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目標設定には自分の年収も。ゴールをいつ達成するか決めないといつまでたっても距離が縮まらない

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2013年にAmazon「会社経営」「企業革新」「企業経営」「投資・金融・会社経営」の4部門で1位を獲得した本『小さくても儲かる会社をつくれた4つの秘訣』の著者・森田健太郎氏は、IT系の会社で起業しながら、ヘアサロン事業、飲食事業も立ち上げ、大成功したビジネスパーソンだ。
森田氏の成功談を基に具体的に「お店」で成功する秘訣をたっぷりお話しいただいた。6回連載でお届けする。

経営が分かっていて美容院の受付もやる経営者の意味は?

――いわゆる職人さん的な人がそのまま経営も担当する場合が多いと思います。特に、個人経営の飲食店などはほとんどがそうですよね。

森田:美容院もそうですね。僕、1回調べたんです。青山とかに美容院の有名店がたくさんありますよね。僕らが経営で負けているのは、その中のひとつぐらいです。あとは僕らの美容院のほうが規模が大きい。やっぱり職人は経営しちゃいかんです(笑)。お店を大きくできない。今ある大きい美容院のトップは、だいたいヘアサロン業界に関係ない人ですよ。彼らは経営者です。僕も経営者なので、経営の仕組みが分かっています。経営者が経営しないと、そりゃうまくいかないですよ。

――でも普通、経営者は、美容院の受付をしたりはしませんよね(笑)。

今ね、僕は受付で新しいシステムを作ってたんですよ。僕の美容院はだいたい1時間待ち、1時間半待ちのお店。その待ち時間の計算方法を新たに編み出したんです。「何人のスタッフがいて、何人のお客様が待っていたら、その次のお客様の待ち時間はこうなる」というのが現場で受付をやっているとわかる。それで次のお客様には、「1時間35分後」とか待ち時間を紙に書いて渡すんですが、それがほぼぴったりになるんです。たまに変わったお客様もいて、「すぐご案内できますよ」って言ったら、「すぐっていつですか?」なんて聞いてくるので、「5分36秒です」って答えたことがある(笑)。統計学的に平均値を調べていけば、1時間半待ちでも2時間待ちでも、ぴたっと時間を言えるようになる。

――お客様にとっても、スタッフにとってもいいシステムですよね。

ほとんどの店で、お客様がイライラしながら待っているわけですよね。僕、その視線が本当に嫌だったんです。受付をしながら、刺さる視線をどうにかしないといけないなって。待っているお客様に、一度外に出てもらおうって思って、その仕組みを作ったんです。だからうちの店は、ふらっと入っても待ち時間を正確に教えてもらえる。「じゃあ、買い物して戻ってきます」と、お店から出ることができるわけです。ただね、待ち時間に”森田タイム”というのもあって(笑)。それはね、スタッフも気合と根性入れないとダメ。他の受付が待ち時間を出すと、ちょっと余裕がある時間なの。僕が出す”森田タイム”は、びっちりぴったり(笑)。終わったら次の人、なんてもんじゃない。切り終わって「ありがとうございました」とクロスを外しますよね、そしたら、その隣の隣の席にはクロスをつけて待っている。そういう状況です。そんな状態じゃないとさばけないんです。うちの美容院のスタッフが切った1日の人数の最高記録が56人だったんですけど、1人10分かかっていないですもん。お店は10時間で休憩は1時間ですから、労働時間9時間。分に直せば540分ですから、1人10分かかっていないですよね。お店にお客様が来てくださる最大の理由が、この仕組みだと思っています。

ゴールをフィックスして、ブレイクダウンして動く。心意気だけでは状況は変わらない

――森田さんの経営の基本は徹底した効率化で、それを実現させるために極限まで有効化された管理シートがある……事業に対する最初のイメージをいかにしっかり作るのかがそのためには大事で。失敗してしまう経営者は、たぶんそこのイメージがギリギリまで練り込めていないんだと思うんです。どうやったら、極限までイメージできるのでしょうか?

ふたつあると思うんですけど。「今できるところまでどうやって持っていくか」という話と、「どういう将来を描くか」という話。今の状況をよくするのであれば、「面倒くさがりやであること」が重要。さらに言えば「パソコンをわかっていること」が重要になってきますね。将来についてのビジョンであれば、手帳をつけることが大切。僕は、熊谷正寿社長の著書『一冊の手帳で夢は必ずかなう』の通りに手帳を持っていて、スケジュール通りに人生を生きています。最初は将来の年収とか適当に書いていたんですよ。「無理だよな」と思いつつ。そしたら達成しちゃって。「あれ?」みたいな。今でもその手帳は使っていますよ。手帳に書いて、イメージして、持ち歩いて。以前はマンスリーで目標管理もしていました。マンスリーで目標を立てて「今月はここまでやらないといけない」って。ひどいときはウィークリーでやっていましたけど、きつかった。でも、その目標に向けて「ここまでにゴール」ってすると、ブレイクダウンするじゃないですか。ゴールをいつ達成するかを書いていないと、いつまでたっても距離が縮まらないし、ゴールできない。ゴールをフィックスして、ブレイクダウンしてやる事を決めていけば、必ず目標は達成していきます。最近はちょっとマンスリーで決めていくのはやめましたけど、でもやりがいはありましたね。ああいうのがあったからこそ、今があると思っています。あの頃はがむしゃらでしたから。

――森田さんでも最初はトライ&エラーだった?

そうですよ。会社だって、最初に売っていた商品とは全然違います。あのまま前の商品を売り続けていたら、ブームで終わっていたかもしれませんね。

――今後は流行りのビジネスに乗ることはないのですか?

今、開発しているのは人工知能ですね。もう1年半ぐらいやっています。例えばね、ある人が、「すごくいいものを見つけた、よし起業しよう」と思いつくとする。コツコツと、技術や職人の人が作る。そして、出来たら売りに行くじゃないですか。これね、作る前に売ったほうがいい(笑)。それで売れることがわかったら、その段階で作り始めたらいい。僕も人工知能の分野ですごいひらめきがあって、まったくできていないのに、売りに行きましたからね(笑)。どんな風になるのか最終的な形は見えていて、今後それを取り扱わなくちゃいけない会社さんは、ほぼうちの商品を扱うと思います。(笑)。作る前に最初に売ったほうがいいですよ。なんで作ってから売るんだろうね?(笑)

お店の経営は、経営と職人とどちらのスキルも必要。だから、左脳も右脳も必要

――パソコンやデータを活用するべきという話がありましたが、「数字に対する勘のいい人」「悪い人」というのは、どんな違いがありますか?

たぶん、右脳と左脳の違いですよね。美容院のスタッフはみんな絵がうまいし、右脳タイプなんでしょうね。だけどもやっぱり右脳だけでは経営できない。最近美容院のスタッフが「業務委託の求人を出している美容院が、月50万もらえるって書いてあるんですよね。あれって社長どう思います?」って言っていたんです。「絶対もらえないぞ」と言ったんですが、ちゃんと計算があるんです。もともと青山の有名美容院をやっていた人が、そこに面貸しで入って、全部自分のお客様を呼べるのなら50万稼げる可能性もあるけれど、そうじゃなければ宝くじに当たるようなものですから。だいたい、業務委託の場合、売上としてもらえるのは、指名の場合で50%、指名じゃなければ40%。業務委託している美容院は、単価を下げている美容院がほとんどですよね。ホットペッパーとかでお客様が指名なしで来る。計算すると、月50万円もらうためには、360人ぐらい切らないといけない。それもアシスタントなしで、です。 絶対に無理なんです。朝から晩まで休みなく働けばできるかもしれない。それなのに求人広告には「50万もらえた〇〇店の〇〇さん」とか出ている。業務委託だから個人事業主で社会保険関係ないし、残業も関係ないから、死ぬほどやればできるかもしれませんよ? でも社員にしないというのは、社員にすればコストがかかるからやないわけで。そういうのを見抜く力が左脳ですよね。だから、脳は両方必要(笑)。

――美容師のフリーランスはかっこいいという風潮もありますよね。

ヘアサロンの業界紙にも独立することをよしとして書いてあります。僕も「へぇ、そうなんだ」と思って、見てみたんです。そしたら「独立・開業して2年目に700万円の売上を達成しました」って書いてある。うちのお店は、ほとんどのスタイリストの売上が1ヶ月100万円以上ですから、2年目に700万円の売上では食べていけないな、と思いました(笑)。それで、うちのスタッフに、「この2年目に売上700万円ってどう思う?」って聞いてみたら、「すごいっすね」って(笑)。「いやいや、お前はいくら稼いでると思ってるんだ!」って言ったら、「あ、そうっすね」って(笑)。目の前に見えている数字がなんなのかわかっていないんですよね。やっぱり、いかに正しい知識を持っているかが大事。これにつきると思いますよ。

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■プロフィール

森田健太郎
1967年広島県生まれ。日本大学大学院理工学研究科物理学専攻博士前期課程修了後、KDDI株式会社に入社。1年間システムエンジニアを経験し、営業部門に異動。2年後、実績が新聞、雑誌などに多数取り上げられ、注文が殺到。東京支店達成率ナンバーワンに躍進。
1998年、ヘッドハンティングによって外資系ソフトウェア会社であるマカフィー株式会社に転職。1999年に日本でナンバーワンセールスとなり、2000年8月には世界ナンバーワンセールスアワードをハワイで表彰。同年11月、最年少部長に昇進。9四半期連続で目標達成という偉業を成し遂げる。
2001年、独立系ソフトウェアベンチャー企業にヘッドハンター経由で役員として転職。入社してわずか4年で売上を13倍にする。
2006年3月、株式会社グリーンツリーを設立。初年度からホームページを容易に制作できるソフトウェア販売(CMS業界)でトップレベルの会社に躍進させる。設立から現在までずっと黒字経営を続けており、2012年11月にはホームページ累計導入社数が1,000社を超える。
2011年11月、コンビニの5倍もある美容事業に参入し、一号店を3カ月で黒字化させる。
2017年11月現在、ホームページ導入社数は約2,000社、美容室は4店舗、一般社団法人 日本優良品協会 監事なども務める。

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