではないでしょうか。[注2]
しかし、昭和初期およびそれ以前に建てられた伝統工法の古民家に耐震補強工事を行う際は、古民家鑑定士と相談しながら進めることが大切です。

伝統工法とは柱と梁を仕口で強固に接合した木造の軸組構造であり、地震で揺れが発生した際は、構造体がしなることでエネルギーを吸収する免震的な造りとなっています。現行の建築基準法では壁の量によって耐震性を判断するため、同法令が制定された以降に建てられた建造物とは耐震構法が異なるのです。
実際に築年数が1世紀を超える古民家には壁が少なく、開放的な造りであるケースがほとんどです。

必ずしも築年数が長いから耐震性が低くなるとは限りませんが、伝統工法で建てられている古民家は、現行の耐震基準では脆弱と判断されてしまいます。そのため、現行の耐震基準をもとに古民家の耐震補強を一般的な工務店に依頼した場合、壁の量を増やす耐震構法によって、伝統工法の持ち味である開放的な内装空間が失われてしまう可能性があります。

古民家のよさを残しつつ耐震性を高めたい場合は、古民家鑑定士に相談して物件のコンディションを診断してもらい、必要に応じて古民家再生を専門とする工務店に工事を依頼するとよいでしょう。

[注2]
気象庁:平成29年の日本の地震活動[pdf]

3. リノベーションの内容次第で固定資産税や火災保険が高額になる

古民家をリノベーションする際は、内容次第で固定資産税や火災保険が高額になることがあるため注意しましょう。
建物の固定資産税評価額は、木造か鉄筋かといった建物の構造、築年数などによって変動します。古民家は木造で築年数が50年以上であることがほとんどですので、固定資産税は新築の鉄筋物件と比べて安い傾向にあります。
しかし、リノベーションによって増築を行った場合、増築部分が経年劣化していない新築部分とみなされ、評価額が引き上げられるケースがあるのです。

加えて、火災保険料は木造や土蔵など耐火性が低い建物だと割高になる傾向にあるため、木造の古民家は高額となる点も覚悟しなくてはいけません。
また、保険料は壁に石膏ボードを使い耐火性を高めるといった準耐火構造にすれば抑えられるとされていますが、見た目や質感など古民家本来の趣が失われてしまうため注意しましょう。

人気の古民家カフェをつくるコツは独自性をもたせること

古民家をリノベーションして飲食店を開く場合に、人気とされている店舗業種が「古民家カフェ」です。古民家カフェでは、伝統工法による開放感と、歳月を経るごとに風合いを増した柱や壁の趣のある雰囲気を活かし、都市部のスタイリッシュなカフェでは再現できない独創的な空間を演出できます。

古民家カフェの経営を軌道にのせるには、こうした独自性を演出し、訪れたお客さんに特別感を抱いてもらうことがコツ。「一般的なカフェにはない趣」と相性のよい店舗設計・サービスを用意しましょう。

例えば、くつろげる畳部屋を設営する、夏季に縁側を開放する、地域の食材を使ったメニューを提供する、といったことがおすすめです。あえて洋風の食器や什器を取り入れて和と洋の調和が楽しめる空間を演出するというアプローチもありでしょう。

古民家リノベーションで飲食店を開業するなら、今回ご紹介した費用相場や3つのポイントに注意することはもちろん、利用できる助成金・補助金制度を探すことや、お店の人気を出すためのアイデアを練ることも大切です。
これらの課題をクリアし、地域の隠れ家的なポジションを築くことができれば、リピーターが新規のお客さんを連れてきてくれるかもしれません。

人気の古民家カフェをつくるコツは独自性をもたせること

古民家カフェを開業させるにあたって成功させるためのポイント

コンセプトは必ず明確に決めること

カフェは、最近ではインスタ映えという言葉もよく使われるほどかなり多くのお店が開業していることから、競争率も高いです。そんなカフェのなかでも古民家カフェが生き抜いて行くためには、コンセプトは必ず明確に決めることが必要不可欠となってきます。コンセプトをしっかりとさせれば、客足を増やすことにも繋がりますし、迷った時の指針にもなります。また、コンセプトを決めるだけでなく、お店の雰囲気も全てコンセプトにあったものにするのが良いでしょう。

現代の流行をしっかりと活用する

例えば、Instagram。Instagramにてカフェ系の投稿をしている方は多く、「映え」を意識している若者も多いので、Instagramを使用してお店のアカウントを作成して、お店の映えるポイントなどを投稿してお客様に発信していくと良いでしょう。最近では、Instagramはほとんどの方が使用していますので、宣伝方法として客足を増やすためには必要な方法となってくるでしょう。(現代はチラシ配りよりインターネット系が強い傾向にあります。)

接客には常に注意をする

接客でお店の印象はガラッと変わります。常に笑顔で、お客様により良い印象を与えるように心がけるようにしましょう。また、それだけにとどまらず食品を提供しているお店であることから、身だしなみにもしっかりと気をつけるようにしましょう。お客様に「いいお店だな」と思って貰えるだけでなく「いい店員さんがたくさんいる」と思って貰えるように心がけましょう。たったそれだけでお客様が、「また来たい」と思えるようなお店にすることができるのです。

この記事の監修


株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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