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飲食店の開業で揃える厨房機器7選。選ぶポイントや費用について解説

飲食店の開業で揃える厨房機器7選。選ぶポイントや費用について解説

飲食店を開業する際に準備すべきことは数多くありますが、厨房機器の用意もその一つです。これから飲食店を開こうとしている人の中には、厨房機器についてあらためて確認しておきたいと考えている人もいるでしょう。

この記事では、開業時に揃えておくべき厨房機器や選ぶときに確認すべき点、導入方法などを解説します。最後まで読むことで、厨房機器を揃えるために必要な情報がまとめて得られるでしょう。

飲食店の開業時に揃える厨房機器7選

飲食店の開業時には、さまざまな厨房機器を揃える必要があります。あらかじめ各厨房機器にかかる費用の目安を把握しておき、予算を見積もっておきましょう。

開業する飲食店の業態によって必要な厨房機器は異なりますが、下記の表に挙げる7つの厨房機器は多くの業態で必須のラインナップです。各厨房機器の費用の目安も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

厨房機器の種類費用の目安
業務用冷蔵庫(冷凍庫)35〜65万円
食器棚

8~35万円

製氷機30~60万円
コールドテーブル15~40万円
業務用ガスレンジ25~45万円
業務用換気扇フード3万円~
業務用シンク18~40万円


※工事費が別途かかります。

それぞれの厨房機器の役割と、選ぶ際のポイントを解説していきます。


業務用冷蔵庫(冷凍庫)

業務用冷蔵庫(冷凍庫)は、食材を保存するための厨房機器です。

飲食店ではさまざまな食材を取り扱いますが、多くの食材は常温での長期保存ができません。特に、生肉や生魚などを取り扱う場合は、冷蔵庫(冷凍庫)は不可欠です。

冷蔵庫のサイズは、店舗の規模や取り扱う食材によって変わります。魚など大きめの食材を取り扱う場合は、開閉がしやすいタイプを選ぶとよいでしょう。しかし、ドアが大きすぎると、通路を塞ぐ、他の設備にぶつかるなど業務に支障が出てくる場合もあります。厨房内での導線も考えたうえで、タイプやサイズを選びましょう。

また、飲食店の営業許可を得るためには「冷蔵庫内の温度計設置」が必須です。業務用冷蔵庫であれば標準装備ですが、家庭用冷蔵庫を使う際には別途設置しましょう。

食器棚

提供する料理を盛り付けるためのお皿や調理器具を置くための食器棚も、厨房に備えなければなりません。営業許可を得るためには、扉付き食器棚の設置が1台以上必要です。

食器棚には「扉がついていること」が必須要件の一つでもあります。しかし、扉がなくても「食器の一時保管用」として認められる設置例もあります。その例は、下記のとおりです。


  • ✓目線より低い位置に棚を設置

  • ✓ひざよりも高い位置に棚を設置


食器棚を厨房に設置、もしくはお客様の目に触れない場所に置く場合は、あまり新品にこだわらずともよいでしょう。中古品を使えば、導入費用も抑えられます。

製氷機

製氷機とは、飲食店でドリンクを提供する際に欠かせない「氷」をつくるための機器です。ドリンクだけではなく、食材の保冷などにも氷は使われます。一日あたりの製氷能力は製品によって異なり、低いものでは10kg前後、高いものだと100kgを超えるタイプもあります。

製氷能力の目安は、店舗の客席数×1.5倍の数値が一般的です。たとえば客席数が16席の場合は、目安となる製氷能力が24kgとなります。

同じ規模でも、カフェやバーといったドリンクメニューを多く取り扱う店舗の場合は、夏などに氷が不足するかもしれません。そのため、製氷機を選ぶ際には製氷能力に余裕を持たせ、30kgほどの製氷能力がある製氷機を選びましょう。

コールドテーブル

コールドテーブルとは、冷蔵庫(冷凍庫)と作業テーブルが一体となった厨房機器です。

席数が多い大型の飲食店であれば、厨房に各食品を最適な環境で保管するための冷凍室や冷蔵室を設けているケースがあります。しかし、店内の厨房スペースが限られている場合は、作業テーブルとしての機能も兼ねているコールドテーブルが活躍するのです。

コールドテーブルの内部は、2つあるいは3つに区切られており、それぞれの部屋が冷蔵室または冷凍室として割り振られています。

コールドテーブルの全高は700mm以上900mm未満のものが多い傾向ですが、なかには600mmほどの低いタイプも販売されており、バリエーションは豊富です。テーブルで作業をする際は前屈姿勢になることが多いため、メインで使うスタッフの身長にできるだけ合ったものを選びましょう。

また、温度調節などを行う駆動部のユニットは、左右どちらか一律ではなく製品によって場所が異なります。コールドテーブルは、電源までの導線や各厨房機器の配置・レイアウトを考慮して選ぶことも大切です。

業務用ガスレンジ

業務用ガスレンジとは、オーブントースターとオーブンレンジ双方の使い方ができるコンベクションオーブンと、ガステーブルが一体となった業務用ガスレンジです。

業務用ガスレンジには、手動でガス栓を空けて点火する外管式、つまみを操作して点火する内管式の2種類に大きく分けられます。また、製品の中には安全装置を備えたタイプもあります。

上部に設けられたコンロと下部に備えられたオーブンを同時に使える点が業務用ガスレンジの特徴です。フライパンで表面を焼いてグリルで仕上げる肉料理などは、二つの機器を使えば効率的に仕上げられます。

トースターとレンジをそれぞれ購入して設置するよりもスペースがかさばらないため、調理場の面積が狭い店舗で重宝する厨房機器です。

レンジフード

レンジフードとは、ガスレンジの上に設置する換気扇と、換気扇を覆うカバーを指す言葉です。

飲食店を開業する際は、保健所から営業許可を取得しなければなりません。そのとき、ほこりがたまりやすい形状のレンジフードを使っていると許可がおりないことがあります。そのため、レンジフードはひさしなどの突出部がない形状のものを選びましょう。一般住宅を改装して飲食店を開業する際は、特に気をつける必要があります。

天井から床にかけて直線状に伸びている「箱型レンジフード」であれば、ほこりが溜まりにくいため、保健所の許可がおりる可能性は高い傾向です。しかし、レンジフードと天井の結合部に隙間があるとほこりが溜まりやすいと判断されるケースもあるため、注意しましょう。

業務用シンク

業務用シンクは家庭用シンクとは異なり、保健所によって設置基準が明確に示されています。飲食店を営業するためには幅45cm×奥行36cm×深さ18cmのシンクが2槽必要です。

そのため、飲食店を開業する際は、規定の内径寸法を満たした2槽タイプのシンクを用意しましょう。自動の洗浄設備がある場合は、シンクが1槽でも認められます。食洗機などがあれば2槽タイプのシンクを用意する必要がない点も押さえておきましょう。

注意すべきは、ラーメンなど油を多用する料理を提供する飲食店の場合、冬場は油が冷えて固まりやすく、油が調理機器や食器にこびりつく点です。取り扱う料理の種類によっては、温水で勢いよく洗う食洗機の導入が向いています。

開業する飲食店の業態によって必要になる厨房機器

業務用冷蔵庫や食器棚はほとんどの飲食店にとって必須の厨房機器です。必須の厨房機器以外にも、飲食店の業態によっては導入が必要な厨房機器があります。

ここからは、3つの業態から必要な厨房機器をピックアップして解説します。

開業する飲食店の業態によって必要になる厨房機器

ラーメン屋「ゆで麺機」

ラーメン屋を開業する際に必ず用意すべき厨房機器は、麺をゆでるための「ゆで麺機」です。ラーメン屋以外にも、うどん・そば・パスタなど麺類を提供する店舗では必要になるでしょう。

一度に大量の麺をゆでられるだけでなく、お湯の温度も簡単に管理可能である点がゆで麺機の特徴です。むらなく安定的に麺をゆでてほぐせるため、工程にかける時間や手間が大幅に削減されます。

カフェ「コーヒーマシン」

カフェを開業するなら、専門店ならではの味わいを提供できる「コーヒーマシン」を導入するとよいでしょう。蒸らし時間や湯量、抽出のタイミングなどを一元管理できるため、高いクオリティのコーヒーをお客様に味わっていただけます。

主なコーヒーマシンの種類は、下記のとおりです。


  • ✓ドリップ式

  • ✓サイフォン式

  • ✓カプセル式


どのようなコーヒーを提供したいかのこだわりを踏まえて、コーヒーマシンの種類を決めましょう。

イタリアンレストラン「ピザ窯」

イタリアンレストランを開業する場合、メニューの中心となるのはピザやパスタでしょう。本格的なピザを提供するためには、高温で一気に生地を焼き上げる「ピザ窯」の導入を検討したいものです。

ピザ窯には石窯やペレット窯などいくつかの種類があるため、理想とするピザを明確にしたうえで最もふさわしいタイプを選びましょう。

飲食店の厨房機器を選ぶ前に確認すること

厨房機器を選ぶ前に、下記の点をあらかじめ確認しておきましょう。


  • ✓物件のインフラ

  • ✓厨房のレイアウト

  • ✓提供メニュー


確認事項を一つひとつ解説していきます。

飲食店の厨房機器を選ぶ前に確認すること

物件のインフラを確認する

厨房機器を選ぶ際は、物件のインフラ周りついてしっかり確認しておきましょう。具体的には、電気やガスの容量と、導入したい冷蔵庫・ガスレンジなどが適合しているかを確認する必要があります。

厨房機器が必要とする電気やガスの容量が店舗に供給されていなければ、各種機器を使うことはできません。あらかじめ電力会社やガス会社と打ち合わせをして、十分な容量の電気やガスが供給されるプランを選んでおきましょう。

容量変更には工事が必要なケースもあるため、インフラが整うまで想定以上の時間がかかることもあります。開店が遅れないよう綿密な確認が大切です。

厨房のレイアウトを確認する

厨房のレイアウトを決めるときは、あらかじめ導入したい厨房機器をリストアップしてから行うことが最善です。「レイアウトに対して機器のサイズは適しているか」「オペレーションの妨げになる構造ではないか」といった点を、図面を見ながら現地で隅々まで確認しましょう。

厨房機器を選ぶ際は、設置場所やサイズ、オペレーション、搬入経路のチェックが必須です。 スタッフが無駄な動きをせず作業ができるか、料理をスムーズに提供できるかといった導線も意識しながらレイアウトを組みましょう。

関連記事 飲食店開業前に知っておきたい厨房レイアウトの3つのポイント

提供メニューとすり合わせる

厨房機器を選ぶ際には、提供するメニューと機器の種類・スペックをすり合わせることも重要です。提供するメニューには必要ないオーバースペックを備えた厨房機器を導入しても、余計な費用をかけることになってしまいます。

【提供メニューと厨房機器が合っていない例】


  • ✓揚げ物を提供する予定がないのにフライヤーを導入

  • ✓コーヒーをウリにしていないのに、高額なコーヒーマシンを導入


また、10人入れば店内がいっぱいになる規模の飲食店であれば、大型冷蔵庫の導入なども必要ないでしょう。

開業費用を抑えたい!飲食店の厨房機器を安く入手する3つの方法

飲食店開業にあたって、厨房機器の導入費用を抑えたいと考える人は多くいるでしょう。できる限り支出を抑えることが、開業を成功させるカギの一つでもあります。

飲食店の厨房機器を安く入手する方法は、下記の3点です。


  • ✓中古品を購入する

  • ✓リース契約で導入する

  • ✓居抜き物件を契約する


一つひとつ解説していきます。

開業費用を抑えたい!飲食店の厨房機器を安く入手する3つの方法

中古品を購入する

新品ではなく中古品を購入すれば、厨房機器の導入費用を安く抑えられます。

飲食業界は改装や廃業が多いため、中古厨房機器も市場に多く出回ります。そのため、厨房機器を取り扱う中古専門店やオンラインショップで探せば、店舗にぴったり合う厨房機器が見つかる可能性は高いでしょう。

シンクやコールドテーブル、食器棚などであれば、少し傷がついていても業務に支障はほとんどありません。費用を抑えたい人は、中古品のチェックから始めてみましょう。

リース契約で導入する

厨房機器の導入費用を抑えたい人は、リース契約での設備導入も検討してみましょう。

リース契約とは、リース会社が代理購入した機材を店舗で借りて使う仕組みです。購入費用は必要なく、支払うのは毎月のリース代金だけ。何かと費用がかさみがちな開業時に出費を抑えられるため、手元にお金を残しておきたい人におすすめです。

自らリース会社を探すのも一つの方法ですが、内装業者に依頼をすれば納入からアフターサービスまで対応してくれます。一括して任せたい人は、内装業者を通してリース契約を進めてはいかがでしょうか。

居抜き物件を契約する

居抜き物件を契約すれば、厨房機器の導入費用を大きく抑えられます。居抜き物件とは、以前に入居していた飲食店が使っていた内装や設備がそのまま残っている物件を指す言葉です。

設備が残った状態のラーメン屋の居抜き物件をそのままラーメン屋として使えば、新たに冷蔵庫やゆで麺機などを購入する必要がありません。場合によっては譲渡契約が必要になる可能性があるので、厨房機器の利用に費用がかかるかどうかはオーナーに確認が必要です。厨房機器だけでなく内装もラーメン屋のままであるため、内装を変更する必要もほとんどないでしょう。

居抜き物件を契約する際は、厨房機器が間違いなく使えるかのチェックが重要です。機器に不具合があれば、修理や交換に多額の費用がかかるだけでなく、オープンも遅れてしまいます。あらかじめ状態をしっかり確認しておきましょう。

関連記事 居抜き物件の メリット デメリット と確認ポイント

飲食店の厨房機器の経費処理についても知っておこう

厨房機器を購入したあと、どのように経費処理をすべきかも知っておきましょう。

厨房機器は減価償却で処理します。減価償却とは、設備投資にかかった費用を一定の年数に分けて処理する経費処理方法です。厨房設備は「機械及び装置の飲食店用設備」に該当するため、新品で購入した場合の法定耐用年数は8年となります。

中古で厨房機器を購入した場合は「使用可能期間」によって、減価償却年数を計算します。また、厨房機器をリースする場合は、リース代を全額控除できる点も押さえておきましょう。

必要な厨房機器を把握して飲食店開業を進めましょう

飲食店開業を成功させるためには、営業に必要な厨房機器を万全に整えておくことが重要です。どの設備が必要なのかを綿密に下調べし、レイアウトを確認しながら導入を進めていきましょう

参考記事:飲食店の厨房レイアウトは最重要!基本を押さえて適切な配置を組もう

「canaeru」では、飲食店開業を検討している方向けに無料相談を実施しています。開業にあたり、お悩みや心配事がある方はぜひお問い合わせください。厨房機器に関する相談もいつでも受け付けています。

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必要な厨房機器を把握して飲食店開業を進めましょう

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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