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【小阪裕司コラム】第50回:激動の世の中だからこそ不可欠なこと

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

なぜ値上げが顧客に受け入れられたのか

 激動の2022年が終わる。ここ数年、年末に「激動の1年」と振り返っているが、それくらい激動が日常である世の中だということだろう。そしてこの流れは来年以降も続く。そんななか大事なことは、何が本質なのか、何が結果を出すために不可欠かつ普遍的な要因なのかを見極め、激動に振り回されることなく、着実にそこを押さえていくことだ。この課題に対し、一つの答えを得られるような機会が先日あった。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員との会合でのことだ。
 そこでは、今年の総括的に、値上げをテーマにした座談会を行った。パネリストは5名の経営者。業種はそれぞれ、個人客向けキッチン用品の通信販売、飲食店、食品スーパー、法人客向け紙問屋、法人客向け清掃等のサービス事業者と多彩な顔触れ。いずれも今年、大幅な値上げに成功した方々だが、それは裏を返せば値上げが「顧客に受け入れられた」ということだ。ではその要因は何だったのかと語り合っているうちに、幾つかの共通項が浮き彫りになった。

会話によって変わる顧客との関係性

 例えばその一つは次のようなものだ。飲食店オーナーは、とにかく来店客との会話を重視しているという。同店は鴨料理が名物だが、その価値を語るにも会話が不可欠だし、それがなければお客さんとの距離も縮まらないと。同じことを食品スーパーのオーナーも言う。以前はまったく会話のない店だったが、今はそれが花盛り。通販会社オーナーは、お客さんとの直接的な会話はないが、同封物などで会話を作り、お客さんからも多くの反応があると。そして法人対象の2社。紙問屋も近年会話に力を入れていて、例えば顧客に請求書類を送るときですらその封筒に一筆書いて会話を作る。極めつけはサービス事業者で、なんでも近年は、1(いち)サービスルートの担当顧客数を以前の7割くらいに減らし、時間的余裕を持たせ、その分顧客先で会話をしてくるよう促しているのだと。もちろんその分経営効率は落ちる。しかし、今年値上げを受け入られたのは、会話によって築かれた関係性が大きいと。それには紙問屋も言葉を重ねる。自社も会話を重視し始めてから、顧客との関係性がどんどん変わり、それが今年のスムーズな値上げにつながっていると。
 会話さえすれば値上げが上手くいく―そう単純に言うつもりはないが、この一例のように、世の中には「結果」を生み出す「普遍的な要因」がある。激動が続く世の中だからこそ、そこが大切なのである。

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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