更新日:

商売・仕事は楽しく!~「もし、仕事が楽しくなくなったら言うてくれ」~【たむけんインタビュー】

商売・仕事は楽しく!~「もし、仕事が楽しくなくなったら言うてくれ」~【たむけんインタビュー】_記事画像

”たむけん”の愛称で親しまれているタレントのたむらけんじさん。お笑いタレントとしてだけでなく、焼肉店や中古車屋などを経営するビジネスマンとしても有名です。テレビでは決して見せない(!?)実業家・たむらけんじに迫ります!
第2回は従業員に対する想いを語る!

人気店、炭火焼肉たむらにも経営の危機があった!

――商売を始めたばかりの頃と今と、変わったこと・変わらないことがあると思うのですが、それぞれ何でしょう?

たむら: 新しいお店の立ち上げとか、そん時はめちゃくちゃ関わりますけど、それ以外はスタッフに任せられるようになりました。僕と同じ思いで動いてくれる子らが育って来たっていうか。安心感が出てきました。僕のビジネスのやり方――俺がどうしたいかとか、実行のスピード感とかを理解してくれて、僕の代わりにそれを伝えてくれる人が出て来てくれた。矢面に立って大変やって思いますけど。すごい安心かな。実は僕、以前にも経営から離れていたことがあるんです。「もう行けるやろ」って任してて。ほんならけっこうヤバいことになって、また戻って来て。でも今回は、その時のバトンの渡し方とは違うと思ってるんです。以前は、ただお客さんが来てるだけで何も仕上がってなかった。店として会社として、何の成熟もしていないところで渡してしまったんです。だから渡された方も困ったと思う。今が成熟したとか、決してそういうわけじゃないんですけど。会社として、組織的に誰が何をやる、誰がどうする、誰が責任とる、目標はこれ……とかね、チームとして固まってきている感覚がすごくあるんです。だから今だったら渡しても、前みたいなことは起きんやろうって思ってます。変わらないことは……ビジネスをずっと楽しんでること、かな。

僕はキャバクラに行かないんで!

――たむらさんの、ビジネスにおいての発想力や突破力の源泉は、そもそも何ですか?

目立ちたがり屋だってことだと思います。芸人も、目立たがり屋だからやってるし……どうやって目立つねんっていう事しか考えてないかも。8月に新しく始めた『NIKUDONBURIたむら』で言うと、「丼屋だったら吉野家でええやん」ってことに対して、「吉野家では味わえない何か」をお客さんに提供することと、「たむらが焼肉じゃなくて丼屋を始めることが意外」っていう、この2つで目立つというか。うん、商売はやっぱり、めっちゃくちゃ楽しいですね。そもそも食べもんが好きですし。あと、僕キャバクラとか行かないんで。そのぶんお金が余ってる(笑)。お金持ったら、皆さんやっぱり、クラブやキャバクラ行くじゃないですか……ちゃうんかな(笑)。でも、僕、ほんまにその気持ちがなくて。あったらアホみたいに使ってるから良かったと思います。でも美味しいもんとか楽しいこととか、自分が好きなことには絶対ケチらへんし、好きだからずっと続けられるし。続けることってすごく大事なんです。

好きなことだったらイヤな事でも我慢できる

――もし今、商売を始めようとする素人の子がいたら、どんなアドバイスをしますか。

僕は、自分が始めたいタイミングで始めたわけではないんで、ちょっと違うかもしれないんですけど、でも何をやるにしても、好きな事をやって欲しい。好きじゃなかったら絶対続かないです。好きやったら、ちょっとしたイヤな事でも我慢できるし。実は最近、植物に凝ってるんですけど、今、植物屋やりたくてしょうがないです、好きやから(笑)。どこからどうお金を工面しようとか、いろいろ考えなきゃならないし大変やけど、その段階が面白い。南アフリカのマダガスカルに、コーデックスという植物があるんです。一応、観葉植物なんですけど、このコーデックスを扱っているお店がなかなかなくて。それを大阪でやったら、目立つやろうって。人がやってない事ってやっぱり目立つし、商売はそうせんと。でも目立つのってある意味簡単で、でもそれを持続していくのが大変なんです。好きかどうかで絶対変わってくる。僕は、お笑いもずっと好きなんですけど、やっぱりめちゃくちゃスベッたりとか、スベり過ぎて劇場からこのまま出たくないとか、東京行ってテレビ出て、「うわー、全然結果出んかったやん」って新幹線の中でずっと落ち込んでたりとか、大変なことはいっぱいあります。でも「やっぱり好きやしなー」って。そこだけなんです。

好きなことだったらイヤな事でも我慢できる

会社が潰れるということは、従業員や彼らの家族に対しても責任がある

――お店で「スベった」と同じような感覚になったことはありますか。

最初に話した、お店任せ過ぎてて、いざ蓋開けてみたらほとんど会社潰れかけてた時かな。「うわー、やってもうた」って思いましたね。任せたことは自分の責任なんで、誰も責めるつもりもなかったんですけど、会社がなくなってしまうっていうのと、俺について来てくれた人はもちろん、彼らの家族のことも考えなアカンし。雪崩がわーって覆いかぶさってくるような感覚でしたね。「ああ、もう終るんやな」って思った。そやけど――これも自分のええトコなんやろうなって思ったんですけど――僕、成功者の本、結構読んでて。成功者って大概、大借金抱えるんですよ。で、それを返しよる。ほんで大社長になるんです。「あれ? 俺にもそのステージ来たんちゃう?」って思った(笑)、これ乗り切ったら俺、大社長になれんのやって。それに、本で読む社長の借金は何十億。俺の借金なんかたかが知れてる、こんな程度のもん……って思えたんですよ。それにやっぱり商売が好きやし、落ち込んでも、もう事は起こってしまってるから、ここで何を悩んだってしょうがない。原因を分析してどう乗り切る? って考えたほうが面白いし、そっちにバッと切り変えたんですよね。あと、僕がやるビジネスが、芸人の子らの受け皿になれたらいいなっていう気持ちもあったんです。後輩たちとワイワイやるのも、すごい好きなんです。ステージに立って、お客さんがドーンって笑った時の感覚を知ってしまうと芸人ってなかなか辞めれないんです。辞めれないうちに30越えて35越えて……そうなったら、「芸人辞めて、次、就職」ってなかなかいかない。でも芸人ってみんなおもろくて。それは売れてなくてもそうなんです。売れる・売れないって、ちょっとした運で決まることもやっぱり多くて。だから、「この才能って、違う所に行ったら花咲くんちゃうか」と常に思ってたんです。結果的に、仕事やりたくても出来なかった芸人っていっぱいおるから、そいつらとワイワイ仕事できたら楽しいし、働いてくれる子らも楽しいって言ってくれたら僕も楽しいし。そういう受け皿になれたらっていう気持ちもあったから。

とにかく楽しく仕事をしてほしい

――人が楽しく働ける環境作りは、とても大事ですよね。

現場の人間がおれへんかったら、ホンマに商売なんか成り立たないですからね。一人では何にもできないですよ。社員は大事やし。もちろんバイトの子たちも大事。そんな子らを締め付けてどないすんねんって。とにかくみんなに「楽しく仕事してくれ、楽しくなくなったらすぐ言うてくれ」って。嫌な事もあるかもしれへんけど、それはなんとか俺らが改善できる事やったら改善するし。それはちゃんと言ってな……って。とにかく楽しく働いていてほしい。

たむらけんじが想う10年前と今の雇用の変化

――人を雇う経営者の立場から、たむらさんがお店を始められた約10年前と、雇用に関する状況は変わっていますか?

全然違います。ホンマに計算しながらやっていかなと、大変なことになるやろうなって。最近、人材に関する仕事をやっている高校の同級生がウチに営業に来たんですけど、そういう時代なんやって思って。これから外国人の方の労働力とか、そんなんも考えていかないといかんのかなって。東京の芸人の先輩が東南アジアの方にハウスキーパーをお願いしてるんですけど、めっちゃエエ人だったりして、東南アジアの人はホスピタリティがすごくあるんですね。奉仕の気持ちがむっちゃあるから、逆にこっちに学ぶ事があるかもしれへんくらいで。だから僕、全然外国の人来てくれるんやったら、ウチで働いて欲しい。そういう状況を考えつつ、僕らも5年、10年、15年、20年先を見て計画を立ててやらないとって思います。10年やってそんな計画一回も立てたことないですけど。でも立てなアカンって思ってますもん。賃金とかも変わってくるし、新しい店舗を出す計画があったとして、そこに人が追いつかんっていう事になる可能性もありますしね。

従業員には自主的にやりたいことをやってほしい

――スタッフに長くいてもらうのも大変ですよね。

給与形態から何から考えたら、ウチよりいいとこいっぱいあると思いますよ。だから、今の統括の店長もバイトから上がった子なんですけど、そういうふうにずっと居てくれる子、残ってくれる子は嬉しいですね。ウチの店が好きでウチにおりたいって思って、おってくれたんやから。そんないいことない。芸能人と結婚したファンみたいな。例え合うてるか分からへんけど(笑)。そういう子がね、社員で多いんです。バイトからそのままっていう。

――やりがいと楽しさがあるんでしょうね。

そこしかないと思います、ウチは。そうじゃなかったら他に行った方がいいです。だからすごく自主的にやってもらってる。「やりたい事やれ」って言ってるし。1番最初に言ったのも「ちゃんと全て整えてやってくれるんやったら、急に「ホテル経営したい」って言ってきてくれてもエエよ」って。「結局アカンかって、何十億の赤字になろうとケツ拭くよ。ウチの会社は自由にして下さい」って、常日頃言ってるんです。でも1コの会社を自由にできるって。なかなかできないですよ。保障や退職金やシステムもウチはまだまだ全然できてないし、かといって日頃の給料がめちゃめちゃ高いわけでもない。ようおってくれんなって思います。でも「儲かったらバンバン持っていってエエからな」って言ってて。みんなそこを信じてやってくれてるんやと思います。

従業員には自主的にやりたいことをやってほしい

>>全5回!たむらけんじロングインタビュー記事一覧ページはコチラ

【プロフィール】

たむらけんじ
1999年に漫才コンビ「LaLaLa」の解散以降、ピン芸人として活動する。株式会社田村道場の代表取締役として「炭火焼肉たむら」「NIKUDONBURIたむら」の運営など、経営者としても活躍。松本人志、宮迫博之、さだ(構成作家)らと共演する人気番組『松本家の休日』(ABC)のDVD第6弾『松本家の休日6』(よしもとアール・アンド・シー)が発売中。
>>炭火焼肉たむら

【プロフィール】_記事詳細画像1

canaeruは年間300件以上の開業サポート実績!

メールアドレスの登録で
開業までのサポート完全無料で受けられます!

個人情報の取り扱いについて

メールアドレスを入力してください

無料会員登録でできること
① 「日本政策金融公庫」の創業融資をはじめとする資金調達の相談が出来る!
② 開業時に必要な事業計画書の作成サポートが受けられる!
③ 店舗開業や運営に関するさまざまな疑問点・お悩みを何度でも相談可能!
※ 金融機関出身者、元飲食店オーナーら店舗開業のプロが対応します

PAGETOPへ