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脱サラとは?メリットやデメリット、成功のポイントを解説

脱サラとは?メリットやデメリット、成功のポイントを解説

「脱サラして、自分で事業をやってみたい」
会社員として働いていると、このように考える場面もあるのではないでしょうか。脱サラは人に雇われない働き方で自由度が高く、会社員にとってある種憧れの働き方です。

しかし、憧れや勢いだけで脱サラすると、その後の生活が立ち行かなくなる可能性が高まります。そこでこの記事では、脱サラのメリットやデメリット、成功する人の特徴を解説します。具体的な失敗例も紹介しているので、脱サラの成功率を少しでも高めたい人は、ぜひご一読ください。

脱サラとは?

脱サラとは「脱サラリーマン」の略語です。会社に属する働き方を辞めて、自分の力で稼ぐ働き方を選ぶことを指します。「起業」「独立」と大きな違いはなく、同義と捉えてよいでしょう。

脱サラという言葉の起源は1971年で、高度経済成長を担ったサラリーマンが起業・独立したのをきっかけに「脱サラ」が流行語となりました。近年もゆるやかに起業ブームは続いています。
なお、ただサラリーマンを辞めたからといって、「脱サラした」とは言えません。会社から独立し、自らの手で生計を立てられている人が「脱サラできた」と言えます。

脱サラして成功する人の割合

脱サラして成功する人の割合を、帝国データバンクの統計から算出してみましょう。

「成功」=「廃業せず続けている」と仮定した場合、創業5年が経過した時点で81.7%が継続して事業を行っているようです。起業の性質が異なるため単純な比較は難しいですが、創業5年後でも事業が継続できているのはアメリカは48.9%、イギリスは42.3%という数字が出ています。他国と比べると、日本は事業を継続できている割合が高いようです。
ただし、あくまで帝国データバンクに掲載されているデータだけを基にしているので、目安として考えてください。

出典 帝国データバンク 中小企業のライフサイクル (コラム2-1-2)

脱サラする5つのメリット

脱サラするメリットを5つ紹介します。


  • ・自分の裁量で仕事ができる

  • ・努力次第で収入があがる

  • ・関わる人を自分で選べる

  • ・定年がない

  • ・専門性をつけやすい


脱サラするメリットを知って、自身の希望に沿った働き方ができるか検討する材料にしてみてください。

自分の裁量で仕事ができる

脱サラする大きなメリットは、自分の裁量で仕事ができる点でしょう。脱サラをした後は、いつ、どこで、だれと仕事をするのかを己の裁量で決められます。つまり、自由な働き方が実現するのです。

仮に店舗を個人経営する場合も、営業時間は自分で設定できます。売上を伸ばしたければ少し長めに、プライベートを充実させたければ短めにするなど、柔軟に対応できるでしょう。

サラリーマンは就業規則に沿って働く必要があるので、自分の裁量で仕事ができるのは脱サラの大きなメリットです。

努力次第で収入が上がる

自分の努力次第で収入を上げられることも、脱サラするメリットの一つです。十分なスキルを身につけていれば、努力次第で収入の上限なく稼げます。会社員の場合、完全歩合制の場合を除き、毎月の収入が一気に跳ね上がることはほとんどありません。

しかし、脱サラ後は違います。会社員時代と似たような業務をしていても、営業能力や品質次第で収入が一気に跳ね上がるケースも珍しくありません。受注先をいくつか開拓して収入源を分散していけば、収入がなくなることへのリスクヘッジもできます。

関わる人を自分で選べる

脱サラは事業を新たに立ち上げるため、仕事での人間関係をイチから構築できるのも大きなメリットです。取引先はもちろん、法人を設立するのであれば採用する人も自分の基準で選べます。

会社員の場合、参加を断りづらい接待や会合もあるでしょう。一方、脱サラすれば交流を深める人物は自分で選べます。取引先と会合するパターンもありますが、サラリーマンのように強制されるケースは稀です。
親交を深める相手を選べるのは、間違いなく脱サラするメリットの一つでしょう。

定年がない

脱サラした場合、定年を考えず働けるようになります

サラリーマンと定年は切っても切れない関係です。2025年4月からは、企業に対し65歳までの雇用確保が義務付けられます。しかし「人生100年時代」と言われている現状に鑑みると、退職金と年金だけで30年以上生活するのは不安が大きいでしょう。

脱サラした場合は、体が動く限り何歳になっても働き続けられます。定年に縛られず働きたい人にとって、脱サラは大きな魅力があるでしょう。

専門性をつけやすい

会社員に比べて、脱サラ後は自身の専門性を高めやすくなります。起業するには、何らかのスキルや専門知識が必要です。店舗経営・プログラミング・ライティングなど、内容はさまざまですが一定以上のスキルがないと生き残っていけません。必然的に己の能力を磨き、専門性を上げていくことになります。

会社員は基本的にチーム単位で動いていくため「生き残るためにスキルを磨く」というシチュエーションには遭遇しにくいです。専門性を高められるのは、今の時代において大きな強みになります。

脱サラする3つのデメリット

脱サラには、デメリットも存在します。


  • ・収入が不安定になる

  • ・自分で仕事を受注する必要がある

  • ・業務外の作業が増える


脱サラの良い面だけを見て盲目にならずに、デメリットも把握したうえで行動を起こしましょう。

収入が不安定になる

脱サラすると、良くも悪くも収入が安定しなくなります。特に脱サラした直後は、取引先が見つからずに苦労するケースは多いです。脱サラ後は、努力次第で収入を上げられますが、極論を言えば、1,000万円稼いだ翌月に収入がゼロになる可能性もあるのが脱サラの怖いところです。

会社員のうちにスキルを身に付けておく、取引先を事前に開拓しておく、複数の取引先と付き合うなどの対策が必須と言えるでしょう。

自分で仕事を受注する必要がある

脱サラした後は、仕事を自分で受注しなくてはなりません。とりわけ独立したての頃は、実績が無いため、積極的に自分の価値をアピールする必要があります。

つまり、会社では専門の部署が担っていた「営業活動」を、自分で行うことになるのです。自分の能力を棚卸して、何ができてどんなことで取引先に貢献できるのかを考えておきましょう。

業務外の作業が増える

脱サラすると、業務外の作業が増えます。開業の手続きに始まり、請求書の作成や確定申告などもすべて自分で行わなくてはなりません。

会社員時代は、経理部や事務員が書類を作成していたという人も多いはずです。そのため、自分で手続きをしたことがない人もいるでしょう。しかし、脱サラするのであればすべて自分で対応する必要があります。起業した後に秘書や事務員を雇う選択もできますが、開業届の作成や法人の登記、融資申請の書類など開業時に事業主が作成せねばならないものが多くあります。脱サラ後しばらくは、雑務に追われると考えておきましょう。

脱サラして成功する人の特徴とは?

脱サラして成功する人の特徴は以下の2つです。


  • ・高い業務スキルを持っている

  • ・仕事を受注するルートを持っている


当然ながら、全くの未経験だと脱サラが成功する確率は下がります。成功する人の特徴を知って、自分もその姿に近づけるようにしていきましょう。

高い業務スキルを持っている

高い業務スキルを持っている人は、脱サラしても成功する確率が高いでしょう。理由は単純で「この人に依頼したい」と思えるスキルを持っていれば、仕事の依頼が途切れにくくなるからです。

どのようなスキルであっても、レベルが高ければ一定のニーズがあります。たとえば、趣味で写真を撮っているような人でも、知識やスキルのレベルが高ければ仕事につながる可能性があります。
脱サラ前に一度立ち止まって、客観的に自分を評価してみることをおすすめします。

仕事を受注するルートを持っている

脱サラ後すぐに仕事を得るルートが構築できている人は、脱サラが成功する可能性が高いでしょう。開業初期から収入を得る基盤ができているからです。

当然ながら、起業後に複数の取引先を開拓するのは最重要事項です。しかし、0からのスタートと1以上からのスタートでは、起業後に軌道に乗れるか否かに雲泥の差が生まれます。既存の取引先や現在勤めている会社のコネクションなどは、できれば脱サラ後も活かせるよう維持しておきたいものです。

脱サラを成功させるためのポイント

行き当たりばったりで行動していては、脱サラを成功に導くことはできません。以下のポイントを押さえて、少しでも脱サラの成功率を高めましょう


  • ・しっかり計画を立ててから行動する

  • ・予備のプランを考えておく

  • ・十分な資金を準備しておく



それぞれの項目を詳しく解説していきます。

しっかり計画を立ててから行動する

脱サラする前に、必ず独立後の計画を立てておきましょう。勢いだけで行動すると、ボロが出たり、何をすればいいかわからなくなってしまいます。影響が小さい失敗であればよいですが、多額の借金が残るような失敗をすると、再挑戦すらも難しくなってしまいます。

事前に考えておきたいのは、資金計画と事業計画です。

資金計画

・手元に資金はいくらあるのか

・事業に回せる資金はいくらか

・売上がマイナスになったとき、どれくらいもつのか

・資金調達先はあるか

事業計画

・「5W1H」に沿って計画を練る

・いつから、どこで、誰が、何の事業をするのか

・なぜこの事業を選択するのか

・どのように売上を立てていくのか



最低限の計画を練るだけでも、大きな失敗を防ぐことにつながります。あらゆる局面に対応できるよう、十分に計画を練っておきましょう。

事業計画を立てるのに大切な「5W1H」については、下記の記事で詳しく解説しています。
関連記事 お店づくりはコンセプトから…決めること6点を抑えて儲かるお店を作る!

予備のプランを考えておく

事前準備をどれだけ入念に行っても、脱サラの成功率を100%にはできません。不測の事態に備えて、予備のプランを考えておきましょう。再就職先やほかの収入源など、具体的に考えておくことが大切です。さらに、公私で頼れる人を見つけておけば、精神的な安定にもつながります。

予備の計画を立てておくことで、慎重になりすぎて失敗する可能性も低くできます。必要なタイミングで攻めた事業展開ができるよう、予備のプランは事前に考えておきましょう。

十分な資金を準備しておく

脱サラ前には、開業後すぐに十分な収入を得られない可能性を想定して、生活費に回せる資金を準備しておきましょう。これは「運転資金」とも言い換えられます。運転資金がないと、事業が軌道に乗る前に廃業する可能性が高まります。金銭的なリスクの少ない職種で脱サラする場合は余裕があるかもしれませんが、店舗型ビジネスのように多額の資金が必要な場合は、余裕を持って運転資金を用意しておく方が賢明です。

資金が不足している場合は、家族や親戚からの借り入れや、日本政策金融公庫からの融資なども検討するとよいでしょう。

なお、canaeruでは日本政策金融公庫からの資金調達に関するサポートを実施しています。無料で相談を受け付けているので、資金調達を検討している人はぜひ一度お問い合わせください。

関連記事 開業融資の定番!日本政策金融公庫の『新創業融資制度』

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脱サラの失敗例

脱サラでの失敗を防ぐためには、事前準備と知識の有無が重要です。具体例を知って、失敗を回避できるようにしておきましょう。

具体的な失敗例内容
飲食店を運転するための事業資金を十分に確保できていなかった

・物件費用、人件費、運転資金など、必要な開業資金の見積もりが甘かった

・新たな策を講じたくても資金がないため、打つ手がなくなってしまった

経験やスキルが足りなかった

・「なんとかなる」と考えて、未経験のまま脱サラしてしまった

・知識、経験が未熟なため、トラブル対応ができずに廃業してしまった

体調を壊して事業が継続できなくなった

・事業に関することがすべて自己責任になるため、心労が溜まっていった

・相談できる人も見つからず、体調を壊して廃業した



どの失敗例も、事前に対策しておけば防げるものばかりです。計画的な行動が脱サラの失敗を防ぐことにつながるのは明白でしょう。以下の記事では、脱サラの失敗例について詳しく解説しています。もっと具体例を知りたい場合は、あわせてチェックしてみてください。

関連記事 脱サラの失敗例3選!起業失敗の原因や成功するためのポイントを解説

脱サラに関するQ&A

脱サラに関するQ&A

脱サラの平均年齢は?

日本政策金融公庫の「2021年度新規開業実態調査」によると、脱サラの平均年齢は43.7歳です。40代で開業する割合が36.9%、30代が31.3%と続き、50代では19.4%に留まります。会社員として経験を積み、スキルが身についた30代、40代で脱サラする人が多いという結果が出ています。

出典 2021年度新規開業実態調査|日本政策金融公庫

脱サラに必要な資金はどれくらい?

脱サラに必要な資金は、事業内容によって異なります
例えば、エンジニアやWebライターなど、自宅で開業できる場合は大きな資金を用意する必要がありません。最低限パソコンと通信環境、数か月分の生活資金があれば事足りるでしょう。

店舗を構える場合は、大きな資金を用意する必要があります。店舗を借りる費用・設備・人件費など、少なくとも数百万単位、業態によっては1,000万円以上準備しなくてはなりません。月々の固定費や広告宣伝費も含めると、多くの資金が必要になります。

日本政策金融公庫や金融機関から融資を受ける場合でも、審査通過のために融資額の3割程度は自己資金を用意する必要があります。1,000万円の融資を受ける際は300万円ほど自己資金が必要なので、計画的に自己資金を準備しておくことが重要です。

脱サラ前にやっておくことは?

会社員でいるうちに、クレジットカードや各種ローン、賃貸の申し込みは済ませておきましょう。脱サラしたての頃は社会的信用が低く、審査に通りにくくなるためです。仮にクレジットカードの審査が通ったとしても、限度額が低めに設定される可能性があります。

信用力が影響する審査は、会社員のうちに申し込んでおきましょう。

まとめ|脱サラには綿密な計画が大切です

脱サラを成功させるには、綿密な計画が重要です。憧れや勢いで脱サラしたくなる気持ちも理解できますが、計画が甘いと失敗する可能性が高まります。

しかし、リスクがあるからといって行動しなければ、現状は変わりません。隙のない計画を立てて、1%でも成功率を高めた状態で脱サラできるようにしましょう。
なお、canaeruでは無料の開業相談を実施しています。物件探しから開業準備まで、専門スタッフが幅広くサポートしています。開業を考えている場合は、ぜひお問い合わせください。

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この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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